オッス!俺、八神太一!
そう…デジモンアドベンチャー及び一部の続編で主人公を務めているあの八神太一だ。年齢は三歳である。
俺は前世の記憶というものを持っている。どうして死んでしまったのかは覚えていないが、こうして転生してしまっている以上、俺は死んでしまったはずだ。
先日妹が生まれた日にうっかり転んで頭を強く打ってしまい、そのショックで俺は前世の記憶を思い出したのだ。最初は何が何だかわからず意識を失ってしまったが、目を覚ました頃には意識が前世の記憶に引っ張られて三歳にしては大人びた子供になってしまった。そのせいで母さんと父さんに心配をかけてしまったのは申し訳ないと思っている。
まぁ俺についてはこれくらいにして、これからの事を考えてみようと思う。
俺が八神太一に転生した以上、ここが名作アニメとして名高い『デジモンアドベンチャー』の世界であることは間違いない筈だ。他にも漫画の『Vテイマー01』やリブート版の『デジモンアドベンチャー:』、通称アドコロの世界である可能性も考えてみたがそれはないだろう。俺には妹のヒカリがちゃんといるからヒカリが存在しないVテイマーはないし、今の西暦は1991年だから2020年が舞台のアドコロでもない。つまりここはれっきとしたデジアドの世界だという事だ。
だからこれから俺がするべきことは決まっている。そう、冒険が始まるまでに強くなって、サバイバル知識を身につける!
1999年8月1日に俺は仲間達と一緒にデジタルワールドでサバイバル生活をする事になる。食料を調達しなきゃいけないし、凶暴な野良デジモンに襲われることもあるし、時にはそのデジモンとも戦う事もあるだろう。だからこそ原作の太一より強くなって、絶対に生き残ってみせる!
強さの目標は…とりあえずマサルダイモンでいいか。
それから2年後の1993年。俺は自分の部屋で毎日の日課である腕立て伏せをしていた。最近は原作の太一もやっていたサッカーを始め、そこそこの運動神経を身に着けていた。
サバイバル知識に関しては小学校に入学した後、自分の小遣いで専門書を買うつもりなのでその時知識を身につけるつもりだ。
「ふぅ、今日はこんくらいにして公園にでも行くか」
俺は母さんに一言言ってマンションを出る。
最初は一人で公園に行く事を不安視していた母さんであったが思っている以上に大人びている俺を少しは信用してくれたのか、「車には気をつけるのよ」と注意するくらいになっている。精神年齢は二十代を超えているので大人びているのは当然である!(ドヤァ)。
とまぁ、公園にやってきた俺は人が少ない場所でサッカーのリフティングをしていた。これは神経を鍛えるのに良い特訓だし、ちょっとした遊びにもなるし一石二鳥だ。
「いい加減にしてよ!」
「ん?」
俺がリフティングに勤しんでると少し離れた場所で三人の女の子と四人くらいの男の子が何やら揉めているのを見つける。
女の子組の内二人が怯えながら悪ガキ達を見ており、もう一人の女の子が前に出て悪ガキ達に猛抗議している。たぶんさっきの声はこの子のだな。
「公園はみんなで遊ぶ場所なんだよ!横取りは許さないんだから!」
「そ、そうだよ!」
「へっ!どこで何しても俺達の勝手だろ!」
「そうだそうだ!」
「そんなの横暴だよ!」
「うるせぇ!」
「きゃっ!」
悪ガキの一人が女の子を突き飛ばして転倒させてしまう。
こういう光景を見せられて黙っていられる程、俺は薄情じゃない。
くらえ!必殺のシュート!!
「あだっ!?」
クソガキAにクリーンヒット!効果は抜群だ!
「な、なんだお前!」
「なんだってのはこっちのセリフだ。いくらなんでも女の子を突き飛ばすのはやり過ぎじゃないのか?」
「カッコつけやがって!いくぞ!」
クソガキ共は全員で俺に向かってくる。
「危ない!」
女の子が逃げるように促してくるが俺は逃げるつもりはない。何よりこれまでの特訓の成果を試すチャンスだ。これを逃す手はない。
俺はクソガキ共の攻撃を避けつつサッカーボールを軽くぶつける。しばらくすると勝てないと悟ったのか、クソガキ共は「覚えてろ~!」とベタな捨て台詞を吐き捨てて逃げていった。
「ふぅ…君、大丈夫か?」
俺は突き飛ばされた女の子に自分の手を差し出す。
「う、うん。ありがとう」
女の子は俺の手を掴んで起き上がる。
「
「うん。平気!」
彼女と一緒にいた二人の女の子が駆け寄ってくる。
…ん?ちょっと待て?
「君、空っていうのか?」
「うん。武之内空だよ」
…この子未来の選ばれし子供じゃん!!
武之内空。将来
「…ねぇ、どうしたの?」
「あ…いや、何でもないよ…あっ、そろそろ帰らないと。それじゃ!」
公園にある時計が4時を指しそうになっている事に気づき、俺は家に帰ろうとその場を後にしようとする。
「待って!」
「ん?」
帰ろうとした俺を空が呼び止める
「あなた、なんて名前なの?」
「俺は八神太一!そんじゃあ!」
そう言って俺は公園を後にした。
「…八神…太一…」