デクとキラの二重奏   作:ルーシー統括主任

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同伴中、本日二回目のスタバに連れていけたので数時間かけて仕上げました。アイスモカ3杯目。お腹を犠牲にしました。


第3話 「薄闇に響く再びの声」

 

雄英高校の一室では、実技試験の採点を終えた教師たちがモニターを囲んでいた。画面には各演習場の映像が流れ、緊張感と活気が混じる声が響く。

「実技総合、成績出ました」と一人の教師が報告。モニターに映し出されたのは爆豪勝己だ。

「救助ポイント0で1位とはなあ!」「タフネスの賜物だ!!!」と教師たちは感嘆の声を上げた。

映像が切り替わり、今度は緑谷出久が映る。「対照的に敵ポイント0で7位か。アレに立ち向かった生徒は過去にもいたけど…ぶっ飛ばしちまったのは久々に見たね」と、ある教師が苦笑交じりに呟いた。別の教師が頷き、「あの覚悟は評価すべきだ」と付け加えた。

 

合格通知翌日の夜8時。緑谷出久の携帯にオールマイトからの連絡が入り、彼は多古場海浜公園へと向かった。波の音が静かに響く中、暗闇に立つ筋骨隆々の姿が現れる。

「合格おめでとう!」オールマイトが力強い声で祝福した。「一応言っとくが、学校側に君との接点は話してないぞ。君、そういうズルいのは気にするタイプだろ?」

出久は穏やかな笑みを浮かべ、「オールマイトさん、お気遣いありがとうございます」と好青年らしい返答をする。

「さん付け?」とオールマイトは内心で引っかかった。普段は呼び捨てだった少年の変化に違和感を覚えたが、深く追及はしなかった。

出久が続ける。「オールマイトさんが雄英の先生だなんて驚きましたよ」

「発表までは他言無用だからな!」とオールマイトは笑いながら釘を刺した。

 

だが、出久の心は冷え切っていた。かつてのヒーローオタクなら脳死で駆けつけただろうが、今の彼は夜神月。無計画にここへ来るはずがない。「ワン・フォー・オール、一振りで身体が壊れてしまいました。僕には扱えないかもしれないです。」と切り出す。

オールマイトは即座に答えた。「それは仕方ないさ。突如シッポが生えた人間に芸を見せろと言っても、操るどころか立つことすら難しいって話だよ。」

出久の瞳が鋭くなる。「ああなることは、あなたには分かっていたんですか?」

「まぁ、時間なかったし…でも結果オーライ!!! 結果オールマイトさ!!!」とオールマイトは笑ってごまかした。

出久の内心は苛立ちに満ちていた。「ダメだこいつ…早く何とかしないと…。」

 

オールマイトは少し間を置き、真剣な口調で言った。「今は100か0かだ。だが調整が出来るようになれば、身体に見合った出力が扱える。鍛えれば鍛えるほど、力は自由に動かせるようになるさ!!!」

そう言って痩せた姿から変身し、筋肉を見せつけるポーズを取る。ファンサービスのはずが、出久にはまるで届かない。それどころか、彼の頭は別の計算に支配されていた。「個性の鍛錬が滞ればキラとしての裁きに支障が出る可能性が高い...。優先順位を上げる必要があるな」と心の中で呟いた。

 

帰宅後、彼はデスノートを開き、淡々と裁きを続けた。既にデスノートを手にして数日。そろそろ来る頃だと予想していた矢先、後ろから聞き慣れた声が響く。「気に入ってるようだな」

振り向くと、そこには不気味な笑みを浮かべる死神リュークが立っていた。

出久は微動だにせず、平然と見つめる。それを見てリュークが問う。「何でそんな平気な顔してんだ? 普通の人間なら俺を見てパニックになるぜ。デスノートの落とし主、死神のリュークだ。よろしくな」

「リューク、よろしくね。僕は緑谷出久だ」と月は簡潔に返す。

「初対面でそんな落ち着いてる奴は初めてだぜ、出久。どうやらそのノートがただの物じゃないって分かってるみたいだな?」とリュークが興味深く探る。

「ああ、分かってるさ」と月は涼しい顔で答えた。

 

ノートに目をやったリュークは、ぎっしり書き込まれた名前に鼻息を荒くした。「くくっ…すげえな。逆にこっちがビックリだよ。過去に何度かノートが人間界に出回ったことはあったが、数日でこんな殺しまくる奴にまた会えるとはな!」

