忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
いやー!!楽しい楽しいデートでしたね()
えっ?最後に酷いことになってるって?
この作品では主人公イジメるために酷いことが起こるなんてザラですが…?

という事で普通ならメンタルブレイクしそうですが…本編どうぞ!!


93ーさっきまで命だったモノ

「リサ…!!」

 

ユウの目の前でリサの胸から血が噴き出したのを見た周囲の人間が恐慌状態に陥って一目散に逃げ惑う。

彼女は素人が見ても確実に死に至る事を理解させるには十分程に出血しており、医療知識を持つユウもそれは頭では理解出来ていた。

 

今までの人生で人やそれ以外の生物が目の前で惨たらしく殺される光景など何度も目にして死に慣れていたはずだったユウ。

しかし、血の繋がった家族が目の前で殺される光景など見たことがなく、冷静さを欠いた彼は崩れるように倒れるリサの元へと駆け寄ると地面に倒れる前に彼女のことを抱き留めた。

 

 

 

 

「ユウ…?」

 

「そうだよ…」

 

「急に紅い華みたいなのが見えたと思ったら…急に力がはいんなくなっちゃって…」

 

リサは状況が理解できないのか譫言の様に言葉を紡ぐのをユウが答えるが、彼女を支えている腕には服の上からでも分かるほどに彼女の血が流れるのを感じると、今まで体験したことのないほどの喪失感に襲われてしまったが――――

 

 

 

 

 

 

「ちっ…まだ生きてやがる…。即死だったら幸せなまま死ねたというのに……」

 

 

「てめぇ………」

 

このタイミングで最悪の状況を作った犯人―――スネールイマジンが自身の武器である銃を持ちながら最悪の悪態をつきながらゆっくりと姿を現す。

その言葉を聞いたユウは普段からは考えられない程に荒れた口調でイマジンを睨みつけたが、イマジンの方はユウに向かって銃を放つと、その銃弾はユウの頬を掠めながら後ろの地面へとめり込んでいた。

 

「……」

 

「怖がりもしないのか…つまらん。次はその支えてる腕だ……」

 

だが、ユウはその銃弾程度で怯むことはなく睨み続けていたが、イマジンの方はそんなユウの反応につまらないと文句をつけると、リサを支えている右腕を撃ち抜いた。

 

「ぐっ……!!」

 

「これでも耐えるのか…次は―――」

 

腕を撃たれたユウは痛みを感じるがそれでもリサを落とすことはない。

その姿を見たイマジンは再び銃でユウのことを狙おうとしたがそれが叶うことは無かった。

 

 

 

 

 

「これ以上はさせんぞ!!」

 

「ちっ!!」

 

イマジンがユウに銃を再び向けたタイミングで実体化したデネブが逃げ惑う人混みを搔き分けながら指先の銃口で敵のイマジンを撃っていた。

その攻撃は当たりこそしなかったが、イマジンの意識は無抵抗のユウからデネブへと切り替わり、2人が銃撃戦を繰り広げ始めていく。

 

そんな事になっていることにも気づかないリサは自身の胸に手を当てるとそれを見つめていた。

 

「あれ…?凄い血が出てるはずなのに……おかしいな……ぜんぜん痛くないや……」

 

「リサ……」

 

「アタシ…死んじゃうのかな……」

 

「……」

 

ようやく自身の胸から出血していることに気が付いたリサだったが、痛みを一切感じていない事でリサは自身の死を悟っていた。

それを聞いたユウは心が抉られるような痛みを感じて言葉を失ってしまったが、そんな彼のあ頬にリサは自身の血が付いた手をそっと添わせて力のない笑みを彼に向けていた。

 

 

「ユウ……そんな顔しないで……」

 

力が抜けていくのに伴ってリサの言葉も小さくなっていくが、ユウは彼女の言葉を聞き逃さなまいと抱き寄せて顔を近づけたのだが―――

 

「んっ……」

 

「……」

 

リサは最後の力を振り絞って自身の唇をユウの唇に押し当てると、顔に添えた手だけはそのままに身体が力なくユウの腕に堕ちていく。

 

「リサ…?」

 

「えへへ…アタシのファーストキスだよ……死んじゃう前に好きな人と出来てよかった……」

 

リサは死ぬ前にだと言うのにおどけてみていた。

その姿を見たユウの心はえぐられる様な痛みを憶えるが、ここで逃げる訳にはいかなかった。

 

「デート……楽しかった…」

 

「…俺も楽しかったよ、浮かれて他の人には言わない事も言ってた」

 

「これからも…色々な場所…行きたかった……」

 

「……俺もだよ」

 

「……好きな人に抱かれて……ドラマみたい……」

 

リサは譫言の様に自身の思いを語るとユウもそれに返事を返す。

だが、リサが死に近づいていくに連れてその声も徐々に小さくなっていく。

 

そしてその時は訪れた――――

 

「ユ……ウ……」

 

「何?」

 

 

「だい…す………き……」

 

リサは最後に笑みを浮かべながらユウへの思いを伝えると、彼の頬に添えていた手がダラリと地面に堕ちたのを見たユウは全てを理解した。

 

 

 

 

 

自身の姉。今井リサは自身の腕の中で死んだのだと―――

 

