次の日の朝。
「昨晩は本当に本当に、ほんっと〜〜に!申し訳ありませんでした!!」
今度はメイドさんが押し掛けてきた。
ヴィクトリアンな青いメイド服を着ている紫髪の女の人で、20代程の美人のお姉さん。
家の前には馬車が止まっていて、その傍らにはあの自称王子もいる。昨日みたいに鎧を着てなくて、代わりに貴族様が着てそうなめっちゃ豪華な服を着ている。
……もしかして王子だって言うの、
「あー……大丈夫だよメイドのお姉さん。確かに押し掛けられてビックリしたけど、別に大した事ないって」
「本当に申し訳ありません!この
「おい今バカって言ったか?王子と書いてバカと読んだよな、そうだよな?普通に不敬だよな?」
従者にさりげなく蔑ろにされて王子様(仮)が不満の声を上げるけどメイドのお姉さんはスルーし、何度もぺこぺことあたしに頭を下げていた。
「って言うかお兄さん、本当に王子様だったんだねー」
「感情が全く籠ってないぞ、反応が薄く見えるんだが」
「これがあたしなんだよ、許して?」
「やっぱり此奴不敬罪でいいかフェイ、こんなド田舎に出向いて何故私がこんな小汚い小娘に頭を下げねばならんのだ」
なんか青筋を浮かべてあたしを指差す王子様(仮)、でもメイドのお姉さんは…。
「殿下、どういう了見で仰るのですか?そもそも殿下が昨日訓練から抜け出したと思えば、城壁に突き刺さって戻ってきた時は驚きましたわよ。しかも事情を聞けば彼女を脅迫してまで雲隠れしようとしたのですから、その様な制裁を受けてもおかしくありませんわ」
妙に圧のある微笑みで王子様(仮)を圧倒した。王子様(仮)も強く言えず、段々と縮こまっていくのはちょっと笑える。
あたしの視線に気付いたメイドのお姉さんははっと我に返り、軽く咳払いして「失礼しました」と告げるとロングスカートの端を摘んで挨拶してくる。
「お初にお目に掛かります。
「おいやっぱりバカと言おうとしてるよな?さりげなく私に罵詈雑言を放っているのが否めないぞ」
「さて何の事か分かりかねますわ」
「なら何故目を逸らす」
漫才みたいなコントが繰り広げられるけど、これが王族と従者のやり取りなのかな?
「あのさ、何で二人共あたしの家に来たの?態々馬車を使ってまで謝りに来ているなら別に気にしてないよ?」
「私を殴っておいていい度胸だな」
ユリウス王子が額に血管を浮かべるけど、面倒くさいからあたしはスルーするだけ。
今あたしはフェイさんと話しているんだから、しゃしゃり出て欲しくないな〜。
「そうでしたわ……殿下と漫才をしている時ではないと言うのに」
我に返ってフェイさんはあたしに向き直り、ふう……と軽く息を吐いて本題に入る。
「アンジー・ボーンさん……今の情勢をどうお考えでしょうか?」
フェイさんは真剣な目であたしに尋ねてきた。