Re:黒い球と共に   作:八雲ネム

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第3話 採点

 ちーーーーーん

 

 その音と共に、タイムリミットを示していたガンツの表面が『それぢわ ちいてんをはじぬる』に切り替わった。

 

 

 

じゃっく

 

てん

 

TOt94てん

てん

 

「94!?」

「この犬がッ!?」

「俺らにとっての大切な相棒だからね。君らよりも遥かに強いよ?」

 

 ジャックは、原作開始からあばれんぼう星人・おこりんぼう星人編まで登場していたボーダーコリーであり、彼に指示を送る役である軍隊におけるハンドラーに恵まれなかった為、原作では大した活躍ができずに退場してしまった可哀想な犬である。

 とは言え、この世界では牧羊犬としての高い運動・訓練性能を有している事と、彼自身の利口さや俊敏さを活かした躾を俺が行なった事で星人相手でも臆する事なく、立ち向かえる頼もしい相棒となった。

 その結果、この1年で100点クリアを2回も達成している優秀な狩人に成長したし、犬由来の鼻の良さで()()()()()でも頼りにしている相棒でもある。

 

 その代わり、毎日の朝夕に行うトレーニングをしないといけないが原作終了まで生き残る為の必要経費として、多めに見ているのだがそんな背景を知らない彼らからすれば驚くのもやむなしだが、ジャックからすれば少し不満げである。

 

(後で美味いもん食わせてあげるから我慢してちょ)

 

 そう思っていると、次々に採点結果が表示されていった。

 

『巨乳 0てん ちちでかすぎ すーつきててもえろい』

 原作でもそうだったのだが、彼女を痴女扱いする傾向にあるので少し可哀想な気もするが、読者だった頃からエロく感じていたので彼女自身の遺伝を恨んでもらうしかない。

 後、妙に察しの良い美哉に一発殴られた。

 

『かとうちゃ(笑) 0てん おおかとうちゃ(笑) くってかかりすぎ』

 元々、身体能力が高いものの原作開始時点では不良高校の一般男子学生だったのでやむなしではある。

 彼が覚醒するのはぬらりひょん編だったし。

 

『西くん 0てん TOtAL87てん あと13てんでおわり』

 こっちは原作と違って点数に変化なし。

 美哉とジャックがターゲットを排除しちゃったしね。

 

『くろの 0てん 巨乳みてちんこたちすぎ』

 男子の中高生ってこんなもんじゃない?

 俺もだったし。

 

『みっくん 0てん TOtAL98てん あと2てんでおわり』

 こっちも同居人にターゲットを譲っているので当然の結果だろう。

 次は………田中星人だったか。

 

『美哉ちゃん 3点 TOtAL100てん 100点めにゅ〜から選んで下さい』

 

(やはり、原作が始まってから最初のミッションだからか点数としてはかなり低い。それだけ、最底辺レベルの星人だって事だろうが)

 

「100点?」

「どうなるんだ?」

「この100点メニューってなんだ?」

「これが俺らが星人を殺す理由だ。ガンツ、メニューを表示してくれ」

 

 そう思っていると、玄野達が首を傾げていたので100点メニューを見せる様にガンツに言うと次の内容が表示された。

 

1.記憶を消されて解放される

2.より強力な武器を与えられる

3.MEMORYの中から人間を再生できる

 

「100点を取ればこん中から選択できるって訳。美哉、今回はどうするんだ?」

「2番でよろしく」

 

 その言葉と共に、TOTALでの点数から100点分が差し引かれるのと同時に彼女には新しい武器が与えられた。

 確か、彼女の場合は5回目のクリアだったからハードスーツだったか。

 ここら辺の設定って、原作で明らかになっていない事から諸説あるのでこう言った原作に描写されていない所では、原作知識が役に立たないんだよねぇ。

 

 まぁ、新しい武器は次の機会に任せるとして全ての採点が終わった事から、ガンツの表面から灯りが消えたのでこれで今回のミッションは終了となる。

 

「さて、生き残った君らは色々と聞きたいんじゃない?」

「そうだ。色々聞かせてくれよ」

「お前ら、色々知ってそーだしな」

「いいぜ、俺らが知ってる範囲でなら」

 

 その為、玄野達にミッションが終わった事を暗に伝えるとハッと気が付いた様にそう言ってきたので、質問する時は詳しい内容で頼むと言うとまずは玄野から聞いてきた。

 

「まず、アンタらは一体何者なんだ? かなり慣れてるみたいだが」

「宇宙人って言ったら信じるかい?」

「信じたくはねぇが、そうだとしたら証明してほしいぜ」

「まぁ、冗談は兎も角として俺は朝倉 道彦。ミッション外の私生活で言うなら3年前に来ちまった通信制の大学に通ってる一般人さ。彼女は守屋 美哉で2年前から来ている高校生だな。こっちのワンコはジャックで1年前から来ている」

