俺の脳内選択肢が全力で修羅道に導いてくる   作:修羅

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第8話 2年後

 ルテスから剣を教わってから2年が経過した。俺は10歳になり、背丈も大分伸びていたのだ。毎日地獄地獄、地獄の訓練。

 

 基本的にルテスは剣や魔素の使い方を教えてくれる。ただ、魔法については教えてくれなかった。魔法とは帝国付属学校でしか教えてはならない法律であるからだ。

 

 確かに魔法なんて誰でも使えたら大問題だよね。治安的な意味でもね。だが、剣や魔素の扱いにかんしては大分教えてもらえた。

 

 先ずは剣の扱い、コレに関しては……

 

 

『よし、素振りを100回してみろ』

 

 

──選べ

【その10倍やろう】

【もってくれよ、俺の体……4000倍ダァ!!!!!】

 

 

 

 こんな感じでずっと永遠に剣を振らせようとする選択肢のせいで毎日、泣きながら素振りをすることになる。夜に寝る前とか、寝ている最中とかも急に選択肢が出てくるのでまさに訓練地獄。

 

 

 もう、勘弁してほしいよ……。

 

 

 

 魔素に関しては練り上げる修行が多かった。魔素は魔法を扱うエネルギーだが体を強化するのにも使えるのだとか。コレを教えるかどうかは正直グレーゾーンであるらしいのだが、まぁ、大丈夫だろということらしい。

 

 

 魔素による体の強化は言ってしまえば掛け算らしい。元の体✖︎魔素の量で強さを引き出せるらしいのだ。え? てことは体を無限に魔素で強化したら最強じゃんと思ってしまったが、そうは簡単ではないらしい。

 

 

 派手に魔素で体を強化し続けると、体が強化に追いつけずぶっ壊れるらしい。俺は元の魔素量は平均のはるか上らしいのでなんとかいい感じになりそうだ。

 

 

 そうかそうか、あんまり強化すると体が危ないな。

 

 

──選べ

【もってくれよ、俺の体……4倍強化ダァぁ!!!】

【もってくれよ、オラの体……3000倍だぁぁぁ!!!】

 

 

 

 こんな感じで無理やり体を強化させて、ぼろぼろにしてくる。騎士は基本的に自身のポテンシャルを遥かに超える魔素による体強化はしないらしい。

 

 

 

 こう言った無理やりの強化は『反転詠唱』と言われ、心臓から溢れる魔素を急激に逆流させることで実力以上の力を出す技術として存在はしている。だが、こういうのはバカがやることらしい。

 

 

 まぁ、選択肢がなん度もやらせてくるけどね。

 

 

 ──さて、そんな俺のもとにガルド帝国附属学校、特別奨励枠での入学届が来ることになる!!!

 

 いや、びっくりしたよね。まさか、届くだなんて……あれ、1回戦で負けていたような記憶があるのだけど……まぁ、そこで俺の実力を認めてくれる人がいたのだろうか?

 

 それとも顔採用というやつだろうか。イケメンだからね。

 

 

 さてさて、ガルド帝国に入学するということでルテスが入学祝いをくれるというのだ。

 

 

 

 

「よし、ここだな」

「……」

 

 

 

 そこは鍛治屋だった。小さい小屋の中に厳格な雰囲気を持つおじいさんが座っている。彼はまるで待っていたと言わんばかりに二つの刀を持っていた。

 

 

 

「よう」

「……ようではない。急にきやがって」

「すまんね、ルグさん」

 

 

 

 どうやら鍛治師の名前はルグというようで、ルテスの知り合いのようだ。ルグは俺に目線を落とした。

 

 

「そいつか、お前の期待の星か」

「あぁ、割とな」

「……ほう。よし、ならばガキ、ここに刀……まぁ、そうだな。剣と似て異なる武器のことだ。それを刀という。この刀、どちらがほしい」

 

 

 

 

 あ、刀って言う単語を俺が知らないと思っているのか。この世界だと剣を持っている騎士が多いからね。

 

 

 ふむ、刀が2本あるな。どちらがいいのかな

 

 

 

──選べ

【右を選ぶ】

【左を選ぶ……いや、右だな】

 

 

 

 

 結局右かよ。両方とも選択肢は変わらないじゃないか!! もうストレートに右を選ぶぞ。いや、ちょっと待て、少し迷ってる感じを出した方が真面目に選んでるように見えるかも。

 

 折角、プレゼントをくれると言ってる訳だし。選んでる感がある方が可愛いだろ。

 

 

 

 

「なぜ、左を選ぶようにしてから、右を選んだ」

「……」

 

 

 

 え、なんで聞き返されたの? 店主からめっちゃ睨まれてるんだけど……単純にプレゼント選んでる感があるとか言えないし

 

 

 

 

