追記
使用機体を書き忘れてたので本文の一番最後の入れました。
ラハマ郊外
そこでは、オウニ商会の飛行船"羽衣丸"が空賊の襲撃を受けていた。護衛のナサリン飛行隊が迎撃に上がるも、空賊の練度が予想以上に高く、次々に撃墜されていった。その最中、レーダーに新たな機影が出現する。
「6時の方向、羽衣丸後方から新たな敵機」
「またぁ!」
レーダー員の落ち着いた言葉に対し、羽衣丸副船長 サネアツは慌てて大声をあげる。
「急速に接近、速度は200キロを越えています」
「えぇぇぇ!200キロ!」
「敵機、本船まであと600クーリル」
その直後、レーダーの光点が連続して3つ消える。
「レーダーから3機の機影が消失」
レーダー員が報告した直後、ナサリン飛行隊から通信が入る。
『こちら、ナサリン飛行隊フェルナンドだ。どこからともなく見たこともない戦闘機がやって来て、空賊を次々に落としたみたいだが何か知ってるか?』
ナサリン飛行隊からの通信を聞き、各々が顔を見合わせる
「味方、なのか?」
サネアツ副船長は、1人言葉を溢した。
ナサリン飛行隊のフェルナンドは、謎の戦闘機が空賊の乗る零戦を落として上空に離脱していくのを見ていると、アドルフォが並走するように並ぶ。
『なんだよあの戦闘機、あっという間に3機も落としたぞ』
「ああ、かなりの手練れだ」
突然のやってきた謎の戦闘機に2人は驚いているものの、それ以上に驚いているのは零戦に乗ってる空賊たちだろう。瞬く間に3機を落とされ、猛スピードで上方に離脱していったのだ。ここでコトブキ飛行隊も全機発艦すれば、一気に優勢になる。
『で、どうする?』
「……あの戦闘機とコトブキ飛行隊を援護する、行くぞ」
そして、2機だけになったナサリン飛行隊は味方の援護に向かった。
“何故、自分はコックピットにいる?”
最初に頭の中に浮かんだのがこの言葉だ。久しぶりにWar Thunderでスピットファイアに乗ってRBの空戦をしようとしたら、睡魔が襲って寝落ちして。次に目を覚ましたらコックピットの中。ワケガワカラナイヨ……。*1
しかも、なんか感覚で操作が分かるし、視界の左上に現在の時速と高度に残弾数、右上にレーダーがあるし、レーダーには敵味方の反応があるし。視界もコックピット視点で目の前の空域に敵味方の識別色と距離、機体名が出てる。しかも、味方は劣勢っぽいな。助けるか(即決)
なんで、こんなことになってるのか考えるのは後にする。対多数戦上等、惑星じゃよくあることだ。そして俺は、味方の紫電を襲う零戦に急降下した。紫電の真後ろにピッタリついてる零戦に照準を合わせて射撃ボタンを押す。20㎜機関砲弾が零戦の機体後部を吹き飛ばす。
「一つ!」
続いて1機の零戦を追う別の紫電を追い回す3機に狙いを定める。あ、紫電が1機落とした。そして紫電が急旋回し、零戦もそれに追随する。その後ろに俺が付く。
「もらった!」
操縦桿を引くと同時に射撃ボタンを押し、零戦2機に砲弾が当たるよう調整する。
最後尾の零戦の左翼を吹き飛ばし、
「二つ!」
その左前の零戦の右翼から炎が噴き出す。
「三つ!」
最後の1機は攻撃に気付いて紫電の反対方向に離脱した。俺は格闘戦を避けるため上に離脱する。と、ここで新たな味方の反応が5機。その方向を見ると全機、一式戦で構成されている……うぁぁぁ(トラウマ)*2。
てか、新たな敵反応4…5機。零戦まだ残ってるじゃん、どっから湧いてきた!雲の中に紛れてたのか!?だが、零戦はこちらを無視して……大型飛行船に向かって行く。ええぇ……(困惑)、阻害気球なら見たことあるけど飛行船は見たことないんだが。しかし、零戦5機+逃した1機は尚も飛行船に向かって行く。
「ッ!まずい!!」
すぐに反転、フルスロットルで追撃する。緩降下で増速しながら零戦に迫る、が先に一式戦と接敵して乱戦になる。一式戦のパイロットはかなりやりてらしく、2・3に分かれて瞬く間に3機を撃墜する。しかし、取りこぼした3機が飛行船に向かう。だが、
「間に合った!」
一式戦のおかげで追いつくことができた。冷却液の水温が爆熱気味だが問題ない。短時間で仕留める。
最後尾の零戦を真後ろから急襲するが躱される。しかし、上に回避したのを見てすぐにフラップを下げて操縦桿をめいいっぱい引く。徐々に照準に入っていき、
「今!」
射撃ボタンを押すと両翼を吹き飛ばす。
「四つ、後は……あ」
レーダーから真後ろに敵反応。旋回半径を無理やり縮めた結果、急減速した今の状態じゃいい的だ。
「やばッ」
すぐにラダーを操作して右に無理やり機体をそらし、被弾を避けようとする。そのすぐ後に、左の真横を複数の曳光弾が飛翔音と共に通り過ぎる。後ろを振り向くと零戦の頭が少しずつのけぞり始めている。急上昇で勢いを失って失速したようだ。チャンスと思った俺は、ラダーをそのままの状態で保持し、機体を降下させながら180°回転させてからラダーを戻す。速度が乗り始め、機体が安定したと同時に先に失速から回復した零戦を追う。零戦は左右に小刻みに旋回して照準に捉えられないようにするが、動きが単調すぎる。
