ワイルズ二次創作の豊穣期が来ることを願って。
儚き命、大いなる碑
──期──年
気が付いたら異世界にいた。輪廻転生は実在したんだ。
という戯言はここまでにして、私はある大都市に生まれた。すごく近未来的だけど、文明はなんか微妙な発展具合という、何ともアンバランスな場所だった。
全体的に石造りの街で、翼の生えた白い鱗のラプトルみたいなのが、人と共にうろちょろしている。すごく不思議な街だった。
私もその住民になり、今日まで十年もの歳月が過ぎた。今じゃ隣にセクレト、そのラプトルみたいなのが隣にいることに慣れた。どうやらこの白いのは人造の竜らしい。食事をしないし生殖能力もない。代わりに人の命令に従順だ。かわいい。
セクレトの他にも人造の竜はいるみたいだ。警邏として優秀なオドガロン亜種、空の監視者にリオレウス、火力を備えた兵隊たるドシャグマ、対飛竜種用のアンジャナフ亜種……ソイツらのコピーが当たり前に存在するのも、まあ慣れた。
ここまで来て、これを読んだ同郷方は察することができるかもしれない。あわよくば、かつてを知る者にこれを読まれていることを願う。
この世界はモンスターハンターの世界だ。しかも大昔で、多分この都市は後にミラボらに滅ぼされる系統の。
──期──年
ガチで頑張って、僅か十五歳で研究者の道へ入ることができた。前世で活かせた技術とや知識とか教えたり、それを活かして論文とか沢山作ったら、サクッと入ることができた。まあ九割は使えない技術だし、一割はそこから発展できるかどうかという感じ。しかし功績を認められた以上、もう私は研究者の一員だ。
というわけで。ここ竜都は『造竜』なる技術がある。この世界に存在するモンスターを元に、竜乳という万能エネルギーを使ってコピーモンスターを造る、生命人造技術だ。よくクローン技術と聞いてイメージされるようなカプセル…実際は竜乳で出来た繭で、コピーモンスターを生み出している。
既に禁忌感満載だが、この都市じゃもう当たり前に普及しているし、生活に馴染んでしまっている。なんなら、モンスターとモンスターを掛け合わせたキメラ造竜の計画ももう遂行された後だ。レ・ダウとか、ウズ・トゥナとか、なんかすごい名前のモンスターが、既に竜都の外郭地域に解き放たれている。
ひしひしといつかミラ古龍に滅ぼされる運命を感じる。ヤバすぎるだろ。
彼ら造竜種は竜乳を摂取できる限り死にはしない。そして竜乳は竜都中心にある『龍灯』なる永久機関が一生産み続けているので、造竜種の何体かは滅んだ後もある程度は生き続けるだろう。多分龍灯ごとこの地が消えるだろうと思うし、短い命だろうけど。
命はどうやってもいずれ消えゆくものだ。結局都合のいい生命が生まれようが、前述の通り供給が無ければ死にゆくもの。それは人間とて変わらないだろう。私も、ここにいる人々も、龍灯を無くせばこれまでの生活と造竜の庇護を無くし、滅びゆく定めだ。
なので、私自身が究極の造竜になる道を選びます。
なんでぇ?と思うだろう。結論から言うと、私は死にたくない。死ぬくらいだったらやりたいことをやって死んでやる。せっかくの人生二回目。この世界の摩訶不思議科学を自由に使える立場になったのだから、やってみたいことは沢山ある。
龍灯とかいう永久機関、アレ人が作ったものらしい。アレもどうやら生体的なブツなので、もうヤバ過ぎる。絶対古龍が文献も記録も消してくるタイプの厄ネタだ。
そうなれば、私なんてちっぽけな命は即座に消えるだろう。相手はドラゴン。御伽噺のそれそのものに、人が勝てるわけがない。ゲームじゃ散々遊ばせて貰った相手に、果たして自分たち人間が戦えるものなのだろうか?
いや、だからこそ造竜なんてものを生み出した?
