不遇水魔法使いの禁忌術式サーシャと死に戻りの時計   作:何処にでもある

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 ステータスの意味合い
HP…死ぬまでのしぶとさ。
MP…魔力量であり、覚えられる魔法の数の限度。
力…筋肉とスタミナ。
守…体格と丈夫さ。
速…速さと軽やかさ
器…器用さと器量の良さ。
知…賢さと記憶力その他脳関係。
魅…見た目と話の巧さ。
謀…策略と統率力。
運…運の良さと可能性の多さ。
 5が一般人、10でその道の入り口、20で一人前、30で熟練、60で王様級、500で神様です。
 死に戻りの補正抜きでも謀が33あるサーシャは、魔法使いの中でもおっかない人です。




都・市・三九

 

 

『ふぅ…うわあ!?外がめっちゃチカチカしてる!?』

 

 タイム家と交渉未満の話し合いで無事に御意見番という地位を与えられて十年の月日が経った。

 本当に10年ここで過ごした訳じゃ無いぞ?ちょっと気を抜いてぼーっとした瞬間にそれだけ経過していたってだけだ。

 その間に当主や使用人と会話した気がしなくも無いが…一瞬で過ぎ去って、10年経過した事実だけは何となく分かるだけなのが現状だ。

 どうやら大事な場面は箱の中の時間に合わせられるが、それ以外は箱の外に合わせられるらしい。

 

 ピッ。

 

 通信が入ったので出る。サーシャ的には一瞬で、箱の中では10年かけて連絡がついたようだ。

 

[あ、繋がった。リーロ、其方にとっては久しぶりだよね?]

『サーシャ!やっと繋がったんだ!』

[うん。待たせてごめん。多分10年は経過したと思うんだけど…どうかな?]

『あっという間に10年経ったよ。口出しできる立場を確保して一息ついた途端10年経ってた。寓話に居るエルフになったみたいだね!』

[なら…良し、大体理解した。村を育てた時と同じなんだ。今に至るまでに干渉出来る手数が決まってて、歴史が長いほど一手が重くなる。タイム家の歴史は600年ある。一手に十年なら、学園としては60手で結果を出させたいんだと思うよ]

『うん、間違いないと思うよ』

 

 今の情報だけでゲームに設定されてた60ターンの制限を見破れるのか。

 相変わらず頼もしいけど、段々ゲームのサーシャとは性格が違ってきてる気がする。最初の頃の元気と純粋さを何処にやった?いつの間にか研究の鬼になってたよな。

 

[となると…細やかなのは自力で頑張って貰うとして…今が610年でMMが出来るのが630年だから…先ずは当主にこの10年で何をしたのか確認して。それから決める]

『分かった!』

 

 程なくして初代を見つける事が出来た。前よりも老けて居るし、子供もいる。もう世代交代?はっや…いや、10年経ったらそんなものか。

 

「おやまあ、今日は出歩いて居るんだね。干渉に制限があった…って事で良いね?」

『はい、600年の中で60回しか干渉出来ない物ですから…あの時にあー言った手前申し訳ないですが、10年に一回動く置き物として扱って下さい』

 

 大見得切った割に大した事は出来そうにないのが恥ずかしく感じ、謝罪した。

 情けない話だが、今はテスト中だ。()()()する時間はないと言うことだろう。

 

「良いよ。このくらいの制限は想定出来て居たし、私が死んでも子孫が見続ける。"死んでも生きて見守る程度、魔法が無くても出来るものさ"」

『それなら嬉しい話ですけど…?』

 

 初代はそう言うと、和やかに笑って俺の前を歩いた。

 それがどう言う意味かは薄ぼんやりとしか解らなかったが、()的には納得できる話だから、実際にそういうのがあるのだろう。

 

「となると前回は立場の確保が引っかかったかな…10年で起きた事の説明は許されるだろうし、それまではもてなすとしよう」

 

 また客室に戻り、お茶を渡されたので匂いを楽しむ。普通の食べ物を飲む機能は無かったから、これが最大限の楽しみ方だ。

 初代の隣に座っている几帳面そうな子供は…二代目となる子だろう。仲良くしなきゃ折角の立場がオシャカだ。笑って楽しく話そうか。

 

