【悲報】超絶成金プレイヤー、異世界転移する【課金できない】 作:課金は家賃まで
>>>5000兆円欲しい!!!!!!<<<
あ、自分オーバーロードは二次創作でしか読んだことないです
ところどころGABAあるだろうけど見逃して♡
俺の世界は、生まれた時から終わっていた―――
空は黒いスモッグに常に覆われて、太陽を見られる日はほとんどない。街は常に有害物質を含む濃霧に包まれ、さながら産業革命期のロンドンのよう。
防毒マスク無しの外出は自殺と同義だ。それによって引き起こされる日照不足により植物は枯れ果て、鳥や虫の数も年々減少し続けている。河川には水ではなくヘドロが流れ、本来それを浄化する浄水場は、あまりの汚染の酷さから機能不全に陥り、一般市民は蛇口に浄化フィルターを取り付けなければ到底飲むことなんて出来ない……それもまた気休め程度の効果しかなく、幼児の死亡率は右肩上がりのまま止まる気配を感じさせない。
―――なんて世界は俺とは無関係!
いやあホントに金持ち様々である。言ってしまえばこの世界は生まれが全て。富裕層は際限なく成長して金を貯め込んでいくが、それ以外の人間は一生這い上がることができない。そもそもそのような人間が新しく出ないよう厳しくルールが定められているから、特例など出るはずもない。
そんなこんなでこの終末世界にて、誰にも脅かされることのない勝ち組として生まれた俺は、資産を維持し続けることだけ考えていればそれこそ一生遊んで暮らせるような環境にあったわけだ。
だったら、ねぇ?遊ぶでしょう!
それは科学技術の粋を集結した体験型ゲーム。プレイヤーは各々の夢想する理想の肉体を得て仮想空間に入り、未知の世界を探求する……一世紀以上前の作品なため知っている人は少ないかもしれないが、ソードアート・オンラインという作品に登場する同名のゲームはこのジャンルに分類されるだろう。
百年以上前の人間が想像した未来技術の粋、そんなかつてSFの中にしか存在しなかったゲームジャンルの一つに、このユグドラシルはある。無数に存在するDMMORPGの中でも特に有名であり、日本国内でDMMORPGといえばユグドラシルを指すとまで評価されていたのだ。
……そう。
「やっぱり悲しいな…」
いやに簡素な室内にはあまりにも不釣り合いで豪奢で、座り心地の良さそうに見えるソファに寝そべりながら、俺はこのゲームで過ごした時間について思いを馳せていた。
すべての始まりは十年……と少し前、ユグドラシルのサービス開始前に遡る。当時の俺は有り余る金と権力にモノを言わせ、このゲームの運営側になろうとした。どうせゲームを遊ぶのならば、内部に入りこんで様々な内部データ、実装予定のあれこれなどをあらかじめ知った上で、それを踏まえて攻略したいタイプの人間だったためだ。まあ失敗したけれども。残念極まりなかった。
その代わり、俺はもっとイイモノになることができた。株主だ。金、金、金!やはり世の中金である!
そうは言えども流石に過半数株主にはなれなかった。15%か20%か、その位である。本気出せば30%も行けたんだけどなぁ……その時の自分はまさか十年もプレイすることになるとは毛ほども考えていなかったので出し渋ってしまった。それが今も心残りになっている。
けれども、そのおかげで俺は、このゲームを遊ぶどんな問題児や、害悪なプレイヤーよりも運営の注目を浴びることになった。基本的に株主様は会社なんぞよりも偉いのだから当然である。しかも株を持っているのは世界でも三本の指に入る資産家。『俺の気分次第でこの会社潰すことだってできるんだぞ』というプレッシャーを十年間も浴び続けて、運営側としては生きた心地がしなかっただろう。これに関しては、これほどまでに魅力的なゲームを制作してしまった彼らが悪い。
……要は一目置かれる存在になれたのだ!