「ここ!」
予め敵機が来る位置に機関砲弾を放つと、吸い込まれるように命中して炎をあげながら落下していく。そして、落下途中で爆炎をあげると機体がボロボロに崩れていった。
「これで五つ」
確か、一日の間に5機撃墜するとOne Day Ace(うる覚え)*3になるんだっけか。じゃなくて、近くに見当たらない残りの1機をレーダーで探すが探知範囲の端。二時方向に逃げていた。
追おうとしたが、1機の一式戦が横に並ぶ。見ると、コックピットにいる女性が口を動かして何か言っている。あ、無線の電源入れてねぇ。慌てて電源を入れると女性の声が聞こえてくる。
『繰り返す。こちら、コトブキ飛行隊隊長のレオナだ。貴殿の所属と名前は?これ以上無視するならば』
「えーと、こちら日本クラン・装備開発隊(JCTD)所属のクーリエだ!紫電が劣勢だったから助太刀に入った次第で。無線は、いつの間にかスピットファイアに乗って飛んでて混乱してて付け忘れてて」
『分かった。空賊ではないようだな』
何かやばい感じがして、早口で言ってしまうが何とか危機は免れたらしい。
『だが、聞いたことのない部隊名だな。どこから来たんだ?』
「あの、その前にここって惑星のどの国の
『惑星?』
え?ここ惑星じゃないの?
「……惑星War Thunderって知ってます?」
『いや知らないな。ザラ、知ってるか?』
『聞いたことないわ。エンマ達はどう?』
『
『ケイトも知らない』
『えッ!ケイトもエンマも知らないの!』
……ええぇ(困惑二回目)、てか今気付いたけどメニュー開けないからログアウトもできない。嘘だろ………俺、これからどうすればいいんだ?
『大丈夫か?』
呆然としていいると、レオナ隊長に声を掛けられる。コックピット越しに顔を見られていたようだ。
「あー……大丈夫、ではないですね。故郷に帰れなくなったのが、分かったので」
そう言うと、少しの間沈黙が続く。俯むきながら操縦していると、ふと右下の燃料計に目が行く。計器の針がゼロよりちょっと前の場所を指していた。
「ファッ!」
『ど、どうした』
「ね、燃料がもうありません、降りれる場所を探さないと」
俺が慌てていると、レオナ隊長が助け船を出してくれる。
『なら、急いで羽衣丸に。サネアツ副船長』
『分かった。クーリエ君だったか、羽衣丸への着艦を許可する!』
羽衣丸…多分飛行船の名前だろう。しかし、飛行船に着艦?と、思っていると、飛行船の真ん中あたりが開き始め貫通式の滑走路が出現した。ま、ま、まさか……
「空中…空母、だとッ。あ、いや、了解!着陸態勢に入る」
驚きながらも、着陸態勢に入る。しかし、飛行船との速度差が大きい上、滑走路の天井が低い。まるで格納庫に直接着陸するようなものだが、遊びで練習していたので経験がある。まさか、あの経験が活きる場面が来るとは。
ギアを降ろしてスロットルレバーを動かして速度を調整しながら着艦する。少しでも減速させるため着艦の直前にフラップを下げる。それでもまだ速く、ブレーキだけでは止まれそうにないと思った俺はラダーを操作して機体を左右に小刻み振ってさらに減速させる。飛行船の中央あたりに来ると広い空間が現れる。どうやら駐機場らしく、かなりのスペースがある。俺は、その空間に入った瞬間ラダーで機体を右に少し向けた後、ラダーを反転させて左へ。今度はその状態を維持して機体を回転させる。ただ、速度を殺しきれず機体が傾いて右翼の翼端が滑走路に掠るが何とか停止する。
俺は、フラップを上げて燃料計を見るともう燃料切れ寸前だった。
「エンジン停止。ふぅぅ」
いつものようにエンジンを切り、無事に着陸したことに安堵する。そして、キャノピー開けて外に出ると足音が近付いてくる。え、子供?
「コラァァァァ!何やってんだお前ぇぇぇぇ!」
そう言いながら作業帽を被って軍手履いた、なんかのハンドル*4ぶん回して叫ぶ子供が猛スピードで近付いてくる。その後ろから作業員らしい男達が大勢やってくる。
「すみません、こうでもしないと止まれそうになくて……」
「だからって機体を回すな!危ねぇだろ!」
少女は、ハンドルで俺を指しながら怒鳴る。ぐぅの音もでない。
「はぁ、まぁいい。とりあえずその機体を退かすぞ。お前らぁ!3分で終わらせッぞ!」
「「「「「「オスッ!」」」」」」
少女の号令と共に作業員達は俺の機体を動かし始める。その様子を見ていると、後ろから声を掛けられる。
「やぁ、君が助けに来てくれたパイロットかい?」
振り返ると、無精髭を生やしたおっさんが立っていた。ん?この声、さっき聞いたな。
「さっき無線で着艦許可を出していたサネアツ副船長、ですか?」
「そう!私がこの羽衣丸の頼れる副船長、サネアツだ!」
「アッハイ」
何か決め台詞っぽいこと言って決めポーズをとるサネアツ副船長。ホントに副船長なのか?
