………長いこと眠っていたような気がします…。夢うつつの状態で誰かに欲しいものを聞かれて…あれ…?お父さん、お母さん…?
「ごめんな御白、父さん達今度は大阪に行かなきゃいけないんだ」
「今年こそは誕生日一緒にいてあげようと思ってたんだけど…ごめんなさい御白」
待って!行かないでお父さんお母さん!
「お前、本当に光屋家のことを大事に思ってるのか?」
お兄ちゃん…思ってるよ!私、中々一緒にいれないけど、家族のこと大好きだもの!!
「そういうことを言っているんじゃない。光屋家は背負っているものの数が、質が違うんだ。またマナーを間違えただろう。俺達は光屋家を背負う以上、それに見合った行動が必要なんだよ…」
お兄ちゃん!お兄ちゃん!待って、行かないで!
「デュエル・マスターズ。どんな人でも、どんな立場でも、一緒に遊べばお互いに楽しむことが、分かりあうことができる最高のゲームなんだ」
私にデュエマを教えてくれた師匠。師匠が言った言葉は多分本当なんだと思う。師匠は経験を元に、本当のことを言ったんだと思う。
「光屋さん…!?ごめんなさい、私用事が!」
「お前の家ってすごいお金持ちなんだろ?欲しいものあるんだけど」
「光屋さんってお嬢様なのに勉強苦手なんだってー」
「光屋さんって」「光屋さんの家って」
「光屋さんってお金持ちなのに自分満足してないですーって顔しててムカつくよね笑」
私はどこまで行っても「光屋さん」。本当の友達って、本音で話してくれる人っていつ、どこに行ってもいなかったんです。
どれだけアクセサリーとか綺麗なものを身につけても手に入らないもの。どれだけお金があっても手に入らないもの。
私が、「光屋御白」が欲しいものは…
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「《巡霊者ヴニース》を召喚、シビルカウント達成でドロー」
「ヴニースを《「正義星帝」〈鬼羅.Star〉に進化!」
「なんか、急に流暢になってない…?」
「大方クリーチャーの暴走段階が進んでドランに乗っ取られ始めているのだろう。それにしてもドメチアーレの軽減能力とドローで、手がつけられなくなっているな…」
ジャシンの冷静な分析に、俺、黒井夕哉は頷くことしかできない。
「御白さんから、離れなければ…」
「待っててください、絶対助けます!」
苦しみ出すドランの声を聞いて、気合を入れ直す。
「《ドラン・ゴルギーニ》で攻撃!《ブルトゥーラ-D1》を手札から出して、こちらの方がクリーチャーが多いので、次のターンまでこちらのクリーチャーは破壊されなくなる!Wブレイク!」
「シールドトリガー、なし…!」
「綺羅starで攻撃!その時、《検問の守り 輝羅》をバトルゾーンに」
「墓地からのカード使用禁止!?どこまで対策されて…シールドトリガー、なし…!」
「ドメチアーレで攻撃!」
「最後のシールド…ねぇ、ジャシン帝。光屋さんも戦ってるのかな…」
「どうした?ピンチで頭がおかしくなったのか?」
「いや、普通だったらドランの攻撃時に輝羅を出して、絶対破壊されないようにするよねと思って」
「だから多分、光屋さんも諦めてないんだと思う」
「俺、光屋さんに友達って言われたんだ。『友達なら、まだ助けられる相手なら』、絶対に諦めたくない!!」
「シールドチェック…シールドトリガー!《ジャスティス・フォース》!」
「何!?余の眷属ではなく、光のカードだと!?」
「このカードはコスト4以下の光のクリーチャーを呼び出して全員にブロッカーを与える…《アストマープル-T3》をバトルゾーンに!さらにアストマープルの効果で、ブロッカーの《レター=ジェンゲガー》をバトルゾーンに!」
「ブロッカーを、小娘のカードを使って足らせただと…!相変わらず、こいつは余の思い通りに動かぬものよ…」
「ターンエンド…しかし輝羅がアビスラッシュを封じており、綺羅starがコスト4以下にブロッカーを与えている。どうするつもりだ?」
「どうするも何も…光文明といえばこれでしょ!光文明、アストマープルをマナチャージして!呪文!《閃光呪文「スパーク」》!相手クリーチャーを全てタップ!」
「何!?私が…私の身体が…」
「黒井…夕哉くん…お願い…!」
「やはりドランでも小娘でもない意志が介在しておったか、夕哉よ、こいつを消すくらいは良いよな?」
「うん、光屋さんを、『御白』を傷つけられた分の借りは!ここで返す!《アビスベル=ジャシン帝》で!ダイレクトアタック!」
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「何らかの機械がドランを通じて小娘に取り付いたようだったな、こんなもの壊して…」
「待って!竜也さんとかに聞いたら、なんか分かるかもしれない」
俺は光屋さんいや、御白を近くで休ませていた。
「本当に申し訳ありません。私が彼女を暴走させてしまい…」
「ドランさん以外に誰かが介入したってジャシンも言ってたじゃないですか、ドランさんは悪くないと思います」
「そう言ってくれると…嬉しいです。まさかアビスを使う人間に助けられるとは…」
