最終回の倉庫でキラとニアのゾンビ籠城ライフ   作:ルーシー統括主任

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Episode.3 ラジオ中毒者と松田の日課

YB倉庫での籠城生活が続き、物資の発見から数日が経った。松田は落ち込む日々を過ごしていたが、ある日、ハル・リドナーがシャワーを浴びる時間を見計らい、再びカーテンの隙間を覗く日課を始めた。彼女がシャワーを終えると、案の定、鋭い叫び声が響いた。

 

「松田!またお前か!いい加減にしろ!」

ハル・リドナーがタオルを手に持って飛び出し、松田を睨みつけた。

「ご、ごめん!つい癖で…!」

松田は慌てて後退し、頭を下げたが、ハル・リドナーは容赦なく近くのバケツを投げつけた。

「癖なら治せ!次やったら本当に許さないから!」

 

その騒ぎに、相沢が顔をしかめて近づいた。

「松田、お前まだやってるのか?ゾンビよりお前が問題だよ。」

「悪気はないんだって!ただ…誘惑で気になって…」

「気にするな!」と相沢が一喝し、松田は肩を落とした。

 

一方、夜神月はベッドに座り、このやり取りを冷ややかに見ていた。

「松田らしい。無駄な行動ばかりだ。」

彼の隣にいた魅上照が呟いた。

「キラ様の前でこんな下品な行為を…許せません。」

「放っておけばいいさ」と夜神月は淡々と返した。

 

ニアは倉庫の片隅で、SPKのレシャーとジョバンニに指示を出していた。

「夜神月が自身をキラだと認めた以上、彼を自由にしておくのは危険だ。簡易的な牢獄を作ろう。」

レスターが眉をひそめた。

「牢獄?物資はあるけど、そんなスペースあるのか?」

「倉庫の奥に使ってない部屋がある。あそこを鉄パイプと板で囲えば十分だ」とニアが冷静に答えた。

ジェバンニが頷きつつ言った。

「確かにその方が安全だ。だが、彼が協力的な今、急ぐ必要はあるか?」

「キラはキラだ。油断はできない」とニアが断言した。

 

この会話を耳にした夜神月が立ち上がり、近づいてきた。

「牢獄か、ニア。僕を閉じ込めて何になる?外はゾンビの世界だよ。」

「あなたの罪が消えるわけじゃない。裁きは必要です。」とニアが冷たく返した。

「裁きか…生き残りが何人いるかも分からないのに?」

「正義は人数で決まるものじゃないですよ。夜神月。」とニアが言い切り、夜神月は苦笑した。

「相変わらずだね、君は。」

 

松田が遠くから聞き耳を立て、「この状況で月くんを牢屋に?それは…ちょっと可哀想じゃない?」と呟いたが、誰も相手にしなかった。

 

 

 

ある日、夜神月と魅上照、そして見張りのニアとジェバンニ以外のメンバーで床下の物資の整理、運搬を行っていた。松田が物資の整理を手伝っていた時、倉庫にあった2冊のデスノートのうち1冊を間違えて手に持ったまま地下倉庫へ向かった。しかし、奥で缶詰を整理している間に足を滑らせ、デスノートを物資の山の奥に落としてしまった。彼は「あれ?なにか落とした?」と呟いたが、気にせず戻ってきてしまった。

 

その後、レスターがデスノートを確認しようとして異変に気づいた。

「ニア、デスノートが1冊しかないぞ。残り1冊はどこにあるんだ?」

ニアが眉をひそめ、夜神月に目を向けた。

「夜神月、あなたが何かしたのか?」

「僕だってずっとここにいるよ。隠す時間なんてない」と夜神月が肩をすくめた。

魅上照が慌てて立ち上がり、「キラ様がそんなことをするはずない!」と叫んだ。

「じゃあどこに行ったんだ?」とレスターが苛立った声で尋ねた。

松田が首をかしげ、「なにかあったんですか?」と呟いた。

 

数日後のとある日ハル・リドナーは夜神月の傷心した姿にますます惹かれていた。ある夜、彼女は彼のベッドのそばに座り、小声で話しかけた。

「夜神月、あなたがキラでも、私には関係ないよ。もう戦う気がないなら…そばにいてもいいよね?」

夜神月は驚いて彼女を見た。

「リドナー。お前、何だその考えは?僕に何を期待してるんだ?」

「期待じゃない。ただ、あなたのそんな顔見てると放っておけないだけ。それと、ハルって呼んで。」と彼女が微笑んだ。

 

