不遇水魔法使いの禁忌術式サーシャと死に戻りの時計   作:何処にでもある

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 面白そうな祭りを最近知ったので。
 前作でオリジナルホラー作品72話、完結させてます。
 対戦よろしくお願いします。




憑・水・一

 

 

 恋愛×SRPG×タイムバトル「不遇水魔法使いの禁忌術式」を知っているだろうか。

 累計100万本以上売れた、SRPG王道に一味加えた作品である。

 こういうので良くあるキャラクター攻略で戦争の難易度が下がったり、兵種を増やしたり、技術研究が出来たり、良くあるゲームシステムではあったが、その分ゲーム面は快適だった。

 ストーリーは…ちょっと時間がややこしいことになってたけど。

 

 カタカタカタ…、

 

「ただ、その分設定面は一癖も二癖もあって、魔杖兵装(MM)やら復讐メインやら、恋愛を売りにしてる割に戦争ゲーとしての評価の方が高く……」

 

 ブログにプレイした感想を入力し、エンターキーを押した。

 

「よし、今日の分終わり! はーっ疲れた〜。やり込み要素とか結構あるから、時間が溶けるんだよな〜」

 

 持ち帰った仕事も終わったし、ブログの更新も済んだ。明日の仕事も頑張るぞ〜!

 

 ガッ、ドサ、

 

「…あれ?」

 

 おっかしいな〜。俺はどうしてこんな所で転んで…。

 

「…あっはは。ドジ踏んじゃっ

 

 ゴッ、

 

 痛みと、衝撃が無くなるのは直ぐだった。

 

 

カチン

 

 

「うらぁぁあ!?」

「わっ! 急に叫ばないで」

「あぁぁ……え、あ、ごめんなさい」

 

 慌てて隣に居た大きな少女を見る。ふわふわとした茶髪の女の子だ。

 痛みで叫んで、混乱のままに謝る。どうあれ不機嫌な顔を見ると、申し訳なく感じたからだ。

 

「もう…ほら、行くよ。ママの誕生日に立派なミルクパンを買うって言ったのはリーロじゃない!」

「うぇ?…わ!引っ張…力強い!」

 

 大きな少女に手を掴まれて、強引に人通りを歩かされる。

 …人通り?俺はさっきまで家でブログを書いて…めっちゃ痛くなって…あー…死んだのか?

 歩かされながら、慌てて周りを見渡してみる。

 

「次の街までに……」「今年1番の竜牛の肉だよ!!…」「おじいちゃん!時計塔おっきーね!……」「おい!スリの小僧、逃……」「皆さん、よくお集まりに……」

 

 さっきまでノイズとして聴いてなかった町中の声が、考えを確信にする。

 やけに大きな世界、華奢な手足、異世界みたいな街の声…。

 

「…異世界だぁ」

「リーロ、変なこと言ってないで自分で歩いてよ。私が疲れちゃうじゃん!」

「あ、ごめんね…あ、でも手は繋いでて!おれ…ううん、私、直ぐに逸れちゃうかもだから!」

「……しょーがないわねー。今日だけよ!」

 

 大きな少女だと思ってた彼女は、普通の少女だ。俺が小さくなっていて、このリーロって子供に憑依したと思われる。だって明らかに買い物の途中だ。死んだ身体に転生じゃない。

 

 罪悪感?こんな短時間で湧くかよ。まだ状況呑み込めてないんだぞ?知らない街で逸れない様にするので手一杯だよ。

 

 ゴーン、ゴーン…、ヒュン、

 

 その時だ。大きな、大きな鐘の音が頭上から聞こえた。

 思わず見上げて…、

 

「お姉ちゃん危ない!」

「きゃっ!」

 

 挙句に人を押す感覚、次いで、身体が貫かれる感覚、最後に見えたのは、理解が追いついてない少女の顔。

 

「……いやああぁぁーーー!!?」

 

 見えなくても、冷たい感覚で分かる。

 脳天から、下までの串刺しだ。

 喋る間もない、即死だ。

 

 こうして、俺の異世界デビューは、幕を…

 

(…なーんでぇ?)

 

 閉じなかった。

 うん、おかしいね。少女の身体になったと思ったら、気付けば俺を突き刺したっぽい秒針になってるんだもの。

 二度目の死を迎えた俺は、気が付けば時計塔の針になっていた。結構太いし、先端はハートの形をしている。まさかの人外転生ですか?そう思わなくも無い。

 

「おじいちゃん、どうしてそれもってきたの?」

「サーシャ、良いかい?これは必ずサーシャの為になる。今は分からないかも知れんが、いずれ、ワシに感謝する時が来るだろう」

「おじいちゃん、そーゆーのふきんしんってゆーんだよ…」

 

(サーシャ?…それに時計の針…もしかして…)

 

 だが、それ以上に、目の前の事が気がかりだった。

 何処かで見た光景…というより、数時間前に見た一枚絵に、重なる部分があった。

 

「ほっほ。さ、魔法を特訓する時間だ。今日は『水纏』を教えよう」

「まほう!?サーシャまほうだいすき!はやくいこ、おじいちゃん!」

 

 出ていく爺孫を見送りつつ、情報が一致するか考える。

 

 「不遇水魔法使いの禁忌術式」のストーリー、設定には一つ異彩を放つ物がある。

 それが「魔杖兵装(MM)」。この作品のゲームシステムと設定をリンクさせる、魔法の杖だ。

 リアル近代相当の魔法技術の粋、通常の何倍もの威力で魔法を出力でき、誰でも無詠唱に、そして魔力が無くても、杖自体が魔力を貯めて行使できる、銃以上の兵器だ。

 

 ただ一つ大きな欠点として、最後の工程に命を使う事を除いては。

 

 勿論、人じゃ無くても良い。犬や猫、何千もの虫をまとめたりすれば代用可能だ。

 だが、良いものを求めるなら、使う命も上質で無ければならない。

 無駄なく所有者の命令を従順に聞かせたいなら、所有者を好いてるもので無ければならない。

 

 このせいで、未亡人攻略RPGとか、周回して強くなるタイプのサンズとか、それ以上に結構酷いあだ名をつけられたりもしたが…その変化球が受けて成功したんだから、商業的には成功だろう。

 

(で、俺はどう考えてもヒロインのサーシャのMMになったっぽいけど…)

 

 あの、本来ならあそこで死ぬの姉の筈なんすよ…

 あの、品質の良いMMは固有魔法とかも使えるんすよ…

 あの、本来ならセーブ&ロードの周回能力なんすよ…

 あの、技術研究とか、攻略対象の攻略とか、2〜3周が前提デェ…

 

 今の状況、めっちゃハードモードなんすよ…誰か手ぇ貸してもらって良いすか?

 

 






魔杖兵装(MM)
 かつて、優しい賢者が、その知恵と力を後世に残す為、杖に変わりました。
 それを見た弟子が、「杖になる魔法」を「杖にする魔法」として改良しました。
 世界中で、より素晴らしい杖が溢れかえりました。
 賢者の杖は、もう誰も見向きもしませんでした。

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