デュエル・マスターズOver(オーバー)   作:シグレサメ

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俺、黒井夕哉(くろいゆうや)はある日謎のデッキケースを拾い、ジャシンという謎のクリーチャーと出会った。その日から俺はデュエマ大好き系社長令嬢、光屋御白(ひかるやみしろ)と友達になったり、胡散臭さ全開だけど、多分悪い人ではないクリーチャー博士、我龍竜也(がりょうたつや)さんにジャシン、クリーチャー達の存在について相談したら想定以上の対応をされたりと中々刺激的な日々を過ごしている。今日はその知り合った1人、デュエマお嬢様の方から呼び出しがあって…


流れるリズムと揺るがぬ頂上・前

ある休日、と言っても竜也さんと戦ってから3日ほど。俺、黒井夕哉は光屋さんに誘われて、といっても10,000円札を握らされて、皇龍(こうりゅう)駅の構内で待ち合わせをしていた。

 

状況だけ考えるとデートの待ち合わせなんだけど、あらかじめ10,000円を渡されている点と彼女が度を越したデュエマオタクという2点において、そうでないというのは直感している。というかお金もらって出かけるって何だろう。

 

「あ、いました!黒井くーん!」

「光屋さん、おはよう、今日はどこにいく予定なの?」

「DM Stationです! 黒井くんのデッキを改造しましょう!」

 

ほらね。やっぱりカードショップだった。まぁ彼女の私服は初めて見たし、白いワンピースと金色の綺麗な髪がお互いに引き立てあっていて素敵だった。それに対するリアクションも取るべきなのかなぁと思ったけど、どこから彼女のじいやが見てるか分からないから辞めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

前、ここに来た時は色々ありすぎてデュエマステージしか使わなかったけど、本当はここで足りないカード等を集めるらしい。

 

「黒井くん初心者だったんですね、あんなにデュエマ上手かったのに」

「別にそんなことは…ごめん褒められ慣れてなくて、どう返せばいいのか」

「普通にありがとうで良いんじゃないですか?」

「…確かに」

 

「おぉー!ダークネスですよ、ダークネス!《絶望と反魂と滅殺の決断》(パーフェクト・ダークネス)ですよ、こんなに安く売られているなんて…アビスと相性バッチリですよ、買いましょう買いましょう!」

押し切られるようにダークネスというカードを買わされた。500円×2がこの一瞬で飛んだが?

 

「ところで一応10,000円持ってきたけど、何の10,000円なのか聞けてないんだけど」

「??? 残業代ですよ、今日は家庭教師の仕事じゃないので」

「…そうなの?遊びに行くとだけ聞いてたから…そんなことにお金は貰えないよ」

「いえ、今日はこのお金でデッキを改造してもらうので!…あと、お友達との長続きの秘訣はお金をちゃんとするってことらしいので」

 

意味がめちゃくちゃズレている。それをお友達料と解釈してくる人は初めて見たよ。自分も対人関係慣れてない自覚はあるけど、光屋さんも大概ヤバいな。

 

「いや、そんなお金貰えないよ!」

「え、足りないですか!?じゃあ2倍で…」

「そういう意味じゃないって!!まずそれでお金を受け取れないって!」

 

「うるさいぞそこのカップル!イチャつくなら他所でやれ!」

「「カップル!?」」

 

声の主は青髪のヘッドホンを首にかけた少年だった。

 

「お前…うわ、光屋御白じゃん、こんな所まで来て俺たちみたいな人間を笑いに来たのか?」

「違います!私はむしろデュエマをしにこの場所に…!」

「見え透いた嘘だな…適当な男子連れて文句言われない場所でイチャコラやりたかったんじゃないのか?」

 

なんていうか、すごいひねくれてる人だ。多分頭の中の言葉が直情的に出力されるタイプの人。でも俺はそこじゃなくて…

 

「光屋さんはそんな人じゃないよ、そこは取り消して」

「? お前の話はしてないんだが?」

「とにかく、さっきの言葉を取り消して!」

 

「…《ジョジョジョ・マキシマム》の無料詠唱条件は?」

「…え?」

「場とマナにジョーカーズが合計11枚以上です」

 

光屋さんが謎の言葉を唱えて、その男の人は首を一度縦に振った。

「そうか、光屋の方はいいや、じゃあお前…男の方、俺とデュエマで勝負しろ、デュエマしに来たんだろう?俺が勝ったら、二度とこの店に、俺たちの場所に近づくな」

「…『お前』じゃない、黒井夕哉だよ、君は?」

「…青海飛水(おうみ ひすい)」

 

かくして、突然この店の出禁をかけたデュエマが始まった。うるさくしたのは悪いけれど、いきなりこんなことになるなんて…。更に言うなら、またすぐこのマシーンにお世話になるなんて…

 

「さっき買ったダークネス入れましょう、ダークネス!絶対ジャシンと相性良いですよ!」

「分かったから!ちょっと待ってて!」

いつの間にやらデッキ内のアビスのカードが入れ替わっている。もうこの程度じゃ動じなくなってきたぞ。

 

「さぁ、始めるぞ」

「…よろしくお願いします」

 

竜也さんが言っていた相手へのリスペクト、こういう相手にもちゃんとした方が良いよね?

