不遇水魔法使いの禁忌術式サーシャと死に戻りの時計 作:何処にでもある
ふうん、夜の仕事って奴は慣れないと執筆ペースを落とす物なんだな。
楽園を狩る時間ですね。紅茶でもしばきながら行きましょう。
コンコンッ。
昼下がり、フラン先生が真っ暗な世界で紅茶を嗜んでいた時に扉がノックされた。
「おっ来たな」
サーシャが来るようダンテ先生に頼んでいたフラン先生が予定通りだと、笑顔で出迎えようと扉を開けて…その様子を見て軽く驚きの声が漏れた。
「うわっ…なんか多いし…濡れてないか?」
「訳があります。一旦は説明を聞いてください」
言伝で頼んだのはサーシャ一人の筈。
予定外の半透明人間とずぶ濡れで泥だらけの三人、普通の女子生徒2人を引き連れたサーシャが説明を始めた。
「えー問題があります」
「どうしましたか、サーシャ。」
「夜が明けません」
「あー…困りますよね、あれ。もうお昼の11時なのですが…コレでは授業もままなりませんし。」
サーシャとダンテ先生がこうして自習中の教室から抜け出して話しているのには事情があった。
ダルクがジャンヌに変身した次の日からずっと夜のままで、月が沈まず太陽が出てこないのだ。
天変地異を超えた星雲関係の異常の前触れだろう。そう思い、サーシャはダンテ先生に相談する事にしたのだ。
「ダンテ先生、原因分かりますか?」
「貴女達の実験は関係してないとしか分かりませんね。倫理的に危ういものだとしても、そこ迄の規模ならば私が止めますから。」
「ですよね。私の予測が間違ってる訳じゃないんですよね」
ダンテは堂々とそう言って、サーシャ達に責任は無いと宣言する。
安心出来る要素だが、逆を言えば身近に問題が解決するキッカケが無いとも取れる。
先ずは痕跡の分析から始める必要が有るだろう。
「……あ、そういえば頼み事が有るんですよ。」
「なんでしょう、先生の依頼ならどんな依頼でも受けますよ」
「早過ぎる受諾を受けた所で…これが長引きそうなら手伝って欲しい研究があるんです」
「研究って…もしかして闇属性の中で使える光源的な?」
「良く分かりましたね…いけますか?」
思い返すのは天使を探した時のこと。つまり二日前である。
一寸先も闇の中なら、確かに必要な発明だろう。
「んー、天使が居ればあの光輪とカンテラを調べていけそうなんですけど…」
あの後戻ってきた天使は矛盾の解消に向かわせたし、カンテラもさっさと解体して分析した後に片付けた。
で、あるならば。
光源に関しては新しい方法を模索する他なさそうだ。その前に終わらせるのがベストだが、そうならない予感があるから長期的に見ることにしよう。
「分かりました、私の研究
「ありがとうございます!では
その後は細やかな情報を共有し、正式な研究許可も貰っておいた。
証魔法の制限は自力で突破出来はするが、それは出来るだけ取りたくない手段だったので有り難い話である。
「──……というわけで、今日から暫くはこっちだよ」
「あー、だから私ら総合研究所のとこ向かってんだー」
「待ってくれ。俺の性別とかはどうなるんだ?」
「当然後回し。幸いみんな見てる場所でやったから事情はみんな把握してるし、そんなに困らないと思うよ」
「俺の心の尊厳か何かが削れそうなんだが!?」
「んー…でも吸血鬼になったヘルよりはマシじゃないかな」
「ぐっ…!それを言われたら弱い…」
「そういえばあの二人はいいの?一応メンバーのカーリーと経過観察のヘルシング」
「言われてみれば二人とも最近は来てないね。何やってるんだろ」
そんな訳でサーシャ達は授業後にフラン先生達の研究に向かう道中で事情を説明している時のことだった。
「なにしてくれたの!すっっっっごく大事な物だったのに!」
「……ごめん。壊して本当に悪かった」
「すみません。僕がテンション上げて競走を申し出たばかりに…」
「ごめんで済んだら苦労しないと思わない?こんな真っ暗な中でさぁ…」
噂をすれば影が差すとばかりに、ヘルシングとカーリーの声が近くで聞こえた…が、関わるべきか多少悩む様子だ。
