Re:黒い球と共に   作:八雲ネム

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第6話 次のミッション

「………今日か」

 

 岸本が俺達の家に来た当初、借りてきた猫の様に緊張していたが美哉との交流で1ヶ月が経つ頃にはこの家にもすっかり馴染んだ様だ。

 家事の手伝いもするし、ジャックの遊び相手もしてくれるので気を紛らわせるには充分だった様で、途中から高校の勉強をしたいと言ってきた時には驚きはありつつも止める理由がないので教科書と筆記用具、後は辞書などの一式を買い与えてさせる事にした。

 学歴も含めた戸籍を作っている途中とは言え、中卒までしか網羅していないので新しく一年生から入学し直すか、編入するかは戸籍を渡す時に聞いてみるとして今夜はガンツのミッションがある事を示す寒気を感じたので、居間に向かうと美哉達も感じた様子で俺に聞いてきた。

 

「今日だよね?」

「あぁ、準備した方がいい」

「あーあ、ヤダなぁ」

「仕方ねぇだろ。あの部屋に呼ばれた宿命だよ」

「分かってるわよ」

 

 俺らの会話を聞いていた岸本が率直な感想を述べたが、西みたいな感性がぶっ飛んでいる様なタイプや俺の様な目的があって参加しているのなら兎も角、平和な日本で特殊な仕事やアングラな仕事に就いていない限りは彼女の感想は正しいし、大抵の人がそう思うのは当然である。

 とは言え、あの部屋に呼ばれた以上は100点メニューで解放される事を選択しない限り、ミッションがある度に呼ばれるのでそんな事を言いながらジャックにガンツスーツを着せて各々で準備をして待つ事にした。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「よー」

「おーす」

 

 どうやら、西の次に呼ばれた様で彼以外に居ない事から俺が2番目に呼ばれたらしいので、今の内に100点メニューの武器で持っていくものを選択しておく。

 

(確か、今回は田中星人で西がくたばるミッションだったな。ターゲットは巨大な鳥人と人形が多数だったから……これとこれ、後はこれとこれだな)

 

 原作知識があるとは言え、100点メニューの武器に関しては諸説あるので何回目にこの武器が追加される、と言った明確な情報がなかったもののこの世界では以下の通りに追加された。

 

 1回目:Zガン

 2回目:星人の点数が分かるPC

 3回目:Lロケットランチャー

 4回目:飛行ユニット

 5回目:ハードスーツ

 6回目:サテライトキャノン

 7回目:巨大ロボット

 8回目:加速ユニット(時間制限あり)

 9回目:即死攻撃無効(1回のみ)

 10回目:ミッション中の残機増加*1

 

 正直に言って10回以上の100点クリア、計1,000点以上を取るのには高得点だが超危険な星人を討伐しないといけなかったから、回数を重ねる度に何度も死にかける思いをした。

 スピンオフ作品に登場したひょうほん星人とか、他県のガンツメンバーがミッションに失敗して尻拭いを任されるレベルのヤバいぐらいに強い星人とかな。

 そんな状態を何とか切り抜けて、原作開始まできたので原作にはない初見殺しな星人や、どこぞやの通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃なお母さんみたいな星人が相手ではない限りは大丈夫だろう。気は抜けないが。

 

 そんな訳で、今回のミッションで持っていく100点メニューの武器はZガンと飛行ユニット、それにサテライトキャノンを選択した。

 加速ユニットは、ミッション中の任意のタイミングで発動させる事が可能だし、即死攻撃無効と残機の増加はその条件に当て嵌まる状態になった際、自動的に発動するパッシブスキルみたいな物なので特に問題はない。

 他県に出張、と言うイレギュラー以外は概ね原作通りに進んでいるので今回のミッションも問題ないだろうが、個人的な懸念点は原作序盤で東京チームのメンバーが壊滅した千手仏像星人や大阪チームと共同で撃破したぬらりひょんでメンバーの内、何人が生き残れるかだ。

 

 千手仏像星人の時は玄野以外が全滅したし、映画のGANTZ:Oでは作劇の都合で加藤を含めて3人にまで減らされていた為、いくら強化武器があってチート能力が付与されているからと言っても、単独でできる事に限りがある以上は玄野達にも原作の様に強くなってもらわないと俺が困る。