「十年でやった事は街の拡大と城壁の構築、後は家畜の種類を一つ増やした…くらいかな」

『もっと具体的には?』

「二階建ての建物を街の中心部に増やし、大通りを伸ばし商人を集め市場を増やした。それから土魔法の魔法使いを5人雇って魔物から守る為の城壁を、将来を考えて大きめに作った。お金はかかったけど、代わりに夜の安らぎと人々の安全、領主として民からの信用を得た。借金はしてないよ」

『家畜は?』

「今までは竜牛、飛豚、蛇鶏の三種だけだったのが、新たに角羊を10頭手に入れた。増やせば衣服を領内で賄えるだろう」

『ありがとうございます。ちょっと考えさせてください』

「良いけど、それでまた10年はやめておくれよ?」

 

 軽いジョークを笑って聞き流しつつ、サーシャと繋げたままの通信に問いかける。

 情報は端的な物だったが、サーシャならこれだけでも行けるだろう。

 

[先ずは食料と魔物対策。特に備蓄は必須だ。あわよくば騎士を50人仕えさせられる程度には余裕が欲しい]

『魔法使いじゃないの?』

[20年後のMMの原典の登場で魔物の危険度はグッと低くなるけど、貴族に流通するのにも200年はかかる。まだ学園も神国もない時代、魔法使いは見つけるのも雇うのも大変な時代だったらしい]

『へー、サラッと言われた土魔法5人って実はすごい事だったんだー!』

[…『旅行』の魔法を最大限活かしたんだと思う。最善の未来でその5人に出会い方を尋ねれば直ぐ分かる話だから]

『なるほど!』

 

 サーシャの見解を聞いて納得する。初代もかなり頑張っていたようだ。

 そうだもんな、そんな魔法があるなら、聞けば分かる話ほど再現し易いか。

 

『それなら技術は?サーシャが開発した物を研究させれば直ぐに発展しそうだけど。魔物を倒すなら戦力は欲しいよね?』

[青写真や技術書は当然送る。でもMRCや呪符(スペル)はダメ。その時代の人々には生涯かけても解き明かせないヒミツが沢山あるから]

『どういうこと?』

[単純に環境が悪い。大霊書庫もない。世界中の知恵者が集まる学園もない。研究する施設もない。作れる環境もない。つまり()()()()()()()()。だから良い具合に調整する]

 

 …なるほど、civで言えば石器時代にスマホを与えるようなものか。武器にしても扱いきれないと。

 

『分かった!…だったらどうするの?』

[都合良く土魔法を扱える人材が5人も居るんだから、有効活用しよう。土木工事だ。道、集水所、石の家、鍛冶屋、細工小屋…出来れば鉄筋コンクリートの概念も与えたいね]

『…集水所って?』

「…動物の血から水を抜き出す施設です」

 

 聞いた事のない施設が出てきたので質問をすると、初代の隣で大人しくしていた少年が返事をした。

 

「使うのは主に土属性の方々…それでも週一にコップ一杯程度ですが。他の属性の人も水は滅多に摂りませんけど、必要なので存在する施設です」

 

 あーそっか。この時代はまだ火属性が大半だし、水属性は存在しない。だから水も滅多にない。

 だから動物の血からとって代用している…と。確かに必要だな。

 

[最初の水属性が出てきたのは600年…今リーロが居る時代からおよそ200年後。それまでは地中の僅かな水や深淵から這い出る動物の血に僅かにある血を飲んでいた。今もそうだけど、慢性的な水不足はなんとかしないと]

『なるほど…それを伝えれば良いの?』

[うん。もう青写真はもう送ったから、最初に立ってた場所に行って確かめて。それと魔法研究は…リーロ、口頭で言える?]

