不遇水魔法使いの禁忌術式サーシャと死に戻りの時計 作:何処にでもある
世界に矛盾を量産する大罪人を狩る「魔女狩り」
北の大地から生誕した白鯨を総動員で殺す「白鯨狩り」
矛盾と「神秘」の関係性を追っていく過程で色々知る「異端狩り」
狩りが一つ残ってますし、異端は答えだけ知ったので過程で解決する筈のアレコレが野放しです。
ゲームは攻略キャラとペアでこれらをこなす事になります。確定勝利がなければクソゲーと呼ばれそうな難易度ですね。
「…そうですか。リーロは拐われて…。」
「はい。ですが悪い様にはなってないと思います。自分同士ですし、面白い物を見せる〜とか言ってましたから」
「分かりました。学園としてもサーシャには頑張って貰ってますし、奪還の協力が欲しいなら全面的に協力しましょう。ですが…MMの代わりは大丈夫ですか?」
あれから二週間経ち、様々な騒動や授業の段取りが落ち着いた頃。
サーシャはダンテ先生に改めて事情を聴き取られていた。
本来なら直ぐに実施するべきことではあったのだが、復興や食糧難で王国を始めに世界中から膨大な依頼が殺到。
コレは流石に授業は無理だとして緊急体制に変更。先生や優秀な生徒が率いて対処に当たった訳である。
それが二週間続き、人々の混乱も落ち着いた頃にサーシャに配慮する余裕が生まれた訳である。
「はい。この白鯨関連の依頼に乗じて20人率いた際、命令で
「念の為に隊長を務めた子達にMRCを持たせましたからね。回収したものの有効活用が出来て良かったです。」
「はい。配慮あるご決断ありがとうございます」
リーロの代わりの呪符は、枚数が多い程出力が増えるのも相まって、戦力で言えば今までより飛躍的に向上した。
そのおかげで人魚の残党狩り、山賊の捕獲、街の復興、死者の回収、食糧の工面……サーシャがこなした依頼は、地域ごとまとめてやっていたのも相まって1,000件を超えており、その内98.1%の依頼を達成することが出来ていた。
だが、死ねば終わりの恐怖はそんなことで消えない。サーシャは恐れなくても、リスクヘッジの為に慎重に動かざるを得ないのは事実だ。
そのせいで幾つかの命を取りこぼし、失敗した依頼も存在する。
それでも先生や他の生徒達と比べれば成功率は高かったのだが…その分、失敗が強調されるような結果になっていた。
「MRCの魔力、
「今のご時世では辛い物が有りますからね…有用なのは分かりますが、習熟の時間が用意出来なかった。教育に製作者のサーシャを拘束する。その選択を取れる余裕はあの時なかったので。」
「いえ、道理です。全員が出来る限りをしたのなら、コレが最上でしょう」
何事もそうだが、災害の対処は特に早い程望ましいとされる。
精神が疲弊し、依頼が届くまでの猶予の間の休みも直ぐに無くなり、長い日々を送っていたのだ。
だがそれも今日で終わりである。依頼の殺到も落ち着き、多くはあるが普段の体制で回せるとして授業が再開される運びとなった。今日はその前日である。
「…そう言えば、話は変わりますが。」
「なんですか?」
サーシャ達の話も終わり、そろそろ解散という所でダンテが何か思い出したようだった。
「サーシャは天使を買っていましたけど、あの子、今はどうしているのですか?」
「…………あっ」
「では私はこの辺りで。良い夜を、サーシャ。」
……完全に、忘れていた。
お金を取ってくるように言ったものの、そういうレベルの話ではなかったので思考の隅に追いやってそのまま崖から落としていたらしい。
此処最近は依頼で忙しかったからずっと放置していたし、早く宝物館を尋ねる必要があるだろう。
「……で、地下室に居た私と」
「吸血鬼になってから夜に元気溌剌な僕にお声が掛かったと」
「うん。万が一の時はお願い」
そんな訳でシニガミになった時に懐中時計が変化したカンテラで先を照らしつつ、夜の学園を歩くことになった。人選は道を知っている人と夜目が効く人である。
ダルクは光ると近所迷惑で、ダンテ先生は寝た。グリムは相変わらずの行方不明なので自然な人選である。
「サーシャお嬢様の願いなら喜んでお受けしますが…思えば、夜に寮から出た事が有りませんでしたね」
「……魔物が活性化し、最近だと月の影響で心が病んだ人が彷徨う時間だ。普通は寝ている」
