不遇水魔法使いの禁忌術式サーシャと死に戻りの時計   作:何処にでもある

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 中間テスト編、上の巻。




前・試・十五

 

 

 今目の前には、おでこを見せるように短い緑髪を頭頂で結んだ背の低い女性が居た。

 

「こんにちはー!今日実技は神学と魔法学の合同授業森林探索なのだ!ジャッジ先生の鍵を使う時だけ開く転移門の行き先二五号、元々は神国に有った森だけど、危険が過ぎるから先生の独断で回収したやつなのだ!」

 

 実技のジャッジ先生である。

 普段のしごきの成果を見せる時間が来たみたいだな。

 

「こんにちは。一年は全員いらっしゃいますね?怪我人が出ましたら私の名前、ベアトリーチェの名前を言ってください。直ぐに駆けつけますから」

 

 レモン色の髪を後ろで結って団子にした、古傷が見えているシスター服の女性も居た。

 神学のベアトリーチェ先生である。

 

「本日は私も居ますので、疑問に思ったことはどんどん言ってください。限界になったら私の方で保護させて貰います。」

 

 いつも通りのダンテ先生だ。

 魔法学や深夜の特別授業にはいつもサーシャがお世話になっている相手だ。

 

「おお!凄そう!」「森か…」「き、聞いたことある…何処までも続く森の深淵でしょ?」

「一人じゃ危険そうだな…」「良いね、面白そうじゃん」「ど、どうってことないわね!」

 

「魔法の授業らしくなって来たね」

(良いねぇ、漸く魔法学園らしいものが出て来たよ。ここ最近は研究ばかりで動けてなかった分、頑張ろう)

 

 あれから5日が経ち、カエル飴で悩んでたら4月の後半になっていた。

 その間に人工的に制作した魂のレプリカを介して、MMと強制的に共鳴する魔道具の試作品作ったり、サーシャの開発品を利用したシープの商会が注目され始めたりしたが…今は良いだろう。

 3つの授業を合わせた特別授業が始まるんだからな。

 

「今回の実技は未知の深淵での動き方、その実践なのだ!お前らはそこを調査する事になった調査員。今から向かう深淵の特性、魔物の傾向、深さ、戦利品を調べることになるのだ。今まで学んだ事を活かして出来る限りの調査をして貰う。心してかかれ!」

 

「転送先は浜辺の層の何処かです。合流して調べるのも良し、力に自信があるなら個人で向かっても良いでしょう。今回の実践は魔法学と実技の中間テストも兼ねてますので、よくお考えください。」

 

「成績の方はクラス点数と個人点数の合算です。他クラスの方々は他国の調査員みたいな物なので、協力と排除はよくお考えを。役割に沿う程クラス点数が高くなるのもお伝えしますね」

 

「と言うわけで!赤点ラインは60点!最高は200点!優秀だった者から賞金と魔道具が渡されるから、みんな頑張るのだ!」

 

「深く潜れば良い点取れる…」「詳細に書けば私も…」「高得点を狙うより他を蹴落とすのも…」

「やってみるか…」「最初に帰り道を…」「みんながんばりなさ…」

 

「ランダム転送なら個人で行ってみよっか」

(狙って仲の良い人を集めるのは困難か…最悪赤点でなければ良いかな。クラス点数は…総合評価で60以上は厳しいよねぇ)

 

 今回のイベントはゲームでも盛り上がる部分だ。

 賞金は最高300万だし、貰える魔道具も強力なのが多い。

 全ステータスを上げる「世界樹の種」、新しい魔法を即座に覚えられる「知恵の上級髄石」、研究効率を+20%する「賢者の指輪」、滑空できる「天使の翼」…MMが最も目立つが、装備品は武器だけじゃない。

 アクセサリーも消耗品もあるから、今回の授業で優秀だとかなりのアドになる。

 ゲームだと一周目で望める順位は最高でも5位までだが、うまく立ち回るだけで100位圏内は固い。

 入れ知恵もしたし、サーシャには是非頑張って貰いたいものだ。

 

「話を飲み込めた所で!早速始めるのだ!あ、4時間後には強制送還するから最悪それまで耐えるのだ!」

 

