不遇水魔法使いの禁忌術式サーシャと死に戻りの時計   作:何処にでもある

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 本文に載せるまでも無い細やかな日常第二弾。

 日常風景「乗馬好きと乗り物苦手」
「イヤーッ!お嬢様、私のテクをご照覧あれー!」
「バカなヘル、そんな事をすれば背中に居る私が酔いで吐くだけなのオロロロ」
「イヤーーッ!!!」

 日常風景「私だけが良さを知っている×複数人」
「ダルクさん、貴方って几帳面そうな顔でしょっちゅう女を侍らしてますよね」
「リサか。そんな事無いぞ?何故か良く頼られるだけだ」
「こんな男の何が良いんだか…理解に苦しみますね」

 日常風景「シーシャとお菓子屋さん」
「アニー先生がくれたお菓子って言うのは美味しいですね!お、菓子の時間なんてお菓子屋さんが有りますね、入ってみましょう!」
「ようこそ、ワタクシの楽園にしてあなたの失楽園へ。貴女はもうワタクシのお菓子の虜です」
「なん…だと…?」

 日常風景「告解室の一幕」
「迷える子羊よ。懺悔の時間ですよ」
「先生…実は僕、音楽の道で行き詰まってまして…何か手頃に上手くなれる方法ってないですか?」
「修行ですね」

 日常風景「告解室の二幕」
「迷える子羊よ。懺悔の時間ですよ」
「先生、私はついさっき大罪人を各国に送ってしまいました…禁忌の研究もその時死なない為に進めたりもしました。人に暗示で洗脳もしました。どうすれば良いでしょうか?」
んーーーーー……(助けてくれた手前減刑したいですが…)一回遊んでみて、それからどうすればいいか考えてみましょう」

 日常風景「付属性ガチャ」
「……歩くとデーンとBGMが鳴る靴…不要だな」
「……髪が伸びるコート…不要だな」
「無限タバコになるおしゃぶり…くそっふざけておしゃぶりにしなければ…いやでも………」

 日常風景「かーりーべいびー」
……バブっばぶぅ…スパー(……まあ、何事も試しだ…ウメェ)
『カーリー、ダンテ先生が来たからこの前買った紅茶をどこ…に……有る…?』
「……ふぅ、そこの棚の3番目だ。……なんだ?何か文句があるならコレ(おしゃぶり)を口に入れるぞ?」

 日常風景「ただし発表の時は俺の名前だけだ」
「なに?水中で便利な錬金レシピ?有るがお前にやると私の努力が何だったのか問いたくなるならやらんぞ」
「ならゴーレムを共同開発してみましょう。きっと楽しいですよ」
「……今回だけだぞ」

 日常風景「普段出てこない人達」
『しかし、娘らしいシープは私達を知り直しても元気そうで良かったな』
『私は母と聞きましたし、それならもう少し殿方の喜ばせ方を身に付けて欲しいものだけど…贅沢な悩みよね』
『…やはりこのまま動くの将来的に支障があるな。全てを思い出すまで活動は控えよう。大人しく魔杖として過ごせば、学園を出た時に問題なく親子に戻れる筈だからな』

 日常風景「クラブ活動と研究員」
「ふーんクラブなんて有るんだねー」
「面白そうだし一回やってみよーよ。サーシャの研究室も悪くないけど、こっちも楽しそうじゃん」
「でも旅行クラブかー…一回行って面白かったらサーシャも誘ってみよ?友達だしさ」

 日常風景「語学と魔法学の蟠り」
「ではここをこうして…では試運転と行きましょうか。ふふ、どうなるか楽しみだ」
「えっほ、えっほ、仕事を片付けなけれぐわーっ!」
「…ふむ、無事にダンテが女性になった姿を貼り付けられた。解除、この火魔法は『誤認‭─‬性転換』とでも名付けましょう。うーん、いつになっても認識妨害で脳を掻き回されるのはコウフンしますね」

 日常風景「何よりも"似合う"ことを重視するに決まってるわ!」
「じゃーんリーロ、いい感じのお洋服にしてみたよ」
『おお、夏って感じだ!サーシャありがとう!』
「折角見本があるしね。…でも君のお姉ちゃんのセンス、ロリロリしいね…」

