うんめいぎつね   作:マイケル行ける

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燃える街Ⅴ:引き金の引き方

 

 

瓦礫の上に座り休息をする我ら燃ゆる街冬木探検隊。回復のためマシュは仮眠中。そんなマシュが新たにものにした力…宝具、それはサーヴァントが持つ必勝にして必殺の技術との事。

 

ホントかなぁ、マシュの宝具は必勝必殺よりも安心安全って感じだけども。色々なタイプがあるみたい。

 

「キャスターさんの宝具はまんま必殺技って感じだったね」

 

サーヴァントは基本本当の名前は明かさないらしい。なんでも英霊の死因とかが弱点に直結しちゃうからヤバいんだってさ。

 

「へっ、オレがランサーで召喚されてりゃ文字通り必殺をお見せできたんだけどな」

 

「あんなに炎出せて、本命は近接戦なのか…」

 

なら、教えを乞うしかない。散々無様を晒して来たがそれじゃ駄目なんだ。今のままじゃ…あの映像で見た彼に泥を塗ることになってしまう。

 

「あの、俺に」

 

「嫌だね」

 

「ちょっ!待ってくれよ!そりゃないでしょう!せめて最後まで…」

 

「どうせ、あれだろ戦い方を教えてくれだの言うつもりだったんだろ?」

 

「…うぃ」

 

「お前みたいな戦うセンスの無いやつに付け焼き刃を覚えさせるとそれしかしなくなるからな、今みたいにがむしゃらに戦ってた方が生き残れるぜ?」

 

心当たりしか無かった。将棋とかで一度強いやり方覚えるとそれしかやらなくなって指し倒されまくった事がある。

 

『三日目で初見よりも弱くなる奴初めて見た』

 

「本当に大丈夫なの?藤丸が言うには敵にへっぴり腰って言われたらしいじゃない」

 

「ふーん」

 

「本人が言われたって」

 

人の事を何でもかんでも報告するのは駄目じゃない?

 

「それが性に合うやつもいるってこった」

 

「仮面ライダーとしては不本意なんだわ…」

 

「そもそもその仮面ライダーってのはなんなの?」

 

「うーん……」

 

「ヒーローって言ってたよね」

 

「そうそう、ヒーロー……テレビ番組のね」

 

「じゃあ貴方が勝手に名乗ってるだけってこと?」

 

「これ貰った時に書いてあったのさ、今日からお前は仮面ライダーだって」

 

デザイアドライバーに目を落としながら思い出す。色々詰め込まれすぎて遠い過去のように感じるぜ。

 

「随分きな臭せぇな、それで『はいなります』なんて言う…あぁ」

 

ははっ…

 

「で、結局その仮面ライダーはどういった存在なの?」

 

「悪の組織に改造された男がその悪の組織から人々を守るために戦う事から始まり40年を超えて愛される長寿番組…立香なら知っててもおかしくないと思うんだけど?」

 

日本に住んでて名前すらわからないなんて事ある…?いや、うーん?

 

「うーん……聞き覚えないなー」

 

「私のスピーチすらあやふやなんだから、そういうの期待しない方が良いわよ……要は正義の味方ってことでしょう?」

 

「正義の味方では無いんだ、仮面ライダーは人間の自由の為に戦う、だから目の前にいるのがどんな悪人だろうと、過ちを犯した人間だろうと助けるために手を伸ばす」

 

「呆れた、所詮はフィクションの産物ね」

 

「だから俺がなる」

 

俺にとっては液晶越しでも確かにヒーローだったんだ。

 

「……そう、精々励めば良いでしょう、この特異点が修復されるまでは」

 

「あっ」

 

そうじゃん俺捕まるじゃん。

 

「なんだ坊主、お前わざわざ自分の首絞めてんのか」

 

「3食ご飯出るらしいし、それで所長さんが満足するなら…」

 

