ロワイヤルというゲーム会社がクラファンを募っていたそのVRゲームに、惚れ込んだ男がいた。
人類の内に眠る闘争本能。長きにわたり飼いならされたそれの無聊を慰めてくれると!現代人の鬱屈とした精神をきっと晴らしてくれると!
多くの人がクラファンに参加した!男も精一杯の金を出した!そうして今、人々の恋焦がれた世界が目の前に結実している!
青い空!
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!」
白い雲!
「キィエエエエエエエエエエェェェェェ!!!!!」
目を血走らせた
「天誅ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「なっあっぐああああぁぁぁ!!」
「ふへへやったぜ私の童貞キルはお前ですよぉ……(ねっちょり)さ、辞世の句を。」
「くぅっ……おめでとう!販売開始!辻斬カプリッチオ!」
「字余りです!!!」
男は納刀し、静かに空を見上げる。
「闘争本能が満たされますねぇ……」
背後から静かに駆け寄る者がいた。刀を低く構えたその姿は紛れもなく一人の武士。余韻に満たされた男はまだ気づかない。
「私もクラファンした甲斐があったと……」
「余韻狙い天誅ぅぅぅぅ!!!!!!!」
「あっちょっ待っぐあぁぁぁぁ!!」
男が咄嗟に振り返ったと同時に、胸に生えた白刃。必然的に反り返るようになった男に声が掛けられる。
「辞世の句を読め、介錯仕る」
「………………祝!辻斬カプリッチオ!ですよね!」
「字足らずだよ!」
男のサムズアップは消えていった。
男が目を覚ませば、そこは薄暗い和室だった。もの珍しそうに周囲を見渡す男の目に映るものは様々である。
「え?」
障子から、剣先が生えている。微かな音とともに刀は引き抜かれ、その穴からは目が覗き、男がそれをガン見していることに気付き動きを止めた。男と、障子の向こうの者。両者の間に時間が流れる。見つめ合う時間は一瞬にも永遠にも思える。その静寂を破ったのは男の方だった。
「……あ、初めまして、私、アレグロと申します……」
なんとここに来て自己紹介!男、改めアレグロの自己紹介!このアレグロ、殺意と礼儀を併せ持った由緒もへったくれもない一般武士系主人公だ!しかし相手は無言!再び静寂が戻る!そのまま一秒、二秒、三秒、動き出したのはほぼ同時だ!
「趣味は音楽……っ!!」
寝ぼけたことを言っているアレグロに対して相手は障子を蹴破った!そして明かされる相手の姿!黒装束に覆面、その姿は紛れもないニンジャだ!同時にその動きは、明らかに「僕NPCですよ」と言っている!ここに来てアレグロ、自分の失態を悟ったか、羞恥で顔が赤くなる!NPCに自己紹介した恥を誤魔化さんと、アレグロ抜刀!切りかかられた刀を見事に防ぐ!
「NPCじゃないですか!!!」
悲鳴のようなアレグロの叫びにもNPCは動じない!機械的な動きでアレグロに打ち込むも刀を弾かれる!アレグロそのまま押しきった!体当たりの後に胸へと一閃!
「天誅!!」
勝負あり!アレグロは天誅の快感の中、納刀した。改めて自身の状態を確認せんとコントロールパネルを開く。そっと装備欄を触り……
突如として畳の縁より生えた刀により、アレグロは二度目のリスポンを迎えた。
小説を読もうで掲載されている原作を参考にしていますが、原作内で辻斬・狂想曲:オンラインが述べられる部分ってほとんど!ありません!
現在939話原作では投稿されているものの、辻斬・狂想曲:オンラインの回は10数話です。
供給が少ないから何書いても許される……?
さておき、原作知らずとも楽しめる作品にするつもりですので、よろしければ高評価をお願いします!