 ジャッジ先生は首元に提げていた鍵のMMを手に取り、集中し始める。

 転の固有魔法を扱う為の条件だ。

 

‭─‬‭─‬『開門』

 

 視界…というよりは、空間がねじれて風景がごちゃ混ぜになり…。

 

 キェーー…ピっ。

 

「…到着。3時の方角3km先に鳥型の魔物有り。現在位置は深淵「浜辺」の南南西。時刻7:45。これよりAクラス調査員サーシャによる未確認深淵の調査を開始する」

(提出用に渡されたのは白紙の手記を一つ。これに書きながら『通信』の魔法を作る時のおまけ、録音機に記録しつつやれば結構良い線は行くけど…リーロが言って来たこの演技、雰囲気はあるけど意味あるの?)

 

 どうだ?サーシャのAクラスに合わせて良い感じの喋り方を教えてみたんだ。

 意味?後で確認する時、普通に喋ってるのを聞くよりマシだからだよ。

 普通な喋り方より、プロっぽい方が自分の声でも恥ずかしくないものだ。

 

「着地地点の環境、熱帯雨林。天候は晴れ。風は感じない。制服だと暑い。日差しは遮られてるが、湿度が高い。植物は緑色が多数だが、時折り黄色や赤色が混じっている。どうやらここは火と土属性の魔力が多いらしい。細かい種類は…個性的だね。同じ見た目がないのが特徴だ」

(木々や草花の形が一つ一つ違う。個性豊かにしても限度がある。共通点は…色かな。魔力視した結果で考えるのが良さそう)

 

 鋭いな。この「無限大森林」は見た目で判別すると痛い目に会う深淵だ。

 中身、本質を見抜いて初めて正しい姿を見れる深淵なんだ。

 

「魔力視を開始……結果報告。「植物は全て根っこの部分で繋がっていた」魔力の流れからしてから全体で一つの植物だ。色は葉っぱと花や実の関係で、本体らしき物が地下深くに見える。採取すれば全長100m程の魔物の反感を買うだろう。採取はこの場から離れる時とする。では、移動を開始する」

(傷つける程度なら気にされないけど、採取し過ぎて周囲の植物全てが敵対するのは避けたいかな。この魔物の領域の外にいつでも出れるようになってからが最適)

 

 この魔物の名前は「プラントレント」

 上下が逆さまな大きな植物であり、地上に見えるのは全て根っこだ。

 全ての植物の始祖として神様が調律した魔物であり、枯れれば根っこに当たる部分が独立。

 激しい生存競争の末に残った種類だけが深淵の外に種族を広げられる。

 今回サーシャが会ったのは枯れる直前で衰弱してる個体だな。

 その特性上、奥の個体程若くて強いぞ。燃焼系の火魔法で丸ごと殺せるから、やるならバーン系列の魔法を開発してから立ち向かった方がいい。

 

「…30分経過。最初の定期報告を開始。現在は北に向かって前進中。採取には成功。保管用に持参した容器に入れておいた。現在は日の届かない森林を歩いている。通常森の木々の枝は上部しかない物だけど、この森はそんなの関係ないと伸ばしまくってる。結果お互いの枝が絡まって床が形成され、擬似的に層が作られてる。そして私は地面の上を歩いてる…真っ暗だ」

(枝のスクランブルで光は一切ない。上下の移動は簡単だけど、やり過ぎると迷子になる。層によって出会う魔物は変化する。傾向は上から順に鳥、ゴーレム、蟲、哺乳類、キノコ…相性の良い相手の層を調べるのが得策かな…私は誰が相手でも倒せないだろうけどさ)

 

 魔物の領域から抜けて、この森の本来の姿が現れた。

 屋外となる木の上から下までの5層で構築された天然の大迷宮。

 戦闘中なのだろう生徒の魔法の出す光以外の一切灯りを遮断する大森林。

 上の層は弱くて数が多く、下は少なく強い。どれに当たっても危険なら、少ない最下層がサーシャの最適解だ。

 

「音声記録を用意したお陰で記録可能だけど、5階層は本当に真っ暗だ。文字は書けない。だが、書くために上の方へ行けば、今度は大量の鳥の魔物に出会う。ここからは音声を主軸に10分刻みに記録していく」

