アストルフォ、ポケモンの世界へ逝く   作:喬喬

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ポケモン!ゲットかな?▼

 

 

 そのポケモン達の群れにとって、由々しき事態が起こった。

 だがしかし、天変地異が起こったと言う訳でもない。ただ、通り雨の様に珍しい個体(・・)が現れたのだ。これさえ理解できれば、通常ではなく突然変異などの希少性が高い個体だと理解できるだろう。

 

 

 「ひゅああーん!?!?」

 

 「しゅわーん!?」

 

 『あ!やっほーっ!同胞かな?こんにちわー!』

 

 

 

 ラティオスとラティアスの群が集う場所、その一つである【ハジツゲタウン】と【フエンタウン】の境界辺りにある温泉地帯である。

 むげんポケモンであるラティオスとラティアスは本来生息地などは不明とされているものの、彼らの能力によって人が立ち入れない様に隠蔽されているのだ。しかもこの温泉地帯は彼ら以外のポケモン達も身体を休めたり、傷を癒す憩いの場である。それ故にラティオスとラティアス以外のポケモン達もこの場所を人が立ち入れない様に、共生しながら今日まで暮らしていた。

 ここで、色や見た目が少しおかしいラティオス?が乱入したとて、同じ種族であるならまだ彼らは慌ててはいない。

 現在彼らは、ポケモンの密漁業者に襲われていたのだ。

 

 

 「お、おい!なんだアイツは!」

 

 「ラティアス……?いや、モニターにはラティオスと判別されているぞ!」

 

 「し、しかし……再度測定しても、システムにはラティオス:40%。ラティアス:50%と表記が」

 

 「そんな測定結果(バグ)があるかよ!?」

 

 「いや、アイツは新種の可能性もある。ここにいるラティオス・ラティアスと共に捕獲すりゃぁ、とんだ報酬になるぜ」

 

 

 黒ずくめの男達は機械やら何やらを構え、悠々と愉しそうに舞う赤色?桃色?のラティオスへと標的を変える。そんな気配を察知した変なラティオス?は他のラティオスとラティアスが網に捕らえられたり、檻に入れられたりしている様を見て今の状況を漸く理解した。

 

 

 『むむっ!さてはワルい奴らだなーっ!おりゃーっ!』

 

 

 ─────【触れれば転倒(トラップ・オブ・アルガリア)!】─────

 

 

 かの者の身体が槍の様なエネルギー体に包まれたかと思うとそのままその黒ずくめ、そしてその黒ずくめのポケモン達に突撃したのだ。が、貫通したにも関わらず誰一人傷付くことはない。

 しかしそれでも十分であった。

 

 

 「─────なっ」

 

 

 その速度は対ラティオス・ラティアス用に作製されたパワードスーツをもってしても反応できない。そしてその“技”を受けた、或いは触れた全員がその場で倒れてしまう。バンギラスやクロバット、マルマインなどが転倒や天地が逆さまになり、思うように身体を動かせない。更には機械を乗せていた車両に関しては頑丈なタイヤが不自然に破裂し、走行不可になる始末。

 

 

 『お~!やったーっ!とりあえず、救出………っと。あれ?鍵とか必要なかんじ?うーん………えいっ!────あ、いけた♪』

 

 

 ラティオスとラティアスの力でも抉じ開けぬ事が出来ぬように設計された檻を割り箸を折るように何の苦もなく壊してしまうのだ。

 

 

 「ひゅああん……?」

 

 『わー!ボクと同じ色の子だー!ねー、友だちになろー!』

 

 「ひゅわわぁっ!」

 

 『え、「ありがとう」だなんて。ボクは騎士だからねっ!助けて、の声があれば手を差し伸べるのさっ』

 

 

 ラティオスラティアスが感謝する様に、かのポケモン────アストルフォは悪を成そうとした黒ずくめとポケモン達に、ニッコリと笑うのだ。

 

 

 

 『じゃ、君達は─────どうしよっかな?』

 

 

 

