伝説が歩むシャングリラ・フロンティア ~伝説のゲーマー、神ゲーに挑む~ 作:黎狐
ファステイア坑道を後にして、俺は一度休憩のためにログアウトしていた。
「..."全体的なステータスは高いが器用貧乏になりやすいためおすすめはしない"、か。」
ネットで調べた『探求者』の評価にはそう書いてあった。だが、俺はこう思わない。
「器用貧乏になるのは使い手の問題だと思うんだがな....さて、と。レベル上げをするにも武器を強くするか。」
休憩を終え、俺は
シャンフロに戻って真っ先に、ファステイアの武器屋へと向かった。
「失礼、誰かいるか?」
「おぅあんちゃん。何か用か?」
「武器が欲しくてな、材料は此方にあるから、作れる武器と装備が作れたら、残りは売りたい。」
そう言ってアイテムインベントリから取り出したのは、鉄鉱石と銅鉱石が各々20個程、そして
白磁石と呼ばれる物を2つ、ついでに黒硯と呼ばれる鉱石をカウンターに乗せた。
「おぉ...随分手に入れたな...白磁石に、コイツは黒硯か?珍しいな。」
「やっぱり珍しいのか?30分程掘って一つしか出なかったが...」
「こいつぁファステイア坑道の奥の方にしか出なくてな。盗掘者がこれを手に入れるために坑道に押し入ったこともあった。」
「そうなのか...それを使って刀を打つことは出来るか?」
「打っても良いが、それにはもう二つ黒硯が必要だ。...持ってこれるか?」
「あぁ。命を預ける武器に、出し惜しみしたら意味が無い。それこそ"宝の持ち腐れ"にならない
ようにこっちが気をつけなきゃいけない。武器に所為にする奴は三流以下の屑だろうよ。」
「ふん...良い目じゃねぇか。」
「.......へぇ。」
と言う訳で刀を打ってもらうため、俺はもう一度ファステイア坑道に向かうのだった。
「...このゲームでも出るか、『妖怪一足りない』め....」
ファステイア坑道に辿り着いた後、もう一度採掘をしていたが...三つ目の黒硯がいくら掘っても
出ない。もうかれこれ二時間たったぞ...?
「ここまで出ないか....最早何で一つ目二つ目はすぐ出たんだよ....*1ん?」
そうこうしていると、何やら今までと違う感触がした。
「何だ?...序盤で見て良いものじゃないな.....」
そこには、
「何だコイツは...ん?...は?????」
何故こうも驚いたか...それは目の前に現れたウィンドウに書かれている内容があまりにも
ヤバかったからだ。
《ファステイア坑道
そのウィンドウを確認した後、俺は一口で飲み込まれて死亡し、宿にて目を覚ました。
「....レベル上げしたら絶対にぶっ飛ばしてやるよあの蛇野郎....!!!!」
まぁ唸っても仕方ない。一度切り替えて武器屋に行くことにした。幸い
らしい。*2回収を終えた俺は、足早に武器屋に行くのだった。
「...失礼する。」
「おぅ...どうしたあんちゃん、まるでこの世の終わりみたいな顔して。」
「坑道で馬鹿でかい蛇に出会って負けてな...」
「....そいつぁ、
「知っているのか?」
「...昔、馴染みの奴が喰われてな...なぁあんちゃん。」
「...何だ。」
「ここに来たって事は黒硯は取れたんだろう?...刀は打つから、敵討ちをしちゃくれないかい?」
ここでウィンドウが開かれた。
《特殊クエスト:武器屋の仇敵を受注しますか?》
『YES』or『NO』
(特殊クエスト...普通のクエストとは違うのか?...まぁ。)
「わかった、引き受けよう。」
「!良いのか?」
「あぁ、俺もあいつは吹き飛ばしてやりたいと思ってな。いくらでも引き受けるさ。その
代わり、一番良い刀をくれよ?」
「あぁ...!!ありがとう...!この恩は、最高の刀を打つことで返そう。一日...いや、二日後にまた
来てくれ。」
「わかった、楽しみにしておく。」
そうして俺は武器屋を後にして、最初に生まれた草原へと向かった。
