初めてなので不備があるかもしれませんが、よろしくお願いします。
いたくて、いたくて、たまらない。
つらくて、つらくて、たまらない。
ああ、どうしてこうなったのか。
昔――すぐに思い出せる。
遠坂にいた時は、幸せだった。
父と、母と、姉と、自分。
全員が一緒に暮らして、毎日が楽しかった。
あの頃は、楽しくて楽しくて毎日がキラキラと輝いていた。
なのに、間桐に来てからは、地獄としか言い様がない。
毎日が、辛くて、死にたくなるが実際にそれを実行にうつせない。
なんで自分だけ、こんな目にあうのか?
なんで自分だけ……
暗い中、いくら自問自答しようとも、少女――桜にはわからなかった。
だが、わかっているのは。
父と、母と、姉。
自分の家族全員が、自分を捨てたという事実だけだった。
ああ、いたくてたまらない。
ああ、つらくてたまらない。
今日もまた、あの蟲たちに犯されるのだろう。
それは、間桐に来てから変わる事のない日課。
ほとんど磨耗し、冷めきった心の桜には、いたいとつらい、という感情以外ほぼ残っていないが。
それでも。
期待して、裏切られるだけだと心の底では理解していても。
小さく――こう叫んだ。
「たす、けて―――っ」
少女の声は、聞き届けられた。
ヒラリ、と薄暗く光がほぼない蟲蔵の中に光が舞い降りる。
それは、騎士だった。
蒼銀の髪を靡かせ、蒼と銀を基調とし金のラインが入った鎧を纏ったお伽噺に出てくるような美しい騎士。
…いや、多少華美し過ぎた。
言い直そう、メイドのような服装をした騎士だった。
髪には蒼いリボンと白いフリルのカチューシャを付け、服装も銀の鎧ではあるもののふんわりと広がったスカートや、エプロンを思わせるレース、胸元の蒼いリボンと言いほぼメイド服としか言い様がない。
そのメイド服の騎士は何処から取り出したのか、ゴキジェットを蟲たちにかけ蹴散らしていくと桜の手を掴み、外へと引っ張り上げてコンクリートの上に立たされる。
その後、メイド服の騎士はゆっくりと口を開き――
『いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌☆ニャルラトホテプでっす☆』
「………は?」
桜は困惑した。
何がなんだかわからない。
というか、何が起きているのかわからない。
桜の心境を表すならば、
▽いきなり めいどが あらわれた!
▽めいどの こうげき! めいどはパルプンテを となえた!
というような心境だ。
メイド服の少女がいうマスター、という言葉もよく意味がわからない。
いや、もしかしたら聞いた事はあるかもしれないが、今の桜にそんな判断能力はない。
だが、唯一桜がわかるのは――
「私が、あなたのマスター、です……!」
そう。
彼女が、この絶望的な状況から助けてくれるかもしれないという存在だということだった。
□□□
『…………はっ!!』
そんな、桜の住む世界と離れた異世界ルミナシア。
バンエルティア号の中、世界の救世主たるディセンダー…ソラはぴこん、とアホ毛を直立させた。
「ソラ?どうしたの?」
カノンノ・グラスバレーはそんなソラの挙動を不思議に思いながらも、何となく理解した。
ソラ曰く、頭の頂点に生えたアホ毛は《ソラちゃんレーダー》というらしい。
連綿と続く世界の情報を持つ世界樹の一端を仕込んだレーダーで、可愛い子…げふん、非道な行いをされている無辜な人間の情報を集めるんだ……と本人は言っていた。
『僕のソラちゃんレーダーに反応が!可愛い子がひどい目にあわされてる気がする!!』
まぁ、多分可愛い子好きなソラの個人的な要素も多々入っている事は言うまでもないが。
『という訳で、可愛い子を助けにいかなくては!』
その可愛い子がいる、という言葉にカノンノはかなり嫉妬心及びソラのほっぺたを引っ張りたい衝動に駈られる。