この真っ暗な状況で走り競ってぶつかる…紛うことなき馬鹿共だし、此処で助けるのは二人の為にもならないだろう。
放っておくべきだが…丁度今はフラン先生の研究室に行く道中だ。折角なら人手は多い方が良いし、二人共役に立ちそうな要素はある。助け舟を出してもいいだろう。
「二人ともー、どうしたのー?」
「その声は…サーシャお嬢様!丁度良かった、Fクラスの同級生の女子にぶつかりまして…その拍子に家族の遺品を落としてしまったらしいんです」
「へー、なら死ぬ気で探したら?」
「……いや、それがちょっと問題があるんだ。真っ暗どころか真っ黒なのもそうだが、それ以外の環境も最悪でな…」
「あと、ぶつかった際に十数mはこの方も吹っ飛んだので、かなり遠くに飛んだと思われます…」
「祈りで治ったけど!マジで痛かったから私はマジで許さない!旗が彫られたペンダント探せおらーっ!」
「「すみませんでした!」」
さて、謝りながら探している馬鹿共は放って置くとして、連れて行くなら見つけなければならないだろう。魔力視を使い…闇属性の濃い魔力で覆われて見えないので別の手段を使う事にした。
先ずは先程から使えそうな魔法で地図を出していた、光属性の魔力で発光して視認性抜群のダ…ジャンヌからである。
「ダル…ジャンヌ、君に決めた!」
「ああ!『地形探査』!……周囲の地形は分かるがそこまで小さな物を探すには向いてないか」
「元々白鯨内で使う事前提だからね…でもそれすら分からない今は有り難いよ」
というわけで確認してみると、どうやら自分達は石レンガの道の上に居て、周囲は生垣と芝、それらを浸水させている水溜りがある様だ。
人影も確認出来、地図を確認している自分達と水溜りで中腰で探している3人の姿もあった。
「「「「………」」」」
それを見た全員が抱いた感想をモモとリンゴが代表して言った。
「…今すぐ見つけるの無茶じゃない?」
「むーりー。この闇なんとかして水抜きしないとむーりー」
反論と咎める声はない。探している3人からの野次もない。
3人も内心では同じことを考えているという事なのだろう。
「風や火で抜けば…いや、ペンダントが壊れるか…」
「土で盛り上げ…てもキツくね?」
「見えない以上、確認も…金属に反応する魔法覚えてる人ー」
サーシャが確認を取るが、誰からも声は挙がらない。或いはダンテ先生なら覚えていそうな魔法だが…此処に呼ぶにはなんだか気まずい。
「……居ないか。なら探している3人に提案がある!」
「なんでしょうサーシャお嬢様!」
「解決策なら是非言ってくれ」
「この際見つけてくれるなら選り好みしません!お手伝いは歓迎します!」
「今私達フラン先生のところに行ってるんだけどー!……」
「……という訳です。全員で協力来たのでなるべく早く解決しましょう」
「性別戻したいし早めに解決するぞ!」「おー」「だねー」「宜しくお願いします」「……濡れて寒い」「…私も連れてこられたのはなんで?」
そんな訳で研究室一堂+2名の7名、全員でフラン先生の研究室に推し入った訳である。
ダンテ先生はサーシャ個人へのお願いだったのだが、サーシャはそれを研究室総員に向けての物だと考え、否定されなかったが故の齟齬だった。
「…なるほどな。なんか多かったのはそういう理由か……帰すのも何だし…ヨシ、全員入れ」
そういう事ならまぁ良いだろう。フラン先生はぞろぞろと引き連れた生徒もまとめて中に入れ、頼みたい事を開示する。
建築物の中までは闇は入らない。
それがこんなにも安心感を覚えるのかと、闇の中で水に浸かりながら探していたカーリー達は考えつつソファに座った。
「先に断って置くとだな、今回お前らに頼みたい事は研究じゃないんだ」
「あ、そうなんですか?」
「確かに月をなんとかすれば闇を広げた奴も納めるだろうが、月は遠いしどうしようもないだろ?そりゃ時間が掛かりすぎる。だから今回はもっと手っ取り早い手段を取る事にしたんだ」
