平成ライダーが終わりを告げ新たな歴史が幕を開けた。その事に少し寂しさを覚えたがそんな物はジオウが掻っ攫っていき、今俺は令和の楽しさに浸っていた。
「いやぁ、ゼロワン*1最高っ!」
最初のうちは「令和ライダーだと?認めんっ!」なんて思ってたけど仮面ライダーの面白さには敵わなかったよ…スタイリッシュさや飛電或人*2のキャラにのめり込んで行って遂には奮発してト◯ザラスでベルト買っちゃった…
「絶対、或人ヒューマギアじゃん」
そういう人外系の主人公の予感がピンピンしてくる。人間にしては戦闘センスあり過ぎだし中身に強化フォームが追いつかないなんて事今まで聞いた事が無かった。
「じゃあ逆にイズは人間オチか?」
こう…人間性を殺す教育とかされてたりするんじゃない?令和1発目だし
「また来週が楽しみだァ〜」
ライダーのお陰で日曜の朝に起きれる〜。
ぐぅ~
「お腹の中…oh…中無かった…駄目だな」
お腹が減りすぎて或人程面白いギャグが言えない。あの天性のギャグセンスはやっぱり凄い。俺は悔しくなりながら冷蔵庫へ向かう。
「中…牛肉だけかぁ…」
安くなってたから買ったけど…うーん…朝からはちょっと重くて無理だな、なんか買いに行くか…よーしご機嫌な朝食にするぞ〜
財布さえあればいっかな。
ゴーン
靴を履いた途端に鐘の音がどこからか響く。ここらへんのお寺でなんか行事でもあったのかな?
「鐘の音をどうすっかねー」
ドサッ
「痛っ…くない」
宙に投げ出される感覚が一瞬し反射的に痛みを訴えようとしちゃったけど柔らかい感触が尻を支える。
「え?どこここ?」
オシャレな待合室みたいな部屋が広がる。今自分が座っているのは赤いソファーだ、なんか…良いなこれ。違う違うとりあえず外にでないと不法侵入は不味い。
ワープしたのか…?その場合不法侵入が軽くなったりはしないのだろうかそんな事を考えながら
俺は見えているドアに向かい開けようとする。押して駄目なら…駄目みたい。…もしかして閉じ込められたって事?
「すみませーん!あの、誰かァー!」
大きな声を出しても深まるのは不安ばかり。
「お腹空いた…」
ジュー
お肉の焼ける音が後ろから聞こえてくる。バーのカウンター席みたいなのの上にステーキがポツンと置かれていた。俺は恐る恐る近づいていく…何の変哲も無いお肉。見た感じ牛だ。
そこで俺は1つの可能性に辿り着いた。
「牛肉の祟り…?」
俺が朝だからといって牛肉を拒絶したから…?だとしたら…
「すみませんでした、命を頂いているという自覚をもっと真剣に持つべきでした……お前達牛は死にたくて死んだわけじゃないもんな…本当にごめん」
深く頭を下げてもステーキは何も言わない、それはそうだ命を奪ったのは俺達人間なんだもの…
ぐぅ~
「うぅ…うめ…うめ」
俺は涙を流しながらステーキを食べた。謝っても腹は減るんだなぁ…
「美味しかった…」
満足感と友を失ったかの様な虚しさ。ごめん俺…多分また贅沢な事言っちゃうと思う…だけどたまには思い出すから…俺は目を瞑って友を想った。
………
「全然っ帰れる気配ないじゃん」
食育的観点の問題じゃなかったのかな…どうしよう…
テシッ
靴下の上から何かに叩かれる。
「……狐?」
凄く綺麗な白狐がジットと俺を見上げていた。
「……お前も…食べ物を蔑ろにしちまったのか?」
俺は同胞を見る目で優しく微笑んだ。
「くゅ?」
困惑した様子の白狐。どうやら違うみたいだ。まさか…屠殺しろって事か…?ステーキ君じゃ役不足って言いたいのか!?