 日常風景「その頃のサイーシャ村で」
「あれから2ヶ月か…確か略奪兵ってのは先行部隊だろう?本隊とやらはいつ来るのかねぇ?」
「さぁ、盗賊の嘘だったか…はたまたゆっくりバレないように集まってる最中か。少なくとも、帝国側に行った村人は帰って来ないし、何かあるのは間違いないね」
「嫌だなぁそれ。留まれば近いうちに死んで、帝国に行けば生死不明、王国に動きなし…だが俺達の故郷はここだ。…精々後悔しない程度に贅沢に暮らすとするか」




催・海・四九

 

 

 ザザァ、ザザァ、

 

 澄んだ青を分ける水平線。波打ち光を乱反射する大海原、浮き輪と網と水着…フル装備の二人が砂を蹴って登場。実にワクワクで言わずもがなのこの場所は…。

 

『海だー!』

「深淵だけどね。…結果が収束するってこんな感じかー」

『いつぞやの鏡で見たよね、海に来た私達』

 

 俺達は今、「塩満ちる大湖」という深淵に素材を取りに来ていた。なんでも時計塔対策にどうしても必要な魔力媒体がこの海の深淵にあるんだそうだ。

 ふうん、あの鏡で見た二人もただ遊びに来た訳じゃ無かったということか。

 

「それにしたってサングラスは遊ぶ気満々な装備だったよね。私も色々作って来たけど」

『ここ特有の魔物対策に使えるもんね!』

 

 サーシャが新たにサングラスを二つ取り出し装備した。結果は…収束する!

 そしてサングラス以外にも沢山用意しているから、傍目で見ると私たちの方が浮かれポンチだ!

 

「…とは言え、私達は別世界の物語や怪物の知識がある。人がよく踏み入る深淵だと新しい魔物は出にくいけど…油断は禁物だね」

『それは…そうだけどぉ!』

「じゃあ早速…安全海域を作ろうか。『氷像』、先ずは雑魚散らしから」

 

 サーシャはそこまで言って、手袋をしてから氷魔法で作った重機と船と道具で、電気が漏電しないようにするネットやら何やらを設置していく。素材は奥まで行かなくても取れるらしいからな、こういうビーチとかにありそうな安全対策は有効だぜ!

 

「「漏電遮断ネット」設置完了、「雷電バンバン」三機投下」

 

 バチン!…ぷかぷか。

 

「…フラン先生の錬金レシピ、悪くないね。素材が沢山必要だけど、あると楽だ。…まあコスト削減はしたけど。本来川や湖用を海で使う訳だしね」

 

 でもこの深淵は現地の探窟家もそこそこ入る場所だからな、張るのは端っこの道からそれて邪魔にならない所だ。

 

「魔力発電所良し、多目的ゴーレム5機良し、簡易拠点良し、魔物発生妨害の魔法も正常稼働中…良し、後は誘った人達が来たら始めよう」

『…気合い入れすぎじゃない?罪人が脱獄した昨日の後の時間、全部潰れたよ?』

「全く手付かずだったゴーレム関係の研究、 MRCが生成した魔力を電力に変換する発電所、深淵の魔物の発生を妨害する魔法陣…今後も使いそうだし、やった価値はある」

 

 そんな訳で安全にした深淵の浅瀬を更に手を加え、軽く数十年は放ってても機能する安全な海域を作った。

 …とは言え大きさは学園の敷地内程度、他に例えるなら学校のグラウンド20個分だ。流石に多いと思うんだけど?

 

『ふぅーん…』

 

 プレハブをちょっと豪勢にした拠点の周りで、何やら作業をしている人型のゴーレムを見る。

 そこから少し離れれば氷と砂を混ぜた建物…発電所から送電塔を伝ってコードが拠点に伸びていて、拠点に付随した施設からは変な音が出ていた。ギャゴーンって感じの。

 

『本当に全部必要だった?ゴーレムは人手になるとしても、浅瀬ならここまでしなくても良くない?電気とか全部魔力で良いじゃん』

 

 その言葉を聞いて、サーシャはゴーレムから貰ったレジャーシートとパラソルを砂浜に設置し氷を出して涼を取っていた。

 私は…暑い感覚が新鮮だからまだ入らない。死んでるから脱水を心配する必要もないしね。

 何より、サーシャに作ってもらったホムンクルス用の麦わら帽子があるのだ。心配ご無用ってワケ!