「確かに…私なら爆速で進められますけど、それでも月に行くなら2ヶ月は欲しいです」
「加えて太陽が昇らなくなる状況だ。何かあるんだろうが、何をするにも直ぐは無理だ。なので、今回は闇を広げた奴の確保を目指してくれ」
狂わしの月。
それは白鯨が引っ張って来たものだが、その力はじわじわと浸透する心の毒に近い。
世界中で雨と風が吹き荒れる中で爛然と輝いていた力は、今も尚人々の心を蝕んでいた。
「はい!少し良いでしょうかフラン先生!」
「どうした?…えーと…誰だ?」
「Fクラスのジャンヌです。オマケとばかりに連れてこられました」
「……ジャンヌって名乗るの辞めるべきか?」
そんな訳で各々始めようと思考を巡らし始めた時のことだ。
ついでとばかりに連れてこられたジャンヌが手を挙げ、名前を知ったダルクがまさかの名前被りで元に戻すのを検討し始めた。
「私って部外者もいい所なんですけど…参加して良い奴なんですか?」
「ああ、人手は多い程良いから問題ない。…見た所珍しい光属性みたいだし、それならやろうと思えば光って闇の中でも他の人に見える様になれるだろ?是非とも協力してくれたら嬉しい」
「加えて言うと、この依頼に強制力はない。元々私宛のお願いだし、手伝ってくれるなら嬉しいってだけだよ」
「なら参加します。大事なものを無くしたので、それを見つけられるなら是非」
フラン先生とサーシャがジャンヌ視点で情報をまとめ、その上でジャンヌは承諾する。
それを聞いたカーリーとヘルはすごくやらかしたんだな…と反省し、ダルクは属性まで被った事実に途方にくれた。まさかのダブりである。
「…そんなに被ることってあるか?」
途方に暮れたダルクは、何か相違点がないか改めて見てみる事にしてみた。
男の自分と同じ紫の髪、青い眼、冷たい印象を与える顔立ち…もしかしてコイツは俺の親戚なんじゃないか?そう思ったが、確証も記憶もないので一旦脇に置く事にした。
見た目が変わり果てているのもその判断に拍車をかけていて…改めて自分を見てもどこから見ても他人でしかない容姿だった。
「もう一つ、「狂わしの月」ってなんですか?いえ、外に出れば見れるあの三日月なのは話の流れで分かるのですが…」
「ラジオとか聞かないタイプか?」
「最近流行ってるのは知ってますよ。友達が話題に出してましたし」
「あー…まだ出て2ヶ月辺りだからな。そりゃこういう奴も居るか…ほれ、コレだ」
そういうとフラン先生は棚に置かれていたラジオを取り出し起動する。
実際にどう言う物か見た方が早いと、地味にサーシャ達も初見となるラジオから音が流れた。
[─…からお送りいたします。本日のニュースです]
「コレがラジオ。『通信』って魔法を誰でも扱える様にした魔道具だな。毎日世界中の目立った情報を無作為に放送されるんだよ」
「へー…何かすごいんですか?」
「まぁ聞いてみろ。道具ってのは実際に扱うのが一番早く覚えられるしな」
丁度ニュースの時間だったので聞いてみることとなった。
ヘルシングは発信する側の従者なので聞き慣れていそうだったが、それ以外はちょっとだけワクワクしながら傾聴の姿勢を取った。
[─…「夜の街、狂う人々」。本日から続いている太陽と月の動きが停止した現象ですが、その影響なのか、狂気に染まった人々による被害が確認されています。放火、強盗、殺人…内容は多岐に渡りますが、世界中で同時多発的に発生していることから…─]
[─…続いてのニュースです。「天使が通り、魔物が笑う」。本日早朝から各地で「発光する羽根」の目撃が相次いでいます。発見者の証言によりますと、「触れたら何か変わった気がする」、「魔物に持たせたらめがっさ強くなった」…など、何かしらの効果を持っていると見られ、見かけた場合は非接触を…─]
[─…スです。「呪いあれ。御心のままに」。噂として広まっていた「呪いの手紙」、その発信元について調査員が手掛かりを掴みました。一月前から王国と神国を中心に発生していた宛先不明の手紙が送られる事件。その内容は宗教的な物、世界への懐疑的な内容が綴られた物が多く、この発信元は手紙に良く登場する「楽園」を求める宗教的かつ拠点を持たない組織であるとして…─]