「(`Δ´)」
ぎゅ〜っ
『にゃに?いきはりにゃにしゅんにょ!?(何?いきなり何するの!?)』
「…ソラがいけないんだからね」
ソラのほっぺたを引っ張る。
さすがディセンダー、というべきか、人間の理想とする姿形を模したからなのか、瑞々しいほっぺただ。
『うぉぉ……ほっぺたが痛い…』
両手剣を簡単に振り回すカノンノの力で掴まれたほっぺたにはかなりくっきりとした痕が残っている。
「……まぁ、それでもソラは行くんだよね」
『うん?そりゃそうだよ』
いつも可愛い子可愛い子連呼しているが、その実人を助ける真面目さを隠すようにしている。
まぁ、可愛い子が大好きなのもまた本当なのだが。
ソラは剣士のレディアント装備を翻し、ニアタのいる操舵室に向かう。
カノンノも後を追い掛け、操舵室に行くといつも通りニアタがいた。
「ディセンダー。我々に何か用か?」
『あー…頼みがあるんだけど』
頼み?とニアタが不思議そうに問うと、
『イアハートを呼んだ時みたいにさ、僕を別の世界に送れない?』
「それなら、何とかできると思うが」
『なら、お願い』
ニアタが了承してくれたのに感謝しながら、
準備に数時間かかると言っていたのでその間に準備を進める。
装備は持っていく事を前提にして、後は回復やアクセサリーを持っていけば完☆璧だ。
後は、レシピやらも持っていこうか…
準備を整えると、数時間はあっという間だった。
ニアタに呼ばれ、甲板に向かうと光が静かに渦巻いている。
「これで指定した世界に行けるだろう」
『ありがと。さすがニアタ』
ただし、とニアタは続ける。
「無事に帰ってきてくれ。我々も、この船の全員もそう望んでいる」
『あは、当たり前だよ』
そう言って、光の渦に向かう。
「ソラ!」
『カノンノ』
光の渦に吸い込まれる直前、カノンノに呼び止められる。
薄い翡翠の瞳を潤ませながら、
「絶対…帰ってきてね。私、ずっと待ってるから……」
ソラはそれに微笑んで頷き、
光の渦に吸い込まれていった。
□□□
光の渦はものすごいスピードで数多の世界を通り過ぎていく。
幻想獣をボールに入れて使役する世界。
錬金術が発達した世界。
某世紀末な世界。
戦闘民族が戦い続ける世界。
様々な世界を越え、
ある地点で光の渦は弾け飛ぶ。
『………え?』
気付けば、そこは空中だ。
落下していく感覚が全身を包み、
『〜〜〜〜〜〜〜!?』
見知らぬ場所に落下した。
落下しながらこの世界での一般的な情報や自身の状態がインプットされている事に気付いた。
自分は今、サーヴァントと呼ばれ、マスターという一部の魔術師に行使される存在。
聖杯戦争?という願望機を求める戦いをする。
ただし、今は前聖杯戦争が終了してから間もない為しばらくは猶予がある…という状態らしい。
そんな事を考えながら着地したのは、変な所だった。
深い穴が掘られ、数えきれない程の蟲が蠢き…正直、見たくないレベルの気持ち悪さだ。
だが、この中から人の気配がする。
しかも…可愛い子の気配だ!!
蟲たちにゴキジェット(森林探索の必需品だぞ☆)をかけながら退かしていき、見えたのは白い手。
それを引っ張り上げ、コンクリートの上に立たせると、
『いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌☆ニャルラトホテプでっす☆』
お約束だよね☆
あれェ?めっちゃ白い目で見られてるのは気のせい?
…とまぁ、そんなこんなで桜とソラの出会いは始まった。
まさか、その出会いがあんなに残念な聖杯戦争を生むとも知らずに……
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何処か問題があったらすみません…
かなりの機械オンチなので…
次は多分ステータス紹介になると思います。