『無理だよ!人に教えられる自信もないのに分かりやすく教えるなんて…』

[だよね。だから青写真代わりの指導本のオマケで私が書いた本を送っておいた。リーロは顔役として私が送る"贈り物(ギフト)"が不審な物でないと証明してくれれば良い]

『分かった!それなら余裕だよ!』

[うん、それじゃあ後はその繰り返しだから通信を切るね。最後まで任せたよ]

 

 ピッ。

 

『…と言う事なので、一緒に広間に行きましょう!』

 

 通信を切り、初代と二代目予定の二人と一緒に広間に行くと、本が2冊落ちていた。

 題名は「建築に役立つ技法と都市計画」と「魔力操作の書」、俺にも読める文字と俺には読めない古い文字の二つで題名が書かれていた。

 建築が青写真代わりで魔力操作がオマケだろう。果たしていつ昔の文字に合わせて作ったのか、甚だ疑問である。

 

『はい、どうぞ。この本を基に建築と魔法使いに修行を付けてください!きっと役に立ちますよ!』

「ふむ…ありがとう。親方と魔法使い達に其々渡しておこう。私達の文字に合わせてくれたこと、心より感謝する」

「…僕からも感謝します。次会う時は僕が当主の時ですよね。それまでに良い領主になって、期待に応えて見せます!それまでどうか、安らかにお眠りください」

『あ、そっか…早いなぁ…うん!良い領主になってね!』

 

 初代は軽く捲ってからそう言って締めくくり、二代目は次の為に好意を表した。

 その途端時間が早まり、いつの間にか俺は広間から客室に置き直されていた。

 そして早回しが収まり、客室のドアが開いた。

 そこに居たのは初代の横に居た3歳程の少年が大きくなった男性。

 13歳にしては40代に見えるくらい老け顔の二代目だった。

 

「…あぁ、父の言う通り、本当に動いてますね。お久しぶりです。二代目タイム家当主、『複線』のバラです。後1回だけの出会いでしょうが、どうか仲良くして頂けますと幸いです」

『…初代は?』

「父は7年前に亡くなられました。…時属性は死後に時計を残します。今は大きなのっぽの時計として、広間にて僕達を見守っています」

 

 衝撃の事実が舞い込んできた。え?まだ若かったよな?

 

『もう死んだの?まだ40歳くらいで…』

「…他言無用とは言え、子孫にまで途絶えているんですか?"時属性は25歳で死ぬ属性です"。"10歳を区切りに全盛の身体にまで急成長し、25歳に死にます"。父はあの時、あー見えて23でした」

 

 …は?

 

「父は最善の未来で来訪していた王様に、貴族の責務を全て任せるつもりだったようです。ですが代わりに貴女が来訪した。"きっと今の私達は「反映箱」による仮想の存在だ"と仰ってました。つまり、我々は偽物だとも」

 

 俺が知らない、途中までやったゲームには未登場の情報。

 それは、まだ生きている姉に対する余命宣告でもあり。

 …目の前に立つ、二代目の余命宣告でもあった。

 

「父はそれを知り、何もせずに死のうと考えていました。しかし貴女は焚き付けた。そのおかげで僕は6歳で当主として生きる目が出て来た』

『…なんで自棄にならないの?』

 

 後10年しか生きられない相手に向ける言葉として、果たして合っているものだろうか。

 俺の経験と私の見解にその答えはなかった。

 

「…感謝しているんです」

 

 感謝される覚えはなかったから、とても驚いた。

 想定外の答えだった。思わず退いてしまう程度には、心を揺さぶれた。

 

「貴女のおかげで、僕は王様に全ての責務を預け、死んだように生きずに済んだ。貴女の一言のおかげで、僕は短命ながらも世界に爪痕を残せる機会を得た。だから、充分なんですよ」

 

 和やかに笑うと、二代目は俺の手を引く。シワが多いのに、若々しい手だった。

 

「あぁ、周りにバレなかった理由は単純です。"時属性は先祖が死ぬ際に残した時計に触れれば、一時的にその力と姿を借り受けられるんです"。貴女も子孫なら有効活用して下さい。父も僕も、すごく便利な力ですから!」

 

 頼もしい発言であり、ある意味絶望的な言葉だった。

 だって、大半の時属性はその死体をMMに変えられて、力を借りられないのだから。

 

「さあ、行きましょう!時間は有限です。お嫁探し、領土経営、貴族として致命的な弱点である寿命問題の隠蔽、社交に魔法の訓練に人材育成!短命の僕達では限界がありますよ!出来る限り仕事を他に任せなければ!人材に関しては既に父が下地を作りました。僕の代では無理かも知れませんが、教育の下地は準備しないと!」

 

 ハッとする。惚ける時間は彼らには無く、その貴重な時間を俺の為に使っている。

 なら、俺が出来るのは出来るだけ速やかに、そして可能な限り役立てる情報を渡すこと。

 グリムは行方不明で役に立ちそうにないし、俺が頑張らないとな!

