デュエル・マスターズOver(オーバー)   作:シグレサメ

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俺、黒井夕哉(くろいゆうや)はある日謎のデッキケースを拾い、ジャシンという謎のクリーチャーと出会った。様々な事件と遭遇して、ジャシンとジャブラッド、2つのクリーチャーと契約した俺は、妹を貶めた真沢という男の手下である獅馬(しば)と、真のデュエルをすることになったけど…。


守るもの、守りたかったもの

「緑くん見てくれ、真のデュエルの見学のために作った装置だ、真のデュエルに外から干渉できないならせずに観るだけでいい!我ながらいいアイデアだったねぇ」

「…しばさん、声が大きいけどいい人なんだ」

「そうだね、でも彼はクリーチャーと完全に契約できない、擬似契約止まりだ。さらに性格も救世主には程遠い」

「だからまざわさんは…しばさんを捨てるの?」

「あぁ…虹村くんの完成までもう少し。せめての時間稼ぎにはなるだろうね。あとは…夕哉くんが潰れてくれればラッキーかな」

「ねぇ、まさわさん。ボクに何かされるとか思わないの?」

「思わないさ。君はできない。僕の手にはこのカードがあるし、君には歯向かう勇気もないだろう?」

「………」

「さて、せめてどんなデュエマになるかでも見ようかな…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺の先行で始まったデュエマ。

「《ブルーム=プルーフ》を召喚!墓地を1枚増やす!」

皇龍高はこの時間幸いにして外授業のクラスはなかった、さらに真のデュエルのフィールドが展開されているからこのデュエマを見てるのは俺と獅馬(しば)、御白(みしろ)と…火奈(ひな)!?

「え、いや、なんでいるの!?」

「あたしも契約したから!カイザー、頼れるんだ!」

よく分からないからもうこの話は後にしよう。今はデュエマだ。

 

「呪文、地龍神の魔陣。山札の上から3枚見て1枚をマナゾーンに、ターンエンド」

「俺のターン、3マナで!行くよ、《邪龍ジャブラッド》!」

ジャブラッドはタマシード/クリーチャー。まだ彼の頭の骨しか出てきていない。4体並ぶまでクリーチャーにはなれないけれど…。

「ジャブラッドの出た時に山札の上から2枚を墓地に、さらにブルーム=プルーフの攻撃時、ジャブラッドの効果で更に2枚墓地に!シールドブレイク!」

「何なんですかあのカード!?凄い効果ですよ…墓地を増やす速度が今までの比じゃありません…」

「ねぇ、それが夕哉の契約したカード?」

「うぅん、訳あって2枚目!」

「「2枚目(ですか)!?」」

 

「2枚目のオーバーレア、契約クリーチャー…あり得ない…」

当時どこからか見ていた真沢も同じことを言っていたこと、これを機に彼は俺に興味を寄せたことを俺は後から知ることになる。

 

「なるほど、相手にとって不足はない!こちらのターン!《妖精 アジサイ-2》を召喚、山札上2枚から手札とマナに振り分ける。さぁ!私の力を見せてやる!超えられるものなら超えてみろ!」

 

なんか敵だけど一周回って気持ちいい人かも。でも負ける訳にはいかない!

「俺のターン!呪文、《邪侵入》!4枚墓地を増やして、《アビスベル=ジャシン帝》をバトルゾーンに!更に《レター=ジェンゲガー》をアビスラッシュ!ジャブラッドがクリーチャーになる!」

 

ジャブラッドが初めて会った時の骨のドラゴンの姿に戻る。少し怖いけど、頼もしい姿だ。

 

「ブルームでシールドを攻撃!墓地を2枚追加!」

「Gストライク、《地龍神の魔陣》。ジャブラッドの動きを止める」

 

「オッケー。ターン終了時、アビスラッシュで出たレター=ジェンゲガーは墓地を増やして1枚ドロー。山札に帰る…ときにジャブラッドの効果発動!俺の墓地4枚をシャッフルして戻すことで山札送りを無かったことにする!」

 

「え、え、ええぇぇぇ!!?」

「御白ちゃんどうしたの?これって何が凄いの?」

「私何度も家庭教師で教えてもらう度にデュエマをねだってやってたのでアビスのことはよく知ってるつもりなんですけど」

「御白ちゃん、そこはちゃんとお勉強しなよ」

「…とにかく!アビスは墓地を増やすことができてもリセットされたりすると1ターン渡すことになりますし、増えた墓地を使う方法がジャシン帝のアビスラッシュしかなかったんです」

 

「じゃあジャブラッドって…」

「味方の攻撃全てに反応して墓地肥やしできるから簡単に墓地は尽きませんし、溜まった墓地は相手の除去を耐えるための弾になっちゃいます、今までの弱みを綺麗に潰してます…この局面でも、7枚墓地があるからもう1回耐えて、そのまま次のターンアビスラッシュですよ!?」

