デュエル・マスターズOver(オーバー)   作:シグレサメ

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俺、黒井夕哉(くろいゆうや)はある日謎のデッキケースを拾い、ジャシンという謎のクリーチャーと出会った。クリーチャーを悪用する真沢(まざわ)たちを止めるため、彼らのアジトに入る俺たちだったが、彼らの罠により分断されてしまう。そんな中赤坂火奈(あかさかひな)はいきなり真のデュエリストに戦いを挑まれて…


燃えよボルシャック

あたし、赤坂火奈は突然何もない部屋に投げ出され、そこには1人の長髪の男性がいた。

 

「私は進蒸(しんじょう)。真沢様の忠実な部下であり、ある方から《禁断竜王 Vol-Val8》を受け継いだ真のデュエリスト」

「え、えっと…あたしは皇龍高校1年C組赤坂火奈!得意なことは走ることで苦手なことは考えることです!ボルシャック・カイザーの相棒やってます!」

「そうなのか、よろしく」

………なんか普通にいい人そう…

「しかし貴方に合わせるという判断には納得していない。真沢様の部下としては黒井か光屋にぶつけて欲しかったところ…私の忠義が足りないのか…」

前言撤回!あたし舐められてる!絶対に倒すから!

 

「「デュエマ、スタート(!)」」

 

あたしの先行3ターン目。進蒸さんの作り出したフィールドは少し昔の工場のようなフィールド。少し煙たい。

進蒸の場には《賢樹 エルフィ-1》が並んで手札、マナはそれぞれ2と4枚。あたしの場には《マルルの炎杖》が置いてあって手札とマナは5枚と2枚。

 

「あたしのターン!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》を召喚!」

「やはりそうだろう…あなただけプレイが直情的。戦っていく甲斐がないと分析していた」

カードプレイ1枚しただけで文句言われる!?

「ターンエンド!」

 

「私のターン、《妖精 アジサイ-2》を召喚、ターンエンド」

「あたしのターン!《ボルシャック・バラフィオル》!ターンエンド!」

「私のターン、《妖精アジサイ-2の2体目を召喚、更に《無頼 ブロンズ-1》を召喚、ターンエンド」

 

機械みたいな人、淡々とカードプレイをこなして…

「ねぇ、気になるんですけど、なんで真沢なんかの味方やってるんですか!?」

「真沢なんか、とは…やはり私と貴方では価値観が違う。真沢様は今まで力のなかった私たちに翼をくれた。生きる意味をくれた!そのためならどんなことでもする覚悟!たまたまクリーチャーの力を手に入れただけの人間には負けない!」

「たまたまって…そんなこと…」

「あるだろう、お前は偶発的にカードを拾ったと聞いている、早い話場違いだ。お前には戦う覚悟などない!」

 

「それは違う!!」

突如として手札のカイザーが喋り出す。

「火奈は見ず知らずの人を慮れる太陽のような人間だ!そのために自分を危険に晒すことだってできる!だから私は彼女についていくのだ、だから俺は契約をしようと思ったのだ!」

「カイザー…」

「ほぅ…そう言うなら見せてもらおうか…お前が真沢様に立てつける力があるかどうか」

「…真沢や貴方を否定しにきたんじゃない!大事な友達を助けるために来たの!私のターン!」

 

「5マナで、《轟炎の竜皇 ボルシャック・カイザー》を召喚!そのままアタックフェイズへ!」

「………」

「フォースドラゴンで攻撃!まずバラフィオルの効果で山札の上から1枚目を捲って、コスト6以下の火のクリーチャー、《マッテ・ルピア》をバトルゾーンに!続いてフォースドラゴンの能力で今場にいる味方全員にスピードアタッカー、パワードブレイカー、パワーアタッカー+6000を与える!Wブレイク!」

できた!夕哉から教わったクリーチャーで傷つけないシールドブレイク!

「シールドトリガー、なし」

「ボルシャック・カイザーはフォースの援護を受けてる!カイザーでWブレイク!その時バラフィオルの効果で捲って《ボルシャック・テイル・ドラゴン》!テイルの登場時能力でアジサイと強制バトル!」

「さらに!カイザーのシビルカウント5で!ボルシャック・カイザーは無限攻撃を獲得する!Wブレイク!」

「シールドトリガー、《猛菌 キューティ-2》。カイザーを次のターンまで攻撃も防御もできない状態にする」

「まだまだぁ!バラフィオルで攻撃!《ボルシャック・クリスド》をバトルゾーンに!これで攻撃して!ピッタリトドメまで届く!」

 

「真のデュエリストは…この程度では負けん!」

「ガードストライク!《炎機混成 ボルスレン・バスター》!クリスドの動きを止める!」

「ハァ…ハァ…ターンエンド…!」

「よくも初心者で私をここまで追い詰めた、しかしここからは私の独壇場!」

 

「私のターン!《禁断竜王 Vol-Val8》を召喚!召喚する際、キューティ、アジサイ、ブロンズを破壊して5コスト軽減して4コストで召喚する!、さらにブロンズ-1を召喚」

ドラゴンと機関車が歪にくっついたようなクリーチャーが現れる。全身に寒気がするようなクリーチャー…

「Vol-Val-8で攻撃、その時に山札の上から5枚を見て2枚を手札に、マナと手札の準備は十分、パワー6000以下のクリーチャーを敵味方問わず全て破壊する!」

「キャアァ!」

マッテ、カイザー、クリスドがVol-Val-8が巻き起こした嵐に巻き込まれる。あたしも危うく吹き飛ばされそうになるがバラフィオルが尻尾で掴んでとどめてくれた。

 