「でも明日も明日で忙しいからね。遅れた分を3日で一気に詰め込むし、課題も沢山ある。今が一番暇だから仕方ない」
「……私は正直寝たいがな。私まで依頼に駆り出されたし、流石に疲れた」
「私もそうだよ。でも、必要だから」
仮にリーロが居れば、サブイベの「夜の巡回」の亜種だなんだと考えた事だろう。
その上で何があるか説明していたに違いない。
その知識に則って解説すれば、白鯨事件で昇った「狂わしの三日月」で難易度が上がっていると言えるだろう。
「しかし…あの月は吸血鬼の身体でも好きにはなれませんね。やっぱり赤い満月じゃないと」
「狂わしの三日月だっけ。白鯨が強化していた時よりマシらしいけど、見てると狂気に囚われるらしいよ。ヘルもあんまり見ないでね」
「はい、サーシャお嬢様。…しかしサーシャお嬢様、狂気に囚われた人は日が登れば正気に戻ると聞きます。仮に朝日が昇るまで探したとして、直前に狂気を一度体験するなんて面白そうですよ。やってみませんか?」
好奇心と、僅かな対抗心。どうも吸血鬼に成った影響であの三日月に対抗心を持つように成っているようだ。
サーシャの答えは決まっていた。検証は時期が早いから先送り、カーリーは参加させないと。
「やだ。私は体質で無効化するし、狂気カーリーなんて考えたくもない」
「ですよねー」
最近のサーシャの水属性由来の抗魔能力は、コレまでの体験でより高度な物に変化し、貫通性能の高い三日月の狂気すらも凌ぐ領域に達していた。
その上でカーリーとヘルシングが狂気に囚われると考えると、結構な確率で暴れられる可能性が高い選択肢は今は取りたくなかった。
死に戻り出来ない分、今のサーシャは慎重なのだ。
「それにしても…暗いね。月が出てるのにそこにないみたい」
「……暗いと言うより、闇だな。…そのカンテラ以外の光源が無効化されている」
「闇属性でしょうね。試しに…ほら、マッチの火の光が周囲に漏れない」
ヘルシングがマッチを持って離れると、火だけが見えていて、ヘルシングの持ち手が見えない。
どうやら反射光が遮断され、自ら光っていないと見えないようだ。ヘルシングは火を消して、カンテラの光の中に戻る。
この状況だと、犬歯と赤い眼のせいで分かっててもちょっとビックリする容姿だとサーシャは思った。
「どうやら闇属性の誰かが夜に乗じて魔力を散布しているようですね。最近の学園は深淵と相違ない魔力濃度なので気付くのが遅れました」
主にMRCで生産されている影響だが…元凶は必要経費だと悪びれなく話を続行した。生産のオンオフ切り替えをバラバラになった初期ロットのMRCに付けるのはもう不可能だからである。
「闇…ねぇ、誰の魔力だろ」
「……闇属性は土の第二帰属性だ。属性学で余程運がよく優秀な成績を納めた者なら誰でも有り得る」
「何人居るかは…授業に参加しないカーリーにはわからないか。…でもまぁ、コレをやった人の目的は何となく分かるけどさ」
「誰がやったのか知らないのに分かるんですね、サーシャお嬢様」
「光を見れないってことは月明かりをある程度防いでるってことだからね。狂気の拡散防止じゃない?」
闇の中をカーリーの案内を頼りに進み、寮と学園塔の間に訪れる。
宝物館は防犯の為に分かりにくくも、利便性の為に知っていれば簡単に行ける場所にあった。
道を外れ、沢山の人が踏みしめて自然と出来た道を通ると、不自然に開けた場所に出て来た。
建物も何もなく、有るのは距離の空いた3つの鉄柵である。
「誰がやったのか知らないけど親切だよね。お陰で直接月を見なければ狂気に染まることはないんだからさ」
「なるほど…助かりますけど不便ですね。そのカンテラがないと外、歩けませんよ」
「……夜に寮を出て学園を彷徨く奴は変わり者か不審者だ。学生は態々寮から出る必要もないしな」
「まぁ、そうですね。食堂、部屋にお風呂、共用洗面所、広いので散歩も出来ますし、中に庭も有る豪邸ですし…僕たちは変わり者になりますか」
三人が魔力糸を出しながら右から柵を飛び越えつつ左に着くと、目の前に扉が現れた。宝物館の入り口である。裏に回っても何もなく、扉だけがあった。
誰かが通らないで居ると勝手に消える魔法の扉、これも転魔法の賜物だ。
