私、光屋御白はデュエマ大好きな高校1年生です!え、何でデュエマが好きなのかって?それは…ちょっと恥ずかしくて言えないですね…
デュエマ友達兼私の家庭教師をやってくれてる黒井夕哉くんと、最近はよく話しています。皆は私の苗字を名乗るとすぐ他人行儀になるので、すぐに私の気持ちに合わせてくれたのが嬉しかったんですよね。あ、これ黒井くんには秘密ですよ?
黒井くんの勉強の教え方はかなり分かり易くて、本当に同い年なのか疑ってしまうほどです。「もう少し偏差値の高い高校行くべきだったのでは?」とそれとなく聞いてみたんですけど、なんとなしにはぐらかされてしまったんですよね。あれ?なんだかんだで私は彼のことを殆ど知らないことに気づいてしまいました。明日学校で聞いてみますかね…でもクラスも違いますし、話の継ぎ火はどうしましょうか…改造したデッキを見てもらうことにしましょう!
「ドメチアーレがー4枚♪エルラルージュがー3枚♪」
私の部屋にある秘密の物置。その奥に私のカードストレージがあります。気づいたら物置の1/5くらいを占め始めました。でもこれ以上は増やせませんかね。お兄ちゃんにバレますし…
「光文明の、棚は…」「あ、ありました」
「ふんふんふーん♪バッキュンバキュンエンヤサノドッコイ♪」
「あれ、こんなカードありましたっけ?」
ストレージの中に気づいたら知らないカードが4枚入っていました。何でしょう、光が反射しててまともにテキストが読めません。なんか凄い日焼けしてるんですかね、私がそれを覗き込んだ辺りで…私の記憶は消えました。
「お前が欲しいものは何だ、私の力で叶えてやろう」
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「………」
『アビスベル=ジャシン帝って2体並んだら4コスト減るの?』
光屋さんが連絡に出ない。デュエマに関する連絡をすると1分と経たずに詳細に返ってくるというのに。今日バイトの日なのに雇い主と連絡がつかないってどういう…学校にも来てないみたいだし。
クラスメイトに声をかけて聞いてみても、
「光屋さんを今日学校で見てないかだって?お前も光屋さんを狙ってるのか?やめとけ、あの人は何が好きなのか分からないミステリアスさが良いんだよな、俺たちが釣り合う人間じゃない」
と答えになっていない答えが返ってきた。何をどうしたらこの答えが返ってくるんだろう。
「ねぇ飛水、光屋さん見てない?なんか体調悪いとか」
「夕哉、逆に聞くけど俺が知ってると思うか?」
後から気づいたけど飛水は俺と同じクラスだった。それに気づいたら『お前本当に興味あることしか興味ないんだな』って嫌味が飛んできた。いやもうそれについては本当に…
「まぁあいつ、見た感じ真面目だし連絡出ずに何もってのはおかしいわな」
「そうだよね、俺も考えすぎかなって思うんだけど…」
なんでかって聞かれたら何となくでしかないんだし、じいやさんとかの大人もいるからとは思うんだけど…でもその何となくがどうしても引っかかって取れなかった。
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突然携帯に電話がかかってきた。電話をとると、じいやさんの声が聞こえてきた。
「すいません黒井様!御白お嬢様が…脱走しました!」
「え、脱走ですか!?」
「はい、今朝の時点で『体調が悪い、黒井くんに迷惑をかけたくないから連絡をしないで欲しい』といただき黒井様には連絡をしていなかったのですが…昼食をお持ちしたタイミングで部屋からいなくなっておりまして…うぅ…」
「お、落ち着いてくださいじいやさん!俺も探してみます!」
「はい、光屋家の使用人総出で探しているのですが…黒井様もお願いできるでしょうか、普段からお嬢様のワガママに付き合わせてばかりなのに…」
「大丈夫です、俺も心配ですし。絶対見つけます!」
「おい夕哉どうした?」
「飛水、まだ帰ってなかったんだ…いや、大丈夫」
「…どうせあのお嬢様絡みだろ?何手伝えばいい?」
「なんで…?」
「お前動揺がわっかりやすいからな、これでこの後更に騒ぎが大きくならないようにして欲しいだけだ」
「ごめん飛水、お願い!光屋さんを探してもらえる!?」
「はぁ…そんなに期待すんなよ」