 

「なんていうか、静かな立ち上がりですね…」

どうやら横から観戦モニターがあるらしく、光屋さんがそこを覗き込んでいる。

 

俺の先行で始まったデュエマは、俺は普段通り《ベル=ゲルエール》などによる墓地肥やしで準備を整えてるけど…

 

「アビスベル=ジャシン帝を召喚!」

あの背中がまたバトルゾーンに出てくる。

「夕哉よ、こんな小童、余がいなくても倒せるのではないか?」

「万全を期したってことにしといて」

 

なんで対戦相手にも自分の使うカードにも煽られるんだ、やりづらい。

 

「俺のターン、《Drache Der'Zen》を召喚、登場時能力で山札を3枚引いて、2枚捨てる。ターンエンド。お前のそのカード、最近なんか遅れてリリースしたカードじゃん、結構やりこんでんのか?」

「まぁ、そんな所じゃない?」

ボロを出さないように、ジャシンが本物のクリーチャーとバレないように適当に返す。

「嘘つけ、さっきタマシードを不思議そうに見てたのわかってるぞ、何だお前?」

うわぁ鋭いー!そっちが考えてる時に光屋さんが何処からか持ってきたフリップに、「タマシードはクリーチャー以外の場に残るカード!場に残っていろいろな効果を使えるんですよ!」と教えてくれた。要するに初知りです。

 

「タマシードか、余の眷属にもいるぞ、こちらも使ってみるか?」

墓地にあった黒塗りのカードの黒が剥がれていく。

「俺のターン、《深淵の三咆哮 バウワウジャ》をアビスラッシュ!」

3つの頭を持った白い体色のケルベロスのようなクリーチャーがバトルゾーンに出現する。

「バトルゾーンに闇のカードが4枚、バウワウジャをクリーチャーに!」

「さらに《フォーク=フォック》、《ハンマ=ダンマ》をアビスラッシュ!」

 

「黒井、タマシード知らなそうだったのにタマシードがデッキに入ってんだな、本当に意味わかんねぇやつ」

…ごもっともです。

 

「バウワウジャはアビスラッシュですぐに攻撃できる!シールドをT(トリプル)ブレイク!!」

「Tブレイカー!?何だこのカード無茶苦茶すぎるだろ!?シールドトリガーは…。ちぃ、運がこちらに向かねぇか」

「ジャシン帝でさらにシールドをW(ダブル)ブレイク!!」

「だけど…そんな攻撃で負けるほど俺のデッキは柔じゃねぇ!」

 

「シールドトリガー!《AQ NETWORK》!効果で手札からコスト5以下の呪文を唱える!呪文《邪杯と魔術の決断》(パーフェクト・カースマインド)!墓地からDrache2体をバトルゾーンに!さらに合計6ドロー4枚捨て!」

 

「AQ NETWORKはシビルカウント3でブロッカーに、Dracheもバトルゾーンに水のクリーチャーかタマシードが4枚あるからクリーチャー化してパワー11000のブロッカーに!」

「嘘でしょ、シールドトリガー1枚からブロッカーが4体も!?」

「黒井くん!青海くん口だけじゃないです!めちゃくちゃ強いです!!」

今更言われても困るよ!!確かにめちゃくちゃ強い…

「攻撃しても全部ブロッカーに受け止められる…アビスラッシュで出したクリーチャーを山札下に戻してターンエンド、バウワウジャは能力で山札下に帰らない!」

 

「俺のターン、《バイケンの海幻》を設置、さぁて、カウンターアタックだ!Dracheで攻撃する時、効果で墓地から《邪杯と魔術の決断》を詠唱、フォック、ジャシン帝のパワーを墓地の枚数×1000ダウンさせる!パワー0になった2体は破壊して、Wブレイク!」

「手札2枚を捨てて破壊を耐える…!なんで!?破壊が止まらない!?」

「うわー!パワーが0になってしまったら破壊され続けてしまってジャシンの耐性能力が意味がありませーん!」

光屋さんがわざとらしく大きな声で教えてくれた、言われずともさらっとこういうことができるあたり、やっぱり彼女は変だけど優しい人なんだと思う。

 

「トリガーなし…!」

「おい光屋!このマシーンでの横からの支援はマナー違反だぞ!ったく…続いてDracheで攻撃する時、同じく《邪杯と魔術の決断》!残ったゲルエールを破壊して、もう一回能力が使えてコスト4以下のタマシードを出せるから《コーライルの海幻》を墓地からバトルゾーンに!バウワウジャを山札下に!」

(バトルゾーンのカードが全滅…!)

「シールドチェック!トリガーなし…!」

「Dracheで攻撃!《チェンジの海幻》を墓地からバトルゾーンに!3ターン目に出してるから効果は分かるよな?」

「攻撃と防御を2回に制限…!」

「ラストのシールドブレイク!」

「シールドチェック…!シールドトリガー、《ハンマ=ダンマ》!《AQ NETWORK》を破壊!」

「AQはシビルカウント3で破壊されるとき手札に戻る、ターンエンド」

 

「攻撃は受かりましたけど…」

「あぁ、初心者さんにわかりやすく教えてあげるよ、バイケンの海幻で俺は攻撃された時にコイツを破壊して、コスト6以下のクリーチャー、さっき手札に戻ったAQ NETWORKがバトルゾーンに出てくる。こいつの効力は一度見たから知ってるだろ?さらにチェンジの海幻で俺は2回しか攻撃されない。お前のバトルゾーンはハンマ=ダンマだけ」

「諦めろ、お前の詰みだ、とっとと帰る準備しておけ」

「俺は…俺は…」

 




次回予告、担当は俺、青海飛水。
『次回、飛水が作り上げた絶望的な状況でも絶対に戦意の火を消さない夕哉。夕哉はこの逆境を切り抜けることができるのか!?そしてその逆境を切り抜けるカードとは!?』次回、「流れるリズムと揺るがぬ頂上・後」
…おい誰だこれ作ったやつ!?俺が引き立て役として書かれてる文章を俺に読ませるなよ!ったく揺るがぬ頂上の意味もわからねぇし…
はぁ…次回もお楽しみにー。
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