(リーロが録音機持って来させたの、このためかぁ…地図は書いてるけど、見えないから縮図に自信がない)

 

「分かったことがある。下の層の魔物は音に敏感。今後の報告は適時位置を変えて録音する。…試しに時間差で光る魔道具を置いて来た。光に反応するか、遠くで観察させて貰おう」

(ダルクの日属性を込めたランプに、地下室のセキュリティに組み込まれてた時間差を作る魔法陣を組み込んでみた物…また同じものを使って貰おう)

 

 

カチッ

 

 

「……少し遅れた。光はダメ、キノコの魔物が大量に出て来た。確か…あれは「ライトマッシュ」、非常に軽く、宙を漂って光で増える魔物。今回は地下に沈殿してた不活性のライトマッシュが光源で活性化し氾濫したと考えられる。光源を下層で使うなら、キノコの波が押し寄せる覚悟を持った方が良い」

(幸い距離が離れてたのと、リーロが教えてくれたスケートを参考に作った『水滑』の魔法で10分前に逆行、事前に可能な限り離れることで切り抜けることは出来た…一回死んだけど)

 

 酷い…事件だったね。

 魔法陣に停止させる部分を書いてなかったせいで止めることができなかった。

 いやー、ゲームだとザコだった魔物が現実になるとギミックみたいな動きをするとはね。

 条件次第でとんでもない事になるって学ばせて貰ったよ。

 

「定期報告。景色に変わり映えはないので環境報告をする。最下層となる5層は、木の根で見た目以上に高低差のある場所。根っこも遠慮なしに絡まってるんだろうね。不自然な盛り上がりが多い。暗いのも相まって転ばないように進む必要がある」

(だからと言って他の層が歩き易い訳じゃないけどね。魔物が多くて邪魔が多かったり、枯れ木の床を踏んで落ちるのを警戒したり…全部面倒だな)

 

「定期報告。面白いのを見つけた。「三日月花」の群生地があった。さっきコケて樹洞の中に入ったんだけど、その中がちょっとしたスポットになってて、三日月花が育つのに適した環境になってたんだ。恐らく、これがこの深淵式の宝箱なんだろうね。そして現物として幾つか採取しておいた。入り口にはAを逆さにした物を書いておくから、見つけたら入ってみると良い。休憩にも最適だから」

(ふぅ…一息付いた。地図は…あーやっぱりぐちゃぐちゃだ。書き直しておこう。それから分かった事のメモも…)

 

 「三日月花」はほのかに光る花だ。

 これを光源にすればキノコも過剰に刺激せずに手記を書けるだろう。

 ゲームだと麻痺直しの材料で、木属性の魔法の研究に使う事もある素材だな。

 そして結構大事な事にサーシャが気づいた。この深淵での宝の見つけ方だ。

 基本的に深淵は入る人のイメージから魔物を作るのだが、稀に魔物じゃなくて欲しい物を作る事もある。

 それらは基本的に宝箱と一緒に設置され、見つけたらかなりの財産になる。

 ただ深淵の中には独自のやり方で設置される事もあってな、この森だと樹洞の奥に群生してる草花が主だった宝だ。

 

「報告、変わりなし。ただ、お宝として他にも「充足草」や「宝華の実」を見つけた。休憩地点にもなるし、見返りは期待出来そう。他の階層での宝箱は…他の調査員次第だね」

(5層で進んでる人は少ないと思うけど…万が一隣を歩いてても気付けるかって問題もあるよね)

 

「報告、今回で1時間経過した記念か知らないけど、同クラスの仲間を見つけた。魔物の挙動を調査してるみたいだったから、お互いのデータを共有した。そして向こうの調査結果から判明したけど、4層の動物の魔物は匂いに敏感らしい。上に行く時は注意しよう」

(これはラッキーだった。仮に他クラスと遭遇したら敵対しそうだし…でも、それを心配しなくてもいいかな。そろそろ、「有光」だ)

 

 深淵での深部の言い方は割と特殊だ。

 一層二層と表記したりもするが、それよりも大雑把な分け方がある。

 深淵を海に例えた「浜辺」「有光」「遊泳」「昏闇」「深淵」の5つの区分だ。

 深淵はこの区分に分かれて難易度が大きく変わり、手に入るリターンも大きくなる。

 と言っても最深まで潜れる程深い深淵は稀であり、大抵は有光までしかない深淵が多い。

 

