絶賛AUOボディーに振り回されてます。
「君臨するとはこういうことよ!」
戦場に響く
「先生は物資を持ってきただけだけどね〜」
ホシノから暗に「お前は戦場で何もしてないだろ」というツッコミが飛んでくるが、無視。
AUOイヤーには何も聴こえなかった。
そもそも、なぜ先生が戦場に立っているのか。時刻は数分前に遡る。
カタカタヘルメット団の襲撃。
妥当なタイミングだ、とホシノは思う。事実、弾薬等の物資は底を尽きかけていた。
元々そういう計画だったのだろう。物資の供給面に不安があるこちらを断続的に攻め立て、じわじわと削る。
「大方、こちらの物資がないと見込んで攻めてきたのであろう……
「ま、そうだろうね~……みんな、とにかく行くよ」
しかし、先生の介入によって物資の出し惜しみをする必要はなくなった。この黄金の男に貸しを作るのは避けたいが、
出来るだけ目を離したくはなかったが――
「この戦、我も出よう」
英雄王が、そんなホシノの思惑を察しているかのように宣言する。
「えぇっ!? 先生ってキヴォトスの外から来たんでしょ! だったら――」
「フン、案ずるな……この程度の死線、幾度となく越えてきたわ!」
「ん、それでも前には出ないで」
まともでも堅気でもない
その根拠のない自信*1に圧倒され、戦場へ出ることを許された。
しかし――
(いや俺は案ずるんだけど!?)
という文字通り魂の叫びは、AUOボディーに黙殺されたのである。
「お、おい……なんだ、あの金ぴかは?」
「大人、だよな? 金色……大人……まさか――!?」
どこから出したのか定かでない黄金の鎧をまとい、
キヴォトスには神秘が満ちている。ただの銃弾ですら神秘を纏い、その威力は上昇する。
実力者の放つ弾丸ともなれば、その破壊力は銃自体のスペックを遥かに超えるものとなる。
某風紀委員長なんかはビームを撃ったり、トリニティのゴリラ某お姫様は隕石を落としたり*3していることからもわかるだろう。
つまり、本来はなんてことのない流れ弾ですら、キヴォトスの外から来た者にとって致命傷となり得るのだ。
それを警戒しての初手鎧装備である。頭の部分は丸出しであるが、こっそりと迎撃宝具は展開しているところが偽物たる
「フフハハハハハ! 我ばかり見ていては足元を掬われるぞ、カタカタヘルメット団よ」
「よそ見しちゃだめですよ〜♧」
弾薬を補給したことにより、ノノミのガトリングが景気良く唸りをあげる。
それと同時に、高い機動力を活かして側面に回り込んでいたシロコ、セリカの両名が遊撃。
「くそっ! そろそろ物資は底を尽くんじゃなかったのかよ!」
「とにかく、あの大人は無視してこのガトリングの――」
「そうはさせないよ〜」
ニルガメッシュの陽動効果が切れたころ、ホシノが単独で中心部へ突貫する。
キヴォトス最高の神秘、小鳥遊ホシノ。ヘルメット団らが攻撃をしかけるが、その神秘に裏打ちされた防御力に阻まれ、どれも有効打になりえない。
そして、現在に至る。
英雄王がひとしきり笑い終わるのを待って、改めて対策委員会の部室に戻る一同。
危険人物だが恩人でもあるという微妙な立場の大人に、改めて礼を言う。
「……一応助かりました、ありがとうございました」
「それで、この後はどうする気だ? 対策委員会よ。全校生徒が5人の高校をどう救う?」
アビドス廃校対策委員会。アビドス高校の全員が所属する部活である。本来は正式な部活ではない。
しかし、ニルガメッシュはシャーレの権限で正式なもの*4とした。
「借金もあるのだろう?」
「なっ、なんで先生が借金のことを知ってるのよ!」
「ん、私が話した」
なんで話しちゃったのよ、とでも言いたげな顔をしているセリカ。
シロコに罪はなく、不可抗力である。全面的にニルガメッシュが悪い。
