転生したら秋庭怜子のマネージャーになった件   作:幽玄の鬼

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 宏一に、コナンワールドの洗礼が一身に襲い掛かります。
 
 ちなみに余談ですが、主人公および作者は共々コナンの映画は皆勤賞ですがテレビアニメ&原作は然程見ていません。「探偵たちの夜想曲」とか、「哀ちゃんの狙われるベルツリー急行のやつ」とか、何かそれ言うビッグなエピソードくらいしかアニメは見ていません。知りません

※つまり主人公の原作知識は劇場版でしか、発揮しません


※今回のエピソードではコナン一行は一切登場しません。


※今回のエピソードではコナン一行は一切登場しません。






『音楽家探偵』秋庭怜子爆誕編
15:天下一夜祭殺人事件【前編】


「宏一、貴方大丈夫? 顔真っ青よ?」

「……まだ耳鳴りがしますけど、だいぶ良くなって来ました」

 

 心配する怜子。

 だが宏一はそう答えるしかない。何故なら、原因を話したところで理解してもらえる訳がないのだから。

 

 つい昨日までは秋だった。堂本音楽ホール爆破事件と、連続爆破殺人事件が解決してから、3日程は怜子と2人でのんびりしようと、話し合いで決めてのんびりしていた。

 

 なのにたった一晩。たった一晩寝て起きたら、何とどういう訳か季節が初夏に遡っていたのだ。

 

 それ故なのかガンガンに頭が痛む。耳鳴りもひどい。最悪だ。

 恐怖と猛烈な時差ボケで、頭痛が酷い。

 

「……秋庭さん。今日の予定は?」

 

「堂本さんのコンサートが終わったばかりだし……たまには2人で祭りとかどう? 埼玉県の天下一夜祭りとか」

 

 どうやらあの秋にあった『完成記念公演』は、いつの間にか初夏に開催されたことになっているらしい。

 なる程、訳が分からない。

 

 余計に痛みだした頭を押さえて、宏一は怜子に話しかけた。

 

「……山に火文字を書いてその年の天下一の豊作を祈願するとかいう、あのお祭りですか?」

「そう。楽しそうじゃない? 夏祭り。貴方の体調次第だけど?」

 

「分かりました……ですが、もうしばらくお待ち下さい。コンビニで頭痛薬を買ってきますので……と、その前に」

 

 頭痛でガンガン痛む頭部を押さえつつ、宏一の部屋でパジャマで寛ぐ怜子のことをジト目で見つめた。

  

「……なんで貴方が僕の部屋の中にいるんですか? 秋庭さん」

 

「最初にこの部屋の契約したの、誰だと思っているの?」

 

 確かに宏一と怜子は同じタワーマンションに住んでいる。

 

 というのも、7年前に宏一をマネージャーとして雇った際に、ほぼほぼ無一文に近かった宏一を見兼ねて怜子が肩代わりして契約したのが、今宏一が住んでいる部屋なのだ。

 

 今でこそ怜子から支払われる給料で、ちゃんと家賃を支払っているが、かつては、初めの頃なんて特にヒモに近かった。

 

 宏一の部屋と怜子の部屋は、階数こそ違うが、同じマンションだから行き来がしやすく打ち合わせの時とても便利。

 

 怜子は我が家の様にソファに深く腰掛けて脚を組んでいる。

 

 しかし、宏一が聞きたいのは部屋に入れた理由ではなく

 

「そうじゃなくて。どうして秋庭さんが朝から僕の部屋に来ているのかと聞いているんです」

 

 本当に分からないの?

 

 怜子は目をつり上げた。

 

 

 

「それは貴方がこの間、勝手な行動ばかりしたからでしょう!? 子供の前で、銃なんて持ち出して……捕まったらどうするつもりだったの!?」

 

「それに関しては申し開きのしようがありません。心配かけてしまい、本当にすみませんでした」

 

「貴方が休みの時に裏で余計なことをしないように、見張ることにしたの。宏一は、少し休んでなさい。頭痛薬は私が代わりに買いに行くから」

 

 

 

 

 

 

 

♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬

 

 

 

 

 夏祭り。

 

 色とりどりの提灯が夜の闇を照らして、老若男女の楽しげな喧騒でごった返す活気ある夜。

 

 多種多様な屋台でひしめき合う会場。色々な格好をした老若男女が行き交う中、異彩を放つ2人組がいた。

 

 浴衣姿の男女。

 

 そんな男女のカップルなど吐いて捨てる程いるが、そのペアは他者を圧倒するオーラを放っていた。

 

 世界的ソプラノ歌手の秋庭怜子と、そのマネージャー冬森宏一。

 

「やっぱり貴方着物、というより和服全般が異様に似合うわね」

 

 そう言う怜子もまた、浴衣姿が似合っている。長くて艶やかな烏の濡羽色の髪の毛を、ゆるゆるのポニーテールに纏め、淡いピンク色の浴衣をびっしりと着こなしている。

 

 秋庭怜子という美人の魅力を十全以上に引き立てていた。似合っている。髪の毛が並の日本人よりも黒いから尚の事和服が似合う。大和撫子然とした、女王がそこに君臨していた。

 そして、そんな女王のとなりに並び立つ男もまた、尋常ではなかった。

 

本当の(・・・)実家の本家が京都だからじゃないですかね?」

 

 そう嘯く宏一は、いつもは整えている髪の毛を特にセットしたりせず、流れるがままに身を委ねている。癖っ毛がいい感じに後ろに流れオールバックモドキになっていた。

 

