「ジャージャジャーン、ドッキリ成功!」
「………はい?」
気が付いたら、何もない真っ白な空間にいて目の前の青年からそんな事を言われたので頭の処理が追いつかず、碌な反応ができなかった。
「えぇっと確か、自室でゲームしていた筈ですが?」
「うん、そこそこメジャーな海戦ゲームをしていたね」
「一体、そこからどうやってここに連れてきたんです?」
「そりゃあ、君を転生させる為に因果律をちょちょいと弄って心不全を起こさせたからね」
「そっかぁ」
因果律を弄れれば、普通に病気を起こしそうにない健康な体を心不全でくたばらせる事もできるのかぁ。
「って、信じられます? そんな事いきなり言われて」
「まぁ、当然だね。ただ、神様の力を持ってすれば簡単な魔法すら使えない地球人類の体や科学技術なんて簡単に弄れるんだよ?」
「神様………て事は貴方が神様って事でオーケー?」
「理解が早くて助かるよ。信じられないだろうけど、僕の気まぐれに付き合ってくれると余計な手間が省けて助かるよ」
どうやら、目の前の青年は自称ではあるが神様らしいし、仮に神様でなくとも人間を好き勝手にできる時点でこちらからは手出しできない上位存在なのは確かだろう。
「分かりました。こちらができる範囲でよろしければ」
「困惑しながらも受け入れるんだね?」
「人間を実験動物みたいに好き勝手に弄れる存在相手に対して、歯向かう勇気は俺にはありませんからねぇ。受け入れた方が良いと判断しただけですよ」
「冷静に現実は見えている訳だ。まぁ、拒否をして暴言を吐きまくる様な輩だったら速攻で始末していたから運が良いね」
「嬉しくはないっすねぇ。俺みたいなボンクラを選んだ時点で悪い予感しかしないです」
実際、社会ではうだつが上がらない平々凡々な会社員だったし、彼女いない歴がイコールで年齢な童貞人間を選出した時点で、どこぞやの財団でモルモット扱いをされているDクラス職員並の未来しか予想できない。
「なぁに、そこまで難しい話じゃないよ。単純に異世界転生をして好き勝手に暴れて楽しませてほしいのさ」
「余興感覚で人の生死を好き勝手に弄られるのは困るんですが………それだけ、暇なので?」
「神様にでもなると基本的に工夫さえすればできない事はないんでね。大抵、面白そうな事を思い付いてもすぐに暇になっちゃうんだよねぇ」
「それだったら仕方ない………仕方ないのか?」
そう言えば、人間と言うのはそう簡単にゴールに辿り着けない目標やら何やらがあってそれに向けて邁進すれば、退屈な時間はそこまで感じないってどこかの誰かさんが言っていた様な気がするな。
つまり、何でもできるってのはそれだけ、苦労しないで何でもできてしまうから大半の時間が暇になってしまうんだろうなと思いながら転生させる話を聞いた。
「それで、転生先の世界って決めていたりします?」
「勿論。行き先はGANTZだね」
「いや死ぬぅ。陰キャな俺なら最初のミッションですぐにくたばる自信がありますよ?」
「そこは安心して良いよ? 戦闘センス抜群、人に舐められない容姿、その世界に必要な各種スキルはサービスするから」
「それだったらまぁうん。何とかなる、かな」
実際問題、原作は知っているものの仏像星人編やら鬼星人編やらで生き残れる自信はないし、何なら間のミッションでもサクッとくたばる自信はあるのでGANTZ世界に放り込まれるんなら、それだけでもありがたい。
「その代わり、原作終了まで生き残れたらまた異世界転生するからよろしくね?」
「マジか。GANTZ世界での影響ってあります?」
「ないね。その時点での能力と共に複製を取って複製を異世界転生させるし、クリア報酬も出すしね」
「なら大丈夫そうっすね」
どうやら、彼の余興に原作終了した後も付き合わされるらしいので一瞬、居ない存在にされるのかと思ったがガンツの複製人間の様なシステムで別々の生き方ができる事に一安心だな。
いやまぁ、スワンプマンの思考実験みたいに2つの雷が落ちて片方が人に当たってくたばった一方で、もう片方の雷が沼に落ちて天文学的な奇跡によってくたばった人と分子レベルで同じ体や服装で、くたばる直前の記憶や性格を持つ人が生まれたとする。
そして、沼から生まれた方の人はくたばった方の人がそれまで築き上げてきた色んなものに溶け込んで成り変わる、と言う思考実験みたいに成りかねないのでそれはそれで困るのだが今の俺に拒否権はないので受け入れるしかない。
その為、彼の導きの元でGANTZの世界に飛び込むのだった。