ユメ先輩「ひぃん!!ギルドは狩猟を要請するよ!」 作:まつ毛とパンツ
アビドス砂祭り当日。その日のベースキャンプはいつも以上に大にぎわいを見せていた。
「景気づけにかんぱーい!!」
「「「イェェェェーイ!!」」」
かっん!!とたんまりとビールが注がれたジョッキを軽くぶつけるように乾杯を行い、景気づけにアプトノスのお肉を使った肉料理をツマミに、支障がない程度にビールを飲む外から集まった名誉やお金目的のハンター達。
なに、キヴォトス調査隊はファビウスが厳選した選りすぐりのエリートを集めているが、彼らのようにジエン・モーランと戦えると聞いてやって来たハンターの中には世間一般的な荒くれ者も多い。流石に人様に迷惑をかけることはないが、景気づけに一杯…やるのもよいだろう。
「凄い連中が勢いよくビール飲んでる…」
「ん、お肉美味しそう」
アビドス2年生であるアズサ、シロコ、ノノミが景気づけに飲んでる在野のハンター達を見て驚く。在野と言えど、4人未満でリオレウスを討伐経験がある凄腕のハンター達だ。防具や武器も強いモンスターの素材から作られており、経験も豊富である。
とは言え、顔面が発光していたり、重ね着が魔法少女ではなく魔法漢女(物理)だったり、何処から見てもボーボボだったり、フェイスペイントとモヒカンヘアーでウルトラマンになってたりは内緒である*1。
そしてこのアビドス砂祭りはアビドスだけではない、トリニティやミレニアムからも注目されており、両自治区から報道陣が駆けつけ…なんとキヴォトス全域で生放送でテレビに映るのだ。
アビドス砂漠に住み、砂漠に適応した鯨のように自由に生きるジエン・モーラン。人間に危害は一応加えない自然と共に適切な距離感さえ保てれば共存出来る古龍であるが、その体躯は圧巻の一言。その迫力を伝えたく、ジエン・モーランと欲にまみれた人間との生存競争を撮りたいがために報道陣はアビドスに集まったのだ。
「はい、皆さん朝早くおはようございます!!此方はミレニアム放送局です!!見てください、この活気!!いよいよ、本日…アビドス砂祭りが開催されます。
正式名称は超大型古龍撃退作戦。かつてアビドスの貧困を救いし救世主ジエン・モーランがもたらすのは莫大な富なのか…それとも大損害なのか、目が離せません!!」
ミレニアムからやって来た報道陣はベースキャンプで取材を行っており、沢山のハンター、アルバイトとして活躍する生徒達、そしてお金と名誉目的で集まったアビドス自治区の市民達をカメラに納める。今から2時間後には砂上船に乗り込んで、ジエン・モーランとドンパチやりあっているのだから…現場の盛り上がりも最高潮だ。
「見てください!様々な露店も沢山出ています。商人の皆様も稼ぎ時のようですね。ガレオスやデルクスの鱗を加工したアクセサリー、化粧品。彼方には屋台でしょうか?新鮮なデルクスのキモ刺し、串焼きなどが販売されています」
祭り本番には参加しないが、祭りの前後で疲れたハンターを労うためなのか、多くの屋台が飲食を提供しており、デルクスのキモ刺身、串焼き、ガレオスの鱗を加工した化粧品やアクセサリーも販売されている。お土産にちょうど良いのかも知れない。
「あっ!!皆さん見てください!!彼処に、ミレニアムの学生がいます。間違いありません…アリスさんとアルシュベルドですね!ちょっと、声をかけて来ましょう」
やがて報道陣は作戦前に食事を食べるアリスとアルシュベルドを見つける。
「アリスさん、アルシュベルド、おはようございます」
「あっ!おはようございます!」
「アギャッス」
しかし、そんな報道陣から隠れるように動く少女が居た。それはヒフミである。
「どうしよう…本当に報道陣が来るなんて…しかも生放送!?」
ミレニアムだけではなく、トリニティからも取材が来ており、しかも全国生放送。このままではナギサから危険なアビドス砂祭りの本番に参加したことがバレてしまう。ヒフミはなんとかしようと、頭を隠せる物を探す。
なんとな服装は調査隊から女性モデルのホープシリーズ一式をもらい受け、重ね着をしないことで誤魔化せている。だが、女性モデルの防具は素顔を出してる物が多く、このままでは全国生放送でナギサ様にバレてしまう。
「これ使って」
そんなヒフミに救いの手が刺し伸ばされる。救いの手を出したのはガンランスを背負ったホシノ、そしてアビドスで2週間ほどリフレッシュ出来たのか顔色がよくなり同じくガンランスを背負ったヒナであった。
「ホシノ先輩、ヒナ先輩……これ、たい焼きの袋なんですけどぉ!?」
それはさっき露店で売られていた、たい焼き5個入りの紙袋であり、被っても見えるように目の部分には穴が開けられている。
「あっ!彼処にアビドス砂祭りに参加する生徒さんが居ますね、声をかけましょう!!」
遠くからトリニティの報道陣の声がする。このままではいけない、ヒフミはその紙袋を被った。
「そこの方、お話いかがです…へ?」
報道陣に話しかけられ、ヒフミは振り向く。キヴォトス全域生放送でテレビに晒されたのは、ガンランスを背負ったホシノとヒナ、そしてホープシリーズ一式に紙袋で素顔を隠した少女であった。
「貴方は…」
「私はヒ…じゃなくてファウストです!!そうファウスト!!さすらいのハンターなんです!!」
「そうですか、ファウストさんですね。頑張ってくださいね」
なんとか、誤魔化すことが出来たヒフミであった。
そして…アビドス砂祭り開催の時間がやって来る。
「おはよう…」
開始の合図を行うのはここに集った全ハンターの中で最高戦力であるポッケの英雄である。全身を覇竜アカムトルムの装備で纏った唯一無二の存在はマイクで挨拶を行うが、マイクの電源が入ってなかったのか、マイクの電源を入れて
「おはよう」
再び挨拶を行う。すると、それを聞いた全ハンターと全生徒、参加する市民と報道陣はポッケの英雄を見る。
「今日から2年前…ジエン・モーランはアビドスに現れ、アビドスに富をもたらした」
「今日までの道のりは長く、不可能の連続もあっただろう」
「そして数時間後…我々の集大成が世に公開される」
「アビドス砂祭りは新たな意味を持つだろう」
「人間、アイルー、モリバー、獣人、ロボット人、オトモン、人種や種族の壁を超えて我々はここに集まっている」
「我々は1つの目的の為に結託し、ある者は富のために、ある者は名誉のためにかの古龍に挑むだろう」
「そして、その全てが歴史となる。生きるために戦え、これに人種も種族も関係ない」
「大自然に挑み、驚天動地の狩りを終えた後、アビドス砂祭りは常に進化し続ける祭りとして語り継がれるだろう!!」
「誰も戦わずにして敗北などしない!!勝つために挑むのだ!!」
「生き続ける大地と共に、我々は存在し続ける!!」
「ずいぶんと待たせてしまったな……ポッケ村付きのハンターであり、G級ハンター デイビット*2が告げる。アビドス砂祭りの開催だ…そして…存分に暴れたまえ!!」
ポッケの英雄の宣言と共に、全てのハンターが、アイルーが、生徒が、オトモンのリオレウスとアルシュベルドにライゼクスが、命知らずの大馬鹿共が雄叫びを上げて砂上船に乗り込んでいく。いよいよ、アビドス砂祭りの始まりである!!
次回、金の亡者、大暴れ!!
パヴァーヌ編のラスボス◯・◯◯倒したあとの番外編。
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