 まぁ、今回か次回のミッション以降で彼らの方から言ってくると思うから特に気にしてはいないが、そうじゃなかったら半強制的に付き合ってもらおう。じゃないと俺が過労で潰れかねんし。

 その為、100点メニューの武器を選べる端末を置いてガンツが居る部屋に戻ると美哉や岸本、玄野達が転送された後の様で後は新規メンバーが転送されるだけである。

 

(新規メンバー、も違和感なし。恐らく、原作通りに来ているだろう。となれば………)

 

 美哉は、俺が100点メニューの武器を選び終えた事を察して彼女も選びに別室へ行ったので、騒がしい新規メンバーを片目に様子を見ていると加藤が俺に話し掛けてきた。

 

「話した方がいいか?」

「言っても信じないだろうから俺からは言わねぇ。だが、止めはしないからお好きにどうぞ」

「分かった。みんな、聞いてくれ!!」

 

 一日の長、と言うのも変だが何十回もミッションを経た経験則から新規メンバーには特にこれと言って説明はしないのだが、この頃はまだ青臭い正義感が溢れる加藤がミッション前に状況説明をするのだが、柄の悪いチンピラ達はハナから信じてはなさそうである。

 その為、話半分で聞き流しているのだが老婆と共に来たであろう子供のギャン泣きが煩く、きっとかなりの我儘小僧に育った結果だろうと推測するがあまり踏み込まない方が良いだろうな。面倒臭そうだし。

 そして、高校生ぐらいの男女はチンピラ達と比べて大人しいもののこちらもやる気がなさげなので、戦力にはカウントできないだろうな。

 

(こうなると作中の新宿大虐殺は中々のファインプレーだったんだな。それ以前の千手仏像星人達に殺されたメンバーも中々の粒揃いだったのだが)

 

 そんな事を考えていると、ラジオ体操の曲が流れて討伐対象の星人が表示され、ガンツが展開されるお決まりの流れになったので加藤はガンツスーツに着替えに行ったのだが玄野が着替えようとしないのだ。

 これが実況Jに中継されていたら、「悲報、玄野氏死亡」のスレタイでも付けられていたんだろうなと思う一方、この頃は一般人に毛が生えた程度なんだから仕方ねぇだろ?と思う気持ちもある。

 その為、彼に同情しながら岸本の側に立って警戒していると武器を選び終えた美哉も岸本を挟む様に立って転送されるのを待っていると、西も玄野がガンツスーツを着ていない事に気がついて煽った。

 

「まさか…はっ! ははははは、持って帰ったのか? はい1名死亡、決てぇ〜〜〜」

「マジかよ、流石に笑えんて」

 

 玄野には悪いが、流石に持って帰った挙句に着てこないのは舐め腐っていると捉えられてもおかしくない為、西が煽る側で俺が嘆息すると流石の彼でも慌てふためいた様子で俺に聞いてきた。

 

「ど、どうしよう」

「兎に角、生き残る事を考えろ。それ以外はミッションが終わるまで考えるな」

「わっ、かった」

「はぁ? こんな間抜けに助言すんのかよ?」

 

 例え、俺が居なくとも彼ならどうにかするだろうが不確定要素を減らす為にも最低限の助言に留めた。下手に言ってもパニックになってる彼には届かないだろうからな。それにそう言う西も人の事は言えんぞ。

 

「おーおー、最初はパニクってションベンチビってた中坊が言うじゃねぇか」

「誰がチビったんだよ!」

「冗談だ」

「ざっけんな!」

 

 その為、西を揶揄うと年相応の反応を示したのでそう言う所だぞと思いながら話していると、玄野も少しは落ち着きを取り戻してガンツから提供される初期武器であるXショットガンを手に取ったので、一安心するとXガンの音が鳴った。

*1
ミッション中にくたばってもすぐに再生。再生後もそれまでの100点メニューの武器は使用可能。10回目で残機0の状態から+1。以降、100点をクリアして2番を選ぶ度に+1ずつ加算されていく

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