「私だってあなたを拘束したくてするわけじゃない!」

 

「でも俺よりも立香の方がヤバくないっすか」

 

「え?」

 

「なんか、さっき……献血したら突然連れてこられたって言って無かったっけ?」

 

マジで恐ろしい組織だなって思いました。逆らわんとこ。

 

「うん」

 

「……それは…何の説明も無しに…?」

 

「無しに」

 

「はぁ……スカウトは何やってるのよ…」

 

頭を抱えてしまう所長さん。

 

「多分、特異点修復したらボーナスみたいなの出るでしょ」

 

「ええ、それ相応の報酬は…」

 

「で、立香はそれ受け取って日本帰って俺に焼肉奢ってそしたら俺交代でカルデア行けばウィンウィンじゃない?」

 

焼肉っしょ、人はお金が入ったらとりあえず焼肉行くべき。

 

「……それは…」

 

「あのね、マシュと契約した時点で帰せる訳ないでしょう」

 

一般人では無いというのはわかってる。

 

「でも、誰にも言わずになんて寂しいでしょ…せめて親位には」

 

俺は、辞退できる中でそれを選んだけど、立香は突発的な出来事で立ち向かうしか無かったんだ。流石にそれは看破できないわ。

 

「…………」

 

所長さんは黙って考え込んでしまう。あまり部外者がどうこういうのも駄目なんだろうけど…挨拶位はさせてあげてほしい。

 

「マシュ・キリエライト、休息完了です」

 

「マシュ、大丈夫?」

 

「はい、いつでも戦えます」

 

「あら、もうちょっとゆっくりしてても良いんじゃない石橋は叩いて割るとも言うし?」

 

「……あのね、子どもの遠足じゃないんだからそうゆっくりもしてられないの…というか貴方誤用して…はぁ…マシュ貴方の内側に居るサーヴァントの名前はまだわからないの?」

 

「…はい、宝具を使用できはしたのですが……名を明かしてはくれませんでした」

 

さてはシャイサーヴァントだな。

 

宝具は出せても己の内に潜む、英霊の名前がわからないから名無しのままになってしまう。英霊は概念的勝負を含むから名前無しよりも仮初でもあったほうがより強固になるとのこと。

 

「シールドマッシュ」

 

「却下」

 

「アルティメットマシュ・スペシャル」

 

「ダセェな」

 

「……マシュティメイト・シュッツシルト」

 

「意外と良い?」

 

やっぱ持つべきものは藤丸と立香だな!

 

「騙されてるわよ、今までのが酷かったからよく聞こえるだけ」

 

「そうですね!危なかったー」

 

はい、持ってなかったわ。

 

あのですね、センスってのは国や地域によって違うから、偶々合わない人達が固まっただけでしょ。

 

「こういったのって本人の意志が重要だよね!外野が判断しないッ!どうよマシュ!?」

 

「えっと…」

 

『マシュは良い子だから人から勧めてもらったものを断れないんだよ』

 

俺も良い子だけどなぁー!

 

「坊主はそっちのセンスもねぇのか」

 

本当にこの人達と探検隊やってけるかな、あーあー!エースならなぁッ!俺が名付けた名前に大喜びだったのになぁッ!

 

「はぁ…『ロード・カルデアス』そう名付けなさい、こいつの案なんかにした暁には宝具が使えなくなる可能性もあるわ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

『それはいい、マシュにピッタリだ!』

 

それは…?どれは駄目だったんすか?もう探検隊一人でやろうかな。

 

何故俺のセンスが理解されないのか、我々は…我はその謎を解き明かすべく冬木の奥地へと向かった。

 

我を出迎えたのは洞窟であった。

 

すげ~立派な洞窟だわ、ガチの探検隊じゃん。所長さんが言うにはこの洞窟は魔術師が半分作った、半天然のものらしい。強そうな骨も出でくるし凄いな魔術師。

 