「お邪魔しまーす」
「天使さーん、お迎えに来ましたよー」
からんからん。
入るとアンティーク調の広い廊下に繋がっており、兎達が忙しなく書類を運んでいた。
館の中に闇はなく、中で活動する分には寮と同じくカンテラを付けなくても問題ないだろう。
「……おい、少し良いか?」
カーリーは暇そうな兎に話しかけ、案内を頼んだ。
かつて命魔法の貴族の手で造られた「お手伝い兎」である。生き物なのでゴーレムよりも複雑な作業が出来、魔力と人参で24時間働き増える可愛い労働力。初めて実物を見たリーロが初手で撫でようと追いかけ回した相手である。
「天使…羽根のある人間か、知らないなら管理人の所へ案内してくれ」
「ぷいっ?…ぷい?」
うん?僕?とばかりに自分を手で指して兎が反応を返す。
カーリーは天使と言う時に左手の、管理人と言う時に右手の人差し指を出した。手慣れた様子を見るに、結構な頻度で此処には訪れているらしい。賢い兎と合法的に触れ合える手口だった。
「……ああ、そうだ。今まさにインクで汚れて固くなったのを毛繕いしているお前だ。知らないなら他の奴に頼むが…どうだ?」
「ぷぁ…ぷぅーあー…ぷい」
インクで
「では案内を頼む。二人共…ヘルシング、何を笑っている?」
「くくっ…あぁ失礼。中身が女性の方と知っていても絵面が…」
「……一回切っても良いんだぞ?縦でも吸血鬼なら治るだろうしな」
案内を追いかけつつ、カーリーはどつき合いを始めようかとナイフに手を出した。MMとは別のサブの武器であり、鞘から抜けば高温と超振動が発生する魔法のナイフである。
「それと…見た事ない優しい笑顔だったので。和んでしまいました」
「あー分かる。普段は顔が固いから、見るとイメージ変わるよね」
「はい。これだけでもついて来て良かったと思います」
「……今回は許そう。血を撒き散らす場所でもないからな」
照れを隠すには物騒な武器だが、本気で言ってる訳ではないのは今までの経験で把握している。
なんだかんだ言って優しい人だとヘルシングは思った。
「ぷい!」
「……ありがとう、助かった」
「ありがとう、お礼にその汚れを洗浄しよう」
「折角特徴的なんですから、そのままにしません?」
「ならカッコ良く残そう。男の子なら可愛いよりカッコいいのが嬉しいよね」
「ぷぁ!ぷぅ!」
そうこう言っている間に案内が終わり、汚れが良い感じに落ちた兎がテンションを上げて去っていく。今後あの兎には新しい楽しみとして鏡を見る時間が追加される事になるが…兎も角、サーシャ達は管理人の下に訪れた。
「……お邪魔します」
「ぺっ。こんな夜更けに誰ですの?ぺっ、死ね。ショボい用事なら蹴り飛ばすわ。ボケ野郎共が。カスが早く要件言って死ね。疾く死ね」
夜になって仕事が減ったからだろう。書類の山に隠れていた管理人の上半身が見えていた。
濃いピンク髪を後ろに纏めてドリル状にした、胸のあるドレスを着た女性がトゲトゲしく罵倒する。目の隈は濃く、夜に寝れてない時に仕事を持って来た相手に対する殺意を隠しもしなかった。
サーシャ達に後ろを向いて手元を絶えず動かしていて、雰囲気も怠そうである。
「3年代表のオルガです。ここに天使と名乗る方が訪れたと思うのですが所在を知っておられますか?」
「二週間前の午後13時51分12秒発生。業務項目Dの3-7条「カードを譲渡された学園外の人物による金銭要求」の正規処理「15日間の勤務による人格評価」の処置が取られたアルバイトなら今も働いてますわよ。明日には出るのに今様子を見に来る奴は手早く帰って寝て明日の準備でもして死ね」
「最後に殺意が漏れてますね」
「早急にお金が要るとか言ってませんでしたか?」
回答されて今すぐ立ち去れと言われたが、どうやって天使を言う通りにさせたのか気になった。
サーシャは聞くだけ聞いてみることにした。
「早く欲しいとか何とか言ってたけど力で潰して従えさせただけですわ。たかが自称神の下僕程度宝物館の敵ではありませんのよ」
「え、天使を?あの子結構強そうだったんたけど」
「……一応言っておくと、この人は一年の頃の私の師匠だ。ちょっとした縁で深淵の歩き方や何でも切る"大切断"という技を教えてくれ
──パキィン!!