とまあ、このおかげで、俺はサービス終了まで大変快適にこのゲームをプレイすることができた。
運営の正の確率操作に、うなるほどあるリアルマネーのおかげで欲しいレアアイテムには事欠かなかったし、数千もの別アバターを作成することもできた。この世界で、俺よりも自由にユグドラシルを遊んでいたプレイヤーは存在しない。俺だけが真に自由だ。周囲からのあらゆる妬み、羨望、非難、中傷はすべて俺の力となった。
所属人数数百名の超巨大ギルドを設立したときなんかは最高に楽しかった。ギルドメンバーは俺のアバターのみで構成されているので、正確な所属人数は一名だが、俺は整理されたPCフォルダなんかに興奮してしまうタイプの人間なので、増えすぎたアバターを整理しておくだけでも楽しかった。
度々アバターを変えて盗賊プレイをしていた時期もある。俺を貶す別のギルドに侵入してレアアイテムを奪い取っていくのは爽快だった。一つ製作するのに何百時間もかけたであろうレアアイテムを、所有者の目の前で破壊してやるのなんかはお気に入りの遊びだ。彼らは決まって、いい悲鳴を聞かせてくれるのだ。
そうして得たアイテムの中でも、特に興味を惹かれなかったものを、俺のシンパどもに適当にくれてやっていた。
そんな活動を何カ月も続けていると、俺の周りには、俺のおこぼれに与ろうとする乞食どもが集まるようになった。まったく物欲の湧かないものであっても、他の
掃いて捨てるほどいる乞食どもも、数が揃えばそれなりに役に立つ。それらを雇ってアイテム、情報収集を行わせてやった。はじめは数十人程度の集まりだったが、与えられる報酬が莫大であり、かつその中に課金アイテムも含まれていると情報が拡散されてからは早かった。
彼らは徒党を組み、ギルドを結成した。2chという掲示板サイト出身の者が多かったため『2ch連合』などと名乗っていたが…
現実を忘れるためにゲームをしているのに、結局ゲームの中でも働いていたつまらない奴らだ。
この世界で最も富んでいるのは俺で。世界とはやはり、金だ。金こそが……金こそが俺を自由にしてくれる。この世界のあらゆる知識を得た。あらゆる力を得た。あらゆるスキルを得た。この世界に俺の知らないものは一つとして存在しない。
断言しよう。俺こそが
全て俺の内に
満足だ。やり切った。やり切ったんだ。もはやこの世界に未知は無い。俺は自信と確信を持ってそう言える。
ソファから立ち上がり、意味もなく身体を掃って小屋を出る。
扉を開けると、そこには黄金と宝石で彩られた、中世ヨーロッパ風の町が広がっていた。エメラルドの城壁に囲まれた街並み、尖塔の屋根が連なる静寂の町。道にまでも敷かれているエメラルドには、馬車の轍こそ残れども、人影はどこにもない。
市場の屋台には、現実にはあり得ない形状や色をした果物や湯気を上げるパンが並んだまま、さわやかな風が純金製の看板を揺らして軋ませる。遠くにそびえる壮麗な城はきらきらとダイヤのように輝き、けれどもまるで時間が止まったかのように沈黙していた。
ここはユグドラシル第二層〈アルフヘイム〉。このゲームどころか、ギネスブックにも登録された、世界最大のギルドホームである。
ある程度街を眺めて満足した俺は〈転移〉を使い広場に飛んだ。そこには、あらかじめ並べておいた
「ため息が出るぐらい壮観な眺めだよ。ホント。嘘じゃない。本当にそう思ってる」
「お前なんかもそうだろ?チャンピオン」
『ハイソウデス!ゴ主人サマ!』
「―――アハハ!あーマジで最高。お前どう思う?お前の中の人さあ、お前の事三千万で売ったんだぜ?いや四千万だったか?まあ大して変わらんはした金よ。なあどうだい?うれしいだろう?」
『ハイ!アリガトウゴザイマスゴ主人サマ!』
「うーん気持ちいい。そのまま時間が来るまでそこで突っ立っておけ」
憎き仇敵を使った一人芝居に満足した俺は、すべてを終わらせるべく彼らの前に立つ。高台から眺めればやはり、身震いするほどの光景だった。ここにいるプレイヤー一人一人が一騎当千、いや、一騎当万の怪物たち(という設定)だと考えると、神々しさすら感じるほどだ。
さあ、最後の仕上げといこう。
右手に着けた指輪を天高く掲げる。数千の群衆は静かに佇み、どこを見るでもなくぼんやりと空を仰いでいる。声もなく、ただ風が衣を揺らし、時間だけが穏やかに流れていく。まるでここにいる誰もが、夢の中にいるかのようだった。息が詰まるほどの静寂の中、俺の声が響く。
「―――〈
我らを一つに。
ナザリック地下大墳墓。それは十層によって構成される巨大な墳墓であり、その凶悪さからユグドラシル内では知らぬ者がいないとまで言わしめたギルドである。
ここは、かつて6つのギルドによって構成された連合、および傭兵プレイヤー、NPCなど、合わせて
―――だがそれも最早
「ああ………楽しかったなぁ」
その墳墓の最奥、玉座にて。〈
かつて世界に覇を轟かせた栄光あるこのギルドも、気づけば欠員だらけ。それもそのはずだ。自分以外の全てのメンバーが引退してしまったのだから。
やはり
だが、どれだけ考えても所詮は己の拙い脳細胞の中でのシミュレーション。大した妄想もできないからとっとと終わらせてしまい、この世界の
ああそういえば。とモモンガは思い出す。あの化け物はまだINしているのかと。そう思いフレンド欄を見ると、