 代わりに、深淵まであるとその有様はすごい事になる。

 

 くしゃくしゃ、くしゃくしゃ、

 

「…報告。「有光」の領域に辿り着いた。これまでの迷路と打って変わって、巨大な木々の森になっている。まるで自分が小人になった気分だね。光も射してて見晴らしは結構良い。なんで光が射してるか、上を見れば分かる。木々が枯れてた。枯葉も沢山だし、歩くとくしゃくしゃと枯葉が潰れる音が結構する。…音に敏感な魔物から逃げることは出来そうにないか……魔力視開始」

(そして…肌で感じるこの風がヤバい。奥から吹く風が、まだまだ深く潜れると教えてるこの風が……これは、死の匂…歩いてないのに枯葉を踏む音?…透明な魔物!)

 

 冷や汗を拭い、サーシャは隠れ潜みながら奥に進む。

 ゲームだとここまで辿り着いたら高得点が確定するから、後は適当に探索するのが王道だ。

 今の実力だと間違いなく死ぬからな。

 有光で出てくる雑魚敵って最低でも高火力と特殊能力を持っているから。

 

 くしゃくしゃ、くしゃくしゃ、

 くしゃ、くしゃ、くしゃ…、

 くしゃくしゃ、くしゃ…、

 

「…いった…報告。分かったことが沢山ある。まず、魔力視をすると新緑の森と魔物が見えた。話には聞いていたけど、深淵の奥は魔力しかない、の文面を心から理解した。生き物として不完全なんだ。枯れ木なのは、生身の部分がそれしかないから。まだ魔力から身体を作ってる途中だった。そして魔物は眼の部分が窪み、存在してなかった。何も見えてない分、音には本当に敏感だ」

(魔物の見た目は猿に近いかな。数も結構居て、音に反応して一斉に群がる。そして相手が石ころだとしても噛み砕いて食べ切る…正面衝突したら酷い事になりそう。相手の歩くタイミングに合わせて歩けばバレないけど、神経使う…!)

 

 「ノンシーモンキー」だな。

 見た目は白毛で眼のない2m程度の猿。

 群れて動いて、群れ以外の出す音に反応して捕食してくる。

 ゲームだと遭遇時には必ず軍団化してる為、適正レベルだとメインキャラでも個人では厳しい相手だった。

 風魔法が有効だからこっちも軍団化して風による一斉攻撃で対応出来るぞ。

 

「…報告。有光からはこまめに魔力視と肉眼での観測を繰り返していくのが良い。猿の魔物地帯は超えた後は、魔力視してると見えなくなる魔物と遭遇した。大きさは3m程の白い…フクロウが近いと思う。眠ってたから脇を通り過ぎた。試しに風上に干し肉を置いたら起きたから、匂いに反応してる…それにしては無機質な印象だったけどね。恐らくゴーレムの仲間かな」

(厄介…浜辺だと5層で分けられてた奴らが一緒に出て来る…そして鋭い感覚の特徴は変化してる。浜辺で匂いに敏感な哺乳類が、有光だと音に敏感な哺乳類になっていた。…ここは五感をモチーフにした深淵なのかな)

 

 さすがサーシャ、鋭い指摘だな。

 この森の深淵の浜辺と有光は其々が五感に対応しててな、最初の浜辺となる五層は視覚の鳥、触覚のゴーレム、味覚の蟲、嗅覚の哺乳類、音のキノコを主軸にした森。

 有光だと変化して、味覚の鳥、嗅覚のゴーレム、触覚の蟲、音の哺乳類、視覚のキノコが主軸になるんだ。

 あくまでも主軸に過ぎない為それ以外も存在してるが、基本的にこの構成を攻略する事になる。

 下手に知ってるとその分足元を掬われる構図になる、学校の資料向きな性質だ。

 そうして慎重に進んで更に1時間。転移して2時間半経過した辺りでサーシャは遊泳の層に辿り着いた。

 

