Re:黒い球と共に   作:八雲ネム

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第7話 田中星人

 

 

ギョーン

 

 

(マジかよ。ここまで馬鹿だと話になんねぇ)

 

 俺や西達との会話の最中、興味本位でXショットガンを手に取ったチンピラの1人が西に向けて発砲した。

 GANTZを読んだり、映像作品で視聴した人なら分かると思うがXガン及びXショットガンは引き金を引いてから対象に当たって効果が出るまで一定のラグがあり、効果が出たら大きさにもよるが対象は爆散してスプラッタな状況になるのが普通だ。

 ただし、今回の場合は西がスーツを着ていた事からスーツにダメージが入る事になり、第三者から見れば目立った変化はなかったもののこのダメージが田中星人戦に於ける彼の命運を分ける事になる。

 

 何しろ、日本での星人との戦いは初見殺しな星人の能力を見極めながら戦う事が前提の為、少しのダメージでも受けない様にする立ち回りが必要になるからだ。

 その為、ターゲットがいる区域への転送すら始まっていない現状でダメージが入ると言う事は実質、死刑宣告を受けた様なものであり、その事にキレた西が隠し持っていたXガンをXショットガンを使ったチンピラに撃ち返した。

 その後の惨劇を察した加藤達は、思い当たる節があったので声を出そうとした瞬間に撃たれたチンピラの頭が爆ぜた。

 

「きゃああああぁあああ!!」

「お"え"え"げろぉっ!!」

「うあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」

 

 その惨劇が起きてから数秒後、返り血を浴びた岸本が状況を理解して叫んでから、他のメンバーも理解して玄野が内容物を戻し、戻さなかったメンバーも各々叫んだ。

 俺や美哉からすれば見慣れた光景だったし、ガンツのルールやスーツの限界を知っていたので今回のは不用意に撃ったチンピラが悪い、と思いながら俺は別室に設置してある端末を操作して飛行ユニットとハードスーツも追加した。

 今回のミッションで彼が死ぬにしろ、死なないにしろ、何もしないで放置したら後味が悪いからな。自分勝手な判断で恩の一つや二つ、押し付けるんだから受け取ってもらうぞ。

 

 そんな事を考えつつ、元の部屋に戻ると西が転送され始めていた。

 

「あんま無茶すんじゃねーぞー?」

「はっ、誰がするかよ」

「そう言いながら無茶する中学生が1人、思い至るんだがなぁ」

「チッ」

 

 俺の軽口に対し、不用意なダメージによって気が動転しているであろう西は碌な反論もせずに転送されたので、未だに気が動転している加藤達に声を掛けた。

 

「ボケっと突っ立ってねぇで武器を装備しろ。死にたいのか?」

「!? そうだ! 武器持たねぇと!」

「玄野もしっかりしろ。スーツ着てねぇオメェさんも危ねぇんだから」

「そ、そうだな。これからミッションが始まるんだもんな」

 

 俺の言葉に、加藤たちも我に返って各々が武器を持ったものの顔色が悪い。

 何しろ、前回は星人によって人が惨殺された光景を見たのに対して今回は人間同士で殺し合ったのだ。その衝撃は当面の間、忘れられないだろうが今はそれを消化する時間の猶予はない。

 その為、彼らが武器を持ったのを確認したのだが今回が最初のミッションであるメンバーを生かすかどうかを少し躊躇したが、仏像編以降の過酷なミッションの事を考えて見殺しにする事にした。

 

 チンピラの類はどうでも良いが、年寄りや10歳前後の子供までミッションに巻き込むガンツに思う事はあっても、超高難易度のミッションがたまに発生する状況下では彼らを手助けできる余裕はないので、早めに退場して頂くのが彼らにとっても幸せだろう。

 そう思いながら、次々に転送されていくメンバーを見ながら待っていると俺が最後に転送された。

 

 

 

 

 

「ん、どうなってる?」

「あそこ」

「………ったく」

 

 転送後、自分が選んだ装備を確認してから周囲の確認をすると他のメンバーが橋の下を見ていたので、近付いて美哉に聞くとターゲットとなる田中星人が1人で暴れていた。

 その状況に一瞬、戸惑ったものの誰か   ステルスを使っているから西だろうが   と察した為、田中星人が攻撃の為に空を飛ぼうとした時に田中星人に向けてZガンの引き金を引いた。