「……でも、先生はこうして補給物資を送ってくれたわけだし、これ以上迷惑はかけたくないかな〜」
「そうよ! だいたい、今までだって私たちだけでなんとかやってきたんだから……いまさら大人が……!」
「金額はいくらだ? アヤネ」
彼女らの発言の一切を無視して尋ねる
元々の英雄王にはこれに輪をかけて尊大な態度までついてくるというのだから驚くばかりである。
「我の見立てでは、10億といったところか」
「……! はい、私たちが負っている借金は9億6235万円ほどとなります……」
アヤネが、凄まじい額の借金について語る。なぜ先生が借金の額を予測できていたのかは不思議だったが、もはやこの黄金の男ならばなんでもありな気がしていた。
実際には、シャーレの権限を使って概額を調査*5していただけなのだが。
アビドスの気候変動による砂漠化。それをなんとかするため、借金をする。
しかし、このような状態になったアビドスにまともな金融業者が金を貸すわけもなく。
アビドスは悪徳金融業者によって莫大な借金を背負うこととなったのである。
「ふん、大方予想通りだったな」
つまらなそうに言う英雄王だったが、魂はといえば。
(いや9億6000万ってヤバくね?)
と、思っていた。
余談ではあるが、シャーレでは一定以上の報酬を得ることのできる副業が禁じられている。
もちろん、
彼はシャーレの業務をこなし生徒を導きながらも、これまでに億単位の金額を稼いでいる*6。
この時点で、先生が実質的に所持している金額は億を超えている*7。
それでも、約10億というのは大金であった。
しかし、黄金の王は気にも留めず。悪辣な笑みを浮かべながら――
「貴様らはこの負債、どう返済するつもりなのだ?」
「それは……指名手配犯を捕まえたり、バイトをしたりして――」
「ふはははっ! それで稼げる金などたかが知れている。利子の返済だけで首が回らぬ状態であろう」
小鳥遊ホシノの中で、先生に対する警戒心が際限なく吊り上がっていく。得体の知れぬ危険な大人から、得体の知れぬ監視対象の危険な大人へとランクアップを果たした。
この
「アビドス高校が廃校の危機に瀕しており、それをなんとか解決するために動いている」と言われればそれまでだ。
(一難去ってまた一難って感じか……今回でカタカタヘルメット団はかなりの損害を被ったから、しばらくは動けないはず)
……見極める必要がある。あの男の真の目的を。もし、
「……ぱい! ホシノ先輩! 聞いてるの!?」
「ん? ……うへ~、おじさんぐらいの年になるとちょっと耳が遠くなってきてね~」
「おじさんって、まだそんな年じゃないでしょ!」
ごめんごめん、と続けるホシノ。
「とにかく! こんな大人が先生で、いきなり私たちを助けに来たとか……私は認めない!」
そう言って、部屋から飛び出すセリカ。それを追いかけるノノミ。
残されたのは、ニルガメッシュ、ホシノ、シロコ、アヤネの4人。重苦しい空気*8の中、先生が口を開いた。
「ふん、我の許しなくここを去る不敬には目をつぶるとして……このありさまでは、まともな問題解決など望めまい。6人中2人が欠けているかのだからな」
「……ん、先生も入ってるの?」
「当然であろう! 我は既に対策委員会顧問だからな!」
この手続き自体はとうの昔に終わっている。なんならここに来る前に終わっていたのだが、対策委員会のメンバーらは初耳である。
「そっ、それは本当なんですか……?」
「そもそも、対策委員会には顧問がいない上に、正式な委員会ではなかったからな。我に感謝するがいい」
小鳥遊ホシノは、確信した。
――この黄金の男は、アビドス高校を乗っ取ろうとしている。
これも全部AUOが悪い。
誤字報告等よろしくお願いします。