アストルフォ、ポケモンの世界へ逝く   作:喬喬

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アストルフォ、創造神と出会う▼

 

 

 

 『【聖杯戦争】。そして【聖杯大戦】…………これは中々面白い。願望器である聖杯を完成、成就させる為に起こした争奪戦。あらゆる世界線に余波を広げるものであり、あまり褒められたものではありませんが…………』

 

 

 創造神は“その眼”で己が統括する世界とは異なる世界線を干渉する様に眺めながら思考する。

 世界というのは、日々試行錯誤しながら出来事(変化)を起こさねばならない。変化がない世界など、衰退あるのみである。故に、その参考に様々な世界を傍観していたのだ。無論、創造神たるその者が暇を持て余している訳ではない。数多の世界の運営を数多のかの分身達が今この瞬間動かしているのだ。

 

 

 その創造神はその【聖杯戦争】や【聖杯大戦】を起こした別世界を注目していた。だが、創造神が特に注目したのは【聖杯戦争】・【聖杯大戦】そのものではない。

 

 唯一、眼を見張ったのは聖杯というシステムの元(・・)である。

 

 

 

 『冠位(グランド)霊基(クラス)。人理を守護する英雄(ヘイキ)……実に面白い。これを参考にしてみましょうか』

 

 

 

 創造神は即断即決だ。

 

 この世界において、【冠位霊基】は七つでは少な過ぎる(・・・・・)。そもそもその世界のようにクラスなどはない。

 が、代わりになるものがあった。

 

 『で、あれば─────18のタイプを冠するモノ達。即ち、【冠位属性(グランドエレメント)】と名付けましょうか。しかし、冠位(グランド)霊基(クラス)七騎でびーすとという“悪性”一騎と互角……これはどうしたものか。

確かに冠位(グランド)霊基(クラス)一騎に世界を滅ぼしかねない力を有するのは危険……ですが、私が管理する世界達は日常茶飯事みたいなもの。特別な存在なのだから…………それ以上の力を有しても是非もなし。何せ世界を守護する存在だ』

 

 

  

 【冠位属性(グランドエレメント)】のシステム、その構築を完了した創造神は各々のタイプに選定基準を決定していく。このシステムは、この創造神が統括する世界達を守護する一つの砦だ。

 

 

 

 『さて─────気分はどうですか。『聖杯大戦』の優勝者(・・・)である英霊(サーヴァント)アストルフォ』

 

 「………なにこの状況?」

 

 

 目が点となりながら、目の前に存在する創造神に逆に問い掛けるのはピンク髪の三つ編みに派手に着飾った中性の少年騎士、英霊アストルフォであった。はにゃ?と首を傾げるアストルフォは脳を働かそうとしても混乱してしまう。何せ、断片的な記憶しか無いのだから。

 

 

 

 「あっれ~……この感じ、死んじゃった?おっかしーなぁ。死んだ記憶とかそういうのが無いんだけど。あ、君って何処かの幻獣種かな?もしかして世界の裏側?」

 

 『残念ですが、ここはあなたの知る世界ではありません。無意識の内に私があなたの霊基そのものをこの世界に引きずり込んだのですから』

 

 「!つまり、巷で話題になった異世界召還ってやつかな!?わーい!すっごいぞー!」

 

 『まあ、そのようなものですね。よわっちい霊基ならバレないと思いましたが………いやはや、まさか【極限の(アルティメット)単独種(・ワン)】が出てくるとは思いませんでした。分身の私が運良く逃げられたので良かったものの』

 

 「あるてぃめっとわん?なにそれ。あと地味にバカにしてるよね?まあ実際問題、サーヴァントとしては二流だけどさ」

 

 

 

 創造神のドストレートな評価に笑って流すアストルフォであったが、何処かこの状況は完全には飲み込めていない。けれども、面白そうな雰囲気なので目の前の超自然的な、神霊をも遥かに越える白と黄金の幻獣種に興味津々である。

 

 

 

 『まずは自己紹介からしましょうか。私はアルセウス。人からは創造神と称される存在。あなたが言っていた幻獣種とは似ているかもしれませんが、この世では《ポケモン》と呼ばれています』

 

 「ならばボクも自己紹介だね!……こほんっ。

 

 遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よ!