学校から飛び出してDM Stationへと走り出す。普段の彼女だったら…いや、普段の根が真面目な彼女なら考えられないが可能性が一番高い場所だろう。
「すいません店長さん!光屋さん見てないですか?」
「見てないねぇ…何かあったの夕哉くん?」
「いや…ありがとうございます!」
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「ハァ、ハァ…」
「フン、人間は脆いな、この程度の移動で根を上げる」
「ジャシン…また悪口?」
「いや、強い力を近くに感じてな。お前に制限されても外くらいは覗けるから、お前を煽るついでに出てきたというわけだ」
「結局煽ってるじゃん…水、水ぅ…。」
「はい、どうぞ!」
不意に目の前に差し出された手の主を見ると、見るからに快活そうな赤髪の少女だった。
「あれ、君どっかで…あ!前にカードゲームしてた子だよね!?これもゲームの練習?」
否定する元気もないから、頭だけ下げつつ目の前のポカリを手に取る。
「あぁ、急にいっぱい飲むのもダメだよ!?とりあえずベンチに座って!」
「ふぅ…ごめん、ありがとう」
「良かったぁ…あ、名前知らないよね?あたしは赤坂火奈(あかさか ひな)!皇龍高の1年C組だよ!よろしくね!」
「黒井夕哉、同じ高校の1年A組。本当にありがとう赤坂さん」
「火奈でいいよ!結局何をしてたの?」
「ちょっと人を探してて…そっちは?」
「あたしは日課のランニングだよ!陸上部のレギュラー目指して、めちゃくちゃ頑張ってたんだ!」
そういえばもう部活に入ってる人は入ってる時期か。
「でも人探しするなら早めにした方がいいよ?ランニング中なんか高そうなものをいっぱい身につけてる人を見たんだ!」
「それが何の関係が…?」
「確かに少しつけてるくらいだったらおかしくないけどさ…凄いいっぱいつけてたの!さっきまでいっぱいものを買ってたみたいで…!」
確かにそれはある意味で怪しい人だ。
「分かった、ありがとう火奈!じゃあ俺そろそろ行かなくちゃ!ポカリありがとう!」
「うん、じゃあねー!」
「どうした夕哉よ?自棄を起こしてその人間を見つけるとか言わないよな?それが金髪の小娘に繋がってることに賭けるとか言い出すのではなかろうな?」
「じいやさん達が昼から探してて見つからないなら、光屋さんは多分普通の状態じゃない、もしくはカモフラージュして隠れてるんだと思う、なんでなのかまでは分からないけど…」
「ほぅ、それなりに考えがあってなのか」
「うん、今日急に出てきた人なのも怪しい、だから多分…」
その時電話の着信音が鳴る。
「なぁ夕哉、信じたくねぇけど、皇龍市の宝石店で金髪の女が宝石を買い占めたらしい!」
「だよね…ありがとう飛水!そこには近づかないでね!」
少なくとも光屋さんは今普通の状態じゃない。最悪、ジャシンの力に頼ることになると思う。
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「宝石店とか初めて入るな…」
「すいません、金髪の大体155cmくらいの女性を見ませんでした…か?」
そこにいた店員は震えており、酷く動揺した様子だった。
「一体何があったんですか?」
まだ対応できる余裕のありそうな女性店員が代わりに答える。
「先程この店に立ち寄られたお客さんがまさにそういう方だったんですが、お店のすべての商品を買うと言い出して、そのままカートに乗せて帰って行ったんですよ。しかもお金のことを聞いたら服から色んな国のお金が出てきて、日本円だけでも足りてたので断ることもできず…とにかく異常な状況でした…」
店員が指差したところを見ると、様々な種類のお金が無作為に散乱しており、確かに異常な状況だ。光屋さんはお金持ちだけど、こんなにじゃないし、雑にお金を扱うような人じゃないはず。何より…
「《アストマープル-T3》のカード…光屋さんのだ」
さっきの客は光屋さんで決まりだ。でもあんなにカードを大事にしてたのに…あんなにデュエマが大好きなのに…
「夕哉よ、このコインはクリーチャー世界のものだ」
いつの間にかポケットから顔を出したジャシンが語りかける。
あとは、直接会って確かめるしかない。
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「光屋さん!」