ひとまず、自分が造竜になるにあたって、永久機関の超小型化を目指すことにした。造竜は竜乳ありきの生物だ。だから竜都から離れられないし、そこから逸脱してしまった造竜は死滅してしまう。なので、既存の龍灯に依存しない、完全独立した造竜になる必要がある。
龍灯を心臓にすることを前提として、どうせなら自分のロマンを詰めたドラゴンになりたい。例えばリオレウスのような自由な翼とか、グラビモスのような極太レーザーブレスとか、例えばタマミツネのような人すらも魅了させる美しさとか、なんならあの白いドレスの少女みたいな……
小学生が考えることでいい。それでこそ
まあ最終的に竜人になるのかな。自らってことは、ベースは自分になってしまうので。もう竜を造っちゃってる時点で手遅れだが、私は人間を実験材料にすることはしない。なるなら私自身が実験材料だろう。
いつか、私もあの竜乳で満たされた繭の中で眠るのだろうか。そうなるとちょっとエッチだな……
もし都市を抜け、災いを回避する道を辿るのならば、シュレイドがあると聞いた西へ旅してみたいものだ。
自身の知る遥か数千年前?の舞台とはいえ、ここはモンハン竜が蔓延る野生溢れた世界。色々見て回ってみたいし、なんなら狩人になってもみたかった。色めく大地に、そこで生きる憧れた竜たちの姿。いつか古龍とかにも出会って、この星の神秘を識ってみたい。
叶うと思っていなかった夢を、せめて見させてはくれないのだろうか。
──期──年
できちまった……超小型龍灯。
だが同時にこれは失敗作だった。そして、都市の龍灯と同じように、もう二度と生み出せない唯一無二のものだろう。
何人もの研究者や医者に頼み込み、私の心臓を龍灯に改造させて貰ったのだ。
お陰で私の心臓は、ワイヤーフレームのような丸い球体が回転し、白い光を放つスフィアと化した。ちょうど胸の中心にあり、経過観察のために透明な皮膚でそこだけ丸見えになるように縫合された。まるで、そこだけ機械化したみたいで面白い。
龍灯は生体的な永久機関だった。
竜たちが持つ属性エネルギー、それらを無垢なまま生み出す装置。だから燃料になるし、肥料にもなる。なんだったら飲める。建築材料にもできる。火や水、雷といった指向性が存在しないので、何にでもなりうるのだ。そしてソレは、生命的エネルギーでもある。
当初の考えは半分当たっていた。龍灯は人間でいう心臓だ。血液の循環を促し、血液を濾して肺に送る。その循環機能は、竜都にもある。
龍灯を中心に流れたエネルギーは、都市の基盤たるメガストラクチャを保つための、無重力発生装置を起動させている。余剰分のエネルギーは大火釜へ流して冶金に利用しており、そうして発生した汚染物質は降水発生装置で洗い流す。同時に稼働する空気循環装置によって雷を発生させ、気化したエネルギーを都市へと戻してゆく。
無重力発生装置は、空気中の分子すらも停滞させるため、周囲の温度を低下させてしまう。大火釜や降水発生装置、空気循環装置は一目瞭然だろう。それぞれ火、水、雷だ。龍以外の属性エネルギーが龍灯へ還って来ている。
これらが周期的に起動と沈黙を繰り返すことで、ほぼ無限にエネルギー供給を果たしているのだ。そしてその収支はなんとプラス。マイナスになることがないという驚きの結果だ。だからこその永久機関なのだが。
ようは、龍灯と同じことを、そもそも人間は心臓でやっていたということ。私はこれに着目し、心臓を同システムに、流れる物質を血ではなく竜乳に置き換えた。それだけで、超小型龍灯は完成した。
ただ、これを量産となると、それはもう無理だろう。何せ心臓移植手術だ。成功率も低く見積もっていたし、できたのはほぼ奇跡だろう。
この都市に生きる人々は、意外にも善い人ばかりだった。造竜なんて人の心が無さそうなものを作っておいて、いざ人に対してこの実験を行った時、暗い顔をする者しかいなかった。反対意見の方が多かったし、立ち会った後で職を自ら辞めた者だっていた。
皆、分かっていたのだ。これまで自分が行なっていること、これから成そうとしていること、それらが全て禁忌であると。わかっていても止められなかったのは。
それでも人だったんだろう。
(濡れて文字が滲んでおり、よく読めない)