「で、何しに来たんだ?」
隣にいる少女がハンドルを肩に掛けて副船長に問いかける。副船長は身なりを正して一度咳払いをする。
「実は、マダムが君を呼んでいるんだ。救援の礼をしたいと」
マダム?聞く感じ、かなり地位の高い女性からの招待か。
「いいですよ。こちらもこの飛行船に着艦させてもらいましたからね」
「よし、ならついて来てくれ。こっちだ」
サネアツ副船長は踵を返し、手招きをする。俺はすぐ付いていこうとしたが、機体に忘れ物をしていることに気付いて取りに行く。動かし終わった機体に素早く乗って、コックピットからショルダーバックを取って素早く戻る。
「お待たせしました。さあ、行きましょう」
「お、おう」
何か引かれてるが……まぁ、いいか。そうして、俺はサネアツ副船長について行った。
しばらく通路を歩いていく。通路の幅は狭く、大人が2人並べないほどだ。ギリギリ子供なら並べるだろうか?そんなことを考えながら通路を何回か曲がったり階段を上がったりしていると、いつの間にか通路の突き当りにあるドアの前に来た。他は鉄製のドアだったのに対し、こちらは木製のドアで高級感を感じられる。
「ここがマダムのオフィスだ。準備はいいか?」
サネアツ副船長に聞かれ、一度ゆっくり息を吸って、吐いて、覚悟を決める。
「準備できました」
「よし、じゃ行こうか。エヘンッ、スゥ、マダム!例のパイロットをお連れしました!」
『入って』
ドアの向こうから女性の声がすると、サネアツ副船長がドアを開けて入っていく。俺も続いて入っていくと、妙齢の女性と言うのだろうか?赤いドレスを着た女性がデスクの後ろに立って外を眺めていた。髪は後ろで纏めていて
「あなたが助けに来てくれたパイロットね。私はこの船のオーナーのルゥルゥよ。羽衣丸を、私達を助けてくれてありがとう」
ただ、言葉を発しているのに威圧感を感じる。見た目もそうだが、ただ物ではない風格がある。
「早速で悪いけど、あなたはこの世界の生まれじゃないのよね?」
既にサネアツ副船長か、レオナ隊長との無線を聞いた羽衣丸のクルーが伝えたのだろう。俺は、頷いて肯定すると経緯を話す。
「はい、生まれは日本国でこの世界には惑星WarThunderを経由してきたと考えています。何分、どうやってこの世界に来たのか分からず。元の世界に帰る方法も……」
そこまで言うと、マダムルゥルゥが手で制して止める。
「分ってるわ。それで提案なのだけど、私に雇われない?」
「それは、どういう」
「私が代表を務めている“オウニ商会”であなたを用心棒として雇うの。私からはあなたに衣食住を。あなたには戦闘機に乗ってこの羽衣丸を襲う空賊からの防衛を頼みたいの」
声が出かけるが寸前で止める。内容を聞いた俺は、すぐさま受けるべきだと思った。だが、冷静になると俺は、俺は、人を……殺した。
元の世界に戻っても俺は罪には問われない。いや、問えない。しかし、殺した事実は残る。残り続ける。自分の心に。僅かに悩んだ末、俺は答えた。
「ルゥルゥさん。その申し出、受けます。ただ、自分から条件を一つ」
そう言って俺は、ショルダーバックのジッパーを開けると、中に入っていたホルスターを取り出す。ホルスターには45口径の自動拳銃が収まっている。それを手に取ると、前に進んでデスクの上に静かに置く。
「これを預かっててほしいんです。それが条件です」
「分ったわ。銃の整備は信頼のおけるクルーに見ててもらうけど、構わない?」
「大丈夫です」
「そう……。副船長、彼を空き部屋に案内してあげて。後、この羽衣丸の案内も」
ルゥルゥさんの命令を聞いたサネアツ副船長は、ビシッと敬礼する。
「了解しました!じゃ、行きましょう」
そういってサネアツ副船長は踵を返す。俺も会釈して、サネアツ副船長に続いた。
こうして、俺のこの世界での生活が始まった。元の世界に帰れないかもしれない、空戦で命を落とすかもしれない。そんな思いを抱いたが、今は忘れよう。
少なくとも、退屈しなさそうだ。
クーリエ使用機体
イギリス空軍ツリー ランクIII
スピットファイアMk.Vc/torp
武装:イスパノMk.II 20mm機関砲×4
使用弾薬ベルト:対地上ターゲット用弾薬ベルト(地上目標)
書き溜めは、ない!