「攻めも防御も両方できるってことなんだ…すごいね!」

(夕哉くん、色々な意味で遠くに行っちゃったみたいです…)

 

「なかなかやるな、ターン終了時!ジャシン帝がコストを支払わずに出たことに反応して《流星のガイアッシュ・カイザー》をタダでバトルゾーンに!登場時に2ドロー!」

「了解。ターンエンド」

 

「こちらのターン、ガイアッシュは10コスト以上のクリーチャーのコストを4軽減する!更にアジサイ-2を破壊して2コスト下げる!来い、私の切り札!《終末縫合王 ミカドレオ》を4マナで召喚!!」

「私の相棒の能力はこれだけではない!召喚時山札上4枚からクリーチャーを好きな数呼び出せる!《邪偽(じゃぎ)縫合デスネークニア》!《不死鳥縫合 ブラック・ビックバン》!《呪帝電融 カーペラー・キリテム》!《流星のガイアッシュ・カイザー》!」

 

「嘘!?全部当たり!?…でもブルーム=プルーフの効果で召喚以外で出した4体を破壊!」

「ガイアッシュ以外の3体はEXライフを犠牲にする。カーペラー・キリテムはマッハファイター!ブルームに攻撃!」

「ジャシン帝でブロック!手札2枚を犠牲に耐える!」

「キリテムがバトルに勝った時、効果でマナゾーンからアジサイをバトルゾーンに!」

「ブルームでアジサイを破壊!」

「デスネークニアでジャブラッドに攻撃!1ドローして墓地から地龍神を回収、お前が手札を選び、そのカードを俺が使える」

「…これだ!」

「ハズレだ。2枚目のデスネークニアをバトルゾーンに!1体目のブルームへの攻撃を継続する!」

「レターでブロック!ここは墓地を戻す効果を使わない!」

「ジャブラッドのクリーチャー化を意図して解除した上、ブルームに守るリソースを集中させているのか、面白い」

「2体目のデスネークニアで攻撃!手札を増やし、再度選択だ」

「…今度こそ!」

「地龍神の魔陣、これを唱える」

「ブルームの攻撃されたことによる破壊はジャブラッドの墓地4枚で受け止める!」

「…やるな、ターンエンド」

 

危なかった…ブルームとジャブラッドの妨害&防御陣形、ジャシンとレターのブロッカーがいなかったらあの大展開と連続攻撃をモロに喰らっていたのか…でもガイアッシュカイザーをきっかけにした爆発は邪侵入を使ったからだ、俺の落ち度。

「ありがとう、皆…」

「フン、勝つためにやっているだけだ」

「ジャブラァァァ!」

2体の相棒の姿を見て、俺は少し安心した。

 

「行くよ、俺のターン!」

「ちょっと待った、私からの忠告だ。ミカドレオはターン開始時場に8コスト以上が4体いればそのままゲームに勝つ。ラストターンだ、全力で来い!」

 

バトルゾーンには出たターン相手プレイヤーへの攻撃を防ぐガイアッシュ・カイザー。更にブロッカーのミカドレオ、ブラック・ビックバン。更に3枚のシールドとミカドレオのEXライフ。戦略を組み立てて、どう戦うか。マナに埋めるカード、呼び出すクリーチャー、無限に分岐するゲームに俺は何とも言えない高鳴りを感じていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「黒井夕哉、虹村くんとのデュエマを見る限り一番警戒するべきは彼だ…」

私はドローンの情報を元に急いで虹村くんにデータを打ち込む。本来真のデュエリストにする人間の選定として、虹村くんは最善だったはずだ。墓地がそのまま選択肢となりプレイできるカードが沢山あるアビスロイヤルというデッキと黒井夕哉を成長させている。

あの時点では妹の方が間違いなく見込みがあったはずだ、ただの人間だったはずだ…

「虹村くんの実践相手が決まった、黒井夕哉と戦い、彼を殺せ」

突如生まれたカード、アビスロイヤル。それに呼応するように強くなる少年。私の研究を真っ向から潰す存在に、私は初めて恐怖していた。

「ねぇ、虹村さんはどうなるの?」

緑くんが聞いてくる。そんなの一つだ。

「勝てば最高の英雄になるだろうね、できなきゃ、ただのゴミだ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「アビスラッシュ!!《ハンマ=ダンマ》!3枚墓地を増やしてガイアッシュ・カイザーを破壊!更に《深淵の三咆哮 バウワウジャ》を召喚!」

「くぅ…」

呼び出したダンマが相手のクリーチャー達を破壊する。吹っ飛ばしたことによる爆風に真のデュエルをやっていることを思い知らされる。

 

「更に残った1マナで《フォーク=フォック》!墓地を増やしてレターを回収、そのままアタックフェイズに!」

 