──期──年
手術で私の心臓が龍灯化した。お陰で、ちょっと不味いことになった。食欲が失せた代わりにトイレに行く回数が増えたし、なんなら出るものが白いウンコだ。やーい私のウンコぶりぶり竜乳ー
いや冗談じゃない。何かおっぱいが張り出したし、無性に
とまあ、結果的に私は人類初の究極の生命体と化した。これで死ぬことは無くなったが、生き続けているとエネルギー過多でどうなるか分からない爆弾と化した。やだよこのまま白い下痢ウンコ垂れ流す女になるの。護竜たちが竜乳欲しさにめっちゃ寄ってくるもん。
なので次は、私がなろうとするドラゴンのキメラデザインを決めることだ。
必要なのはエネルギーの排出先だ。放っておくと竜乳が溢れそうになるので、日常的にエネルギーを大量に使うようなデザインにしなければならない。
そうして思いついたのが、バルファルクの翼だ。龍属性エネルギーで、さながら戦闘機の如くジェット噴射でぶっ飛ぶアイツは、かなりエネルギーを使っているはずだ。まずはバルファルクの翼を採用した。移動クソ便利になりそうだし。
次に保湿機能。竜乳は凝固しやすいが、液体に溶けやすい性質を持つので、タマミツネの肌を採用した。竜乳によって常に潤いのある肌にし、なおかつ竜乳を液体のまま全身から排出できるようにしておく。いわば、汗と同じ機能だ。酷い時は全身ヌルヌル白濁人間になりそうだが、その時に凝固して石像にならないようにするための措置でもある。タマミツネが分泌する滑液は美容にも良いものだ。
ボルボロスやアグナコトル、ジュラトドスのように竜乳をあえて凝固させて纏うという案もあった。だけど私は人間。鎧ならともかく、皮膚に癒着するように纏うのは、いずれ全身がガチガチになってグラビモスみたいに動きづらくなりそうだな、と思ったのだ。鎧を纏うのはそれでカッコいいが、野生のモンスターのように常に戦いの中に身を置くわけではない。
とはいえ何も服を着ないのもアレだろう。と思い、ヤツカダキやネルスキュラのような、布や皮を纏う性質を真似ることにした。竜乳で糸を作れる、蜘蛛の脚めいた隠し爪を導入する。これで糸で衣服を作ることにした。いざ着る時はドレスっぽくしたいな。
竜乳の排出はこれでいいだろう。
しかし元が人である以上、食事や睡眠、まあ…やることはないだろうが…生殖機能はありたい。じゃあ心臓の龍灯化要らなかったやん!と思う方もいるかもしれないが、私はこれから数千年に渡る世界の変遷を見たい…という欲望があるので、叶うなら古龍レベルの寿命が欲しい。
ただ、生殖機能は寿命ありきの命が持つものだ。命が短いからこそ、次にバトンを繋ぐ。そういうシステムなのだ。だから命を繋ぐ必要がなくなった今の私には、機能の本領たる性欲はない。
しかしテオ・テスカトル、ナナ・テスカトリという、古龍でありながら番を作る古龍だっている。アレらはカップルというよりは熟年夫婦みたいなものだが、アレで「繁殖一切してません」なんて言えないだろう。ヤる度にエリア全体爆撃してきたアイツら絶対に許さなそういう例もあるので、あることはいずれ何かしらの役に立つはずだ。
むしろちょっと見てみたいと思う。今の私が子を産んだ時、その子はどのような命のカタチを取るのか。こればかりはちょっとした好奇心だ。
さて、大まかなデザインは決まったので、ひとまず元となるモンスターを集めよう。
バルファルク、タマミツネ、ボルボロスとアグナコトル、ジュラトドス、ヤツカダキとネルスキュラ…あ、やっぱりサンプルは多めに欲しいな。リオレウスはデータがすでにあるから、だったらジンオウガのデータが欲しい。カッコよさ、大事だよね。いやカッコよさならティガレックスかライゼクスかなぁ。でもそうだな、フルフルやギギネブラのような伸縮性のある肌もいいな。ゲテモノだけど、だからこそいいお肌が手に入るかもしれない。ゲリョスの皮だとなんかピチピチしそう、ラバースーツみたいな。待てよ、糸を操作する技術なら翔蟲とか欲しい。アレは武器や道具に応用できる糸を吐き出すし、技にもなる。じゃあアトラル・カくらい丈夫な糸にもしたいからソイツのデータも…
え?そんなモンスター知らない?存在しない?ジュラトドスはある?