夜神月はこの時点で完全に確信した。この世界が僕の死後の未来で、死神界も僕が生きていることを知らない。リュークに正体を明かすか迷ったが、隠し通すのは難しいだろう。

即座に決断し、彼は口を開く。「リューク、僕は緑谷出久じゃない。本当の僕は夜神月だ。何らかの理由でこの世界に戻ってきた」

「お前、俺が殺したはずだろ? 何で生きてんだ?」とリュークが驚きと疑いを込めて問う。

「さあ、どういう理屈か分からない。デスノートを使った人間は天国にも地獄にも行けないと言っていたが、僕は輪廻転生でもしたのか?」

「全く分かんねえな。死神大王に聞いてみるか?」とリュークが提案しかけたが、月が制止する。

「待て、リューク。この超常だらけの世界で、前世より面白い景色を見せてやる。今度こそ僕が新世界の神になる。それに、リンゴ食べたいだろ?」

「さすがライト、気が利くぜ。じゃあ楽しみにさせてもらうよ。」とリュークは不気味に笑った。

 

だが、会話はそこで終わらなかった。リュークがふと思い出したように、翼を少し揺らしながら問う。「なぁ、ライト。今回は前みたいにお前の父ちゃんが警察関係者じゃねえだろ。情報集めるにも限界があるんじゃねえか?」

その言葉に、夜神月は鼻で小さく笑った。「ふん。そんなこと、とっくに計算済みだよ。」とすました顔で言い放つ。

リュークが首を傾げ、「ほう?」と興味を煽るように促すと、夜神月は冷たい瞳を光らせながら続けた。

「ヒーロー科は体育祭が終わると、ヒーロー事務所への職場体験が始まる。そこで信頼関係を築き、仮免許を取得。その後のインターン期間にデータベースの場所と侵入経路を突き止めれば、あとは前世と同じだ。裁くだけだよ。」

言葉には一切の迷いがなく、まるで既定路線を語るような確信が宿っていた。計画の緻密さと冷酷さに、リュークは一瞬目を丸くした後、口元を歪めて不気味に笑い始めた。

「くっくっく…やっぱり死神より死神してるな、お前。」と低く響く声で呟いた。

 

夜神月は内心でほくそ笑んだ。「この世界では個性が捜査を複雑にする可能性もあるが、ヒーロー社会の仕組みを利用すれば、前世以上の効率で裁ける。父が警察官でなくとも、僕には頭脳とデスノートがある。」

リュークがさらにからかうように、「前世じゃLとかニアとかいう奴に追い詰められてたよな。今度はどんな敵が現れるか楽しみだぜ。」と言いながら、空中で身を揺らす。

「その時は、その時だ。敵が現れようが、僕の計画は揺るがない。」と夜神月は静かに、だが絶対的な自信を込めて応じた。

「へぇ、さすがライトだ。じゃあリンゴくれよ。話聞いてたら腹減ってきた。」とリュークがだらけた口調でせがむ。

夜神月は机の引き出しからリンゴを取り出し、放り投げる。「お前も相変わらずだな。」と一瞥して、デスノートに目を戻した。

リュークはリンゴをかじりながら、「くくっ、これからが面白くなりそうだぜ。」と呟き、暗い部屋にその笑い声が反響した。

 

春。入学当日の日の朝。緑谷家では母が慌ただしく出久を見送る準備をしていた。「出久、ティッシュ持った? ハンカチは? ハンカチも!!!」

「全部持ってるよ。心配性だなあ、母さん。ただの入学式だよ。」と出久は余裕の表情で返す。

母は息子の変わりっぷりに目を細め、「出久!!! 超カッコイイよ!!!」と微笑んだ。

「行ってくるよ、母さん。」と言い、彼は堂々とした足取りで家を出た。誰が見ても好青年そのもの。裏でキラとして暗躍しているとは誰も想像しない。

リュークが後ろから茶化す。「ライト、やっぱお前作り笑顔上手だなあ!!!」

 

校舎に着き、パンフレットの地図を頭に叩き込んだ出久は迷わず教室へ向かう。「やけに広い校舎だな。」と感じつつ、巨大な「1-A」のドアに辿り着いた。「ここか。」

中では爆豪勝己と飯田天哉が口論を繰り広げていた。

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や製作者に申し訳ないと思わないのか!!!」と飯田が注意。

「思わねえよ。てめえ、どこ中だよ、端役が!!!」と爆豪が返す。

「僕は私立聡明中学出身。飯田天哉だ。」と飯田が律儀に自己紹介すると、爆豪は「聡明〜!? クソエリートじゃねえか。ぶっ殺しがいがありそうだな。」と挑発した。

 