「バウワウジャでTブレイク!その時攻撃時能力でミカドレオを破壊!」

「このターンにフィニッシュするリスクを取ってきたか!ミカドレオでブロック!」

「バウワウジャ、ありがとう!続け、ジャブラッド!」

「ブラック・ビックバンでブロック!」

「ジャブラッドは墓地を4枚戻して生き残る!ブルームで攻撃!」

「トリガーなしだ!」

「アビスベル=ジャシン帝で攻撃!もう邪魔なブロッカーはいない!」

「シールドトリガー!《闇参謀グラン・ギニョール》!ハンマ=ダンマを手札に戻す!」

「ジャブラッドで4枚戻して耐えさせる!フォーク=フォックでダイレクトアタック!!」

 

フォックの攻撃は逸れて、獅馬さんの無事を確保することができた。

「トドメを刺さないのか?」

「誰かのために傷つけ、傷つけられるのはもう嫌なんです」

 

真のデュエルフィールドが解かれた瞬間、警察が走ってきており、俺は驚く、確かに校内に不審者が出たってことにはなるけど、クリーチャーのことはどうやって…

 

「夕哉、あの人達は公輝さんっていう警察の人の部下さんたち!大丈夫!」

火奈が驚く俺をよそ目に説明してくれる。

「公輝さん?」

「竜也さんの友人さんだそうです。私達は色々聞かれるでしょうが大丈夫だと思います」

御白が付け足してくれた。通りで色々と話が…

「夕哉くん、公輝さんと前に話したことなんですけど…」

「…なに?」

「彼らが動き出すまで後1週間もないそうです」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やぁ、オレは正路公輝(しょうじこうき)。君をスカウトしにきたんだ、今なら真のデュエルに巻き込まれた被害者ってことにできる。進むかどうかは、君次第だよ、青海飛水(おうみひすい)くん」

「あー、夕哉が探しものしてたのそういうことかよ、確かに大人いなきゃ成立しないわな」

「やっぱり君は頭がいいね、クリーチャーと契約していないのが不思議なくらいだ」

「余計なお世話だよ、俺からは二つ、真沢に辿り着けるか、あとは夕哉達を騙してないか」

「そう、やっぱり君はいるべきだ。赤坂くんは短絡的なところが見受けられるし、光屋くんはまだ未成熟の危うさがある。そして黒井くんは…」

「あいつ、妹や友達の話になるとやべーんだよな、それしか見えなくなるっていうか…俺がいてくれた方がいいってことだろ…乗った」

「3日後作戦会議をするんだ、位置情報送るからその時はよろしくね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

虹村五色(にじむら ごしき)

現在20歳、名前の由来は様々な考えを取り入れて色々な人を支え支えられて育つようにと本人が語っている。

 

しかし家族は5歳の頃お互いの考えの違いから離婚、その時から諦観したような、冷めたような性格となる。この性格、クリーチャーを無心に従えられる点から被験体としての適性があると判断。

 

彼の人格形成を決定づけたのは16歳の時、彼には彼女がおり、当時のことを懐かしそうに語っていた。悪い思い出ではなかったようだ。

 

冷めた性格が祟ったのか彼がいないタイミングを狙ってクラスメイト達に暴力を振るわれる、彼女はその怪我が元で今も通院を続けており、そのタイミングから虹村は人と距離を置くようになる。

 

デュエル・マスターズを知ったのは17歳、ほとんどを失った彼の心の穴を埋めるかのように熱中し、19歳で大会連覇を狙えるほどの実力者となる。

 

「それがあれば、二度と負けないのか?」

 

彼が僕に乗ってくれる前に言った言葉。その意味を反芻するとやはりただ負けず嫌いというよりは、自分の力でできなかったことを、失った大切な人を守りたいという気持ちを糧にしていきていたのだろう。

 

失い続けた空っぽの人間はあまりにも都合が良い。

 

守木緑(もりきみどり)くんから奪ったカード、虹村くんのその心がこの研究を大きく前に推し進めてくれた。

 

さてと、ここまで書いたがもうその意味はない。何故なら僕が欲しかったのはクリーチャーに指示する人間、そこに心なんていらないからね。最終段階では、虹村くんの心を消す。極限まで契約したクリーチャーを活かすための歯車になってもらう。しかし大丈夫だ。彼の願った、「大切なものを守れる人間」にはなれたのだから。




次回予告
俺、飛水と。あたし、火奈が担当だよ!
ついに近づいてきた真沢達との決戦。
虹村の実験が完成して、真のデュエリストになっちゃうみたい…
俺たちも万全の準備をしなきゃな。公輝さんのサポートも万全だ!
しかしそんな中、御白ちゃんは中々家族に言い出せないみたいで…
次回、「決戦前夜」、お楽しみに(ー)。
ところでお前誰?知らないやつと次回予告させられたんだけど
ちょっと!あたしのセリフなんだけど!?
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