「最初は左と思ったが……やはり、右を選ぶべきと思っただけだ」

「……なるほど。左は切れ味が良い一級品。だが、右は粗悪な刀。しかし、修行としてなら右を選ぶ方が理にかなっているだろう。最初から良い刀を選ぶと刀に頼る戦いになるからな」

 

 

 

 え、勝手に解釈されてる……そんでもって勝手に納得もしているんだけども。俺は選択肢で選んだ後に適当に言っただけだけど。

 

 

 

──選べ

 

 

『それより、店奥にある刀を出せ』

『それより、やはり左の刀のほうが良さそうだな』

 

 

 

 

 おい、下を選んだら俺が意見をコロコロ変える馬鹿みたいに見えるだろう。ということは上を選ぶべきだ。

 

 

 なぜなら、鍛治の店に他にも刀があるというのは当たり前だからだ。当たり前、当たり前、あたりまえ体操なのだ。

 

 

 

 

 

「それより、店奥にある刀を出せ」

「ッ!!! まさか、気づいたのか。ルテスお前の入れ知恵か!」

「そんな訳ないだろ。こいつは、持ってるんだろ、驚異的な嗅覚を」

 

 

 

 

 

 え、これって二人ともボケちゃってるのかな。鍛治の店に刀が他にもあるのって当たり前、当たり前、あたりまえ体操なのでは? これって俺にツッコミを入れて欲しいのかな?

 

 

 

 店主は奥に行くと一本の刀を持ってきた。えっと、なにこの禍々しいのは……見た感じでわかる、超禍々しい。

 

 

 

「これは……威修羅(いしゅら)。嘗てあらゆる剣豪が握ってきたが、全員が死んだ。妖刀だ……まさか、この刀に気づいたとはな。まさかとは思うがこれが欲しいのか?」

 

 

 

 

 おいやめろ!!!! そんな聞き方されたら、選択肢が黙ってる訳ないだろ!!!

 

 

 

 

──選べ

『貰っていく。だが、これからは俺が主人だ。こいつの呪いと俺の運、どちらが強いか今すぐ勝負させてもらおう(ゾロ)』

『貰っていく。だが、切れ味を試させてもらう。ルテスを急に斬る(犯罪者闇堕ちルート)』

 

 

 

 

 

 おおおおいいいいいいいいいいい、良い加減にしろぉぉぉっぉ!!! 世話になったルテスにそんなことをできるわけがないだろうが!!!

 

 

 

 

 でも、これ上の選択肢って……ゾロがやるあれか!? 腕伸ばして、刀を上から落とすやつ!?

 

 

 

 いや、これ……ルテス、ごめん!!!!!! って出来ねぇよ!! 世話なってるわ!!

 

 

 

 

 

 

「貰っていく。だが、これからは俺が主人だ。こいつの呪いと俺の運、どちらが強いか今すぐ勝負させてもらおう」

「なに? 一体何を」

 

 

 

 

 

 う、うわ、体が勝手に……俺は刀を上に軽くスナップを効かせながら回転させるように投げた。クルクルプロペラのように回転し、下に落ちてくる。そこに俺は腕を出した。

 

 

 

 

 

「お前!?」

「馬鹿な!? 切れ味は本物だぞ!!」

 

 

 

 ルテスも店主も驚いている。店主は漫画でゾロに驚いていた店主と同じ反応で笑える。いや、笑えねぇ!! 俺の腕が……。

 

 

 

 ゆっくりとスローモーションとなる中で……刀が落ちてくる。だが、ちょうど、腕の前をうまく通り過ぎて刀の刃が当たることもなく通り過ぎた。

 

 あ、危なかった……。

 

 

 

「もらってく(若干震え声)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◾️◾️

 

 

 

 

「行ってしまったか」

 

 

 

 

 ルテスは迷宮都市コアから出て行ったライヴァンの背中を見守っていた。彼の隣に先ほど刀を売った店主ルグの顔もあった。

 

 

 

 

「あんなガキは初めてだ。あれで10歳だと……信じられん。妖刀……威修羅の中には異物が棲むとすら言われている。それに操られ、人を斬ったとさえ言われたこともある。あのガキはそれを知っていたのか?」

「さぁ、知っていたか知らなかったか。だが、あいつは店で刀の所在を当てた。もしかして、刀があいつを呼んでいたのかもな」

「……お前、あのガキがどうなると思う。ちょっとしか見てないがあれは異常だ」

 

 

 

 

 何を今更、そう思いながらルテスは笑った。

 

 

 

 

「もう俺は魅入られちまった。そんで俺は育てたあいつが、もし力を求め誤った道に進んだら俺も腹を切る」

 

 

 

 

 ルテスはライヴァンがどれほどの強者となるか、世界の頂きに立つか、それを見届けたいと思い力を授けた。彼が異様に力を求めているのを知った上でだ。

 

 

 

 その責任を彼は取るつもりだった。

 

 

 

「ふっ、まぁ、帝国の学校も甘くねぇ。魅せてみろ、ライヴァン」

 

 

 

 




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