最終回の倉庫でキラとニアのゾンビ籠城ライフ 作:ルーシー統括主任
東部生存者キャンプの3番地西区コテージ。松田は相変わらずの日課を続けていた。この日も、ハルがシャワーを浴びている隙に、バスルームのドアの隙間をそっと覗き込んだ。「うわっ、やっぱり…!」と呟いた瞬間、ハルがカーテンを開けて彼を見つけた。
「松田!また!?」と叫ぶかと思いきや、ハルは呆れたように笑い出した。「もう…呆れるしかないね。どうしようもないわね、君って」
松田が目を丸くし、「えっ!?怒らないの!?ハルが笑ってる!?」と驚きを隠せなかった。
「怒っても無駄だって分かったよ。君、懲りないんだもん」とハルが肩をすくめて笑った。
相沢が近くで聞き、「お前、ついにハルに呆れられたか。進歩だな」と皮肉を込めて言った。
レスターが笑いながら、「松田、ハルの寛大さに感謝しろよ。俺なら殴ってる」と冷やかした。
松田が慌てて、「いや、本当にごめん!でも…怒られないのって変な感じだなぁ」と呟き、コテージに軽い笑い声が響いた。ハルの笑顔に、松田は少し戸惑いながらもどこか安心していた。
レスターと相沢はキャンプのゲームセンターと畑にすっかり入り浸っていた。ゲームセンターでレシャーが格闘ゲームのコントローラーを握り、「くらえ、このコンボ!」と叫びながらボタンを連打した。
相沢が冷静に反撃し、「甘いな。俺の必殺技で終わりだ」と勝利を収めた。
「くそっ、また負けた!お前、強すぎだろ」とレスターが悔しがりつつ笑った。
「ゲームより畑の方が得意だろ?そっちで勝負しろよ」と相沢が肩をすくめた。
午後、二人は畑に移動し、汗を流しながら農作業に励んだ。「ゲームも畑も悪くないな。このキャンプ、案外住みやすい」とレスターが呟いた。
「ゾンビがいない今。人間の方が怖いがな」と相沢が遠くを見ながら言った。
その言葉に、レスターが「確かに…最近、妙な噂が多いな」と不安げに返した。二人の日常に、キャンプの不穏な空気が忍び寄っていた。
キャンプのジムで、魅上とジェバンニが筋トレに励んでいた。汗を拭いながら、ジェバンニが突然言った。「なぁ、聞いたか?ジムで元自衛隊の男が話してたんだが強盗強姦殺人鬼がキャンプ内で逃走中らしいぞ」
魅上が目を鋭くし、「何!?そんな危険な奴が…キラ様に報告しなければ!」と立ち上がった。
「落ち着けよ。まだ噂レベルだ。でも用心するに越したことはない」とジェバンニが宥めた。
「用心…確かにそうです。コテージの皆に伝えます」と魅上が決意を固めた。
二人がコテージに戻ると、リビングに集まったメンバーに報告した。「強盗強姦殺人鬼が逃げてるらしい。用心しろよ」とジェバンニが簡潔に言った。
松田が目を丸くし、「ええ!?怖いよ!どうしよう!?」と慌てた。
ハルが冷静に、「みんなで気を付けよう。夜は鍵をしっかりね」と提案し、夜神月が「そうだね。油断はできない」と呟いた。
数日後、コテージに異変が起きた。ハルがシャワーを浴びていると、窓から男が忍び込んできた。例の強盗強姦殺人鬼だ。男が不気味に笑いながら近づいたその時、松田が覗きのためにドアの隙間から見ていた。「何!?誰だ!?」と叫び、男に飛びかかった。
「離せ、小僧!」と男が怒鳴り、元自衛隊の訓練を受けた力で松田を投げ飛ばした。
「うわっ!」と松田が床に叩きつけられ、男に取り押さえられた。騒ぎを聞きつけたハルがタオルを巻いて飛び出し、「松田!?」と叫んだ。
