うちの長男がまだ小さかったころ(2歳から5歳ぐらいのころ)、シャボン玉に悩まされていた時期がある。
どういうことかと言うと、さあ寝ようと寝室の照明を消すと、長男がシャボン玉らしきものがいくつも天井付近に見えるという。だが家内にも私にも何も見えない。
最初は長男が照明の残像が見えているのだと思って、あえて照明を見つめさせてから照明を消してみて、残像について教えてあげたりしたのだが、それとは違う、確かにシャボン玉だという。
そんなものがあるわけがないと思っていたのだが、それからしばらく後にTKFが外を歩いているときに、変なシャボン玉を見かけ、それが本当にシャボン玉とそっくりの姿をしていたので、ああ、長男が見ているのはこれか!、と思って納得した。
どういうものを見たのかと言うと、家の近くを歩いていて、ふと脇の空き地を見たら、3mぐらいの高さのところをシャボン玉が1つ流れていた。テニスボールぐらいの大きさであった。
どこから来たんだろうと思って眺めているうちに、おかしなことに気付いた。
そのシャボン玉は空き地のある場所で、すぅーっと上昇して6mぐらいまで上がった後、すぅーっと降りてきて3mぐらいの高さにもどり、それから空き地の別の場所に行って、また6mぐらいまで上がって降りて、そしてさっきの位置に戻ると、また6mぐらいまで上がって降りて・・・を繰り返したのである。
その速さはまったく一定で秒速30cmぐらい、完全に直線的でまったく無駄な動きがない。風に吹かれているのとは明らかに違っていた。
少し気味が悪くなってきて、誰かが通りかかったら、あのシャボン玉見えるか?、何か動きがおかしくないか?、と聞いてみようと思ったが、あいにく誰も通りかからなかった。
なおも見ていると、シャボン玉はそのような動きを3往復ぐらいしたあと、今度は10mぐらいの高さに上がり、家の屋根を超えて行ってしまい見えなくなった。追いかけたく思ったが道路がない方向だったので諦めた。
同じころ、家内も変なシャボン玉を見たと言ってきた。
1回目は、保育園から子供を連れて帰っている途中に、道路を横切るようにシャボン玉がすぅーっと飛んで、駐車場に入って行って、急に消えた、ということだった。
2回目は病院の待合室にいるときに、窓の外を見るとバレーボールぐらいのシャボン玉がずっと同じ位置に浮かんでいたという。見ているとそのシャボン玉はやがて上の方に移動して、家内が座っている場所からは見えなくなった。窓の傍によって上方を確認しようと思ったが、ちょうどそのときに順番を呼ばれたのであきらめた、ということであった。
そんなこともあって、長男がシャボン玉みたいなものを見ているというのもウソではないんだ、と納得した。
とはいえ、そういうものがいることはわかっても、対処のしようがないので放っておくことにしたのだが、就寝の時間に長男が気になったりおびえたりしてなかなか寝てくれず、こちらも寝不足になってしまうので、いろいろ対処を試してみることにした。
まずやってみたのは、近所の天満宮でお札を買って来て飾っておくことであった。だがそのお札の前も平気でシャボン玉は飛び回っていて(と長男が言っていた)、まったく効果がなかった。
次は盛り塩を買ってきたが、まったく同じであった。
ならばと、盛り塩を爪で少量削って、シャボン玉がいるという方向に投げつけてみた。するとシャボン玉はさっと部屋の隅や物陰に逃げていって(と長男が言っていた)、成功か?、と思ったのだが、すぐにまた戻ってきてしまって、あまり効果がなかった。
それならと考えたのは、TKFが気を発散して周囲を制圧することであった。TKFは若いころ気功に凝ったことがあったのだが、その要領で「強い気」を発して、シャボン玉みたいなものにプレッシャーをかけてやろうということである。
で、実際にやってみた。だがシャボン玉は全然反応せず、そこらを飛び回っていた(と長男が言っていた)。横にいた家内は「本当に気なんて出ているの?」と疑ってきたが、「いや、ちゃんと出ているよ。わからないか?、きっと気がきかない相手なんだよ」と言っておいた。
そうこうしているうちに5分もするとTKFが疲れ果てて寝てしまい、それにつられて横にいた長男も寝てしまうので、対処としては非常に有効であった。
そんな日々がずっと続いているうちに、そういうのにも長男が慣れてきたのか、シャボン玉が多少飛んでいても何も言わなくなり、この問題はとりあえず解決できた。
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これも後日談をつけておくと、どうもこのときのシャボン玉(オーブ)は、それまでTKFが飼っていて死なせてしまった金魚の霊らしい。というのは、この2~3年後に長男が、それぞれのシャボン玉(テニスボールぐらい)の中にお魚がいる、と言ってきたので、ようやく気づくことができた。
その10年ぐらい前から、TKFは金魚を飼うのが好きでよく飼っては死なせていた。金魚は飼ってみると分かるが、人にすごく馴れる動物であり、水槽に指を入れると逃げるどころか体をこすりつけてきたりする。
だからTKFがプレッシャーをかけても逃げずに遊弋していたというのも納得だし、ちょっと物を投げても、ちょっと逃げるけどまたすぐに寄ってくる、というのも金魚ならではの動きである。
そういうことで、このときのシャボン玉は悪いヤツではなかった、というのが結論である。
それが今もいるかどうかは、今は長男も(+次男も)そういうのが見えなくなっているのでよくわからない。