マブラヴ クロニクルズ SS 1話   作:プラトマイネ

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2話

 

 

日本帝国陸軍 シアトル租借地防衛軍 シアトル基地内 PX 8:00

 

朝食を摂る為にPXに出向くと、既に小隊の仲間であるエレン・エイスと桜乃雫、そして柚香が談笑しているのを見つけた。

エレンはカナダ国籍だが、本当はフランス人である。今の帝国軍所属となるまでには亡命、スパイ疑惑と立場上の困難が彼女を苦しめていた。

今は疑いも晴れ、生来の明るさから小隊のムードメーカーとして士気を高めてくれている。金髪でスタイル抜群、気立ても良いとあって、雫には完全に姉の様な存在のようだ。

 

雫は日本人だが、なんとまだ12歳である。人員不足による兵役法改正で薬物投与により身体を強制的に成長させ、兵士として戦えるようにさせられている。

彼女自身はとても明るい性格だが、その幼さ故に戦場が精神に与える影響は看過できない。エレンの様な姉役は存在してくれる必要があるだろう。

 

「あ、龍波中尉〜!」

向こうもこちらを認めたようで、雫は大きく手を振ってくれている。

 

彼女らのテーブルまで来ると、エレンがいつも通りの口調で話しかけてきた。

 

「おはようヒビキ。良く眠れた?顔色は良いみたいね」

 

「ああ、おかげさまでな。朝飯は食ったのか?」

 

「いえ、まだよ。一緒に食べるでしょ?」

 

断る理由もなく、俺は頷く。

 

「ああ。あ、そういえば今日からここの合成食材も食料プラントの供給品になるんだよな?前のセレモニーの時に食ったの、あれ美味かったよな!あれをこれから毎日食えるって、凄いことだよな」

 

俺の言葉に柚香が応えた。

 

「はい、本当に。あの時のメニューはセレモニー用に作られた物なので特に美味しかったとは思いますが、あれは間違いなく食材そのものの味が本物に近づいていますよね」

 

相変わらずの真面目な分析だなと柚香の性格を評価する。いきなり抱き締めて慌てさせたい。

 

だがここは抑える。公共の場で抑えるのは当然だが、柚香の可愛い姿を独占したいという思惑もあった。

「天然ものばっかり食ってるアメリカ人が認める位だからな。前なんて牛肉と豚肉の違いが分からないとか馬鹿にしてたみたいだけど、もうプランクトンの抽出・加工技術は世界中に売り込めるレベルだよ」

 

 

「だから、襲撃されちゃったんですね‥」

 

雫の言葉に皆の表情が曇る。

フランスが主犯と目されるプラント占拠事件はプラントを一時完全に制圧され、海神を8機も鹵獲された上に不知火だけでそれらを相手取るという非常に厳しい戦闘だった。

ベトナム戦争でソ連製レーダーサイト・SAMポケット破壊任務を帯びたF4Gのワイルドウィーゼルと危険度は何ら変わらない。海神の6連装36mm機関砲12門の弾幕により接近すらままならず、突撃する不知火の装甲を容易にスクラップにし、こちらの36mmは海神の潜水用耐圧殻に弾かれる。

あの時ほどステルス能力を持つF-22が必要になった局面はなかっただろうに、大局を見据えた政治的判断というのは現場の将兵を犠牲にする事であり、苦しめる要素にしか成り得ない。

 

 

「まあ良いじゃない。フランスと戦争もしたけど、結局は協力してハイヴを落とす事が出来たんだし。まだまだ分からないけど、今の世界って今までにないレベルで平和な世界よ?どこも戦闘が起きてないんだから」

エレンが場をとりなす様に言う。

こういう時はエレンの出番だ。真面目な柚香では他人との会話であっても深みにはまってしまう。二人だけの時ならどんな泥沼の深みに嵌っても全く問題は無いが、小隊の意見交換の場ではそういった空気は好ましくない。

 

エレンの言葉を繋げる形で俺も発言する。

「その通りだ。今の平和は、俺たちみんなで勝ち取ってきた物なんだ。理想なんて大それた物じゃないが、ずっと戦ってきた俺たちはそれを誇っていいと思う。な?そう思わないか?」

 

案の定考え込んでいた様子の柚香は俺の言葉を聞いて表情を明るくした。

「そう‥ですね。中尉の言う通りです。終わってしまった事を考えるのは、今の私達がしても仕方のない事かもしれませんね」

 

「そうだ。戦争の歴史なんてしけた話をするぐらいなら、飯を食おうぜ。

あ、エレンと雫。今日は非番だから自由行動でいいぞー」

 

それを聞いてパッと目を輝かせる雫と、何かを察したのかこちらを見てニヤつくエレン。

「今日非番でしたっけ!?じゃあみんなで遊びに行きましょうよ!お買い物!」

 

「ダメよ雫〜。あなたは私と遊ぶの。」

 

「えーみんなで行こうよ?」

 

「私が雫と一緒に行きたいのよ〜。ね、お願い雫ぅ〜。」

 

「そ、そこまで言うなら‥ってエレンちゃん胸苦しい‥」

豊満なバストで雫の頭部を圧迫するエレンは俺にウインクをした。

 

「全く、エレンには敵わないな。」

 

「そうかしら〜?」

 

俺たちの会話に疑問符がついている雫。

「?何のことですかぁ?」

 

「こっちの話だよ。ほら、飯来たぞ。」

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