この特異点を調査する事が決定した一同。
「これを、腰に当てて…」
「そうそう」
藤丸が彼の言う通り腰に『デザイアドライバー』を当てると電子音と共にベルトが巻かれる。
「おぉ〜もしかして私もなれるかな?仮面ライダー」
目を輝かせながらそう言うが
「どうだろね?俺もついさっき使い始めたばっかりだから仕様あんまわかんないや、とりあえずそのベルトの真ん中にその『IDコア』を入れるんだよ」
「よ、よーし」
カチャ
………
「駄目か〜」
「IDと言うくらいですし、歩さんだけを認識するのではないでしょうか…それはそうと私もやってみて良いですか?」
「いいよいいよ」
「マシュは使わなくても強いじゃん、ほらパス」
3人が色々試しているのを遠目に
『実際…どうするんですか彼の事』
今、彼らが頭を抱えているのは仮面ライダー事、歩の扱いについてである。グランドオーダーは極秘ミッションましては魔術の魔の字を知らない彼をどうするか。
「どうもこうも協力させるしかない、話によるとサーヴァントを単独で倒したらしいし」
『彼が信用できるかって話ですよ、未知の装備の事、家にいて気が付いたらここにいたって話も十分疑わしい、もしも彼が敵だった場合…』
「ご機嫌な朝食食べたくて気が付いたらここに居た」この発言は大いに混乱を招いた。更にあの小さなベルトを用いてここに来たとのこと。あの小さな物でレイシフトできるなら苦労はしない。
「どちらにせよ、こちらの戦力はマシュだけ…サーヴァントが他にもいる可能性がある以上ここを調査するには不安が残る…なら、利用するだけした方が良いでしょう」
オルガマリーにとってそれは死活問題だった、カルデアを自らの手から離さないようにどうしても成果が必要だったのだ。その為なら彼女は多少の毒くらいなら飲み干す覚悟でいるくらいだ。
『了解です、何かあれば遠慮なくご連絡を』
そう残して通信は切れた。
「…………………」
(どうせ助けてくれないくせに)
「所長さんもこれ着けてみる?」
彼女はそう勧めてくる悩みのタネその2に
「はぁ……」
深いため息を吐かざるを得なかった。
「都市調査を始める前に」
ベルト着けるかどうかの返事を貰えずにため息を吐かれ心が傷付いた。こう、何かしら言って欲しいよね
「わたしに何か言うことがあるでしょう、藤丸」
「えっ…特に…何も?」
「はぁ…本当に覚えが悪いようね、思い出しなさい管制室での事!」
突然の名指しに戸惑う様子の立香と、キレる所長さん。いいよな藤丸…お前はスルーされないんだから。
「あ、あれですよ先輩、管制室でレムレムしてた時の事ですよ、きっと」
マシュはわかったみたいだけどイマイチピンと来てない様子。レムレムって何さ、ならラムラムもあるの?…だとしたら俺はスバルスバル派かな。
「あー…段々と…」
どうやら記憶の旅の成果が出てきたようだ。話を聞くと所長さんがなんか凄い才能があるんだから頑張りなさいよ!って言ってるのを藤丸はうとうとしながら聞いてたらしい。
「…あなたやっぱり聞いてなかったのね!いい、もう一度最初からっ」
お、あれは…
『SET』
「敵来てるみたいだけど話続けてる?」
「いや!私達もやるよね!マシュ!」
「今までにないほどのやる気ですね」
今更、骸骨に苦戦する事も無くすんなりと倒せた。もう、マシュさん1人でいいんじゃないですか…強すぎるよ。俺ちょっとアームドアロー持ってオロオロしちゃったよ、後ろから撃って万が一マシュに当たったらヤバいし
「はぁ…邪魔者も居なくなった事ですし、話を続けますね」
「えぇ〜」
「えぇじゃありません!むしろ大事なのはここからでしょう!?思い出して!はーやーく!」
これが、大人の姿ですか?……今時珍しくもないか。
「仕方ないなぁ…」
『まあまあ、そう言わずに所長の長話も意外と役立つんだから』
マスター候補だの人類史だの良くわからない会話が出てきてわかる所は藤丸と所長のごたごた部分だけ。逐一マシュに聞いても尚良くわかんないから申し訳ないわ。