男がナイフを手に松田の首に近づけた瞬間、コテージのドアが勢いよく開き、YB倉庫メンバーが駆け込んできた。隣のコテージの難民や、パトロール中の自衛隊員も集まり、混乱が広がった。
男が松田を人質にし、「近づくな!こいつを殺すぞ!」と叫んだ。ナイフが松田の首に触れた瞬間、夜神月が内心で叫んだ。「ノートがあれば…こんな奴、即座に裁けるのに!」
松田が震えながら、「助けて…誰か…!」と呟いたその時、男が突然胸を押さえ、苦しみながら倒れた。「うぐっ…何だ…!?」と呻き、動かなくなった。
民衆はざわつき、「キラ様が帰ってきた!」「キラ様は我々を見捨てなかった!」と叫び始める。
夜神月が目を丸くし、「何!?僕じゃない…一体誰が...」と呟いた。ハルが彼の手を握り、「月、どういうこと?」と不安げに尋ねた。
ニアが静かに立ち尽くし、唇を引き結んだ。コテージ内に重い沈黙が流れた。
翌日、コテージで緊急の話し合いが開かれた。相沢が切り出した。「あの男が死んだのは…キラの仕業だろ?」
夜神月が冷静に、「僕じゃないよ。デスノートは持ってない」と否定した。
レスターが目を細め、「じゃあ誰だ?ノートを持ってるのは…」と全員の視線がニアに集中した。
ニアが低い声で呟き、「…私です。あの男の名前を書きました」と告白した。
松田が目を丸くし、「ええ!?ニアが!?なんで!?」と叫んだ。
「松田さんが…YB倉庫で笑いを届けてくれた松田さんが、あの時、彼が死ぬかもしれないのを見すごせませんでした」とニアが震える声で続けた。
ハルが驚き、「ニア…あなたがそんなことを…」と呟いた。ニアの告白に、コテージが静まり返った。
ニアが頭を下げ、「本当にすみません。死神の目まで取引してしまいました。正義を曲げた僕を許してください」と謝罪した。
魅上が立ち上がり、「ニア、あなたがキラ様の力を…素晴らしい!」と目を輝かせたが、夜神月が制した。「魅上、ちょっと黙っててくれ」
ジェバンニが静かに、「ニア、お前がそんな決断を…」と呟いた。
ニアが自己批判を始め、「僕は正義を貫くべきでした。信念を曲げた自分を許せません」と声を詰まらせた。
ハルが近づき、「ニア、辛いよね。でも、私たちは仲間だよ」と優しく言ったが、ニアは首を振った。「仲間だからこそ、裏切ったんです…」
松田がまだ動揺しながら、「俺…助かったんだよね?なんか信じられないよ」と呟いた。
ハルが微笑み、「松田、ファインプレーだよ。あの時、覗き癖がなかったら私、危なかった」と初めて彼を肯定した。
「え!?ハルが褒めてくれるなんて!?」と松田が目を輝かせた。
レスターが笑い、「お前、覗きが役に立つ日が来るなんてな。奇跡だよ」と冷やかした。
伊出が頷き、「確かに。お前のおかげで大事に至らなかった」と珍しく認めた。松田の胸に、仲間からの感謝が温かく響いた。
ニアはその日からコテージに籠もり、農作業にも顔を出さなくなった。部屋の隅で膝を抱え、「僕は…何だ?ただの正義を捨てた臆病者か」と呟いた。
ジェバンニがドア越しに、「ニア、無理に出てこなくていいよ。時間が必要だ」と声をかけた。
相沢が心配そうに、「あいつ、まだ子供なんだな。こんな重い決断を…」と呟いた。
リュークが天井から笑い、「ハハハ!ニアが壊れるなんて最高だね。人間って脆いな」と冷ややかに観察した。
ニアの心は深い闇に沈み、かつての冷静さは見る影もなかった。
夜神月が相部屋でハルと向き合い、突然拳を壁に叩きつけた。「僕がキラを諦めなければ…こんなことにはならなかった!」
ハルが驚き、「月!?どうしたの!?」と駆け寄った。