イマジンを倒せば時間が修復されてリサは助かり、イマジンを倒せるのはゼロノスに変身出来るユウだけ。

 

だが、姉が腕の中で死んだという事実だけで心が壊れそうになるが、彼はここで壊れる訳にはいかない。

 

 

 

 

 

「俺も好きだよ…姉さん……」

 

 

「リサ!!ユウ!!」

 

「リサ姉……!!」

 

「今井さ……ん…?」

 

ユウは腕の中で息絶えたリサにそう呟くと、彼は優しくリサの亡骸を抱き上げる。

それと同時に尾行していたRoseliaの面々がリサの元へと駆け寄ってくるが、リサが既に息絶えた姿を見て絶句した。

 

完全に固まる彼女達を他所にリサの姿を見たイマジンは歓喜した。

 

 

 

「契約成立だ…!!」

 

「何…!?彼女が死ぬことが契約だと…!!」

 

イマジンはリサが死んだことで契約が成立したと口走る。

その言葉を聞いたデネブが怒りの声を挙げたが、イマジンはとんでもない告白は続いていた。

 

 

 

 

「そこの女の願いだ…」

 

イマジンはそう言いながら駆け寄ってきた彼女達―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あこ…?そんなのないよ!!」

 

「言ってただろ?そこの女が幸せなデートが出来るようにってな…そう言う契約だ」

 

 

「あこ……確かに練習帰りに寄った神社でお参りしたけど……契約?なんて知らないよ!!」

 

「そりゃそうだろうな。お前が神社でそう言った時にこっちが契約したんだからな…!!」

 

その中にいたあこの事を指差し、訳が分からない一同はあこに視線を向けていた。

しかし、当の本人が一番理解出来ておらず困惑の声を挙げていたのだが、イマジンはあことの契約について語る。

 

あこはリサがデートすると聞いた練習の帰りに神社に寄って神頼みをしたらしいが、イマジンはその神頼みの言葉を契約としてリサを殺害した。

 

その行動はあこの願いの言葉とは完全に矛盾するものだが―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デートの最後に好きな男の腕の中で死ぬ…。最高に幸せなデートって奴だろ?」

 

「「「なっ!?」」」

 

イマジンはとんでもない論理を展開し、それに基づいてリサを殺したと告げる。

だが、余りにも理解不能な論法を前にその言葉を聞いた皆が固まってしまったが、ユウだけは違っていた。

 

 

 

 

「あこちゃん…」

 

「はっ…はい……」

 

ユウはリサを抱えたままあこの事を呼んだ。

だが、その言葉を聞いたあこは彼からにじみ出る怒りに慄いて、震え始めていた。

彼女の契約でリサが死ぬことになったのだから怒りを憶えるのは当然なのだが――――――

 

 

 

 

 

「姉さんを頼んだ」

 

「えっ……」

 

彼はあこにそう呟くと、リサの亡骸を近くのベンチの上に寝かせた。

予想外の言葉にあこが困惑していたが、彼は返事を待つことなくゆっくりとイマジンに向かって歩き出していた。

 

確かにユウは怒っていたが、それはあこに対してではない。

あこは純粋にリサの事を思っていたが、その思いを捻じ曲げて悲劇を生んだイマジンに対して怒っていた。

 

 

 

「お前は絶対に殺す……」

 

「人間に何が出来るんだよ!!」

 

ユウは完全に怒りに飲まれて普段では絶対に使わないような荒れた言葉をイマジンにぶつけていたが、イマジンはそんな無防備なユウに対して銃の引き金を引く。

 

放たれた弾丸はユウの腿を貫いたが、その程度では今のユウは止まることはなくゆっくりとイマジンに向かっていく姿にイマジンは恐怖を憶えて銃をユウ目掛けて乱射すると、腿だけではなく腹や肩にまで弾丸が貫通するも、それでもユウは止まらない。

 

 

「逃げるしか―――」

 

「逃がさねぇよ……」

 

「ぐぉ…!!」

 

イマジンは止まらないユウの姿に困惑して逃げ出そうとしたが、動こうとした時には既に間合いを詰められてしまいユウの拳がイマジンの顔面を捉えてその体を大きく吹き飛ばすと、彼は懐からベルトを取り出していた。

 

「お前は殺すって言っただろ…」

 

 

 

ユウはイマジンに対して殺すと言いながらベルトを装着してカードを取り出したのだが、その背中を見ていた友希那と燈はその姿に違和感を覚えていた。

 

 

「あれ…?」

 

「緑色が裏…?」

 

 

「ユウ!!ダメだ!!カードを使ったら…!!」

 

ユウが変身する。

Roseliaの皆の前で変身することは特に気にしていなかったのだが、彼が持っていたカードがおかしかった。

 

普段ユウが変身するときに使うカードは緑色の面が前で裏が黄色。

最初から黄色の裏面を使う事はあったが、それはデネブが憑いている時で彼は今実体化してその場に立っているにもかかわらず緑の面が裏になっていることが感じていた違和感の正体。

 

それを不思議に思っていた2人に対して、デネブはユウのことを見て必至に止めようとしていたが、それでは彼は止まらず―――

 

 

 

「……変身」

 

そう呟いて彼はカードをベルトに差し込むと――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――Charge And Up ―――

 

彼女達が聞いたことのない言葉が響き渡るのだった――――




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