 

『分かった!それならサーシャに─‬‭─‬…』

 

 


 

 

「推定だけど、この箱は"中に入った人の手番が終わると一手進む"。今回はリーロが交渉、グリムは市民への声掛けかな?そのことを考慮すると、一手に使う時間も考慮しないといけない」

「一手が長いほど多くの情報を、代わりに外の時間と同期する分、3日の制限時間が効いてくる…嫌らしいですね」

「テストだからね。そういう管理能力も求められてるって事だ」

 

 絶えない喧騒の中、サーシャはリサと会話しながら超高速で大量の本に記録をしていた。

 今回を捨て周として扱うのを前提とした天気と災害の記録と、今回で最大限の結果を求める為のギフトの本を製作する為。

 効率化されキーボードと化したタイプライターで本を製作し、完成と同時に2冊印刷し製本化する。片方は2周目用、もう片方はギフト用だった。

 大霊書庫から複製品を取ってくるには時間と危険が伴う事を考慮すると、破格の環境だ。それでも平均5分で100ページ程度の本を作り続けるのは、魔法でもないと不可能な現象だ。

 

「しかし…水魔法でどうやってそんな超高速を?土魔法では不可能なのに…」

「これは『推理』の時魔法の永続効果の応用だよ。『推理』で時間が停止する程遅くなるのを、『推理(劣)』で反転させた。今は235倍速かな。こういう複雑な加速は身体の一部だけで思考は早くならないけど、使いこなせれば便利だよ」

「えぇ…?」

 

 リサの想像以上のゴリ押しだった。

 

「ならなんで普段は使わないのですか?」

「消耗が激しいけど、今はほら、神に成りかけてるから。このくらいの代償は踏み倒せるから」

「えぇ…?」

 

 それは中間テストに遭遇した『推理』と『難題』で患った状態異常、時間の遅延の末の停止を『推理(劣)』で効果を半分だけ加速に反転させて相殺した時の事。

 あの時にかけられた効果はなくなった訳ではなく、今もサーシャの中で残っているのだ。

 とは言っても、効果が指数関数的に増加する遅延の反転だ。当然まとめてやれば加速のし過ぎで停止した世界に囚われる。

 サーシャは簡単そうに使っているものの、一歩調整を間違えれば停止した時間で彷徨うことになるし、その前に身体が日数経過の水不足で枯れてしまう危険な行為だ。

 

「危険じゃないんですか…?」

「加速する部分を一時的に神化を進め、力の塊にして加速。そうすれば生身を加速する問題は消えるし、調整は演算補助も使って何とかしてる。偶然だけど、儲け物の力だよ」

「うわぁ…こわぁ…」

 

 リサは引いた。中間テストの時より明らかに急成長しているサーシャの能力に引いた。

 235倍の加速を使い熟せる頭脳ってなに…?そう思わずにはいられなかった。

 リーロの発言がふと脳裏に過ぎ去り、その心境に同情する。

 コレを理解出来ないのは仕方ないよ。リサは心の中のリーロを慰めた。

 

「あ、通信…リーロ、どうしたの?……なら用意するね。……1分待って、それで送れるから……良し完成。騎士、送っといて」

『了解した』

「私の騎士を顎で…」

「リサ、私は今製本で忙しいから大目に見て」

「いえ、仕方ないのは知ってますが…少々苛立ちが勝りますね」

 

 リサは出来立てホカホカの本を箱の上に運ぶ騎士を見つめながらそう呟いた。

 話しかけたつもりはなかったが、製本に集中しているサーシャは反射的に返事をした。

 

「…仕方ない。この都市は"確実に赤点を免れる代わりに()()()には成りにくい都市"。それで高得点を取るには、ちょっとの余裕もない」

「…高得点に成りにくい…どういうことですか?」

 

 その気になる返答に、更に問いかける。

 確かに文献には、複数に「タイム家の初代は自己の魔法で未来に関する日記を記した」という情報が記載されている。これは、"タイム家は最初から後知恵統治をしている"ことを表していた。

 それなら確かに領を消滅させる方が難しいだろう。しかし、高得点に成りにくいとはどういうことなのか、それが不可解だった。

 

「統治者が優秀なら、私達が出来ることは少ない。そうなると私達の実力を示すのが難しくなる。未来を知っている領主とは、テストに関して言えば厄介な敵だ」

「コレがテストならば…満点なら問題ない…あれ?」

 

 そこでリサは違和感に気付いた。

 ダンテ先生は赤点のラインは確かに言った。しかし、数値として明確に設けた訳ではない。

 曖昧に、消滅とだけ明記したのだ。対して最高得点は…?