 

「リーロ、魔力と電力の違いは分かる?感覚のふわっとしたので良いよ」

『魔法で物になるのが魔力で、物に指示を出すのに便利なのが電力!』

「そうだね。…根本的にさ、"魔力は不可逆の変化しかしないんだ"。水になればずっと水、火になればずっと熱…基本的に一方通行なんだよね」

 

 思い返し考えてみる。四属性は勿論、時属性は時間の運動エネルギー?みたいなのに、転属性は次元の彼方へ行く。

 証魔法は約束の効力として、命魔法は生命力に、付属性は特殊効果として…確かに、エネルギーの関係は一方通行だろう。

 だからこそゲームの二作目、シーシャが取り組んだ命題として魔力の生産が立ち塞がったし、唯一の例外である MRC がとんでもない物なんだ。

 

『うん。MRC以外で魔力は取り出せない!』

「だからだよ。MRCの生産が封じられてる以上、相互に変換出来る電力が利便性に勝る。…そもそも、魔法に使わずに放って置いても勝手に熱や空気になるエネルギーは安定性に欠ける。道具に詰まりが出来る」

『でも魔道具とかいっぱいあるよ?』

「確かにあれは魔力を別の力に変換するけど、どれも使う時にしか使わない。長期的に、長く問題なく使いたいなら魔力は不向きだよ…例えば、コレ(『氷像』)

 

 サーシャは氷魔法を研究して獲得した魔法を唱える。

 一瞬で氷のARが作られ、サーシャの手元に納まった。

 サーシャは氷の弾丸を放ち、砂浜に絵を描いていく。直ぐに弾痕でサーシャの名前が出来上がった。

 サーシャは手袋を外し、氷の銃器に触れるとただの水になる。相変わらず生身には無力な属性だった。…魔力に戻る物は一切なかった。

 

「使う時だけ維持されて、使わなくなればポイだ。『魔水』とかで貯められるけど、それでも僅か。物質になったのを処理するのも面倒だ」

『…長いから要約して?』

「魔力…公共施設の観点からすると糞。維持管理が無理難題。電力…そこそこ良し。私の好みじゃないけど使いやすい」

『なるほど!』

「だからどれだけすごいゴーレムもいずれ限界が訪れる。内側に魔法陣を置けば熱で焼け、空気の破裂で壊れて破綻し、魔法陣を外に出せば風化や魔力殺到で終わる」

 

 癖が強い魔力より、癖のない電力を使った方が得な事がある。リーロはまた一つ賢くなったな!

 

『…でもこんなに広い施設にする必要あった?そんなに素材、量がいる物なの?』

 

 それはそれとして、何でこんなに大きな施設を作ったのか疑問のままだ。設計図と魔道具の名前は教えてもらったが、ゲームで見たことのない奴だったから勝手がわからないぞ。

 

「…必要かと言われればそうでもない。今日一日中探して3つも集まれば十分。だけど、ある程良いのは確かなもの」

 

 サーシャと相手と予備。だから三つなのだとサーシャは言う。

 俺としては結構疑わしいものだ。こんなので襲撃を防げるとは思えない。

 

『そんなにー?この「魂認識拡張剤(ARC・ハイド)」がー?』

「魔法薬はMMとの対話の研究をしていた時から可能性を感じていた。今回はその時の資料からの流用研究でもある」

 

 サーシャ曰く、投薬によって魂を認識し、それによって対話するのを目的とした研究だったらしい。

 ただし倫理的でないと理論段階で放棄し、日記帳の隅の時点に留めていたものだが。

 今回日の目を見ることになったのは『難題(劣)』で出来るのは判明しているのと、副作用含めて有用な効果だとサーシャが試算したからだ。

 

『でも副作用は不明瞭。()()()()感覚が鋭くなりそうとか、第六感が生えそうとか、星が見えるとか、現実と妄想の境界線が無くなるとか、人格が分裂するとかあるよね?』

「私の計算の最低値はそうだね。人間には効果が効きすぎるけど、薄めると意味がない。魂と対話するだけなら欠陥品だ」

『ならどうして作るの?魔法薬は錬金さえ授業として受けさせる学園でも取り扱わない分野だよ?』

 

 この世界での魔法薬の扱いは慎重だ。専門の魔法使いが取り扱い、学ぶにも弟子入りして5年後からなんてザラだ。

 

 それもその筈、魔法薬は貴重、危険、奇怪の3Kが揃った危険物だ。

 

 工房街では比較的安く買えるが、普通なら一生の内最低級の魔法薬を見かけるかどうかの限定品。

 毎年の魔法学園の死亡原因のランキングトップ3、素人が大霊書庫にある魔法薬のレシピで作ろうとした。毎年平均で70人はコレで死ぬらしい。

 同じ素材、同じ環境、同じ作り手、同じ手順、しかし効果に違いあり。研究者が匙を投げる対爆薬と回復薬が同時に出た逸話は伊達ではない。

 