 そして彼らは漸く、そのポケモンがテレパシーが使える事を理解したのだ。

 ラティオスとラティアスは人の言葉を理解する。が、それは受動的であり、自発的なものではないと考えられてきた。が、目の前のラティオス?ラティアス?の一個体はテレパシーではあるものの、語りかけてくる。

 

 

 

 『うーん。あんまり手を出すのは色々と問題が起こるかもだね。よしっ!動けない内に人を呼んでこよーっと!』

 

 

 

 呑気な声で言っていたアストルフォであったが、直ぐに顔見知りの(・・・・・)ジョーイがこの状況を伝えたのだ。

 結果として、ジョーイからジュンサーへ連絡が。更にはポケモン協会や国際警察までもがこの事態に動き出したのは言うまでもない。そもそもこの場はホウエン地方にある〖禁足地〗であったがゆえだ。

 

 〖禁足地〗。

 そこは許された人間のみが踏み入れる事が出来るポケモンの楽園。或いは人の手が出されていないポケモンの世界。例えリーグチャンピオンであっても、この地に足を踏み入れることは決して許されない禁忌でもある。

 

 

 「またアナタなのね。アストルフォ」

 

 

 溜め息交じりに吐き捨てるのは私服姿の女性だ。バラの様な赤い髪に濁った白髪メッシュが入った、不良風味の少女から女性になって長くはないが浅くはない。年齢は10代後半から20代前半の看護師。見習いでも学生でもない正真正銘の現役のジョーイだ。

 

 

 

 『あ、非番だったよね。怒ってる?【ユーリ(・・・)】』

 

 「あら、わかってるじゃない。オフの日に無理やりここへ寄越したアンタに対して。どんな感情を抱いてると思う?」

 

 『えっと……ボクと一緒にいれてうれしー!みたいな?』

 

 「は?」

 

 

 ガシッ!?とアストルフォにアイアンクローを決めるのは最近配属されたジョーイ【ユーリ】である。勤務中は周りから聖女と呼ばれる程に皆から評判の良いジョーイさん。聖母のような慈愛と微笑みは人だけではなくポケモンまでもを虜にしてしまう程だ。

 が、無論それは仕事での話。オフの姿を見れば人違いだと瞬時に思い付くほどの豹変ぶりである。常に眉をひそめ、何処かイライラを隠しきれない彼女にジュンサーなどの関係者らは一線を引いてしまう。

 

 

 『ご、ごめんよぉ~』

 

 「アンタねぇ!禁足地に入ったら始末書、報告書を提出しなくちゃならないの!」

 

 『え?そうなの。ボク一度も書いたことないやー』

 

 「アンタはポケモンだからよ!毎度毎度、突然外に出掛けるのやめてくんない?それよりも、毎回毎回変なトラブルに巻き込まれてからのアタシも共犯にするな!」

 

 『ご、ごめんよぉ~』

 

 

 

 ユーリの剣幕に平謝りをするしかないアストルフォ。そんな光景は国際警察の方々は見慣れているらしく、特に言うこともなく作業は進められていく。だが、彼女の言う通りジョーイであっても禁足地に入ることは何らかの事情があったとは言え、協会から問い詰められることになるのは間違いない。が、アストルフォの件な為、報告書で済まされると高を括る彼女だが溜め息しか出ない。

 

 

 「ま、いいわ。アンタが連れてこなきゃ、後々小言を言われるのもアタシだし。他に形跡が無いか、アタシも仕事しますか────よろしく、あんた達」

 

 

 下から放り投げられたゴージャスボール三つから飛び出してきたのはソウブレイズとブラッキー、そして黒いオノノクスである。三体はユーリの言葉に出す前に察していたのか、即座に辺りを確認していく。

 

 

 『わーっ!仕事熱心だねーっ!』

 

 「は?アンタ、一応(・・)アタシの同僚ってことになってるんだからね。さっさと働きなさい」

 

 『わかったよぅ。【マスター(・・・・)】』

 

 「わかればいいのよ」

 

 

 元英霊アストルフォは現在、ラティオス特異種(・・・)となりジョーイであるユーリに捕獲され今日に至る。特に聖杯等もなく、平穏そうなこの世界。今は(・・)ホウエン地方でのんびりと暮らしているのであった。

 

 

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