「…ははっ、あった……さすが化け物。皆勤賞か」
『黎明華』。その名が白く光り輝いていた。その
ただ、そのすべてが漢字三文字で構成されていることを除けば。
「結局最後までお咎めなしかよ。糞チーターめ…」
『黎明華』……自分が初めて出会った、いや。
あれがこのゲームの知名度を上げた結果増えた新規参入者よりも、あれのせいで引退した被害者の方が数倍多い。『奴がいなければ、このゲームはあと二、三年は持っただろう』なんて予測も立つくらいに、あれはこのゲームで好き放題暴れまわったのだ。
世間から害悪ギルドと罵られる自分たちですら霞んで見えるほどの悪逆非道。あれに悪感情を抱くものは少なくない。何を隠そう、自分もその一人だ。
……さて、前提として。このゲームでは基本、一人のプレイヤーにつきアバターは一つしか与えられない。というのも、自分の精神をアップロードしてアバターにリンクさせるDMMOというゲームジャンルは、その性質上、複数のアバターを乗り換えて遊ぶ行為自体が健康上の理由から禁止されているのだ。
つまり、ゲームの途中でプレイするキャラクターを変更するなんてことはできない。だがこの『黎明華』、いわゆる華シリーズ達は、その不可能をやってのけた。
こいつらは個人だ、巷ではそう噂されている。いや、もう確定しているといっても過言ではない。
何故か?理由はいくつかあるが、最も信憑性の高い理由は、ギルドメンバーが常に一人しかログインしていないというものだ。ギルド設立当初から今まで、ずっと。
時には公式にBANを求めたプレイヤーが居たりもした。だがそういう人間は漏れなく、逆に消えていった。
それ以降、一部のハイエナを除いて誰もそれについて語らなくなった。さながら顔にできた醜い腫瘍のように、みんな疎ましく思っていたことは間違いない。しかしそれは自分には関係のないことだ。あれは向こうから、自分たちの所に積極的に来ようとはしないのだから。
これが、上位ギルドを手当たり次第に襲撃しまくるなどの迷惑プレイをしてくるなら話は別だったろう。だが、実際には時たま各ギルドを荒らしてレアアイテムをいくつか(多くても30~40個)奪っていく程度だった。
時々根こそぎ奪われることもあったそうだが、その程度であれば通常のプレイでも起こりうるから、次第に皆の注目も薄れていった。
まあワールドアイテムを盗まれたりすることもあったみたいなんだが……奪還を試みたプレイヤーは全員返り討ちにあった。この、明らかに運営の寵愛を受けたプレイヤーは、しかしとても強かった。反則級に小手先の技術が高かったのだ。
そのプレイ技術の高さから、一部の相性のよいボスならば素手だけで倒して見せたという伝説があるこのプレイヤーは、このゲームにおいて個人で最も多くのワールドアイテムを保有した人物でもある。
その正確な数は、ある時期を境に非公開になってしまったため判明していないが、噂では『現在未発見のワールドアイテムはすべて“華シリーズ”が独占しているのではないか』とまで言われるほどだ。
「そういえばこいつ、このゲームがサ終したらどうやって生きていくつもりなんだろう?本人も『人生そのものだーッ!』って言ってたし……ほんとに自殺しかねないんだよなぁ……まあいい気味か」
おお哀れ黎明華。この生粋のゲーム廃人たる鈴木悟(死の支配者の中の人)にすら心配されるとは……いったい何をやらかしたらそうなるのだろう?
「あっ、そうだ。どうせだしこの際、アルベドの設定とか覗いてみようかなー…って長ッ?!」
アルベドの設定の末尾に書かれていた文章『ちなみにビッチである。』を消し、代わりにどんな文章を入れようか悩むこと数分。突然警報が鳴り響いた。
「ん?緊急アナウンス。こんな時間に?」
どうせ数分後には消えている世界だ。少しくらい好き勝手に弄ったところで誰も文句は言わないだろう。そう思い、ちょっとした悪戯心でアルベドの設定を弄っていたのだ。すると、急に運営からのアナウンスがあった。最近では滅多に聞かなくなったが、これは…
「ワールドエネミーだと!?このタイミングで?!」
どうやらあるプレイヤーがワールドエネミーに変性したらしい。モモンガはその名に見覚えがあった。ああ、今でも鮮明に思い出せる。イヤというほど煮え湯を飲まされて、無様にのたうち回る自分を見て嗤っていたカスの面を。
だからこそ、急いでフレンド欄を見る。
「お、おぉ…」
そこには、すっかりと綺麗になってしまったフレンド一覧があった。
「元々ワールドエネミーやってるのに、更にワールドエネミーになっただって?あー…たしかにあれってそういうの好きそうだよなー…」
そして世界は生まれ変わる。
「モモンガ様?いかがなさいましたか?」
「…え゛っ゛」
彼のギルドもまた、生まれ変わる。
「…は?」
俺の世界ではありえない光景があった。肉眼では一度も見たことのない夜空。その星々。どこまでも続いているのではないかと思わせる草原の上に俺は立っていた。汚染されていない、生気を感じさせる空気が頬を撫でる。
「………」
ああ、せっかく終わったっていうのに…
「うん、これは。コンティニューか」
こんなに長い文章書くのキツイ
流石に次からは2000字ぐらいになります
(´・ω・`)<おじさん許して