夜神月は一瞬言葉を失ったが、傷ついた心を癒すためか、彼女の言葉を受け入れた。

「…好きにすればいいさ。僕にはもう何も残ってない。」

「それでいいよ」とハルリドナーが優しく返し、彼の肩に手を置いた。

 

その様子を遠くから見た松田が、「何!?ハル・リドナーが月くんとそんな仲に!?」と驚いたが、すぐに相沢に「いいから黙れ」と一喝された。

 

 

ジェバンニはラジオに取り憑かれたように、毎日ノイズ混じりの放送を聞き続けていた。ある日、彼が興奮して皆に報告した。

「新しい放送だ!生存者が東に集まってるらしい!」

レスターが近づいて尋ねた。

「本当か?どの辺だ?」

「ノイズでよく聞こえないけど…希望はあるかも」とジェバンニが目を輝かせた。

ニアが冷静に割って入り、「情報が曖昧だ。焦って行動を急ぐのは危険です。」と警告した。

「でも、何もしないよりマシじゃないか?」とレスターが反論した。

「確かに…でも証拠が欲しい」とジェバンニがラジオをいじり続けた。

 

夜神月は遠くから聞き、「生存者か…興味深いね」と呟いたが、行動する気はなかった。

 

 

ニアの指示で、倉庫の奥に簡易牢獄が完成した。鉄パイプと板で囲まれた小さな部屋。ニアが夜神月に近づき、言った。

「夜神月、ここに入ってください。我々の安全を担保するためです。キラとしての危険を排除します。」

「随分と急ぐんだね、ニア。ゾンビが先じゃないのか?」と夜神月が皮肉を込めて返した。

「ゾンビは外の脅威だが、あなたは内の脅威です」とニアが冷たく言い切った。

 

ハル・リドナーが反対した。

「待って、ニア!彼はもう戦う気がないのよ。こんなことする必要ある?」

「感情で判断しないでください。彼はキラで、ただの大量殺人鬼です。」とニアが静かに諭した。

夜神月はため息をつき、「いいよ、入るさ。どうせ何も変わらない」と自ら牢獄へ入った。

 

魅上照が叫んだ。「キラ様を閉じ込めるなんて許せない!」

「黙れ、魅上!」とレスターが一蹴した。

 

 

その夜、松田のシャワー覗きは止まらず、再びハル・リドナーの入浴中に隙間を覗いた。彼女の叫び声が響いた。

「松田!何度言えば分かるんだ!?」

「ごめん、ハルちゃん!つい…!」

彼女はタオルを手に持って飛び出し、松田に缶詰を投げつけた。

「次やったらゾンビの餌にしてやる!」

 

相沢が呆れ顔で言った。

「お前、本当に学習しないな。」

「だって…つい目が…」と松田が言い訳したが、誰も同情しなかった。

夜神月は牢獄の中で聞き、「松田のバカ。」と呟いた。

 

夜神月が牢獄に入った後も、ハル・リドナーは彼に近づき続けた。鉄格子の間から話しかけた。

「夜神月、閉じ込められてても、私には関係ないよ。そばにいるから。」

「お前、、、いや、ハル…君は本当に奇妙だ。キラに何を見てるんだ?」と夜神月が尋ねた。

「キラじゃないよ。傷ついた人間としてのあなた」と彼女が優しく返した。

 

夜神月は心が揺れる気がした。

そして彼女の手を握り返した。

「…ありがとう、ハル。少しだけ気が楽になるよ。」

「それでいい」と彼女が微笑んだ。

 

魅上照がその光景を見て、「キラ様が…あんな女と…?」と呟いたが、口を噤んだ。

 

デスノートの紛失が気になり、レスターが地下倉庫を再確認した。そして、物資の奥に落ちている1冊を発見した。

「あったぞ!これだ!」

ニアが近づき、「どうしてここに?」と尋ねた。

松田が慌てて言った。

「あ!!えっと…俺、整理してた時に落としたかも…」

「お前か!」とレスターが怒鳴り、相沢がため息をついた。

「松田、お前本当に何もできないな。」

「わざとじゃないんですよぉ!」と松田が弁解したが、誰も聞かなかった。

ニアがデスノートを手にし、「これで夜神月の罪を再確認できる」と呟いた。

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