 

ドンッ

 

 その瞬間、田中星人は見えない力によって上から潰された為、田中星人の残骸が浮力で水面に上がる頃にはあれだけ騒がしかった川は静かになった。

 

「おーい、西! スーツの残りの耐久、どれぐらいだ!」

「やっぱり、西なのか!?」

「あぁ、俺らはステルスっつー風に呼んでる透明化を使用してるのは今のメンバーでは西ぐらいしかいねーよ。つっても、ステルスを見破られたら今の様になるから万能じゃねぇがな」

「てか、そのスーツって………」

「あぁ、100点メニューの武器の1つだな。君らも頑張れば貰えるかもしれんな」

 

 その為、田中星人と戦っていた奴に声を掛けると加藤と玄野が話しかけてきたので話していると、俺らの近くに来た西がステルスを解除したがかなりやられていたようで、普段の余裕はなくなっていた。

 

「くそっ、かなりやられちまった」

「スーツの耐久、どれぐらい残ってる?」

「………1割もねぇ」

「コイツらを使って援護に回れ。死にたくなかったらな」

「………分かった」

 

 その為、飛行ユニットとZガンを彼に渡して独自に動いてもらうと美哉が話しかけてきた。

 

 

 

 美哉 side

 

「君、戦える?」

「あ、あぁ………状況はよく分かってねーけど」

「だったら左腕にコントローラーがあると思うんだけど」

「あぁ、ある。けどこれは一体なんなんだ? ゲームか何かか?」

「分からない。けど現実そのものだよ」

 

 道彦くんが玄野達と話し合っている間、私は突っ立っていただけの高身長の男子学生に声を掛けると彼は我に返って返事をしてくれたので、軽く事情を説明して協力してもらう事を取り付ける事にした。

 

「事情は分かったが、本当にできるのか? こんなチャチなものでよ」

「心許ないのは理解できるけど、彼も最初は君と同じ立場だったらしいよ?」

「マジか………じゃあ、やるしかねぇよな」

「うん。後で2つの班に分けるけどその際、片方のリーダーをやってもらうつもりでいるからよろしくね?」

「まー、できる範囲でやってみる」

「よろしく」

 

 男子学生が不安そうだった為、ハードスーツを着ている道彦くんを指差しながら言うと覚悟を決めた顔になった為、リーダーを任せる事を伝えると苦笑しながら頷いてくれたので道彦くんに声を掛けた。

 

 

 

 道彦 side

 

「よし、2つの班に分けるぞ! 北の5体は暴走族(あんた)ら3人とそこの北条(イケメン)、貞子にお婆ちゃんと子供で行ってくれ! 東の7体は残ったメンバーで駆除をする!」

「お前がボスかよ!」

「わりーが時間がねぇから文句なら後で聞く! すぐに向かってくれ!」

 

 美哉曰く、高身長イケメンの協力を取り付けたとの事だったのでチームを分けて駆除してほしい事を伝えると、暴走族(チンピラ)の1人が文句を言ってきたので適当に流しながら命令を下すと新規メンバーの大半は渋々と従ってくれた為、俺らも行動に移した。

 

「にしても美哉、よく言いくるめたな」

「ああ言うのは比較的簡単。申し訳なさそうにお願いすると大抵の場合は聞いてくれる」

「そのやり方は男の俺がやってもあんまり効果なさそうだなぁ」

「そんな事ない」

 

 移動中、俺と美哉で話し込んでいたのだが目的の場所に着くと既に建物が建っていたであろう場所には、いくつもの大きな穴が開いていたので加藤がコントローラーでマップを表示しようとした瞬間、空から何かが落ちてきた。

 

「マジかよ」

「………嘘でしょ」

 

 落ちてきた物は西の頭部であり、空を見上げると筋肉がやたらと発達した鳥人間的何かが空を飛んでいた為、俺はその鳥人間に向けてハードスーツの掌からビームを乱射して駆除した。




旧作では生き残っていた西君、本作では死亡。
敗因:スーツに残ったダメージを無視してチキン戦法をした結果、鳥人間を仕留め切れずに首を引きちぎられて死亡。
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