次々と話が流れ、世界中の情報が無秩序に伝えられる。
初めて使ったのでそのスピード感に戸惑うものの、慣れれば成程、便利な物を作ったとシープの努力の成果にサーシャは心から感心した。
他の人も似た様な反応を示したところでフラン先生はラジオを止め、説明を再開する。狂わしの月を誰が名付けたかを全員が把握した所で、今はそっちは重要ではないとばかりに片付けた。
「ま、こんな感じだ。全て正しいかは脇に置くとして、事実夜のままだし学園は闇の中だ。人を狂わす月をなんとかする為にも、先ずは一歩目として探しに行ってくれ。先ずは其処から始まるぞ」
「分かりました。説明ありがとうございます!」
「よし、そうと決まれば早速手分けで探すしよう。俺とサーシャの賢い組、光属性組、やらかし組、後方待機組だ。役割は順に逆探知、学園の聞き込み、王都中心、連絡と情報まとめ役だ。基本的に連絡や報告、他のチームの調子を知りたいなら待機組を頼れ。……反対は?」
フラン先生の分け方に異論は無く、早速闇を広げた人物探し開始となり…。
「ふぅ、何とか見つかったけど…シーシャかぁ…」
「驚いたな、
「…ははっバレちゃった」
──結果から言えば、2時間でサーシャ達は犯人を見つけることとなった。
「で、なんでこんな事をしたんだ?
「分かりませんね…卒業したのに、どうして…」
「簡単な事だよ…恨みと復讐。それに打ってつけの今動かなければ嘘だろう?
──いや、厳密には犯人"達"…と言えばいいだろうか。
「それで…どの様な御用でお越しに?混乱に紛れて王国を攻め入れる方にもてなすお茶はありませんが…それで宜しければ歓迎の席をご用意しましょう」
「……学園を敢えて安全地帯にして心理的に出難くし、動きが鈍った隙に電撃的に陥落させる…その知略、只者ではないな。…何者だ?」
「よくぞここ迄見抜いたね。──我々は「失楽園」、帝国特殊部隊にして、王国を贄に勇者を蘇らせんとする義勇兵です。冥土の土産に覚えて構いませんよ」
──所で、ゲームでは「楽園狩り」の帝国のメインイベで、選択肢次第で戦闘相手が変わる分岐シナリオを覚える事となる。今回の場合は「交流不足かつ能力条件を満たしたキャラ」「学園元生徒」「帝国特殊部隊」の三種類。
ゲームにおけるこのブレは「
…そう、複数犯。
「……ねぇ、リンゴ。これって夜が明けないからかな」
「知らね。でも異常事態なのは分かるじゃんね」
[─…困った事にシーシャが犯人で
[─…報告、恐らく魔物としての性分か
[─…サーシャ達なら余裕だろうしお茶で
[─…え、いいんですか?
[─…よし、様子を見に
[─…サーシャお嬢様なら大丈夫だと
「コレ処理できる?」
「無理。カーリー以外発言がブレまくってるし、なんか3つの犯行が同時に来てる感じだわ」
「交互に変わるから全部の情報が穴抜けだし、伝えてる最中に変わったらダメっしょ?…無理くね?」
「コレも三日月の仕業なのかなぁ…なんか違う気がするなぁ」
──コレである。
「
その結果、3つの世界の出来事を同時に解決しなければならない様な事態に陥ってしまったのだ。
「どうする?」
「サーシャは言いました…一応出来ることは最大限やるべし!…と。とりま一つずつ読みとこ?先ずは"犯人となる人は3人居て、お互いにブッキングしてこうなった"のは確定っしょ?」
「んで…問題は「何故それぞれが一つだけみたいな反応をしてるのか」ってとこでぇ…うーん、"狂わしの月には複数の世界を重ねる力がある"…とか?」
その発言と同時に周波数のブレが収まり始め…。
「ウケる〜複数の世界ってなにさ。それに月は満月の頃からあったじゃんね」
「だよね〜じゃ「棄却」ってことで。満月が一部になったからってそんな力目覚める訳ないわ」
それを廃棄した事で、ブレが更に激しくなった。
だが二人は気にしない。そんなブレの違いが何故発生したかなんで発生したかなんて一目でわかる訳ないからだ。
