齢15になったこの頃、あたしは目の前の状況に少々困惑した。
「おい娘……私を匿ってくれぬか?」
なんか金持ちが着てそうな騎士装束を着て、偉そうな奴がそう言ってきた。
匿ってくれって……人に頼む態度じゃないんだけど、何で偉そうなわけ?
逆立った薄紫色の髪が風に煽られて揺れ、両眼はエメラルドを思わせる緑色、そして整った甘〜い綺麗な顔……一見すると普通のイケメンだね。
でも性格と態度で損してるから、所謂残念なイケメンだね。
それと纏っている騎士甲冑は青みがかった銀色で、一角獣を模ったエンブレムが施されている。
……って言うかこれ、この国の
「………誰かは知らないけどさ、突然夜に押し掛けてきて"匿ってくれ"とか有り得なくない?睡眠妨害だよ、睡眠妨害」
これが賊だったら、金目の物を狙っているんだろうけど、このイケメンさんはそう言う雰囲気じゃないし。
「いいからさっさとこの私を匿うのだ!こんなボロ小屋だ、大した金もないだろうな」
「話聞けよ」
まあ村外れの辺鄙もないボロ小屋だし、金がないのも事実だよ。でも直接聞くとカッチーンとくるから、無性に殴りたくなってきた。
「冷やかしに来たんならグーで追い出すよ」
「ほう?この私を殴るか、この私を殴るという事は──王族に無礼を働く事になるぞ」
………はァ?
「ユニコル王国が第一王子、ユリウス・レグ・ノークスの名に於いて其方は王国に裁かれる事になろう!王子たる私に暴行を働き、永遠に日の目を見る事を許され──」
バゴッ!!
「ぬゔぁっ!!?」
「長々と五月蝿い」
夜空に舞って飛んでいくイケメンをあたしは吹っ飛ばす。
大体この国の王子様がこんな辺鄙な場所に来るわけないし、これくらいの事で威張り散らしてるわけないし……どーせ王子を騙っている頭の悪いおバカでしょ?
それにユニコル王国は今、魔王軍と戦争してんじゃん。
魔王とか言っているちょい
まあ御伽噺にも出てくる様な
要するに魔王はめっちゃ強い、って事。
あ、さっきから喋ってるあたしは誰かって?
あたしの名前はアンジー・ボーン、村の外れの小屋で木こりをやっている15歳の女の子だよ。
赤いショートヘアーにシュシュで髪の一部を纏め上げ、白い洋服に下には黒いショートパンツとスパッツと動き易い格好をしてるよ。
女の子に木こりが務まるのかって?勿論出来るとも。
斧を振り上げて薪を割ると、薪が見当違いな方向に飛んで蝙蝠型のモンスターことミニバットの頭に命中したり、村の子供が木から降りられなくなって木にぶつかった振動で降りられたり、翼の生えた大型のトカゲの口を塞いじゃったりと色々あるけど、ごく普通の生活をしているよ?
全然普通じゃないって?まあ兎に角あたしは戦争とは無縁のこの村でまったりして老後を送るから、別に気にしない。
お父ちゃんとお母ちゃんはあたしが小っちゃい頃に死んじゃって、父方の爺ちゃんがあたしの面倒を見てくれた。でもその爺ちゃんも去年に死んで、今はあたし一人でこの小屋で暮らしているんだ。
さてと、そろそろ睡眠時間だからもう寝なきゃ、朝になればいつもの日常だから、あの偉そうな奴も来ないだろうね。
じゃあ、お休み〜〜。
続く