ユメ先輩「ひぃん!!ギルドは狩猟を要請するよ!」 作:まつ毛とパンツ
千年前…
当時のアリスを連れた女性は科学者であり、なんと龍都の王妃だった。彼女はアリスのバイオメカニクス部分の遺伝子提供者でもあり、実質…アリスの母親と言えるだろう。
「アギャッス?」
「ええ、大丈夫よ」
女性は幼い最後のアルシュベルド、そして機能を停められたアリスを連れて龍都を脱出。龍都は龍灯が産み出す無限のエネルギーと自然さえ自在に支配し、更に人工生命体であるガーディアンのお陰で怖いものはなし。遠方にあるシュレイド地方との戦争でも一方的に嬲り殺しに出来る国力も誇っていた。しかし、龍都は既に人の道を外れたと言っても過言ではない。だからこそ、女性は最後のアルシュベルドとアリスを見捨てられず、王妃としての立場を捨てても救おうとしたのだ。
だが、背後から王妃とアルシュベルドを抹殺するため、無数のガーディアンが迫る。探索と追撃に特化したオドガロン亜種のガーディアン、基本戦闘に特化したラージャンのガーディアン、そして地面を溶かして潜行して進むアグナコトルのガーディアンなどが迫ってくる。
と…その時だった。天から深紅の雷撃が降り注ぎ…背後のガーディアンは破壊…いや塵に変わったのだ。
『そのまま真っ直ぐ進め』
と、テレパシーのような声が響き、道を塞ぐ巨大な壁すらも雷撃で粉々に砕け散る。
『これ以上は命の冒涜だ。神として見てられん』
空から白い神が舞い降りた。だが、それは神と言うには白いドラゴンであった。飛竜と違い、人々が思う空想上の産物であるドラゴンのような造形。色は違うが、シュレイド国を滅ぼした黒い厄災と同じ造形をしていたのだ。
「ミラボレアス…」
女性はその神を見上げてそう言うが、神は首を横に降る。
『我が名はミラルーツ。運命に抗う人よ、その子を逃がすならば真っ直ぐ進め。始まりの乗り人が直ぐそこに来ている』
ミラルーツ…そう名乗った神は雄叫びを上げる。天から深紅の雷撃が降り注ぎ、次々とガーディアンは塵に変わっていく。いや、ガーディアンだけではない。次々と出てきた無人ロボットなどの兵器群さえも跡形もなく蒸発していく。
そしてミラルーツは龍都に眠る命の理を滅ぼしかねない、なにかを破壊するため…龍都に攻め入った。
それが千年前。アリスが生存した理由であり、龍都が滅んだ真相である。因みに王妃が抹殺されてアリスが処分されると、もれなくブルアカルートではなくワイルズだけルートに進み…アルシュベルドが闇落ちしてしまうとか。
「ハンターさん…これって」
「向こう側になにかがあるな」
胃痛が治った…と言うか収まったアルマさんは、レイヴンこと鳥の隊のハンター&オトモのペコと共に、セクレトに乗って久しぶりのペア行動を行っていた。
2人は氷霧の断崖を調査しており、橋が崩落してセクレトでは移動できないが、向こう側には緑が見えており…氷霧の断崖と違って気候は安定しており、更に上に登れるようになっていた。
「あれは…アリスさん!?」
「まて、髪の毛の色が違うぞ!」
吹雪が収まり…視界が良くなると、向こう側にリオレイアを連れ歩きにした白いアリス…ケイが立っていたのだ。ケイはレイヴンとアルマを交互に見ると、リオレイアを連れて坂を登って消えていった。
一方のアリス。
アリスは久しぶりにやって来た先生をパーティーに加えて、ユウカそしてミドリとモモイと共にシルドの民の資料庫を探検していた。シルドは元々、龍都の技術者が暮らしていたこともあり、奥に進めば書籍だけではなく、未知の機械も沢山並んでいた。
『王女とアルシュベルドを確認。メッセージを再生します』
機械がアリスを認識したのか、空間にアリスと良く似た女性…王妃の生前の姿が映し出された。
『この映像が再生された…ということは、無事に貴女とアルシュベルドは目覚めたのね。私が貴女達に残せるのはほんの少ししかなかった。
だけど、お母さんは友人に託した物を貴女に受け取ってもらわないといけないの。大丈夫…その友人は竜人族だから、なん千年経っても余裕で生きてるわ』
『レダンから託された絆石。それを友人から受け取って。それがあると、アルシュベルドは本当の力を発揮できるの。本当はその力を使わず、元気にお友達に囲まれて過ごしてほしいけど』
『友人は龍都から離れた所に居るの。座標はここね』
空間ディスプレイに、アリスが受け継ぐべき物を預かっている友人とやらがいる所が表示された。そこは氷霧の断崖を抜けて真っ直ぐ行き、山を登った先にあるスージャと呼ばれる未開の場所だった。
『最後に1つ。龍都の人々は貴女のことを最悪の失敗作なんて言ってた。でも違う…私にとっては貴女は私の愛する娘で、本当の意味で最高傑作なの。
アルシュベルド。私の最後のワガママを叶えてくれてありがとう。私の分まで、彼女を助けてあげて。そして、私の娘のお友達に告げます…娘と仲良くしてくれてありがとう』
そして映像は途切れた。
「アリス?」
先生はアリスに話しかける。ゆっくりとアリスは振り向くと、アリスは理由が分からずに涙を流していたのだ。
「わかりません…でもアリスの心はあの人を知っているんです。決めました。アリス…お母さんのお願いを叶えます!!」
アリス…お母さんの友人に会うために、スージャに向かう決意を決める。
次回…鳥の隊とアリス一行はスージャに向けて旅立つ。しかし…その道中に巨大モンスター ジン・ダハドが立ちふさがる!?
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