『確かに普段死に戻る前提の研究で度々扱ったけど、毎回それで死んでたじゃん』

「無秩序な魔力を大釜と掻き回し棒で望んだ通りの形にする…脳の中にある魔法陣が如何に便利か良く分かる実験だった」

 

 しかし効果は絶大なのは間違いなく、最低級でも量産できればゲームのラスボス戦に使えるらしいから怖い話だ。俺もゲームで研究に挑戦してみたが、途中で死亡してやり直しが多すぎて諦めた過去がある。

 サーシャは死に戻りがあるから問題ないだろうけど、何事も限界は存在するのだ。

 

『その上新薬なんて…5回死んでも無理じゃない?その上効果も物騒なのばっかりだし…』

「でも、それだけ頑張る価値はあるよ…来たみたいだね」

 

 そうして話している内に、やってくる人影が見えてきた。

 

「おーい、待たせたかー?」

「お待たせ致しました!僕の登場です!今回はオフですよ!」

「……まあ、宿を借りてるんだ。手伝おうか」『俺も手伝おう!』

「私は教師なのですが…魔女の件のお詫びもかねて手伝いに来ました。」

「やあやあ!テストの時はあまり役に立たなくてごめんよ!その代わり、今日は本当に真面目にやるから目が飛び出さないようにしていてくれ!」

 

 ダルク、ヘルシング、カーリーとダルク、ダンテ、グリム…攻略対象が続々登場した。

 地味にコイツらが揃ったの初めてだな。…一部はもっと前に知り会う関係だった筈なのになぁ?どうして六月まで伸びたのだろうなー?

 おのれローン、おのれ潰れたゲームイベント…!

 そして『通信』の魔法があるのは便利だな。簡単に連絡が付いて集められるんだし。

 

「やっほ、今日は海底潜りをお願い。…女性陣は?」

「お嬢様はこの連休の間は商隊に専念するようで…僕も手伝おうとしましたが、サーシャお嬢様を優先しろと激を飛ばされて今に至ります」

「リサからの許可は得ているよ!おでかけして良い?と聞いたら良いと言ってくれたからね!」

「そっか、なら大丈夫だね。今日一日よろしくね」

「ええ!」「勿論!」

 

 自己紹介は?道中でやったぞ。

 それからお互いに名前を把握くらいはしていると分かったので、早速の海で遊ぶことにした。

 今日やる素材は海底の底にある貝殻から取れるらしいからな。その前に一回海に慣らすのだ。

 仮に人側が成果なしでもゴーレムが24時間働いて取ってくれてるしな、安心して遊ぼう!

 

『…人呼ぶ意味あったの?』

「折角だし遊びたかったから…私だって息抜きしたい時くらい…ある」

『そっかー、で、本当は?』

 

 じとーっとした目でサーシャを見る。それだけじゃなさそうな気がした。

 

「…鏡の方に施設作成の提案をした以上、私は実際に試す義務がある。言って置いてやらないのは釈然としない」

(軽い気持ちで鏡の私に言った以上、やらないと気持ち悪かった。それはそれとして海で遊んでみたい気持ちも本当だよ)

『なら仕方ないね!』

 

 そんな訳でビーチサイド…だっけ?砂でお城作りや砂に埋めたり、海で泳いだり水を掛け合ったりで遊ぶ事にした。このために呼んだんだ、最悪探索は無理でも仲だけは深めたいな。

 

「……良し、斬るか」

「ん?なにをしているんだい?海に向けて剣を構えたりして」

「……要は貝殻を見つければいいなら、泳ぐより歩いて取った方が速い」

「なるほど、それは良い案だ!そうと決まれば一回やってみよう!」

「二人ともー、此処は人の居ない深淵じゃなくて、そこそこ人の居る深淵だからねー?巻き込みで切っちゃいそうだからダメだよー」

 

 速攻で片を付けようとするソロ専とアクセルを咎めたり…

 

「先生と一緒に遊ぶのは気まずくない?」

「そんな事有りません。私は生徒に好かれている自信がありますから。」

「そうかなー?僕には湖の中でもお構いなしに貴族服を着ている先生と遊ぶのは気まずいと思いますよ」

「…そうですかね?サーシャみたいな肌着だけよりは良いと思ったのですが…」

「先生、これは水着です。海は服を着てると動きずらいので普通のことですよ」

 

 海がない影響で水着の文化を知らない先生を脱がせにかかったり…

 

「サーシャが作ったゴーレムか…話せたりするだろうか」

[命令があるなら言うヤンケ!]