 我が名はシャルルマーニュが十二勇士アストル────」

 

 

 『アストルフォ、あなたのことは言わなくても知っていますし理解もしています』

 

 「最後まで言わせてよーも~!いけずっ!」

 

 

 流石にアストルフォでも自己紹介を遮られると不服だったらしい。が、事前に情報を仕入れていたアルセウスからすれば不要なのは確かだ。

 アストルフォは何故自分が創造神たるアルセウスに呼ばれたのか少し疑問はあったものの、余計なことを考えるのは面倒な為にその思考を捨ててしまう。

 

 

 「ぽけもん……ポケモンかぁ。この世界にいる珍しいモンスターなのかな」

 

 『いいえ?至るところにいますよ。人と共にポケモンが生活するのも今では日常。例えば、あなたであれば“ヒポグリフ”との関係の様に主を助けたりするものもいますね』

 

 「へー!ならその世界ならヒポグリフと一緒に生活できるってこと?」

 

 『残念ながら、あなたのヒポグリフはこの世界では顕現すら出来ないでしょう』

 

 「そっかぁ………それだとライダーとして失格になっちゃうんだけど。ん?ちょっと待って。そもそもボクって何の為に呼ばれたのさ?もしかして新たな聖杯戦争で────」

 

 

 召還されたのであれば聖杯絡みだと珍しく察しのついたと思ったアストルフォ。違う別世界でも聖杯戦争であるならば、このアルセウスがマスターになるのか?と疑問に思ったのだが………。

 

 

 『いいえ。聖杯などありませんよ。ただ聖杯のシステムに興味がありましてね。厳密にはそのシステム、というよりその元となったシステムを活用する為、あなたを誘拐(召還)したまでです』

 

 「あれ、今なんか───」

 

 『そのシステムにあなた自身を組み込みます』

 

 「へ?」

 

 

 アルセウスが端的な説明の後、彼の目の前に18のプレートが出現する。一つ一つがアストルフォよりも背の高く、様々な色であった。それらは各々が持つ色のオーラを放っており、下手にさわるべきではないと直感がそう告げていた。

 

 

 

 『さて。あなたのタイプを決めましょう。一つはあなた自身、霊基として適合があるのは──────《エスパー》タイプ。恐らく宝具に反応しているのでしょうか。あと一つはどうしますか』

 

 「あと一つ?」

 

 『あなたが浮かべるイメージはなんですか?願望でもいい、過去の記憶から強く印象に残っている人でも構いません』

 

 「んー………」

 

 

 言われた通り、アストルフォがイメージするのは後者であった。

 聖杯大戦で様々な人と出会った。受肉した前も、その後も。

 

 随分と趣味が悪いマスターに召還された。

 同じ陣営で、同じサーヴァントと共に戦った。その中で、あるセイバーが己が信じた者の為にその命をある少年へ与えた。

 マスターが殺され、その後にそのセイバーの心臓を宿したその少年が新たなマスターとなった。

 裁定者が参戦し様々な思惑や願望が入り乱れ、聖杯大戦というシステムそのものがめちゃくちゃになった。そして、最後にはマスターが宿してきたセイバーとの因縁のある竜となり、大聖杯は世界の裏側へ運んだ─────。

 

 故に、だからだろうか。

 アストルフォは無意識に口に出していたのだ。

 

 

 「ドラゴン……かな」

 

 『ほぅ?』

 

 

 理由なんていらない。

 ただ、そのキーワードが頭の中に浮かんだのだ。

 それが、アストルフォにとって代え難い記憶(タカラモノ)。マスターであり、邪竜となった彼をサーヴァントであったアストルフォは忘れない。

 

 

 『………………なるほど。あなたがなるべき(・・・・)ポケモンは決まりました』

 

 「え、ポケモンになる?ボクが???」

 

 『はい。あなたはポケモンとなり私の世界を観てもらえれば』

 

 「うーん?ま、君が管理?している世界、ポケモンっていうのに興味があるから……ま、いっか!ポケモンにするならさ!可愛いのにしてよねっ!」

 

 

 『あなたの感性に合うか分かりませんが、あまり期待しないでくださいね』

 

 

 その言葉を最期にアルセウスの姿が微睡みの様に揺れ消えていく。それが己の意識が遠退いていくのを後から気付いたアストルフォであったが時既に遅し。何だかんだ、この運命を受け入れた彼は身体が何処かへ交じり溶けていく奇妙な感覚に呑まれながら意識を手放すのであった。

 

 

 

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