「僕は情けないよ。ニアがあんな目に遭ってるのも、僕が弱いからだ」と彼が声を震わせた。
ハルが彼を抱きしめ、「月、あなたは弱くないよ。諦めたからこそ、今のあなたがある」と優しく言った。
「でも、心の奥で…キラの炎がまだ燃えてる」と夜神月が目を伏せ、葛藤を吐露した。
ハルの心は彼の言葉に締め付けられたが、口に出せず、ただ強く抱きしめた。
キャンプ内では「キラ様が帰ってきた」との噂が広がり、民衆が熱狂していた。「キラは我々を救う神だ!」と叫ぶ者もいた。
コテージでレスターが呟き、「こいつら、キラを崇めてるよ。どうすんだ、これ?」
相沢が渋い顔で、「キラとデスノートの正体がバレたらまずいな。隠し続けるしかない」と答えた。
魅上が目を輝かせ、「キラ様の復活を信じてるんです!素晴らしい!」と興奮したが、夜神月が「それは僕じゃない」と冷静に否定した。
松田が畑でハルに近づき、「ハル、俺、覗きやめようと思う。本気でさ」と宣言した。
ハルが微笑み、「本当?なら嬉しいよ。松田、変われるんだね」と褒めた。
「うん、あの事件でさ…もっと役に立ちたいって思ったんだ」と松田が照れながら言った。
レスターが冷やかし、「おお、松田が大人になった!奇跡だな!」と笑った。
レスターと相沢がゲームセンターで息抜きしていた。「お前、強すぎるだろ」とレシャーが負けて悔しがった。
「ゲームくらいは勝たせてくれよ。現実じゃ勝てないことばっかりだ」と相沢が苦笑した。
「確かに…ニアのことも気になるしな」とレシャーが呟き、二人の間に重い空気が流れた。
ジムで魅上がジェバンニに言った。「キラ様を守るため、もっと強くなりたい」
「お前、信仰心がすごいな。俺は仲間を守りたいよ」とジェバンニが返し、二人が握手を交わした。
「なら、一緒に鍛えましょう」と魅上が笑顔を見せた。
ハルが夜神月の寝顔を見ながら呟いた。「月、あなたの心が燃えてるなら…私、どうすればいいんだろう」
彼女は彼を支えたい気持ちと、彼が再びキラに戻る恐怖に引き裂かれていた。言葉にできず、ただ彼の手を握り続けた。
ジェバンニがニアの部屋に食料を置き、「無理しないでな。仲間だからさ」と声をかけた。
ニアが小さく、「…ありがとう」と呟き、初めて涙をこぼした。
コテージのメンバーは彼をそっと見守り、無理に干渉しない距離感を保った。
夜神月が畑で独り言を呟いた。「僕がキラに戻らなくても…このキャンプを守る方法はあるはずだ」
ハルが近づき、「月、何か考えてるの?」と尋ねた。
「そうだね。新しい形で正義を築こうと思う」と彼が静かに答えた。ハルの胸に希望が灯った。
松田がまた覗きを働こうとし、ハルに笑われた。「松田、やっぱり変わらないね!」
「ご、ごめん!やめるって言ったのに…!」と松田が慌て、皆が笑い合った。
5番地のとある大通りで地区の事務所スタッフが金髪の女性に淡々を事務所に呼び出した。「弥海砂さん、夜神月という人物が先日3番地区に入居しました。この写真の彼、知り合いですか?以前、弥さんが探した人に似て...」
「ライトーー!生きてたんだー!!良かったー!!」とミサが目を丸くし、「会いたい!ライトに会いたいよぉ!」と騒いだ。
コテージで夜神月が皆に宣言した。「キラじゃない僕で、このキャンプを守る。皆と一緒に」
ハルが微笑み、「私も一緒にいるよ、月」と手を握った。
ニアが部屋から出てきて、「…僕も協力する。正義を捨てたわけじゃない」と呟いた。
リュークが笑い、「ハハハ!人間って面白いね。さて、次は何を見せてくれる?」と呟き、新たな未来が始まった。