「...どう考えても今のレベルじゃあの蛇には勝てない。今のうちに少しでもレベルを上げよう。」
「.......」
「?...気のせいか...???」
何やら視線を感じたが、見渡す限りモンスターは何処にもいない。
「まぁ良い、さっさとレベルを上げよう...待ってろよクソ蛇....」
「.......」
レベル上げ開始から大体40分ほど。今現在のステータスがこう。
――――――――――――――――――――
PN:アカツキ
Lv:7
職業:侍
サブ職業:無し
体力 95 魔力 48
スタミナ 65
筋力 104 敏捷 49
器用 40 技量 56
耐久力 24 幸運 30
装備
左:無し 右:鋼の打刀
頭:黒狐の仮面
胴:黒の着物
腰:灰の袴
脚:皮の足袋
所持金:2300マーニ
スキル
・袈裟斬り→十字斬り
・二段突き→三段突き
・鵲狩り
・刻刃
・瞬歩
・吹興し
・鍔返し
――――――――――――――――――――
「スキル獲得も出来たし、レベルも上がったが、モンスターはあまり出なかったし、周りも
すっかり暗いな....」
「...暗ぇからこその話も出来るもんじゃと思うがな。」
「....さっきから見てたのはお前か?一体何のようだ。」
声が聞こえる方を向くと、そこには
「...ヴォーパルバニー...か?」
「そうじゃ。わちの名は"ビィラック"、一端の鍛冶師じゃけぇの。」
「そうか...それで、そんな鍛冶師が何のようだ?」
「なぁに簡単じゃ。...ワレ、昼時に武器屋でええこと言っとったのぉ。」
「...事実を言ってるだけだ。それで?」
そこで提案されたのは、想像を超える事だった。
「...わちはあの言葉に心惹かれた。だからこそ頼みが有る。
「....は?」
「わちは、あの言葉を言い放ったワレがどんな道を進むのかを見届けたい。...頼む。」
「.......」
正直、どうすれば良いのか分かったものじゃ無い。今だって頭の中はぐっちゃぐちゃだ。
けど、ビィラックは、
心がある。なら....
「あぁ....行こう、ビィラック。今日からお前は
「!!あぁ、突き進でぇ!
こうして、後にシャングリラ・フロンティアにおける伝説、
「さて、そろそろ町に戻って......」
そうやって移動を開始しようとすると....聞いてはいけないレベルの爆音が鳴り響いた。
「!?何だ.....?」
「.....!!ア、アカツキ!!前や!!」
「は?.....っ!?」
ビィラックに言われた方を向くと、そこには....
《ユニークモンスター:夜襲のリュカオーンと遭遇しました。》
「....ビィラック、何処かに隠れてろ。」
「!?アカツキは.....」
「俺は並大抵の攻撃なら躱せるし...何よりお前が気絶したら、誰が俺の武器を手入れするんだ?」
「....っ!わかった。けど...負けたらゆるさんで...!!!」
「....あぁ。」
そう言葉を交わして、ビィラックは走り出した。さて....
「唐突に出てこられてもビビることしか出来なくてな....けど、逃げるってのは最初から
無しだ.....やろうぜ、リュカオーン。」
『グルルルルル....!!』
このコンマ1秒後、激戦の火蓋が切り落とされた。
(...どう見てもレベル一桁で戦うような相手じゃ無い....けど。)
「逃げれねぇよ....こんな面白い戦い...!!」
そう呟きながら、俺は鍔返しで攻撃をそらす。
そらして、そらして、そらして。隙を見て刻刃を刻み、十字斬りを放つ。
ダメージがろくに通ってない事はよく分かってる。けど。それでも!!!
「負けだけは認めねぇ....!!俺は、
躱し、通り道に黒い血痕だけが残ることで名付けられた、暁だけが名乗ることを許された
"王の証"。最強だったからこそ得られた、"黒"の称号が"夜"に負ける?
そんなことは許されない、そんなことは認めない!そんなことは許さない!!!