カルデアにあるカルデアスって百年先もわかるスクリーンが、白黒映画しか映せなくなっちゃった、仕方なくそのまま映画を映してみて原因なんだろうなーって見てたら目玉シーンが全く違うのに差し替えられてる〜映画として成り立たないじゃないか!じゃあカルデアのマスターが脚本通りの映像に差し替え作業してやるぜって事らしい。
全然わかんない。わかりやすく言い換えようとしたけど寧ろ変になっちゃった。
「フォウクン…俺とお前だけ仲間外れだな」
「フォウ」
あ、一緒にすんなってニュアンスだな。俺にはわかるぞ(疑心暗鬼)。なんでぇい!薄情な奴。
にしてもレイシフトには適性が必要なのか…電王の特異点みたいな感じね。
時間移動ができると言っても万能ではないらしい。
そしてAチームと呼ばれるめっちゃ凄い集団がここの対応する筈だったのが…爆発事故によって機能不全。藤丸とマシュと所長は偶然レイシフトして来たとのこと。
「とにかく、大事な作戦前にどれだけ迷惑をかけたかしっかりと思い出してくれた!?」
「それは…言いがかりのような…」
「あなたのせいで着替えられなかったんだから」
ブラック企業勤めみたいな事を言い出した。
「ちゃんと毎日着替えないとばっちいよ所長さん」
「違う!毎日しっかりと清潔にしてるから!作戦に備えて特注で作ってあった礼装があったの!まだ…一度も袖を通して居ないのに…」
「レイソウ…オーケ」
礼服みたいな感じでしょ、オーケーオーケー。TPOに合った服を着ましょうってやつ。
「藤丸立香、改めて私の護衛を任せます、全力で役目を全うする様に」
「任せてください、偉大なマリー所長」
大分疲れてんね、立香。
「な、なにもそれ…おだてようったってそうはいかないんだから!」
今のがおだてに聞こえちゃうならテレビショッピングとかヤバそう。
大盾をおだてる…うーん、微妙か。
「仲が良いのはいいんですが、敵が来る前に移動しましょう」
それからも移動しながら所長さんは藤丸に色々と解説をしていく。先生とか向いてるんじゃない?その解説の中で俺が特に気になったのは『サーヴァント』についてだ。サーバントでは無かったらしい。
『サーヴァント』…地球の記憶された過去の偉業、英雄、概念云々を実在非実在関係なく再現する事ができる使い魔との事。
仮面ライダーゴーストの英雄アイコンとWのガイアメモリが合わさった様な存在って解釈で一応は呑み込めた。
…じゃあメデューサって本当にメデューサだったの?思いっきり目合わせちゃったんだけど…身体は石になってないし……多分倒せば何とかなるタイプだったのか。
更にサーヴァントには7つものクラスがあるとの事。
「あれ?歩君の仮面ライダーは…」
「俺人間だから全く関係ないね、サーヴァントの事も今初めて知ったし」
「紛らわしいから変えなさいよ、そもそもライダー要素ないじゃないの」
「絶対嫌だね、仮面ライダーは概念なんだ!」
良く、ライダーって言うくせにあんまりバイク乗らないねとか言う人いるけど仮面ライダーは『仮面ライダー』って言う概念、一つの単語だから。仮面、ライダーじゃないから
だから改名するなら寧ろ
「———」
あ、めちゃくちゃ苛ついてらっしゃるぜ。
『画面越しにわかる程の圧…相変わらずご機嫌ななめのようだね』
「ななめどころか縦だよ縦」
「いえ、所長がああなるのも理解できます…先輩達は魔術やカルデアについて無知過ぎます、迷い込んだ猫とほぼ同じです、歩さんは本当に迷い込んで来たようなので仕方ないとは思いますが」
「いやーほぼそうなんだけどね?」
「俺は多分別軸だから」
それからマシュが立香にカルデアについて説明していく。マシュはここに勤めて2年目なんだ…。ん?立香がカルデアに来たのって…今はややこしくなるから触れないでおこう。
にしても色々と事の大きさがヤバい事になってきたな。
待てよ…今思えば、カルデアの事もサーヴァントの事も一般人が知って良いのか…?この街の調査が終わったら俺消される…?