月は仲裁に入ることを決めた。爆豪が気に食わない存在であると同時に、クラスでの信頼を早々に築く為に利用させて貰う。「お互い初日なんだから、ここは冷静になろう。雄英に来た目的を見失うのは勿体ないよ」と正論を織り交ぜ、饒舌に話を収める。

一見好青年の行動だが、爆豪にしか見えない角度で嘲るような笑みを浮かべた。爆豪は内心で激昂したが、入試以来の出久の変化に警戒し、手を出すのを控えた。

飯田が向き直り、「緑谷くん…君は実技試験の構造に気付いていたんだな。俺は見誤っていた。悔しいが、君の方が上手だった。」と悔しさを滲ませて認めた。

 

爆豪が睨む中、後ろから明るい声が飛んできた。「あ!!! そのモサモサ頭は!!! 地味めの!!!」

試験で助けてくれた少女、麗日お茶子だ。好意的な笑顔で話しかけてくる彼女に、月は落ち着いて対応。「あの時、直談判してくれてありがとう。」と目を見て礼を言う。

 

爆豪はそれを見ながら、中学での記憶を思い出した。合格発表後、教師が「緑谷は奇跡中の奇跡だ」と褒めた後、校舎裏に緑谷を呼び出し、緑谷の胸ぐらを掴み、「どんな汚え手使ったんだ!!!」と詰め寄った。だが、今の緑谷は怯まず、逆に爆豪の手首を掴み、「僕の邪魔をするなら、幼馴染だろうが許さない。」と冷たく言い放った。その記憶が蘇り、爆豪は内心呟く。「反抗しやがって…お前の化けの皮を剥がしてやる。」

 

キャピキャピした会話が続く中、寝袋から声が響く。「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ。」

一同が「なんかいる!!!」と驚く中、「担任の相澤消太だ。よろしくね。」と寝袋から出てきた男が自己紹介。

「さっそくだが、体操服着てグラウンドに出ろ。」と指示し、1-Aの生徒たちは従った。

 

「個性把握テスト!?!」と驚く一同。お茶子が「入学式は?? ガイダンスは??」と聞くと、相澤は呆れた顔で、「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事に出る時間はないよ。」と一蹴。

「雄英は自由な校風が売り文句。それは先生側も同じだ。爆豪、中学のソフトボール投げ何メートルだった?」

「67メートル。」と爆豪が答える。

「なら個性使ってやってみろ。思いっきりな。」

「死ねぇぇ!!!」と爆豪が叫び、ボールを投げる。一同が「死ね?」と困惑する中、記録は705.2メートル。

「705メートルってマジかよ!」「おもしろそく!!!」と生徒たちの声が上がる。

相澤が呟く。「…面白そう…か。」そして死んだ目で続ける。「ヒーローになる3年間、そんな腹づもりで過ごす気か? よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分とする。」

 

出久は焦りを覚えた。「余計なことを…!!!」

夜神月にとって、個性の無断使用が禁じられた社会で鍛錬の場は雄英しかない。雄英に入学してからコントロールの鍛錬を始めようとしてたのだ。除籍は計画の崩壊を意味する。自分の甘さを痛感し、リュークが茶化す。「ライト、ピンチじゃーん」

相澤は不快な笑みを浮かべ、「生徒の如何は先生の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」と締めくくった。

 




- 緑谷出久
雄英入試を7位で通過し、1-Aに所属。「ワン・フォー・オール」で身体を壊す。裏ではデスノートでキラとして裁きを続ける。前世の夜神月として、新世界の神を目指し、雄英を隠れ蓑に利用する冷徹な少年。
-オールマイト
No.1ヒーローで出久の師。雄英の教師として個性の調整を指導。出久の変化に気付かず、彼を未来の希望と信じる。
- 爆豪勝己
出久の幼馴染で1-Aの生徒。入試1位の実力者。「爆破」の個性で705.2メートルを記録。出久の変貌に警戒し、対抗心を燃やす。
- 飯田天哉
1-Aの真面目な生徒。試験での出久の実力を見誤り、悔しさを抱く。爆豪と口論しつつ、クラスでの秩序を重視。
- 麗日お茶子
1-Aの明るい少女。試験で出久を助け、ポイントを譲り、彼に好意的な態度を見せる。無重力の個性を持つ。
- 緑谷の母(緑谷引子)
出久を育てるシングルマザー。息子の合格と成長を喜び、心配性ながら見送る。裏の顔は知らない。
- 相澤消太
1-Aの担任で厳格な教師。個性把握テストで最下位除籍を宣言し、生徒に現実を突きつける。
- リューク
出久にデスノートを落とした死神。夜神月の正体を知り、面白がって同行。リンゴで釣られつつ、彼の計画を見守る。
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