「報告、「遊泳」の層を観測した。これ以上の個人での調査は限界だと判断して帰還する…が、その前に見た物を報告する。遊泳層はこれまでと違って海っぽさを感じる光景。空に海面のような物があるけど、あれは苔だね。途轍もなく大きな木の樹洞、其処が入り口。後は海草みたいなのや、魚のような存在が確認できる」

(魚?の大きさは…遠近が狂うけど小さくても50m…その上に文字通り宙を泳いでいるなんて…絶対に勝負にはならないんだろうな。入らずに風景だけは描いておこう)

 

 そんな訳で入り口であれこれと採取し、適当に使えそうな情報を拾い、サーシャは調査から帰る事で点数を伸ばす事にした。

 良かった。冗談抜きで今のサーシャは実力不足だからな。この森は遊泳から本気を出し始めるタイプだったし。

 幾ら先生でも準備も無しに遊泳に助けに行くのは厳しいんだよ。

 

「報告。入り口で調べてみて分かった事。呼吸や歩行に問題なし。たけど空を歩けたのは驚いた。あまりにも魔力が多いせいで身体が軽く浮いてるのか?なのに体感の体重は変わらないのは…後で実験。空気中の魔力が飽和して発生したと思われる結晶も採取したし、複数の保存方法で所有した。帰還時にどれが残ってるかで性質も多少は理解できるだろう」

(…やる事はやった。素材や情報を集めて環境の情報も集めた。雨や夜での変化はまだだけど、今出来る分で可能な限りは調べた…後は調査員らしく情報を持ち帰るだけだ)

 

 サーシャは手帳やバックの最終点検を行った後、来た道を歩いていく。

 手帳の記録をまとめたりしたからか、既に残った時刻は1時間程度だ。

 ここからは休みや調査を挟みつつ3時間で歩いた道をいかに効率よく進むかの戦いになる。

 地図は不完全ながらもある。やれないことはない筈だな。

 

「報告。30分で有光の層は突破した。そして気づいたんだけど、転移門がない深淵の帰りってすごくしんどい。視点が違うから同じ場所でも印象が違うし、帰り道の途中からは「ライトマッシュ」で塞がれてるのを思い出してげんなりしてる。…集中が途切れてるのは自覚してる。ミスしないように報告は控える」

(魔物に気付かれないように進むの怠かった…でもここからは他クラスの人達が出てくるんだよね。こんなパンパンな荷物、見られたら略奪される気がする…)

 

 ゲームでも後半に出てくる生徒は敵対が多いからその考え間違ってないよ。

 同じクラスメイトでも中には敵対していたし。

 運良く巻き込まれはしてなかったけど、今回の授業はCとDのクラスが同盟組んで、他のクラスを襲う組と守られながら調査する組で役割分担してたからな。

 結構全体の点数が下がってて今年は狙い目なんだよ。

 だからこそゲームでは運さえ良ければ5位まで行けたんだし。

 

「…おい、アレを奪えば一位になれそうじゃないか?」

 

 点数が高くなるものを持ってると奪われ易くなるのを、潜り抜けられればの話だけどさ。

 

 キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!キェー!

 

「待てやテメェ!」「手帳置いてけ!」「その結晶なんだオメー!」

「寄越しなさい!」「鳥邪魔ぁ!」「賞金狩らせろ!」

 

 逃げてる最中に木の上まで登り、そのせいで集って来た鳥の魔物の群れ。

 あまりにもわかり易く弱そうな奴を前にして、お互いの足を踏みながらこちらに来る生徒達。

 このゲームが上手くないと行けない、この時点での遊泳までの到達はそれだけの魅力があったらしい。こんなに集まるの初めてみたわ。

 

 …ピっ。

 

「…定期報告。絶賛他生徒100名に追いかけられてる。真面目にやってただけなのにどうして?」

(品性方正とはまるで無縁の野蛮人共が…!)

 

 






「無限大森林」
 神様は魔物を調律して植物に特化した深淵を作れば面白いんじゃないかと思い付きました。
 早速神様は魔物に神造の歴史を歩ませて最強の植物を造る深淵を完成させました。
 そこに審判者が現れ、それはダメなのだと時空の隙間に封印しました。
 世界が植物の楽園になる未来はこうして閉ざされましたとさ。

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