アストマープルのカードの匂いをバウワウジャに覚えさせて、カードを探知機みたいにして後を追いかけてこの裏道に辿り着いた。ジャシンに「余のバウワウジャをそんな風に使うな!」と怒られたけど、そんな事は気にしないでおく。
「クロイ…クン?」
俺はギョッとした。そこにいたのは光屋さん…のはずなんだけど、出鱈目に高価なアクセサリーに身を包んだ彼女の姿はまるで別人だった。じいやさん達が気づくわけがない。
「恐らくクリーチャーに乗っ取られているな、お前も余によってもう少しでこうなるところだった」
ジャシンがサラッと恐ろしいことを言う中、俺は言葉を続ける。
「光屋さん、いや君は誰?どうして光屋さんに…」
光屋さんの口から、別人の声がし出した。
「私は《ドラン・ゴルギーニ》。光文明のクリーチャーだ」
「人間に取り憑いてやることが買い占めとは…光文明のクリーチャーも堕ちたものだな」
「違うんだ、もともと私は彼女の願いを叶えるために契約をしに来たんだ。こちらに迷い込んだクリーチャーは契約をしなければただのカード。すぐに消えてしまう。」
「だから契約の為に彼女の欲しいものを買い与えてたんだ。そうしたらドンドン買い物する量が増えて…私でも手を負えない程に…」
「クリーチャーが力を使いすぎて、クリーチャーの影響に当てられたのか…」
ジャシンが淡々と喋り出す。
「いわば今の小娘は物欲の栓が強制的に外された状態、それにドランが持つ無限に等しい金を得て、高額なものならなんでも買ってしまういわゆる暴走状態に入っているのだろう、このままでは物欲に支配されて、クリーチャーに飲まれて死ぬだろうな」
「助けてくれ!本当に彼女の望みを叶えたかっただけなんだ!くそ、ジャシンに、世界に災厄をもたらすアビスに頼ることになるなんて…」
アビスが災厄をもたらす?確かに心当たりはあるけれど、今そんな事は関係ない。俺は掌を強く握りしめてこういった。
「光屋さんは本当はお金持ちだけど、お金のあるなし、ものの価値のあるなしに左右される人じゃないんだ。どうすれば元に戻せる?俺が絶対助けるから!」
「方法はあるぞ、クリーチャーと人間に衝撃を与えて分離するのだ。その為にはデュエマに勝ち、ダイレクトアタックを加えることだろうな」
「デュエマ?そんなことできるの?」
「クリーチャーの力を借りればな、しかし負ければお前の命を賭けるデュエマだ、やるか?」
ジャシンには俺を騙した前科がある。けど…
「やってやる、デュエマスタートだ!」
ジャシンが指をパチンと鳴らすと、デュエマのフィールドが出現した。
「クロイ…クン、タスケテ…!」
「絶対に助ける!《アビスベル=ジャシン帝》を召喚!」
こちらのバトルゾーンには《レター=ジェンゲガー》とアビスベル=ジャシン帝。光屋さんの場は《ブルトゥーラ-D1》が場に並んでいる。
「ウ、ウゥ…」
彼女の手札から《ドラン・ゴルギーニ》が飛び出してくる。
「レターとジャシンがタップした!?」
「次の自分ターンにアンタップできない、いわゆるフリーズ能力か。人間と契約し損ねたクリーチャーの癖に生意気な…!夕哉よ!」
「分かってる!アビスラッシュで短期決戦をかける!《深淵の三咆哮 バウワウジャ》×2!《フォーク=フォック》!」
「バウワウジャでトリプルブレイク!」「もう一発!ダブルブレイク!」
光屋さんのシールドが輝き、ドラン・ゴルギーニが叫ぶ。
「気をつけてください!《ヘブンズ・ゲート》です!」
突如として光の門が開き、そこから《シェケダン・ドメチアーレ》と《赤翼の精霊エルラ・ルージュ》が現れる。
「ターンエンド…」
気づけばドラン・ゴルギーニが光のクリーチャーまたはタマシードが4体集まりクリーチャー化している。
「夕哉よ、この程度の三下に負けるなよ?余の復活のためにお前は生きてなければならない」
「分かってる…!」
レター=ジェンゲガーのドローをしながら、俺は次のターンの猛攻に、気を引き締めた。
次回予告ー!担当はあたし、赤坂火奈だよ!
えっとこれ何喋ればいいの?あ、台本あるんだ!ありがと!
『暴走した御白とドラン・ゴルギーニを止めるため、夕哉とジャシンが命を賭けたデュエマに挑む!ドランゴルギーニの真の力とは!?そして、御白が本当に欲しかったものとは!?』
次回、「俺が、私が、欲しいもの・後」
えっと、どらん、ごるぎーに、じゃしんって何なんだろう…まぁなんかの試合かな?頑張れ、夕哉ー!