だが焦ることはない。本来の「
「んー…じゃコレはどう?"水は特殊な条件下で不思議な力を持てる"とか」
「どういうこと?水属性って水出すだけじゃね?」
「いや「水属性」じゃなくて「水」ね?…属性が降る程出来なくなるっての、抽象化するとこうじゃん」
そう言うとモモはフラン先生の研究室に備えられた黒板に4つの言葉を書き込んだ。
「生成・操作・変質・強化」の四単語であり、四属性の魔法で出来る事を曖昧に表現したものである。
「で、水はこう」
モモは更に後半の3つに斜線を入れ「生成」のみが無事の図を完成させた。
「降ると右から順に消えてくんだよね、魔法ってさ」
風以降は火より火力が高くない。つまり「強化が削られた」。
土以降は幻覚を見せる、身体の一部を強化する、などの応用させる力が削がれた。つまり「変質が削がれた」。
水になればもう細かい形状を取る事も出来なくなり、相当な技術力が無ければ水の球や回すことしか出来なくなった。つまり「操作が削られた」。
「勿論大きく削られたってだけで多少は残ってるんだけどさ、それでもカスじゃん。そんな属性だけ見てさ、「水」に括られるのを甘く見るのは違くね?」
「あー、確かに。土はひたすらギュッてすれば鉄くらいなら出来るけど、それくらい。でも鉱石とかたくさんあるよね、金とか銅とか宝石とか」
「そ。だから水も同じじゃね?ほら、油あるけど水属性じゃ出せないし…今、大量の水がある事だし、その中に"そういうのが偶然有ってもおかしくは無い"よね?」
「でもあんなにあったら混ざるくね?」
「水と油は反発するし、多分そんなだよ。“性質の離れた水は反発しあう"って感じにさ」
"水には幾つかの種類が存在し、今回の事象はそれによって引き起こされた"。
そう結論付けた所で、今回の「幾つかの可能性が重なった状況」を何とか出来るものではない。
「…何も解決しなくね?別件で厄介な事になったってだけじゃね?」
「それもそう。んー…どうしよう?」
無駄骨だったと改めて思考を回した所で──ラジオの声が一つ安定した。
[─…ありがとう、二人とも。心の底
「「サーシャ!正気に戻ったの?」」
その声はサーシャの物であり、その言葉は話していただけの二人に向けるには随分と大袈裟な言葉だった。
まるで生涯掛けて取り組んだ難題を解決してくれた老人の様に、サーシャは絶えず感謝した。
[─…二人のお陰だね。水その物
[─…"「異世界に繋がる魔法」が創れる"…─]
"世界が重なった状況"。
"水には性質の違う水が複数存在する"。
"この状況はそれによって引き起こされた"。
"故に、水属性は「異世界に繋がる魔法」を創れる可能性を秘めている"。
「…サーシャ?」
「何しようとしてんの?」
[─…武者修行と限界突破かな…─]
──「
そう称されたそれは、
確かに先人は発見し、磨き上げた物も同じ様に越えられるだろう。だが、それでは精々応用技や埋まってない技を造る「一を二にする才能」にしかないならない。
完成とは、見落としなく全てを拾い上げること。その一歩を踏み出すならば、
それ即ち、不遇と言うべき水魔法であり、限界のある禁忌術式であり、他所から持ってきた科学であり──先行きのない
「「「─…出来た。水魔法で「可能性を水面に映す水」を再現し、応用した『異世界渡り』…これでリーロも赤い空を作った文明のある世界も、全て回収出来る」」」
3つの世界で。
近くて遠く、重なった全てのサーシャが、計画通りと嗤った。
「研究限界」
テクノロジーツリーを最後まで解放した際、サーシャだけで研究する事で特別な恩恵を得ることが出来ます。
既存の研究をリセットし、各種ツリーの倍率などを上げる「再研究」、限界に達した時限定で選べる枠を取る「限界突破」、特定の条件下で選択可能な新しい
どれも強力無比であり、必ずや新たな道、選択肢を呼び寄せるでしょう。
人を集め、攻略対象に完成を促し、上手く立ち回れば、真のエンドに到達も可能です。