「ぐぅ…!マルルの炎杖のセイバー能力発動!カイザーが破壊される時、代わりにこのカードを破壊する!」

「だがTブレイクは受けてもらう!」

強烈な衝撃とともにあたしの体は吹っ飛ぶ。攻撃の余波だけでこんなに…直接食らっちゃダメな理由を体中が訴えかけるように感じる。

「シールドトリガー、なし…!でも!」

「ターンが終わるから大丈夫、か?」

「…え?」

 

「ターン終了時Vol-Val-8の効果発動!キューティ、ブロンズ2体、アジサイ、マッテ、クリスド。このターンクリーチャーが4体以上破壊されているため、追加ターンを獲得する!」

「嘘…!」

 

「俺のターン!《竜界電融 N・EXT》を召喚、登場時マナの種族ディスタス、ディスペクターを全てアンタップ。N・EXTの2体目、さらに《炎機混成 ボルスレン・バスター》を召喚、チェックメイトだ」

「そんな…!」

 

「余計なお世話などしなければ良かったな、そうすればここで死ぬこともなかった。火の防御手段でこれを受け止めるのは無理だろう」

あたしの息が早くなる。でも、でも…!

デュエマに少し興味を持って初めて夕哉に話しかけた時も、御白ちゃんの代わりにデュエマをやったあの時も…

「先輩…」

あたしは体が動くけど助けられてばっかりだ。溺れた人を助けようとして逆に溺れて、そんな私たちを2人とも助けてくれた先輩。あたしはまだ、先輩にはなれない。だけど…

「N・EXTで墓地リセットしてこちらを5ドロー、残りのシールドをブレイク」

割られたシールドの破片が煌めく。あたしの…あたしは…

「まだ!あたしは終われないから!まだみんなと一緒にいたいから!手を伸ばせる人間になるまで!あたしは止まらない!」

 

「シールドトリガー、《スーパー・スパーク》!!!相手クリーチャーを全てタップ!」

「な、《ボルシャック・NEX》の呪文側、スパーク呪文だと!」

「火奈!やるな!あとは俺に任せろ!」

「行くよカイザー!私のターン!!」

 

「《コッコ・ルピアGS》!《ボルシャック・テイル・ドラゴン》!N・EXTとバトル!…シビルカウント5、達成!!」

「カイザーでタップしているクリーチャーに攻撃!EXライフごと破壊!」

カイザーの連続攻撃の風圧が凄まじく、一歩間違えれば自分が吹き飛びそうだ。

「カイザーでVolVal8を攻撃!パワー55000でパワー54321とバトル!」

「迎え撃て、VolVal8!!」

カイザーとVolVal8が鍔迫り合いを始める、カイザーが炎で作った槍を取り出し、VolVal8に突き立てる。EXライフで無理矢理体を離して逃げ出すVolVal8に、カイザーが向かう。

「まだ、終わってないだろう!火奈を傷つけた罪を贖え!」

再びカイザーの槍がVolVal8を貫き、ついに破壊される。

 

あたしはまだ助けられる人にはなれない。だから助け合うんだ。だから人と向き合うんだ。

 

「ボルシャック・カイザーで、ダイレクトアタック!!」

「真沢様…私は、役立たずでした…」

 

進蒸さんに攻撃は当ててない。ただ彼はまるで電池が抜けたように動かない。死んじゃって…ないよね?

 

「カイザー、私、勝ったよ…!」

突然体から力が抜けて、カイザーに受け止められる。

「間違いなく体力の使いすぎだ。俺が外に出るルートを探すからその間休んでいてくれ」

「…ごめん、カイザーさん…」

「礼を言うのは俺の方だ、あのスーパー・スパークがなければ、それをデッキに入れていなければ負けていた。光屋を見て光文明を少し使いたいと思ったのだろう?火奈が私を救ったのだ」

「…そうなのかな、それなら…良かったけど…」

 

「少し待ってくれ、これはなんだ?」

カイザーが指を指した先には大きな機械があった。

「壊しておく?」

「…いや、ここまでのルートを安全に開通させて公輝に判断を仰ごう。危険な真のデュエリストは火奈が倒したわけだからな」

「…うん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「久しぶりだな、前に来たのは…夕哉くんと初めて会った時か」

皇龍市に戻った俺、我龍竜也(がりょうたつや)は、久しぶりの故郷(といっても1ヶ月くらいだけどね)に懐かしさに浸っていた。

 

「真沢が使った機械の処理、なんだかんだ長かったなぁ、時間稼ぎと言う当初の目的は達成されてる…とにかく、第二の網として俺は動かないとね」

そう思ったタイミングで、どこからか異質な気配が漂ってくる。文字通り異質、「そこにいてはいけない」もののことだ。

 

「最悪だ…ドギラゴン、頼むよ」

真沢の実験の副産物であり、恐らく本命でもあるのだろう。

クリーチャーの強力な攻撃の衝撃で、クリーチャー世界への扉が開き始めている。




次回予告、担当は私、御白です
真のデュエリストと戦う私。強力な呪文戦法が相手とのことですが、私はもう逃げません!その頃夕哉くんは完全体になってしまった虹村さんを見て、ある決心を固めます…!
次回、「誰も失わないために」
夕哉くん。お互い、勝ちましょう!
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