ユメ先輩「ひぃん!!ギルドは狩猟を要請するよ!」 作:まつ毛とパンツ
翌日…
「おいしー!!久し振りに食べる、お母さんのご飯おいしー!!向こうでもご飯物凄く美味しかったけど、やっぱりお米は炊飯器で炊いたご飯が一番!竈で炊くのは大変だし、アイルーちゃん達に全部任せてたもん」
「本当に、大変だったのね」
「ああ、まさか2年前に現れたモンスターが、遥か西の方では普通の生態系として存在していて、あのモンスターが生物の延長線だなんて信じられないな」
梔子ユメは久し振りに、実家での朝食を美味しそうに食べていた。ユメが2年間暮らした大陸、キヴォトスより西に存在する地域ではモンスターを倒すための武器や防具に関する加工技術は極めて高いが、残念なことにIHクッキングヒーターやガスコンロ、そしてキヴォトスでは無くては生活できない携帯電話や自動車の技術はない。
久し振りに、キヴォトスのハイテクなインフラ設備を堪能できたことと、勿論…両親や後輩であるホシノと再会できたことも良かった。
「それじゃあ、お仕事行ってきます!!」
「はい、行ってらっしゃい。アルマさん達に迷惑かけないようにね」
ユメは実家で過ごすことになるが、基本的に調査団はアビドスで調査拠点を構えてそこで生活、調査の最前線拠点と言えるベースキャンプはアビドス砂漠の真ん前に設置させられ…優秀な調査員の調べでモンスターに襲われる可能性が低いことから、そこをベースキャンプとしたのだ。なに、雨風が凌げれば仮宿としては充分である。
アビドス高等学校。全校生徒は2年間行方不明だったユメを含めて、僅か6人。
3年生がユメ、ホシノの2人。2年生が砂狼シロコ、十六夜ノノミ。1年生が奥空アヤネ、黒見セリカの僅か6人だけであり、他の生徒はアビドス高等学校がかつて抱えていた借金のこともあり、他の学校に転校するなどしてアビドスを去っていった。
本来のアビドス高等学校の校舎は既に砂漠に埋もれており、今は見ることが出来ない。なのでユメが1年生の頃から、かつての分校だった校舎を使っているのだ。
その校舎は現在、アビドス高等学校とギルドから派遣されたキヴォトス調査隊の本拠地として活用されており、アビドス側からはスマホで撮影して記録したモンスターの画像、調査隊側からはギルドの経験などで培ったモンスターの詳細やデータなどを共有してやり取りを行った。
「やあ、久し振りの実家だろ?もう少しゆっくりしても良かったんじゃないのか?」
そんなアビドス高等学校の正門の前で、掃き掃除を行っていたロボット人間の男性がユメに話しかけた。
彼はカイザー理事…かつてアビドス高等学校に多額の借金を負わせたカイザーグループの傘下企業であるカイザーPMCとカイザーローンの理事であったが、2年ほど前…ジエン・モーランの散歩*1で大打撃を受け、アビドス砂漠は危険すぎると本社に通告したが…聞いてもらえず、ジエンの群にフルボッコにされ、使い捨てられ、途方にくれていたところ、良い弁護士を紹介しろとの条件でホシノに拾われ、ここの用務員+自警団*2と共に活躍しているのだ。
「お仕事がありますので!!むっふん!!」
「そうか。しかし…西の大陸の資料を読ましてもらったが…まさかモンスターが化物ではなく、生物の延長線だったとはな。養殖も出来るのか」
キヴォトスに出現したモンスターは、キヴォトス人の間では大真面目な化物扱いされていたようだ。クンチュウなどの裏側が弱点の昆虫なら、裏返して銃で撃ちまくれば討伐できる。しかし、大型モンスターやチャタカブラなどの中型のモンスター相手には、キヴォトス人の火器は効果が殆どなかったのだ。
そしてモンスターは養殖して、一次産業を担う大切な役割もある。大陸で沢山食されているアプトノスはアビドス砂漠でも確認されており、草花が覆い茂る豊穣期ではケラトノスなどと共に沢山の群が確認できる。そのアプトノスであるが、大陸では養殖されて食料として利用できたり、荷物を運ぶ役割も担う。
あと、大陸では数は少ないが、アビドス砂漠では爬虫類型の草食獣なのだが、体毛が生えており、乳房からミルクが出るダルトドンは調査の結果、人間でも問題なく飲めるとのことで、牛乳代わりや乳製品としても使えるだろう。
「アプトノスのお肉は美味しいですよ!!私も向こうでは良く食べてました」
「そうか、将来のために養殖するのもありだな。一次産業はどの時代や国家でも、必要な物だ」
アビドス高等学校、アビドス砂漠に生息するアプトノスやケラトノス、ダルトドンの畜産を開始する。
一方、校庭では口下手なレイヴンと共に、オリヴィア、リンクスとレウスがホシノ達在校生に武器の使い方を教えていた。
「先ず、これが大剣だ。重量はかなりあるが、威力はかなりの物だ。力自慢のハンターにとって、入門向きとも言えるな」
軽々と大剣を片手で持ち、ホシノ達に見せるオリヴィア。この大剣、レイヴンは「重さは気にならない」と言い、心の声で(よし、上手く会話できたな)と誇らしげに思っていたが、これは不味いとペコからSOSを受けたオリヴィアとリンクスが来てくれたのだ。
「重さと力で斬るから、技量はそこまで必要ない。部厚い刀身を使って盾の変わりにも出来るしな」
「うげー…こんなの良く持てるね?」
「ん、重い」
犬耳が生えたシロコも大剣を持ってみるが、重量が軽く200を越える大剣は重たく、シロコ達ではマトモに使いこなせそうにない。
「もしかして、他の近接武器も重たいですか?」
実際に、目の前でモンスターが討伐される瞬間を目撃したセリカが問う。もし、大剣はダメでも他の武器を使えたら、自分達でもモンスターを倒せるのではと?