言葉が途切れると共に、いつの間にかカーリーがナイフを取り出して防御をしていた。
管理人を見ても変わらずに仕事をしており、ナイフを見ると刀身に綺麗な穴が5つ空いている。
ヘルシングには到底追いつかない攻防であり、サーシャにはコレが勇者流だという事実に驚いていた。
リートが扱っていた勇者流の出所発見である。
「27日の1ヶ月未満で破門された小僧が弟子を名乗る資格はない!!次言ったら脳天に穴開けて口の軽さと同じだけ物理的に脳みそスカスカにするぞ!」
「……このように、何でこんな所で仕事しているのか分からない程度には実力がある。後、破門条件もかなり厳しい。一回で覚えろとか言うからな」
「僅かな
天使が負けたのも納得の苛烈さであり、確かにこの人を宝物館の管理人に押し込めている王様の考えが理解できなかった。
「……ふぅ、業務終了ですわね」
だが、そういう事なら後1日だし待っていよう。向こうも丁度仕事が終わったようだし要件は済んだとサーシャ達は立ち去る事にした。
「教えてくれてありがとうございます。では──っと」
ギュルルルルルルッ!!!
突然襲いかかって来た"弾"を『水纏』で防ぐ…が、完全に逸らしきれず頬や腕の皮を裂いた。
サーシャが作った火力特化の"弾"と違い、音がなく貫通力が高い弾だ。洗練されていて、サーシャの物よりも確かな技術と練度が見て取れる。暗殺向きの技だと、分析した。
「──
この時のサーシャの頭には、『イベントだーっ』と言うリーロの姿が思い浮かんでいた。
夜の時間に宝物館を訪れ、この話題を出す。言われてみればありそうだとサーシャは思った。
「…勧誘ならどうぞご勝手にって感じですが?」
「心にもない敬語もやめなさい。後、才能を腐らせるのもやめなさい。4日前の自称天使が言うに…サーシャと言ったかしら?貴女、見た所「百を百一にする才」よね?一から組み立てるより限界に達した物を更に発展させる才」
……見抜かれている。それも自分の言葉よりずっと分かりやすい言葉で言語化された。
この時点で、この人は教える人なのだとサーシャは理解した。隈のあるじとっとした眼の奥で何を考えているのやら。理解するには情報が足りなかった。
「…分かった、敬語はやめる。…で、すやすやタイムはどうしたの?私には宝物館の管理人の時間を取るほどの価値はないと思うんだけど」
そう言うと、管理人は呆れ果てたのか深いため息を吐いた。
コイツは骨が折れそうだと言わんばかりの行動に、サーシャは少しだけイラッと来た。
「…はぁぁぁ……管理人なのは仕事が終わるまで。それ以降は"柳生神陰流 正統後継者"になるのですわ。世間にそこそこ知られた流派の源流…巷では"勇者流"なんて呼ばれてますけど、その祖が私の扱うものですのよ」
ドレスがハラリと落ち、シンプルな格闘服になる。
もしかしてずっと下に着込んでいたのか?そう聞くような雰囲気ではないが、想像にもない裏の顔に驚いて思考が変な方向に飛んでいた。
「故に、今はただの"ウッド"と呼びなさい。大樹になった勇者のアホの師匠、そう考えて貰って構いませんのよ」
「…勇者の師匠!?帝王の初代の師匠!?645年も前の人物の師匠が生きているんですか!?」
「ヘル、混み入った事情が有ってね…?」
「長寿たる吸血鬼の囀りなんて無視なさい。なーんか若い体で生き返ったんですから役得とかで良いのですわ」
それは可笑しい話だ。
リーロ曰く、学園で復活したのは先生だけで、学園が出来たのは300年前。
600年以上前に生きたと言うウッドが蘇るのは条件として当て嵌まらない。
何より宝物館は学園が作った…かどうかは知らないことに気付いたので、後で調べる事にした。
「ふぁ…ねむ……はっ!…とにかく、
「立ちながら寝てる…」
「…はっ!…無駄を超えた無駄ですわね。折角の限界突破した先に到達できる才能なのだから、先人の教えを乞うのが最善ですわ。…少なくとも、戦う力を求めるなら従いなさい。拘って死ぬのは馬鹿のすることですの……よ」
「……寝ちゃった」
「…………すぅ…………すぅ」
そこまで言うと、管理人はバタリと倒れて眠ってしまった。
無理してでも言いたかっただけなのだろう。用件を済ませた途端、頬を叩いても反射で転ばされて寝技を掛けてくるだけで一向に起きない。
ギリギリギリギリ……!!!
