【悲報】超絶成金プレイヤー、異世界転移する【課金できない】   作:課金は家賃まで

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(´・ω・`)<戦闘描写むずかしいよ…


〈アースガルズの天空城〉攻略戦

 

 

 

 

 

 一言に『転移』と言っても方法は複数ある。例えば、いくつかの戦闘職は短距離ながらスキル使用で転移を行うことができるし、いくつかのガチャアイテムを使用すれば、一日の使用上限はあれど似たようなことはできる。

 ただ、もっとも確実性が高く、かつ使用難度が低いのは〈上位転移(グレーターテレポーテーション)〉だろう。転移後のダメージや座標のズレが発生しないのもポイントが高い。

 

 基本〈上位転移〉で移動できる場所に制約はない。ただ発動には条件がある。一度も行ったことが無い、転移先への明確なイメージが無い*1、目的地が転移禁止エリアである、など、最上位の転移系魔法にしては制約も多い。

 

 まあ俺のは特別製なんですがね初見さん。

 

 そうしてやってきたのはギルドダンジョン〈アースガルズの天空城〉第二階層、特殊ギミック空間?……の裏側。面倒くさそうなギミックを全スルーした結果、後は歩くだけで目的地に着くところまで来てしまった。

 

 すまんな設計者ども。でも今はそういう気分じゃないんだなあ。

 

 先ほどから警報が絶え間なく鳴り響いている。ギルドNPCが追いつくのも時間の問題だろう。だが彼らと戦ったり、況や殺害したりする予定はない。十分後には俺の物になっているのだから。

 

 ギルドを守護するNPCは無限に制作できるわけではない。弱い拠点であれば合計600~700Lv程度、この〈アースガルズの天空城〉クラスともなれば最低でも3000Lvまで制作できることだろう。とすると、よほどのバカでもない限り100LvNPCを30体造っているはずだ。

 

 事前に確認した限りだと、この先―――最上階の天空神殿にいるNPCは六名。全員が〈神器級(ゴッズ)〉アイテムに身を包んでいる。

 

 本来であればかなりの脅威なのだろう。だが、今の俺からすれば、彼らが六人いようが六百人いようが大して変わらない。ただ勢い余って殺してしまわないかだけが心配だ。

 

 

 

 

 最後の階段を上り終えると開けた空が見えた。雲海を見下ろす天空城、その頂上に、荘厳な天空神殿が聳えている。純白の大理石に刻まれた紋様は神々しさを放ち、天井から降り注ぐ光が、静寂な空間に柔らかな輝きを落としていた。

 

 その神殿を守護する六人の騎士。黄金の鎧を纏う魔法詠唱者、漆黒の剣を携える者、蒼い炎を宿す長槍の使い手――それぞれが異なる力を持ち、静かに神殿の門を守っている。彼らの瞳には迷いがなく、ただ使命のために武器を構え、来るべき時を待っていた。

 

 風が神殿の回廊を吹き抜ける。六人の騎士は無言のまま佇み、訪れる侵入者を待ち受けている。ここは彼らの存在意義そのものが宿る神聖な領域だ。神殿を―――ギルド武器を脅かす者が現れたならば、彼らは迷うことなく力を行使するだろう。静謐な空間に俺の足音だけが響く。

 

 

「―――止まれ、侵入者よ。神域を汚すものよ。何人たりともこの先に足を踏み入れてはならぬ。さもなくば―――」

 

 

 黄金術師が歌うように警告を発する。もちろん最後まで聞こうと思っていたのだが、なんだかいまいちやる気が出ないので途中で遮って発言する。

 

 

「あーうん。ちょっと後にしてくれない?俺君らの後ろの方に用があるんだけどさ」

 

「……ならば死ね。せめて神の慈悲が汝を―――」

 

「いやいいから。マジでいいから。なんかうーん……鳥肌立ってきたな。そういうロールプレイしてたヤツはユグドラシルにもいたし、実際交流してた時もあったけど、お前らが言うのは何だかなあ…」

 

 

 ―――刹那の交錯。

 

 黒騎士の放つ瘴気を纏った剣撃が、空気の刃と激突する。火花が散り、神殿の床に細かな傷が刻まれた。彼の放ったすべての攻撃は自動で迎撃され、俺には届いていないのだ。これは『泰一華』のおかげだろう。

 

 『泰一華』はレアドロップ品集めのために作成したアバターだ。自動反撃・攻撃反射系の効果を持った装備やスキルに特化し、それらを極限まで詰め込みまくることで、一歩も動かず敵を殲滅しまくることができるというのがコンセプト。まあ超ガチ勢のプレイヤーには普通に上から取られる程度の能力だ。

 

 とはいえ『泰一華』の時点で、本来100LvのMOB程度であれば三十……一分と持たない構成なのだが、それを凌ぎきっていったん距離をとれた(・・・・・・・・・・)のは、彼らの身につけている装備の質の高さゆえだろう。

 

 残り体力は大凡一割程度…―――いや、これは、一回死んでいる?〈不屈の勇者(インドミタブルヒーロー)〉の効果か?