「なんだその変な語尾と見た目にそぐわない声は」

『それね、私のゴーレムっぽいご先祖の口調を再現した奴。結構再現度高いよ!』

「…そのご先祖達が馬車馬のように働いているのは良いのか?」

「そこはリーロ希望だったからね。愛嬌あるし悪くないでしょー」

 

 私が声の収録をしたゴーレムの一発ネタがちょっと滑ったりしつつ、全員楽しく海を満喫することが出来た。

 なんかサーシャが分身している気がするけど多分気のせいだな。まさか全員の話を聞きながら的確に話している訳じゃないでしょ?…やれそうだな。

 

「……人がいる上での立ち回りは考えてなかったな」

「見て!これ砂のお城!王子お手製だと意味深な感じになりそうだろう!」

「…恥ずかしいのであまり見ないで貰えると…。」

「先生、男ならもっとシャキッと!堂々としていれば気にならないものですよ!サーシャお嬢様みたいに!」

「ヘルシング、そのクマのマーク付きのパンツは流石にダサいと思うぞ」

『筋肉祭りだ!全員腹筋割れてる!』

「全員楽しんでくれてると頑張った甲斐があるね。…みんなー、お昼ご飯あるから食べよー!」

 

 そんな感じで遊ぶのがお昼の焼きそばを食べるまで続き、その頃にはゴーレム達が材料である「超幸運真珠(ドラックパール)」を6つ集めていた。全自動で成果が集まるとは便利だね!

 まさか身に付けていると幸福が訪れるともっぱらの噂の素材が薬になるなんて、世の中分からないものだな。

 

「それでサーシャ、ここら辺の湖に魔物は居ないのは本当なんだな?」

「うん。そうなる仕組みにしたからね。実際遊んでて一度も襲撃がなかったでしょ?」

「常識を覆す現象ですが…事実そうなっていますし、僕は早速潜りますね!」

「それなら水中で息が出来る魔法と泳ぎが早くなる魔法を掛けとくね。いってらっしゃい」

 

 ヘルシングはそう言って潜っていった。

 

「……今更疑うのは意味がない。ダルク、さっさと行くぞ」

「それもそうだな。では俺達も行こうか」

「上下は縄と矢印を等間隔で入れてるから分かる。上がりたかったらそこを使ってね。いってらっしゃい」

 

 カーリーとダルクは共に飛び込んだ。

 …すげぇ、ダルクから漏れ出す光が上からでも分かるぞ。

 

「では私も。水中は初めてですが、やるだけやってみます。………。」

「…飛び込まないんですか?」

「実は暗い場所は嫌な思い出がありまして…ですが生徒の前です。私も良い加減克服する時ですね。…行ってきます。」

「いってらっしゃい。気を付けて帰ってきてね、ダンテ先生」

「…ええ。」

 

 少し闇を漏らしながら、ダンテ先生も海に沈んで行った。

 溺れそうな気配がしたのでサーシャはゴーレムを一体付き添わせる事にした。

 

「…グリム何処行った?」

『誰よりも先に潜って行ったよ。安全海域の外の海に』

「私達のやる事は決まったね。早く見つけ出して連れ戻そう」

『うん。早速海の彼方へ出発だー!』

 

(…今度迷子用の道具でも作ろうか。リサも喜んでくれるだろうし)

 

 そしてグリムの後を追い、私達は外側を見て回る事になった。

 

 

 

 …それから暫く経った砂浜にて。

 

 ヒュン!

 

「はっはっは!人の通らない領域は怖いね!まさか昏闇層や未知の魔物が出てくるとは!今回ばかりは生きた心地がしなかったね!…おや、みんな居ないぞ?ははーさてはもう安全海域に潜ったんだな?オレも早速行くとしよう!」

 

 無属性による転移で帰ってきたグリムがそのまま安全海域を泳ぎ始め、そうして砂浜は誰も居なくなった。

 

 ザザァ、ザザァ…

 

 海の冒険が始まった。

 

 






「本日の『通信』ラジオニューストピック」
 商国で新たな富豪が誕生。新たな政権として王国とは対立すると主張。
 神国で救世主?階級社会に揺らぎ。
 帝国の増税、実施。王国との国境で演習をする軍隊の姿が。
 王国で魔力生産施設?各地で噂される MRC の正体とは?

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