「俺は……お前を食わなくちゃならないのかもしれない」
「ばか」
「喋った!?」
「キュ?」
気のせいか、狐が喋るわけ無いよな…少しおかしくなってたのかもしれない。突然1人で知らない場所に閉じ込められて知らないステーキを食べて…
「キューキュー」
白狐は俺のズボンの裾を引っ張ってどこかに案内したいようだ。
「なんだよ~お前人懐っこいんだなー」
そうして案内された先はさっきのソファーの近くにあるテーブル。
「何…この箱は」
その上には黒と黄色の箱。それには『DGP』ってロゴ?が描いてある。
「意識高い系の企業か?」
英語三文字で略す企業は結構そういうのが多そう(偏見)
「キュ!」
「えー早く開けろってか?」
「キュー!」
「さてはお前あんまモテねぇな、オスかメスかわかんねぇけど、どっちにしたって少し余裕がある方か…」
ガヴッ
「痛っー!悪かったよ…お前のその顎力がありゃどんな奴もイチコロだな」
あと少し遅かったらキバッちまうところだったぜ
「キュー」
「はいはい…開けますよ」
そうして箱の蓋が隠していたものの正体は…紙?
「ラブレターじゃないよな」
俺は紙の裏を見ようと持ち上げると紙の後ろに2つ見たことの無いものがあった。
「これは…ベルト?」
それ以外に形容する言葉が無かった。黒を基調にしたそれは真ん中に何かを入れる穴がある。玩具だとそう決めつけたかった。だけどそれが醸し出すオーラがそれは違うということを理解させる。
「これを入れるんだろうな…」
白をベースにして赤い模様が入ったそれは何か大事な物であるというオーラがプンプンする。
「ちょっとお前に雰囲気似てるかも」
「キュ」
白狐と見比べて何故だがそう思った。結局これが何なのか、その答えはこの紙に書いてあるのか。
「一体紙にはなんて…」
そこに広がっていた文字に目を見開く。
『おめでとう、今日からお前が仮面ライダーだ。IDコアとデザイアドライバーを預ける』
「俺が…仮面ライダー…?」
あり得ない…大前提として仮面ライダーってのは架空の存在のはず…それがいきなり…空想が現実になるなんて事が…いや、逃避しちゃ駄目だ…
そもそもこの空間に来た時点で…非日常の予感はしてたんだ。
「クゥー」
白狐が違う紙を咥えている。
「…こらこらお前はヤギじゃないんだぞー」
俺は紙を受け取るとそれに目を落とす
デザイアオーダールール
参加者は参加を辞退しても良い。
歴史を取り戻す...取り戻すって言われたって…奪われたのかどうかもわからないのにどうすんのよ…電王*4みたいな感じ?…?えぇーどうしよう…この…IDコアがゼロノスカード*5みたいなのだったら泣いちゃうぜ…行かなくちゃならない所もあるのに。
「なあ、俺の存在とか消えちゃわないよな?」
「クゥ…」
「ん〜わからんよな…そうか…辞退できるのか…」
危なくなったら辞退して…他の人にドライバーとか託すとかできるのかな……仮面ライダー誕生の前日譚みたいな感じで…駄目だな…イマイチ決心が…出来ない…。
「キュー」
慰めるかのように俺の膝に前足を乗せる狐。
「狐…ありがとな、そうだなぁ…狐だと味気無いから名前つけても良いか?」
「キュ?」
「任せろ最っ高の名前つけてやる」
「キュー…」
なんか侮られている気がする。
「キューちゃん」
「………」
「わかった…違うのにするよ」
狐ってそんな悲しげな表情ができるんだ…
「きつねん」
「………」
「無しだよな…わかってるよ」
「イナーリ!」「……」「ふおっくん!」「……」「コンちゃん」「……」「…ユキ」「……」「……」「……」
もしかしたら俺は侮られて当然だったのかも…。
「もうイヌモドキとかで良いんじゃない?」
「キュー!!」
牙を剥くなんて…頑張って考えてるのにッ!こいつ中々贅沢な奴だ、そんなんじゃ油屋で働かせてもらえないぞ。
「もう俺の頭じゃ無理でーす」 「キュー!」
「どうしたのよ、急に被せてきて」
「キュッッー!」
片足を上げる贅沢くん。なんとか意味を読み取ろうと頭を回転させる。
「んーもう一度って事?」
「キュキュ」
正解みたいだ。
「もう俺の頭じゃ無理でーす」
「キュー!」
少しゆっくり言ってみると『でーす』に反応していることがわかった
「お前の名前はデス?」
「……!」
デスガロン*6の系譜かと思ったけどめっちゃくちゃ首を横に振ってる。てことは…伸ばし棒が重要って事か。