 

 

「あり得ない。ただ立っているだけで私を―――」

 

「あー……茶番じゃんもう……〈陣地作成・神々の黄昏(ラグナロク)〉〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・Ⅰ)〉〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・Ⅱ)〉〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・Ⅲ)〉〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・Ⅳ)〉〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・Ⅴ)〉…」

 

「―――は?」

 

「…〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・Ⅹ)〉〈三日月の陣〉〈トロヤの奇跡〉〈祝福のオーラ・Ⅴ〉……全部。〈転輪王の聖別〉〈三千週哀歌〉〈上位損耗反射(グレーターリフレクション・ダメージ)〉〈上位魔法反射(グレーターリフレクション・マジックスペル)〉〈上位物理攻撃反射(グレーターリフレクション・フィジカル)〉〈不屈(インドミタビリティ)〉〈光輝緑の体(ボディ・オブ・イファルジェントベリル)〉〈光輝赤の体(B・o・Eヘリオドール)〉〈光輝青の体(B・o・Eアクアマリン)〉……アイツら程度ならこれで十分だろ。それじゃあ頼むわ」

 

 

 超位魔法〈指輪の戦乙女たち(ニーベルング・◯)〉。一回唱えるのでも一苦労な大魔法『超位魔法』の十連続詠唱が要求される代わりに、数字が大きくなるにつれて全体性能があり得ない倍率で強化されていく召喚系魔法だ。

 

 呪文自体をノーバフでⅠ〜Ⅹまで詠唱した場合、Ⅹの時点で完全なデバフ耐性を有するガチ構成の100Lv天使系戦士が百体召喚される事になる。だが今回詠唱したのは俺なので180Lvになっている。お得だな。

 

 後方で聴くに堪えない断末魔が響いているのを放置しつつ、彼らの言う聖域の中に歩を進める。神殿の中央、光を放つ台座の中央には見事な意匠の施された剣が浮遊していた。

 

 俺はその台座に向かって手を伸ばし―――

 

 

「〈魔法陣作成:星辰〉〈星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)〉〈星に願いを〉〈星に願いを〉…」

 

 

 超位魔法〈星に願いを〉を発動した。さっき〈指輪の戦乙女たち〉でやったことの繰り返しになってしまうが、とりあえず願いを叶えられる状態の〈星に願いを〉を三千発分ほどストックする必要がある。

 

 『流れ星の指輪(リング・オブ・シューティングスター)』に込められた超位魔法〈星に願いを〉は『永劫の蛇の指輪(ウロボロス)』の廉価版。

 

 通常の〈星に願いを〉は使用する際経験値を消費する必要がある。だがこの指輪は最高レベルの〈星に願いを〉を三発込めてあるため、やろうと思えば経験値消費なしで飽きるほど連射できるのだ。

 

 ……『永劫の蛇の指輪』の使用は今でもやろうと思えばできないことも無いのだが、ギルド支配権の乗っ取り程度であればこちらの方がコスパがいい。ここで三千回分……指輪を千個程度消費したところで、あと山数個分ぐらいあるし…

 

 そして〈魔法陣作成:星辰〉は〈星に願いを〉の効果を高める。具体的には、最高消費コストが通常5Lvなのを、1Lvぶんオマケしてくれる。効果時間が短いため数回に一回詠唱しないといけないが、その分効果は絶大である。

 

 

「―――うわ、これ思ったよりメンドクサイぞ。〈星に願いを〉〈星に願いを〉…」

 

 

 こんなことならマクロ組んでおけばよかった…

 

 

 

 

 

*1
「ここではないどこかに行きたい!」では無理だぞ




 通常のガチャの場合オリ主の課金額は多くても数百万円ほどですが、〈流れ星の指輪(リング・オブ・シューティングスター)〉が実装された時は話が別。結果的に小国の国家予算規模の金を動かしたため〈無尽黄金楽土〉の宝物庫には〈流れ星の指輪〉専用スペースがあります。
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