 

「何点が上限なんですか…?」

「その違和感が答え。このテスト、1()0()0()()()()()()()()()()()()()()()。つまりスコアアタックだ。有利に立ちたいなら、今まで学んだ事を示せる機会が多いほど良い」

「そんな、だったら優秀な箱を引いてしまったら…ああ!」

「だからチーム制なんだろうね。集まれば不確実性での不利は少なくなるから」

 

 あの騒乱で思考には及ばなかったが、確かに合理的な話だ。

 どれだけ運が無くても、優秀な領地を引いた人だけが集まるチームは少ないだろう。

 内政、政治は確実にどこかで瑕疵が出来るものだ。何処かで必ず実力を示せる機会はある。

 だが、それが分かると新たな疑問が湧いた。

 サーシャは何故、未来を見て統治出来る、優秀な領地を態々選んだのか?

 

「その答えは一言で終わる。隠してた様だし、細かい事は省くけど…」

 

 サーシャが手を止めて、リサの方を向く。

 何も言ってない内に、心を読んだような反応が返されていた。

 

「"タイム家は生まれ付き25歳までしか生きられない短命の一族。その問題を解決してしまえば、例えどれだけ他がおざなりでも王様が直々に一位にさせざるを得ない"」

 

「だから、タイム家を選んだ」

 

 サーシャは、時属性を劣化させながらも再現していた。

 その肉体が魔法に組み込まれてることも、その結果、寿命を大いにすり減らすことも、死んだ後に残る時計に触れれば力を借りられる特性を活かして、劣化版を再現出来た時点で知っていた。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「一位になったらどうなる?私が管理した領地が反映される。つまり、6()0()0()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 MRCに辿り着く前には気付いていた。

 ループに指摘された技術の担い手の倫理と道徳、経験不足を。

 

 神に至る前に鏡魔法の呪符で観測していた。

 このテストでタイム家を自分が引く為の方法を。

 

 そして、計画した。

 協力者として人物を選出し、逃走経路を組み立て、リーロが違和感を持たない程度に知識の出所を見つけ、必要な力を創り出した。

 

「1、リーロは自分の先祖から衝撃の事実を知り、何とかしたいと決心する。

 2、私はそれに応えて技術を創り出し、グリムが見事に解決する。

 3、王様はその結末を知って感動し、妻の事も相まって私に恩を感じ、私の願いを聞き届ける。

 4、私は素晴らしい領地と民を、リーロは蘇った時の寿命の治療方法を、リサには友人と賢明な伴侶を、グリムは王国を得る」

 

「…その計画の最後、サーシャの目的が介在してません。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 サーシャは指折りに数えて残った小指を、リサの前に差し出した。

 

「約束してくれたら、言うよ。友人の頼みとして、この会話を墓まで持っていくと約束してくれたなら」

 

 逡巡、サーシャをリサは見つめた。

 

 悪魔のように策謀し、天使のように優しい計画で、人間のように底知れない。

 

 そういう笑顔だった。

 

「‭─‬‭─‬ありがとう、信じてた」

 

 選択は成された。

 

 悪魔の契約を、天使の庇護を、人間の友情を、その内に納めた。

 

 生涯、リサはこの時間を口にする事はないだろう。

 

 この信用は‭─‬‭─‬きっと、リサだけが得られるものだから。

 

 






「5、これから起こる戦争を破綻させ─‬‭─‬‭‬……」
 学園編の第一章。
 戦争編の第二章。
 リーロが得た人格から欠けた、終幕となる第三章。
 とっくの昔に、サーシャは友の為に進む事を決めて(選択して)いた。

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