…そういや、今は遥か昔だから、まだ存在していないモンスターがいても不思議じゃないか。
──期──年
災いが来てしまった。ついにここは滅んでしまうのだろう。
竜都を守るために駆り出た護竜たちと、災いたる古龍たちが、都市の外郭で争いあっている。運がいいことに今は拮抗状態だが、負けるのは確定事項だ。古龍たちがなぜ禁忌と呼ばれているのか。その理由が直にわかる。
私の研究はここまでのようだ。
結局、私の理想、「造竜人」のデザインは中途半端になってしまった。ガワがいいだけの美少女が出来上がり、その癖、数多のモンスターが持つ個性や強みは一切搭載することができなかった。何せ、欲しかったサンプルの八割が存在しないモンスター。設計図を作れても、作るための材料が無ければ意味がない。
今や私はただの永久機関の持ち主。竜乳を分け与えられる、第二の龍灯。
「ゾ・シア」のような、竜都が生み出した最終兵器にはなり得なかった。
いや、そうか。
私がその子になればいいんだ。
──期──年
私の研究室に造竜装置を立てて貰った。こんな時期にワガママを言って申し訳なく思ったが、皆感謝の言葉を述べていた。
彼らは私がこの竜都の碑になると思ったのだろうか。あるいは、研究成果が遺ると思ったのだろうか。
どちらでもいい。そう思った時点で、私は薄情な人間なのだろう。
彼らは皆、現状を良くしたいと思って行動する人だった。自分ではなく他者を。周囲だけでなく、皆が住まう場所を。そうして良いものを作ろうとした結果を重ねた末に、もうどうしようもなく禁忌に触れた後だということを自覚したのだろう。それでも心を止められず、やがて滅びゆくことを理解した人々は、閉ざされた都の中で生きることも、死ぬことも、受け入れてしまったのだろう。
私は彼らの中では、一番自己中心的な人間だったかもしれない。「今を良くしたい」、「ずっと幸せでありたい」という思想が、彼らの根幹だった。「理想のドラゴン娘になってみたい」という私の思想に比べれば、彼らの欲望は遥かに透き通っていた。だが私は最後まで、私利私欲に突き進んだ。この造竜装置は、その証拠だろう。
今から私は、この造竜装置で眠りにつく。繭の中はゾ・シアの生体データで満たしたので、起きたらゾ・シアになっているだろう。その時私は私でいるのか、はたまた魂すらも護竜の本能に上書きされているのか。結果は、目覚めさせてくれた者にしか分からないだろう。
このコールドスリープ実験が、私の最後の人体実験となる。
もしも災いが私の研究室にまで届いたのなら、そういう運命だったとしよう。
願わくば、また朝日を夢見たい。
例え、遥か幾万年後になったとしても。
星の隊は『竜都の跡形』の調査を継続していた。
西の彼の地と違い、古代文明の名残がこれほど鮮明に残っている場所は、素人目で見ても貴重だと分かるだろう。そして名残はカタチだけでなく、彼らが遺した造竜装置や、『龍灯』という現在も稼働し続ける永久機関がある。
いつから『禁足地』と呼ばれたのか。その地は龍灯を中心にエネルギーを大地に循環させ、規則的な気候変動を行うことで、モンスターの繁栄に限らず、この地に住まう部族たちの文化を構築させていた。
「本ッ当に凄いよ! やっぱり来て良かった!」
「そうか。私も、ここには来て良かったと思っているよ」
「そうですかい……で、アレか。問題のヤツは」
──古代文明の名残、竜都地下。造竜装置たる竜乳の繭が幾つもある場所の、さらに奥。守人の里シルドへの道にも似た廊下を渡った先に、「研究室」を見つけたという報告を受けた星の隊は、実際にそれを目の当たりにした。
同じ造竜装置。冒涜的な大きな白い繭が鎮座し、その横にいくつもの実験道具や本が散乱している場所は、まさしく「研究室」だろう。
生態研究者のエリック、星の隊ハンターのオリヴィア、技術部門のヴェルナーの三人は、この部屋を訪れてすぐに、白い繭を見た。
「……ゾ・シア?」
「にしても小さ過ぎる。何より、人にも見えないか?」
「それにコイツ、肌で分かる。龍灯が搭載されてやがる」
白い繭に映るシルエットは、龍灯に寄生しエネルギー循環を滞らせていた元凶、竜都が滅びた原因である「ゾ・シア」のシルエットに似ていた。だが、同時に繭の中で丸くなった姿は、まるで眠りについた子供のよう。さらに技術部門の言葉通りならば、中のイキモノは、その小ささで永久機関が備わっているらしい。
厄ネタだ。ゾ・シアを、あるいは禁忌級古龍を超える厄ネタで間違いないだろう。三人の見解は、黙ったまま一致した。
すると、繭から突然粘着質な音が響き渡った。
「!? え!? ボク何もしてないんだけど!」
「下がれ!」
「おいおい、マジか……!」
グチャッ! パキッ!