「でーす…でーす…でぇーす…でえーす…えーす?エース!」
「キュー!」
「これかっ!これだなぁ!お前は今日からエースだ!」
相互理解の嬉しさを分かち合う為にエースと一緒にで飛び跳ねて喜ぼうとしたけどあんまり乗ってきてくれなかったから1人で飛び跳ねた。
飛び跳ねるのに疲れ1つ疑問が浮かんだ。
「エースってもしかしてここ詳しいのか?」
「キュ」
思えば事が大きく動くようになったのも全部エースと出会ってからだ。もしかしたら前の参加者がここに置いていってしまったペットなのかもしれない。
前の参加者がいたとして今居ないのは…いや、考えるな…そん時はそん時だ。俺はゆっくりと目を閉じてゆっくりと息を吸う。
「決めた、エース…俺参加するよデザイアオーダーに…取り戻すって事はさ、奪われた人達がいるんだろ?なら取り返さないと、歴史なんて規模が大きすぎてあんまり想像できないけど…」
「キュ…」
キリッと結んだ口、前だけを見る目、伸びた背筋。今の俺はいつもより少しだけやる気元気勇気いっぱいだぜ。
「ちなみにどうやって参加すんのデザオダ?」
デザイアオーダー略してデザオダにしよう。なんかキャッチーだし。
エースはまた何かを咥えて…
「くぅ」
「それは…服?着替えろって事か」
確かに戦いに行くには今の服装じゃちょっと不安だ。俺は服に手を掛け
「見ちゃ嫌だからね…」
「へっ」
鼻で笑いやがったなこいつ。はいはい男の着替えになんて価値無いわよね。後で覚えておけよ。
「おぉ…なんか特殊部隊っぽくて気持ち引き締まるな…次はどうすればいい?」
「キュー」
エースは机の上に置いてある紙のIDコアとデザイアドライバーという文字を前足で突く。
「ドライバーを着けるのか?」
首を振る。
「なるほどな、着けずににこのIDコアを入れればっ…」
『ENTRY』
「すまない」
気が付いたら俺は…見たことの無い場所に立っていた。そこを一言で形容するなら地獄って奴なんだと思う。
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燃え盛る街の中1人後悔する…なんでこんな事になってしまったんだろう。
献血に行ったから?
ミーティングから追い出されたから?
あの子を…マシュを助けようとしたから?
どれにしてももう…今更だ。瓦礫に埋もれたマシュを見つけた時、もう駄目かもしれない…そう思った。非力な自分では瓦礫を退かしてあげることすらできなかった。
『先輩…手を握って…くれませんか…?』
その手を取った時、光に包まれてこの街にいた。マシュに起こされた時に服が、凄くなっててびっくりした…ノイズ混じりのドクターが言うには『デミ・サーヴァント』という状態らしいけど…良くわからなかった。
『通信を安定させるにも霊脈まで…』
今のマシュがいれば百人力ということでこのままここにいてもしょうがないからその霊脈って所を目指す事にしたんだけど…
『サーヴァントの反応!?急いで逃げてくれっ!初戦闘がサーヴァントは無茶だ!』
必死に逃げようとした、でも追いつかれて…マシュは応戦したけど…敵わなくて……今、目の前で再びマシュの命が絶たれようとしている。
本当だったら私はもう既に死んでいてもおかしくない、それでも私が生きているのは襲って来たサーヴァントが獲物をいたぶるのが好きってだけだと思う。
「マ…シュ…」
また助けられずに終わってしまうのだろうか。今度は手を握る事すら出来ずに…お願い…誰でも良い…悪魔でもなんだろうと…マシュを助けてさえくれればそれで…!
「助けてっ…」
彼女のその消え入りそうなか細い願いの声は炎燃える街では誰にも聞き取られることは無いだろう。哀れなその姿に笑みを深めたシャドーサーヴァントと呼ばれる存在。
「……ッ!」
緑の閃光に命を刈り取ろうとしていた者が飛び退く。
「…何者ですか?」
「あ…あぁ…」
影は問う。己の楽しみを邪魔したものに。黒と緑の躰にまるで狐を思わせる頭、弓らしき物を抱えたそれは問いにこう答えた。
「仮面ライダー」
「…マシュを…!お願い……」
彼女の意識は闇の中へ落ちていった。
???
仮面ライダーは正義の為に戦うのではない。
仮面ライダーは人間の自由のために戦うのだ。
脚注をこんなに使うのは多分今回だけ。