「ヘル、カーリー、助けてぇ!」
「……なにしてるんだ、お前」
「お嬢様って偶にバカになりますよね」
サーシャはヘルとカーリーに協力して貰って脱出したが、代わりにヘルとカーリーが寝技を掛けられて拘束された。
ギリギリギリギリ……!!!
「助けてくれ!足の間から抜けられない!」
「サーシャお嬢様、助けて下さい!脇とおっぱいに殺されます!」
「人を馬鹿にした己の悪因悪果を恨め小僧ども。…兎を呼んでくるから待っててね」
2分後…犠牲者、兎70匹と人間一人、吸血鬼一体、神の卵一柱。
ウッド──兎でもこもこになりつつも未だ健在。
「……私は此処までだ、サーシャ。此処で枯れ木と共に死ぬ運命だったのだろッ…グッ…う"…」
「これは枯れ木と罵倒したせいで
一人…脱落。
「サーシャお嬢様、私天才的なことを思い付きました。──吸血鬼は血の霧になれるからいつでも出られたと」
「人は何故…こうも我らに抗うのか…ガクッ…」
「これは寝ているウッドに当たり前のように霧の状態で掴まれてそのまま思いっ切り叩き付けられた吸血鬼の屑ことヘルシングだね」
一体…脱落。
「よし、予定を変更してこのまま見捨てよう。気絶させたのを抱き枕にしてるし、私達が勝てる相手じゃなかっ………寝てるウッドに足を掴まれたのでこの戦いはおしま
一柱…脱落。
勝者、"柳生神陰流 正統後継者 ウッド"。
大量の気絶した兎で川で抱き枕を3つ確保して穏やかな眠りに付く。
生徒3名怪我深刻。管理人、
そして、次の日の朝が訪れた。
「流石にごめんなさいね。ベアトリーチェ先生に怒られたしお詫びに何か願いを一つ聞くことにするんですの」
「あざーっす!だったら一度でいいんで技を全部見せて下さーい!」
「…踊るだけでいいからやるけどサーシャ貴女…頭打ったんですの?」
「そうっすか?なら『精肉』で…………雰囲気戻りました?」
「あぁうん戻ったけど…精神の方は大丈夫?」
「で、そっちはどうですの?」
「カードを作ってくれませんか?お嬢様…シープお嬢様が欲しがってたので二人分お願いします」
「はい、作り終わったから上げるわ」
「サッサと言え小僧」
「改めて"爪併せ"と"霞殺し"を教えてくれ。ずっと気になってたんだ」
「……はぁ、小僧も大概…根性だけはあるんですのね」
「まぁ、今はガキなんでな」
「……生意気な奴め」
よく寝れてツヤツヤした管理人がそうやって要望を叶えると、サッサと爆走して帰っていった。
迷惑をかけたが、その分色々吸い取られたような気分なのでおあいこで良いだろう。
しかし、それにしても…。
「「「………つっかれたーあ!」」」
色々実りある日だったが、この後の白鯨の後始末の分まで圧縮された授業を思い出し、三人の内二人が途方に暮れることになるのは…また別の話だろう。
「宝物館」
王都が建国されてから存在した宝物庫の後釜に当たる施設であり、学園のあらゆる価値あるものを管理する館。
その性質上王国で最も実力と信用のある人物が「管理人」として配置され…貴族狩りの手によって守り手は途絶えた。
今では大半の宝は狩人の手によって持ち去られ、オークションや他国の市場、海の底に溢れかえっている。
調べる限りだと10年前の「源龍事件」がトドメとなって消えた筈なんだけど…この辺りはダンテ先生と共に調べていくしかないだろう。