「その、アビスってそんなに危険なカードなんですか?」
そうドラン・ゴルギーニさんに聞こうとした時、御白が目を覚ました。
「ふぁあ…おはようございます」
「御白…良かったぁ…!あ、名前勝手に…ごめん」
「もう。大丈夫ですよ。そうだ、これからは私も名前で呼んでくれますか?『夕哉くん』」
「良いの、周りの人皆光屋さんって」
「私の友達なんでしょう?ちゃんと聞こえてましたよ」
俺の頬が熱くなるのを感じる。あの後から考えると恥ずかしいの、めちゃくちゃ聞かれてたんだ…。
「その、夕哉くん。改めて私の家庭教師も、友達にも…なってくれませんか?」
「…喜んで!」
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御白と一緒に近くのお店でご飯を食べて、作戦会議をすることにした。彼女はお昼を食べてないし。
「ハンバーガー初めてです…!美味しそう…!」
(やっぱりこういうの初めてなんだ…)
「ずっと食べてなかったもんね、俺も食べよ、いただきます」
「それにしてもこの買い占めちゃったやつ、どうしましょうか…」
「ドランのお金だから大丈夫なはずだけど…」
「責任とって私が一つ一つ返せるものは返します、乗っ取られてたとはいえ私のやった事ですし…」
「俺も手伝うよ、そういえば買い占めたやつってどこに入ってるの?」
「ドランさんのトランクの中に…」
そんなトラックみたいな事になるんだ、デュエマのカードって。いや、ドランが凄いだけか。え、でも質量保存の法則ガン無視だよね!?御白めちゃくちゃ余裕そうにデッキケース運んでるから重くなってなさそうだし!?
「あとは御白に付いてた機械を分析してもらって終わりかな」
「じいや達にも謝らなくちゃです…あとは…ドランさんですかね」
御白がデッキケースからドラン・ゴルギーニを取り出す。
「どんな処遇でも受けます、御白さんと契約しようとしたのにとてつもない迷惑をかけてしまいましたし…本当に申し訳ありません」
「ドランさんは…私ともう一度契約し直して貰えませんか?」
「え…?」
「私達が暴走しちゃったのはあの機械が悪い訳ですし、私も喋るクリーチャーが欲しかったんですよ!このチャンス逃す手はありませんよ!」
「その、私は御白さんに迷惑を…」
「分かってます、その上で私の相棒になってください」
カードから顔を出していたドランは目?らしきところから大粒の涙、オイルかな?をボロボロこぼして、
「ありがとうございます御白さん!これから粉骨砕身、御白さんのために働きます!」
「こちらこそよろしくお願いしますね。でも…契約ってどうすれば良いんですか?」
御白が俺の方に目配せしてくる。
「俺、気づいたらジャシンに契約させられてたパターンだから…ジャシン、どうすれば良いの?」
「余が教えると思うか…?ぐおわぁ、口が勝手に!契約条件!『契約する理由を言えば人間とクリーチャーは繋がる』!」
「分かった、ありがとう!」
「夕哉よ、お前たまに余が驚くほど邪悪な時があるな…」
そりゃ使える手札は使うでしょ。
「分かりました、じゃあドランさん」
『私の大事なもの、友達を守る為に私に力を貸してください』
「喜んでお仕えします、御白さん」
ドランがデッキケースに収まり、ケースが黄色に一回光った。
「これで、全部解決ですかね」
「うん、じゃあこれでめでたしかな。もう遅い時間だし…」
「待ってください!どうしても夕哉くんに聞きたいことが…その、夕哉くんってどうしてそんなに優しいんですか?夕哉くんが良い人なのは知ってます。でも他に理由があるような気がして…」
いつか踏み込まれる予感がしていた。でも、言っても大丈夫、言わなきゃいけないと俺は思っていた。
「妹が…帰ってきたら病院に行ってたんだ」
「…え?」
「突然身体が動かなくなって、それで車に巻き込まれて。命に別状はなかったけど、ずっと病院のお世話になってる。今も身体が動かない理由も、病院の人は原因に検討がつかないって言ってた」
「もしかして、私のバイトをすぐ承諾してくれた理由って…」
「うん、少しでもお金を夕花、妹に回してあげたいから。バイトできる学校に入ってできる限り妹のために時間を取ってる」
「ごめんなさい、私そんなこと知らずに…」
「良いよ、妹のことはゆっくり解決していくものだと思ってるし」
「その、もし今度妹さんに会いにいく時、私も連れていって貰えませんか?何かお手伝いさせてください。私の辛いことを夕哉くんは受け持ってくれました。私も夕哉くんの辛いこと、受け持っても良いですか?」
「…お願いしても良いかな」
友達がいてくれて、寄り添ってくれて嬉しいのは、御白だけじゃなくて、俺も同じなんだと思った。
次回予告。今日は僕、我龍竜也が担当だよ。
夕哉くんと御白さんは皇龍病院に夕哉くんの妹、夕花ちゃんのお見舞いに行くんだ。夕花ちゃんの謎の事件、僕も気にならない訳じゃないけど…
その頃飛水くんはカードショップの大会に出ていたんだけど…ここから先は次回のお楽しみだね。
次回、「立ち止まる者、突き進む者」、次回も見てくれると嬉しいな。
それにしてもこの機械、中々曲者だね…。