 また浴衣の着こなしも異常だ。きっちり着ずに胸元を少しだけ(はだ)けさせ、緩めた帯には扇子を差す。だが、姿勢がすこぶる良くて、背筋はピシャっと一本の柱のように伸び、カランコロンと音を軽快に鳴らしながら歩く様はとても似合っていた。

 

 長身の怜子と横並びで歩くと、どうしても頭1つは低い宏一が目立ってしまうが、それが全然気にならないほどの圧倒的な着こなし。

 

 

「和服全般が似合うのはズルいわ。……それにしても今日は視線が多いわね。宏一がそんな風に着てるからかしら?」

 

 すれ違う者全員が、いやすれ違っていなくても、皆が怜子と宏一を何度見かしては指差し盛り上がりを見せる光景。

 

 怜子はとなりに立つマネージャーが浴衣を着こなし過ぎているからだと思った様だが、宏一は苦笑いして指摘する。

 

「このざわめきは貴方がいるからですよ。世界の歌姫秋庭怜子が、浴衣を着て天下一夜祭りにいる。そりゃあ、こんな騒ぎにもなります」

 

 スマホ(・・・)を構えて撮影しだすマナーのない観光客を見て、宏一はまた痛みだした頭を押さえて言った。

 

「だから、少しは特殊メイクで変装すべきだと言ったんです」

「いやよ。言ったでしょ。私は有象無象の評価・評判は気にしないの」

 

 つっけんどんな怜子の言動に、聞き入れてもらう余地はなしと判断した宏一は、深く溜息を吐いた。

 

 そして、懐に手を入れて自身のスマホを取り出すと、宏一はスマホをマジマジと観察した。右から見たり左から見たり、横から見たり上から見たり、様々な方向から観察する。

 

「何してるの?」

 

 突然の奇行をマジマジと見せつけられた怜子は、少し呆れた様子で、宏一の奇行の意味を問う。

 奇行を問われた宏一は、再度スマホをマジマジと見てから、それはもう深い深い溜息を、肺の肺胞という肺胞の全ての空気を吐き尽くさんばかりの勢いで吐き出して、それからスマホを懐に仕舞った。

 

 そして首を二、三度横に振り頬を叩くと気合を入れ直す。

 

「ネットニュースで一面大見出しになるなぁと思いまして、その対策を考えていたんですが特に思い浮かなかったので、秋庭さんと同じく大衆の目は気にしないことにしました」

 

 と、そこで『すみません』と声を掛ける人物が1人。

 

 すわ、怜子の追っかけかと宏一が身を構えるが。

 

「――写真を撮ってもらって……って、貴方は秋庭怜子さん……!?」

「……そうですけど、何か?」

 

 2人だけの逢瀬を邪魔された怜子は、不機嫌であることを隠さず言葉少なに、乱入者を睨んだ。

 

 髪を短めに整えた褐色肌の男性。男性は、慌てた様に言葉を取り繕う。

 

「い、いえ。あの私笹井(ささい)宣一(ともかず)と申しまして……今紀行ものを書いているんですが、その取材用の写真を撮って貰えたらなぁと思いまして」

 

 これ私の書いた本です。宣一が懐から取り出して、差し出した本をまずは宏一が手に取り、怜子と2人で確認する。

 

「「オーストラリア紀行……?」」

 

「昔は今井(いまい)智一(ともかず)というペンネームで小説を書いてたんですが……」

「へぇーあの。私も良く読んだけど。……変ね、今井智一は、今竹(さとる)がデビュー当時に使っていたペンネームでしょ?」

「智とは友人でして、昔は2人でタッグを組んで小説を書いてたんですよ。二人三脚です、お二人の様に」

 

 宣一は再度申し訳なさそうに、怜子と宏一にお願いをした。

 

「すみません……写真をお願いできますか?」

 

 そう言って宣一が差し出したのは、スマホではなくフィルムカメラだった。

 フィルムカメラで写真を撮って欲しいのだろう。中々本格派の作家のようである。

 

「そういうことでしたら僕が撮りますよ」

「ありがとうございます……えっと貴方は?」

「秋庭怜子のマネージャーの冬森宏一です」

「ありがとう。では、冬森さん。まずはあの『一』の火文字を背景に1枚お願いします」

 

 宏一は言われた通りの1枚を撮った。そして、言われるがまま、宏一による宣一の写真撮影会が開催されるのであった。

 

 

 

 

 

 

♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬

 

 

 

 

 

 

 

 唐突に写真撮影会は終わる。

 

「笹井宣一さんですな?」

 

 

 天然パーマのサンゴのみたいな髪形、堀の深くそして縦に長い顔の警官がしかめっ面のまま宣一の後ろから話しかけてきた。

 『横溝参悟』と記された警察手帳を掲げ、横溝刑事は言葉を続ける。

 

「埼玉県警の横溝と言います。今竹さんのことでお聞きしたいことがあります」

 

「今竹がどうかしたんですか?」

 

 

「殺されたんです。貴方が、今竹さんと泊まっているホテルの部屋でね」

 

 

 

「んなっ!?」

「……っ」

「……ほう?」

 

 

 

 かくして運命の歯車は狂い出す。

 

 

 

 

 1人のマネージャーは、数奇な出来事の渦中に引きずり込まれたのだ。

 

――最愛の歌姫を巻き込んで。

 

 

 

 

 

 

 

 




スマホを見て溜息をついてた宏一の内心
――俺絶対携帯からスマホに買い替えてないんだけだなぁ(クソデカ溜息)
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