繭にヒビが入り、眠りから覚めた存在が、それを破こうと蠢く。まるでベッドから起きたかのように背を伸ばし──腕と一体化したかのような翼が伸び、繭を破る。ビチャビチャと羊水代わりの竜乳が漏れ出し、そこからニュルリと体が露出した。
それは少女だった。しかし同時に竜でもあった。
白過ぎる肌。純白の髪。可愛らしい顔立ちの彼女の頭には、雄々しい禁忌の角が生えている。十七歳程だろうか。美と可憐さを兼ね揃えた体つきで、白過ぎる肌には竜乳の糸がドレスのように絡みついている。背中にはまるで鳥を彷彿とさせる、純白の羽根と鱗が共存する翼。白過ぎる肌は人のものだが、人の腕と脚は竜らしい屈強さがあり、籠手と足具のよう。
竜乳にまみれながら、生まれ落ちた少女は、すぐに目を開けた。
起きて立ち上がり、くぁぁ……と可愛らしく欠伸をする。その時見えた青一色の口の中。胸の中心は透けて体内が見えており、そこには超小型化された龍灯がハッキリと見えた。
「……んぅ?」
「ッ」
オリヴィアは得物を構えて警戒するが、目の前の存在が脅威か測り兼ねていた。いや、脅威と言えばそうなのだろう。しかし、目の前の少女が、本当に人だった場合──らしくもない思惑が過ぎるが、今はハンターとして警戒に徹した。
一方で、エリックとヴェルナーは絶句していた。
人と竜のキメラ。ゾ・シアという明らかに禁忌級の古龍のキメラもそうで、龍灯だってそうだ。人の手に余るものを、この数日間でじっくり見過ぎた彼らの脳は、さらに焼きついた。「こんなのもあるのか!!」と。
「……えっと」
「喋れるッ!?」
「マジか!」
「おい二人とも黙れ!」
「……ぷっ、くすくす……っ」
オリヴィアの肩を乗り越えてまで接しようとした二人をいなし、その光景に笑う少女。おかげで毒気も緊張も抜かれてしまったオリヴィアは、得物を手放さず、かといって警戒心はあまり顔に出さぬように接することを決めた。
「あぁ、すまない。言葉は通じるか?」
「えぇ、はい。通じます。かつてと似て、読み取りやすい言語です」
「すっっっご!! もしかしなくてもさぁ! 古代人の生き写しじゃない!?」
「その龍灯……! 見せてくれ、もっと間近で!!」
「だからお前たち!」
「っ、あはははは!」
「……二人が済まない」
なお暴走する二人は力づくで押さえつけた。逆にその様子が少女の毒気も抜いているようで、オリヴィアはひっそりと二人に感謝と怒りをぶつけた。
「私はオリヴィア。この街に訪れた旅人だ。よければ、君の名前を教えてくれないか」
くすくすと笑い、笑みを浮かべる少女の姿は、とても竜には見えない。しかし、見るからにあの禁忌の姿がチラつく彼女の容姿は、落ち着いたとはいえ緊張が走るものがあった。
少女はそんな様子すらも笑っているのか、それともまだツボに入っているのか。定かではないか、彼女は柔和な笑みを浮かべて──さらなる爆弾を投下した。
「ニ・スキです。研究者をしておりました。そして、私はゾ・シアとの融合造竜人です」
「ニ・スキ」
千年前の竜都に転生したヤツ。天才少女研究者として名を馳せたが、自身を検体とする実験を数多くこなし、当時に生きた人々の心を病ませた。
ゾ・シアの生体データを千年も生きたまま取り込み、人体と融合して護竜化した。
ゾ・シアの名前の由来がペルシャ語らしいので、日本語で「二」と「透き」を合わせた名前になった。第二の龍灯の持ち主。
「オリヴィア」
イケメンお姉さん。何かあったら確実に殺る覚悟の持ち主。
「エリック」
興奮が止まらないイケメン研究者。
「ヴェルナー」
興奮が止まらない顔の良い過集中型。
「古代人たち」
思うに、悪い人がそんなにいなかったらからこそ、ブレーキをかけれずヤバいものを沢山産んでしまったのだと感じる。
白肌青粘膜ドラゴン娘は幾らでもあってもいい。
今作はえっち過ぎるネタが多い。
続きません。