意地と執念。その二つに塗れた一撃が、リュカオーンに突き刺さった。
『グルアァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!』
「でけぇ声で喚くなよ....ただでさえ煩いってのに....!!」
だが、攻撃は通った....
それがわかったなら、攻撃を躱して、弾いて、そらして、勝ち筋を見つける!!!
(噛みつきや広範囲のなぎ払いは瞬歩で回避...間に合わない攻撃は鍔返しでそらす、もしくは
吹興しで弾いて隙を作る...これなら.....!!!!)
戦闘開始から、およそ
....聞きたくない声が、響いた。
『クハハハハハハハハハハ!!!!!中々に面白い戦いを繰り広げるでは無いか、小さき者よ!!』
「....あぁ??」
《ユニークモンスター:天覇のジークヴルムに遭遇しました。》
「...ユニークモンスターって言うのは滅多に出会えないと思ってたんだけどな。俺の思い違い
だったか?」
『クハハ、我を前にして怯まぬとは、ますます面白い!!....勇敢か、はたまた蛮勇か、試させて
もらおうか!!!!』
「っ!!クッソがぁ!!!!!」
流石に想定外だ。ただでさえ勝てるわけが無いような化け物と数時間激戦繰り広げたあげく
同レベルの敵が出てくる....ここは本当に草原か?地獄の間違いだろう???
....観察をしてると苛立ってくるな。この金ぴか。
「...ただでさえ激闘の邪魔されたんだ。」
『?....!?』
『グルゥ...?!』
黒峰暁は最強に恥じない伝説を持つ。その一つにこんなものがある。
"
である。この伝説には正しく理由がある。此の男、二種類の状況下において限界が突破される
のだ。その一つが"圧倒的不利な状況"であり、先ほどの伝説はこの状況下だったからこそ勝てた
のである。....そしてもう一つ、滅多になることは無いが、なれば先述の状況下の更に先、"臨界"
すらも越えれる状況がある。それが.....
もう....我慢なんぞ要らねぇよなぁ.....????
....納得いかない行動により、激怒した状況である。
「....死ね。」
『グヌゥ...!?』(此奴、明らかに反応速度が上がって....?)
(....あぁ、もうどうなっても良いな....試したいことやり尽くすか。)
此の状況下で、俺が考えついて試したかったこと。それは.....
「...."十字刻刃"」
『ヌゥ....!?』
結果は成功。クールタイムが終わってるなら同時発動が出来ることが立証できた。
....ついでに、苛つく金ぴかに傷をつけることが出来た。
『ククッ....クハハハハハハハハハハハ!!!!!面白い、実に面白いぞ!!!!!』
「あぁそうかい.....こっちはうざったくて仕方ないさ.....けど......」
『んむ....?』
『グルルゥ.....』
「......なぜだか知らないが、気分は今までに無く最高潮だ.....さぁ、まだ暴れようぜ....!!!!!!!」
『....無論!!!!』
『ガルグァァァァァ!!!!』
.......................................................
あの会話から、どれだけ斬り合っただろう?どれだけ死にかけただろう?どれだけ意識が消えかけただろう?.....そんなことはどうだって良い。今はただ........
......
『....誠見事よ....小さき者よ、名は何と言う?』
「.....アカツキ。」
『そうか、アカツキか......その名、
「そうかよ.....英雄とかは、知ったことじゃない......けれど。」
『む?』
『グァ.....』
「.....お前ら以外に、負けたくねぇ。待ってろよ?次は完全勝利を刻んでやる。」
『クハハハハッ!!!!あぁ、覚えておこう!!!.....その時が来るまで負けるでないぞ?』
「勿論だ。」
俺の意識は、そこで途切れた。
.......
《リュカオーンの
《ジークヴルムの
《条件達成を確認、二種の
《条件達成を確認、ユニーククエストEX:極限へと昇る道を
《ユニークアイテム:ゴブリンの狂牙を確認、ユニークNPC:神剣のカルメラを生成します。》
《ユニーククエスト:刀の意思を受注しますか?》
『YES』or『NO』
さて、強制開始したユニーククエストEX:極限へと昇る道。これがどのような結末を迎えるのか、
こうご期待!あ、