骨をマシュとキャスターさんに片付けて貰いながら進んでいく。

 

「この奥に大聖杯が眠っている」

 

「バーサーカーってのはスルーしていいの?」

 

「折角動かねぇんだ、わざわざ被る必要のない火を被る必要はねぇよ」

 

まあ、無理して疲弊する必要も無いか。

 

「大事な事を聞き忘れていたけれどキャスターのサーヴァント、セイバーのサーヴァントの真名はわかっているの?」

 

「所長さんったらそれがわかれば苦労しないんじゃ…」

 

「知ってるさ、ヤツの宝具を食らえば誰だってその正体にたどり着く…他のサーヴァントが倒されたのもその宝具があまりに強力だったからだ」

 

「それは…一体どういう宝具で?」

 

それヤバいじゃん、知名度=強さって言ってたよな。そんな有名な人間いるの?織田信長とか?

 

「王を選定する岩の剣のふた振り目、お前さん達の時代で最も有名な聖剣」

 

「約束された勝利の剣、騎士王と誉れの高いアーサー王の持つ剣だ」

 

「!?」

 

影が俺達の行く手を阻む様に立ち塞がる。

 

「アーチャーのサーヴァント……!」

 

「お、言ったそばから信奉者の登場だ、相変わらずテメェは聖剣使いを護ってんのか」

 

「信奉者になったつもりは無いがね、つまらん来客を追い返す程度はするさ」

 

親切なやつだな、わざわざセイバーの名前教えてくれるなんて。そんなこんなでキャスターさんとしばらく難しい話をしていたらアーチャーは何故か剣を構える。

 

「へっ、両手に剣なんて持ってアーチャーだなんて笑っちまうぜ!」

 

『SET』

 

『ARMED ARROW/SHIELD

 

緑の弓を奴に向ける。

 

「今日から俺がアーチャーだ」

 

「なんなんだ…一体」

 

「アーチャー!」

 

ビュンっ!

 

当然の様に避けられる矢。いい加減まともに遠距離武器として機能してくれよぉ!

 

ガキンッ

 

危ねえ!弓あんのかよ!お前アーチャーかよ!

 

防戦一方、レイズシールドが悲鳴を上げているのでは無いかと思ってしまうほどの連撃。

 

このままじゃ、ヤバい

 

だけどこれはチーム戦なんや。

 

「アンサズ!」

 

「ちっ…!」

 

俺がかき乱してキャスターさんが致命的な一撃を与える。当然キャスターさんの方に攻撃がいくが

 

キンッ

 

マシュが防いでくれる。だけど、決定打がキャスターさんの魔法しか無い状況は色々とまずいかも。

 

「フッ」

 

上から切られると思って盾を上に構えたらお腹蹴られた。グルンと景色が回転する。セイバーに辿り着く前にマシュに負担かけるのはまずい!

 

「おい、坊主!」

 

「ごめっ痛っ!」

 

頭に石でも当たった様な衝撃。

 

何すんのよと思い視線を上げると白いレイズバックルが足元に転がっていた。

 

「これっどうして!」

 

「あぁ?拾ったんだよ」

 

「余所見してて良いのか?」

 

アーチャーは俺と会話してるキャスターさんに攻撃を加えようとする。

 

「良いんだよ」

 

「マシュ!上!」

 

「やぁぁぁぁ!」

 

だが大盾に阻まれ届かない。

 

 

あの映像で彼が使ってたのと同じ…『マグナムレイズバックル』。

 

「うっし…」

 

バックルを外し、

 

『SET』

 

ガチャンッ!バキュンッ!

 

リボルバーを回し引き金を弾く。

 

MAGNUM

 

上半身に白い鎧が追加され、右手に『マグナムシューター40X』の感触。

 

ああ、今までとは一段階世界が変わってる気がする。

 

『READY FIGHT』

 

「さっき、アーチャーって言ったの取り消すよ」

 

「は?一体何を…」

 

「俺は、ガンマンだ」

 

『HANDGUN』

 

銃口をアーチャーに向け引き金を引く。

 

ダダダダダ!