「ほら、アンタだって、あの時はトンファー使ってて、今はロングソード2本背中に背負ってるじゃない。それは大剣と比べて軽いでしょ?」
セリカは先日、トンファー改めて穿龍棍を使って、チャタカブラをぶん殴っていたリンクスの戦闘を思い浮かべて、それなら大剣と比べて軽いと思ったのだろう。
「どうでしょう…僕が使ったのは調査隊が考案したホープシリーズの穿龍棍ですけど、片方50キロはあるよ」
「「「合計百キロ…」」」
軽そうな武器だと思っても、大剣やハンマーと比べると軽いが重たいのは変わりはない。穿龍棍だって、中にギミックがあるので重量はあるし、軽い片手剣だって…ロングソード(一般人視点)を片手で軽々と振り回すが剣で40キロほど、盾で30キロ程だ。
「持ってみるか?…これが、双剣だ」
レイヴンが背中に背負った双剣…ギルドナイト時代から愛用しているマスターソードを取り、ノノミとセリカに持たせる。片方40キロを超えており、良質なG級鉱石で王国御抱えの鍛冶職人が造った代物だ。
「重たいけど…なんとか持てる」
「これを持って、走ったり戦ったりするんですよね!?」
「ああ…(不味い、なんとか言った方が良いのか?これで良いのか?)」
ノノミとセリカからマスターソードを返してもらい、背中に背負うレイヴン。
「ところで君達は銃を日頃から使ってるんだったな。ライトボウガンはどうだ?」
オリヴィアがライトボウガンを取り出した。しかし、ライトとは名ばかりであり、全長は片手剣や双剣より長い。物にもよるが、年頃の少女達の背丈ほどはある物も有るだろう。
「「「これで…ライト?」」」
「ああ、これでライトだ。これより重く、威力の高いヘビィボウガンが有るが、アレは私でも扱いにくいな」
生徒達の身近な武器でいえば機関銃やガトリング程の大きさだ。これより大きな、ヘビィボウガンが存在するが…ボウガンを通り越して最早、携行式大砲である。
だが、このライトボウガンをいざ使ってみると…
「ん、使える」
「散弾の反動すごいけど、これいいね!」
シロコとホシノは問題なく使えるようであり、その後にセリカとノノミも使ってみたが、問題ないようだ。
数日後。
「ここで停まれ。シロコ、ノノミは合図を出したら仕掛けろ。先ずは私が行く」
「ん!!」
「はい、オリヴィア先生!!」
生徒達がライトボウガンに馴染むようになった頃、調査隊もアビドス高等学校で飼育されているセクレトに問題なく乗れるようになった。
シロコとノノミはオリヴィアと共に、自治区の畑に侵入して荒らしていたドスゲネポスの狩猟である。
「エリックくん、こんなので良いか?」
「実に良いね。この子達の健康状態も良好だ」
元カイザー理事はエリックの指導とアドバイスの元、アプトノスとケラトノス、ダルトドンの飼育をスタート。3種とも、健康状態は良好で、肉はもう少しかかりそうだが、ダルトドンのお乳は既に絞っており…低温殺菌して牛乳のように販売したり、モッツァレラチーズに加工して販売して利益を出している。
「ひぃん!!あのディアブロスおっかないよ!!」
そしてユメはセクレトに乗り、半泣きでレイヴンと共に調査をしていた。彼らの前には角が片方欠損したディアブロスが大暴れしており、ディアブロスの周囲には…ディアブロスに粉砕されたバーラハーラやドスガレオス、ダイミョウサザミの亡骸が転がっている。
ディアブロスは角が片方欠損してしまうと、やがて古龍真っ青の破壊の化身になってしまう。こうなれば、やむなしだろう。
「ユメ、許可を」
「ひぃん!!ギルドは周囲の生態系及び近隣住民の安全のため、あのディアブロスの狩猟の許可を出します!!」
「拝命した」
マスターソードを抜刀し、レイヴンは目にも停まらぬ速さでディアブロスに挑みかかる。
そしてディアブロスの尻尾が宙を舞った。
次回…時は流れて2週間後。
レイヴン(この1人で楽しむ、携帯焚き火台を使った食事が旨いんだよな)
ナイフで豪快に肉を食べるコミュ障ハンター
「「「すんごい笑顔浮かべてる!!」」」
一方…
モモイ「ユウカさん!!どうしよう!!アルベドくん、ご飯食べてないよ!!もう2週間も!!」
ユウカ「私に言われても…」
アリス「お肉も食べないなんて…」
アルシュベルド「アギャッス」
「「「大容量バッテリーから、エネルギー吸い取った!?」」」
食べてみたい食事!!
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勿論、こんがり肉!!
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とろっとろに溶けたチーズ
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柴関の竜骨ラーメン
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良質な油たっぷりのチーズ