「俺は西 丈一郎。普通の中学生で来たのは1年前だな」

「ど、どーゆー事だ?」

 

 その内容に、冗談混じりの返事をすると真面目に受け取ってしまいそうだったので本当の事を言うと、西も普通の人間だと言う事を言ったのだが彼らには俺達が言いたい事を察する事ができなかった。

 

「分かんない? 想像力を働かせろよ。昔から繰り返して来たんだよ。今夜みたいなこと」

「じゃ、じゃあなんで100点メニューとかを始まる前に言わなかったんだ?」

「言われた所で君らは信じたかね? 星人と呼ばれる宇宙人を討伐して100点を取らないとこの部屋から脱出できない、なんて話を」

『………』

 

 西の言葉に、加藤がそう聞いて来たのでミッションが始まる前の彼らを思い出させる様に俺が答えると、玄野達は押し黙ってしまったので言われた所で容易に信じなかった事を想像できたんだろうな。

 

「じゃあ、あのねぎ星人とかってのは一体なんなんだ?」

「それに関する情報は一応、ある程度は持っているが今は言えない。下手に伝えた所で今の君らがミッションに前向きに参加するとは到底、思えないからね」

「なんだよ、それ」

「ただ、定期的に呼び出されている事から察するに地球人類にとってはよろしくない事は言えるんじゃないかな」

 

 玄野の問いに、はぐらかしながら答えると少し不満げだったが現状の彼らでは、能力的にも精神的にも才能が開花していないのでこうするしかない。彼らも時期が来たらいずれ分かるだろうしね。

 

「定期的にって事は、俺らみたいな奴が前にも来ていたのか?」

「勿論。ガンツ、今までに死んだ奴を表示してくれ」

 

 今度は加藤の問いを証明する為、ガンツに指示すると表面に縦横20マスずつの400枚の写真が表示されたので1番右下のを見る様に伝えると、今回のミッションでくたばった連中が映し出されていた。

 

「俺らが服の下にスーツを着込んでいる事を気付いた奴は、そう多くなかったが今回の連中はかなりの間抜けとしか言いようがない。よく分からん所に来て碌な装備を持たずにミッションに飛ばされたんだからな。それなのに君は気付いた。えぇっと」

「玄野、玄野 計だ」

「初心者にしちゃ、目敏く気付いたな。玄野」

「あぁ。妙に慣れている感じがしたからな」

「まぁ、あれだけ堂々としてたら誰だって気付くだろ」

「だよなぁ」

 

 俺と玄野の会話に、西がニヤニヤと笑みを浮かべながら茶化してきたので今回のはわざとらしすぎただのと、軽く会話をしてから玄野達に再び話を振った。

 

「さて、他に質問は?」

「じゃあ、最後に質問させてくれ」

「どうぞ」

「お、俺達ははっきり言って一度死んだと思っていた。そしてさっき、アンタが言うミッションとかって間は外の人間に見えていない様だった。それって生きてんのか? どうしても気になる」

 

 遂に事の本質に近付いたな。

 まぁ、ガンツ部屋に来る時点で大抵の人は何かしらの要因で一回は死んでいるので、当然の疑問ではあるのだが下手に勘違いさせない為にも彼らには残酷な事を言わないといけない。

 

「生きているか、死んでいるかで言うなら生きてはいる。但し、オリジナルの君らは死んでいると考えているよ」

「!?」

「ど、どーゆー事だ?」

「選ぶ基準自体は、ガンツ側がランダムで決めてるんだろうがミッションが始まる数時間以内に何かしらの理由で死んだ人間の中から何人かを選び、ガンツ部屋に転送するのと並行してそいつらが持つあらゆる情報をガンツに登録。100点メニューで3つ目を取った際なんかにその情報を元に復活させていると考えている。差し詰め、ガンツはファックス本体だな」

 

 実際、玄野達の様にトラックや電車に轢かれて粉砕された場合もあるので、体を元の状態に戻すのはかなりの労力が必要になるだろう。

 それなら、くたばった瞬間の体を元に新しく作った方が安上がりだと判断したと思うのだが、心情的にも確証が持てないのでそこについては深く考えない様にしている。

 

「はぁ? 何がファックスだよ」

「心情的に受け入れ難いのは分かるが、事実だ」

「そこについてはあまり深く考えない方がいいぜー。じゃないと頭がおかしくなっちまうからな」

 

 俺と西の言葉に、玄野達は押し黙ってしまったので他に質問はないかを確認してから今回はお開きとなった。

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