 

彼はとても軽やかな動きで銃弾を弾く。だが放たれた弾丸が何処へ行くのかその全てを仮面が教えてくれる。

 

どうすれば当てられるのかも、

 

カキンッズンッ

 

「くっ…」

 

弾かれた弾丸に弾丸を当てて再利用すれば良い。そして彼は丁寧にも何発もの弾を弾いてくれてた。対応される前に兎に角それを撃って撃ちまくる。

 

『RIFLE』

 

「更に前言撤回する」

 

マグナムシューターのスロットにアローレイズバックルをセットする。

 

ARROW TACTICAL BLAST』

 

レーザーと見間違えるほどの太さの緑の矢が貫く。

 

「俺はアーチャーでもある」

 

「なんだ…それは…」

 

呆れたように宙に溶けていってしまった。

 

「どうよ」

 

「…ああ、凄えな」

 

「でしょ〜!」

 

「その白いやつ」

 

はいはい、所詮俺は全部道具だよりですよ。

 

「でも、本当に凄いです…まさに百発百中でした、歩さんには銃の才能が…」

 

「ごめん、これオートエイム付いてるんだ」

 

「そういうのは黙ってればカッコ付くのによ」

 

「………その、私に防げるのでしょうか…聖剣を…過ぎた役割に思えるのですが…」

 

ありがとう、話変えてくれて。

 

正直アーサー王って誰?といった感じでイマイチ脅威度が掴めないでいる。歴史の教科書では見たことないと思うんだけど。知ってる人は知ってる系…だよね。

 

エクスカリバーって何が出来る武器か知らないし…でも剣ってことは遠距離からちまちま撃ってれば勝てないかな?

 

「オレの見立てではすこぶる相性は良い、後は根性だな…その盾が壊れる事は決して無い、嬢ちゃんが守ることだけ考えてりゃオレと坊主でセイバーを仕留めるからよ」

 

「そうそう、出来ることを出来る分だけやれるチームが最強らしいぜ」

 

俺達なら勝てる筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———!———!」

 

 

背後に感じる岩の冷たさ。響く耳鳴り。

 

ここは……大聖杯だよな……みんなで休憩して…珍しく所長さんが立香を褒めだして…そうだアーサー王と戦うために大聖杯にいるんだ。

 

なんだ……何を食らった…?エクスカリバー……違うそれは立香とマシュが防ぎきった。ああ、ならあれはただの魔力放出だ。

 

あーあー冗談じゃない。こちとらマグナムとシールドでガチガチに防御固めてたのに……そもそもなんで剣からレーザーだの光の濁流だの出んだよ、あれこそアーチャーだろ。

 

ガコンッ!

 

くぅ…!

 

なんてパワーなの…

 

正面から受け止めないで!

 

キャスターさんとマシュが必死に戦ってるがそれでも…時間の問題だろう。何が…俺達なら勝てるだ。俺が足手まといじゃん。

 

力の入らない手に、感じるもふもふとした毛の感触。顔を上げるとそのつぶらなひとみと視線が合った。

 

最初の戦いも確か君が俺を連れてきてくれた。

 

フォウクン…そうだな立ち上がらないとな、仮面ライダーだしそろそろ世界を救わないといけないんだ。歴史を奪われた人達がいるんだ。エースが待っているんだ。

 

逃げて!

 

歩!

 

そんな大きい声出されても今変身してないし戦闘音で聞こえづらいよ立香、所長さん。

 

「芯の無いものが、王の前に立つな」

 

あ、倒される前にもそんな事言われたな。しょうがないな、アーサーさんに教えてやらないと。芯がなくても

 

「坊主!」

 

「歩さん!」

 

風切り音が聞こえた気がした。

 

 

 

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