「所長さん、カルデアの事とかサーヴァントの事ってて一般人が知っても良いの?」
「良いわけ無いでしょ!はぁ…あなたの身柄はこの特異点の調査が終わり次第カルデアが拘束させていただきます、良い?不可能だと思うけれどもくれぐれも逃げようとしない事ね」
「拘束って!」
立香が少し怒った様に食い下がろうとする。良い子だぜ。
「住所とか言った方が良い?」
一々調べるのも大変でしょ多分。
「あのね、おちょくっているの?身柄を拘束するって言ったのよ?」
「いや、てっきり消される物だと思って」
もしくは記憶だけ消されるパターンね。
「……一部の魔術師は平気でそういう事をするでしょう、ですが今こうして協力してくれているあなたにそんな事をするのはわたしの誇りが許しません」
「ほら先輩、私の言う通り所長は悪人ではありますが悪党では無いんです」
「そうみたいだね…でも…歩君はそれでいいの?家族とかと会えなくなっちゃうよ?」
うーん
「もう居ないからいいよ、逆にカルデアの情報漏れて俺がやったって思われるのヤバいし」
仮面ライダーも内々の争いに利用されたらどうしようもなくなってしまう。やめて!私のせいで争わないで!とか言う機会があるのは面白そうだけどね。
「あ…ごめん」
ヤバヤバ、変な空気にしてしまったわ。
「別に誰かに殺されたってわけじゃないし、そう変な空気にならないでさ、明るい話でもしながら歩こうぜ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ッ!」
光の矢がまた一つ敵に風穴を作る。明るい話なんてしてる暇なかったよ…
「敵性生物排除しました、先に進みましょう」
「ここに来た時はどうなる事かと思ったけど、流石はサーヴァント体…スペックでは圧勝ね…あと、あなた」
お、珍しく所長から話しかけて来たぜ。
「うぃ!」
「返事くらいマトモにできないの?そんな事よりもあなたの戦い方よ戦い方、優雅にとまではは言いませんがもう少し落ち着いて戦えないの?」
「……精一杯やってるんだけどなぁ…」
ドロップキックに頭突き、挙句には足払い、肩パン。
仮面ライダーかと言われるとちょっと痛い所がある。
「まあ…見ているこっちが疲れそうになるよね」
藤丸さん…裏切ったんか!あんたはこっち側やないとあかんやないですか!
それからマシュが資料の街とこの街の違いに言及して、所長さんがそれに答えていた。
この街、冬木って言うんだって。俺が知らないとはとんだマイナーな街のようだ。いや、渋谷とか新宿とかでも困るんだけどね。……こんなに燃えてたらどこも変わらないか。
所長さんが言うにはここでは聖杯戦争というものが行われてセイバーさんが勝利したんだってさ。
聖杯戦争…7人のマスターがそれぞれサーヴァントを用いて行う戦いで勝ち残ると聖杯って言う願いを叶えてくれる器が手に入るとの事。
仮面ライダー龍騎のライダーバトル的な感じね、なら負けたサーヴァントとマスターの魔力が聖杯に溜まって行き最後の一組になった頃には願いを叶えられるパワーが溜まり切るって感じだろうね。
聖杯かぁ。こういうのってインフレが進んでそれにご飯盛ったり、お酒入れたりして飲んでるボスみたいなのがそのうち出てくるよね。
『敵性反応だ!』
通信越しの焦った声が聞こえて来る。
ぐぉぉぉ!
「マスター指示をっ!!」
「わかった!」
よし、俺も頑張るぞ。アローレイズバックルをデザイアドライバーにセットする。
『SET』
「あなた、最初から変身していなさいよ!」
『ARMED ARROW』
「できればそうしたいんだけどね!」
本当に…できればそうしたいけど、ずっとゲーム画面見ているみたいで疲れるんだ。長時間変身してると俺側が仮面ライダーが得る情報を処理できなくなってくる。
情けない変身者でごめんね。
「シッ!」
飛んでくる矢を避けながら骸骨達をレイズアローで薙ぎ払って行く、骸骨達なら今の戦い方で何とか出来るけど……もしメデューサみたいなサーヴァント相手だったら…
そんな事を考えていたら気がつけば最後の一体をマシュが倒していた。
「…ふう…良かった、今回も何とかなりましたね」
「もう完全にサーヴァントとしてやっていけるんじゃない?」
所長の言う通り、今のマシュならメデューサとしっかりと戦えそうだ。
「どうでしょうか…どれだけ武器を扱えても戦いそのものは…」
けぇっ、よく言うわお嬢さん。少しはそのバトルセンスを分けてくださらないかしら!……俺が頑張って負担減らさないとな。
「……もしかして、マシュあなた…」
『話は後だ!まだ反応が残っている!しかもこの反応は——』
「新シイ獲物、聖杯ヲ、我ガ手ニ!」
黒い影を纏ったその姿は正しく、
「サーヴァント…!?」
『逃げてくれっ!』
「……ぁ…」
マシュが青褪めた顔をして震えて動かなくなってしまった。そりゃ1度殺されかけたもんな、動けなくてもしょうがない。
『SET』
だけどこの距離で向かい合ってしまったら戦うしかない。
今この場での最悪のパターンは全滅、。生き残るには誰かが立ち向かわないといけない。なら、その役目は仮面ライダーがやらないと。
「マシュ…!」
立香がマシュを立ち直らせるくらいの時間は稼いでやるぜ。
『DUAL・ON』
『ARMED』
『ARROW/SHIELD』
脚に装甲が追加され、左手に青色の盾が展開され即座に使い方や特性などが頭にインプットされる。
『READY…』
「うおおおお!」
影に向かって駆け出す。
『FIGHT』
特異点
特異点とは時間の改変による影響を受けない人物の事である。
例え時間が破壊されようと特異点を起点にその時間を復元する事ができる。