忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
尊厳破壊はされまくってましたが…ゼロフォーム出てきた…!!
でも、この主人公がバーサーカー過ぎるのでは…?
という事で最新話…どうぞ!!


95ー陽だまり・陰り―――

「やったー!!あこもこれで友希那さんと一緒にバンドだ~。リサ姉も一緒だから楽しくなりそう…!!」

 

オーディションで認められたことで友希那のバンドメンバーとして加わることを許されたあこはライブハウスで皆と別れて家路についていた。

 

あの厳しい友希那と彼女と同等に厳しい紗夜から認められた直後という事もあって完全に彼女は浮かれていたのも致し方ない。

 

「あこ~!!そんなの風に歩いてると危ないぞ~?」

 

だが、そんなあこの事を咎める声が彼女の後ろから響いてくると、あこは自分の事を呼んだ声が聞こえた方へと振り返ると―――

 

 

 

 

 

 

「えっ…!?リサ姉!?友希那さんと一緒に帰ったんじゃないの!?」

 

「流石に暗くなってる中を中学生1人で帰らせる訳にも行かないからね~。

それにベースやることになったけど、弦くらいは変えないと不味いかな~って思ったから買うついでだけどね?」

 

そこにはライブハウスの前で友希那と一緒に帰ったはずのリサがニコニコと笑みを浮かべて手を振っていた。

予想外の人物の登場に驚いたあこだったが、リサは彼女なりの気遣いで中学生のあこを送ると言う本音を建前と並べて口にして2人で並んで歩き出した。

 

「リサ姉!!バンド、頑張ろうね!!」

 

「そうだね~。ブランクあるからアタシが一番頑張んないとね~」

 

 

「着いた…!!」

 

「ここまで逃げれば…」

 

「「へっ……?」」

 

そんな他愛ない話をしていた最中にあこの身体が2つに割れ、そこから2体のイマジンが過去へとやってきた。

しかし、イマジンの存在など全く知らない2人は突如として現れた2体に困惑の言葉をもらしてしまったが、その声はイマジン達に気づかれてしまった。

 

「あぁ…?さっき始末した女か…」

 

 

 

「えっ…?始末…アタシを…?どういう―――」

 

「リサ姉!!逃げよ!!なんか分かんないけど!!」

 

 

「あなた、過去に来たからもう用済みなのよ―――ね!!」

 

雄のイマジンはリサの姿を見て何かを考える様な素振りを見せたが、リサの方は未来で殺されたことなど知る由もなく困惑していると、あこが咄嗟にリサに逃げるように声を挙げると彼女の腕を引っ張っていた。

そんな姿を見た雌のイマジンがあこの事を”用済み”と言って、自身の獲物の鞭をあこに向けて振るったが―――

 

「あこ…!!」

 

「うわっ!?」

 

 

 

 

「あぁああああああ!?」

 

「リサ姉!?」

 

「庇っちゃったの?1人で逃げればよかったのに」

 

 

「リサ姉!!」

 

「だいじょう…ぶ…」

 

咄嗟にリサがあこを庇うように抱きかかえると、あこに向かって振るわれた鞭はリサの背中に直撃して、耐えがたい痛みに悲鳴を挙げていた。

 

雌のイマジンはそんなリサの行動に呆れた様な仕草を見せていたが、あこはたまらずリサに声をかけると、彼女は下手な嘘をあこについて誤魔化した。

 

あこを気負わせないための彼女らしい優しさを見せたのだったが―――

 

 

「これはどうだ?」

 

 

 

「っ……!!」

 

「リサ姉!!」

 

「ほら、大丈夫って言ってみろよ?」

 

「こっちもオマケよ!!」

 

鞭に耐えたリサを見ると、今度は雄のイマジンが先ほどまでのダメージでふらつきながら獲物の銃を彼女の背中に乱射し始めた。

銃弾が当たる度にリサが激痛に襲われるが、庇っているあこを心配させまいと声を必死に押し殺すそんな姿に銃の乱射は止まらずに制服を赤く染めていき、そこに鞭で追い打ちが入ると彼女の背中がズタズタにされていく。

 

 

 

 

「……」

 

「えっ…リサ…姉……?…あれ…これ…赤いのが流れて……?」

 

そして、そこから何発かの鞭打と弾丸がリサの身体に命中すると、あこに覆いかぶさるようにリサの身体は力を失っていく。

あこはリサの急な変化に困惑していると覆いかぶさったリサの身体から流れた血があこに伝った事で更に困惑し始めていると、イマジンの口から信じたくない言葉が飛び出してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ。悲鳴1つ上げねぇで死んだのかよ…」

 

「つまらないわね…」

 

「えっ……?」

 

「どうせなら、お前も一緒に逝きな!!」

 

リサが死んだ。

そう言われたあこは困惑していたが、彼女に伝う血がそれが真実であることを否が応でも理解させられ、恐怖に固まるあこ。

そんなあこをイマジン達がリサ同様に命を奪おうとしたが――――

 

 

 

 

 

 

「ちっ!!もう来やがった…!!」

 

その瞬間にあこ達とイマジン達の間にゼロライナーが割って入って壁になるように止まると、ゼロライナーの先頭車両からゼロノスが飛び出して、ゼロライナーを背にすると、ゼロガッシャーの大剣を手にしてイマジン達と向き合っていた。

 

「追いかけんじゃねぇよ」

 

「……逃がさない。お前だけは殺すと言っただろ………」

 

 

 

「友希那さん……」

 

「友希那、待つんだ!!」

 

「…っ!?リサ…!!」

 

 

 

「ゆきな…さん……?なん…で……」

 

ゼロノスは怒りの感情を剥き出しにして雄のイマジンを睨んだ反対側では、あこの目の前からデネブと友希那と燈の3人降りてくると一目散にリサの方へと駆け寄っていた。

 

だが、そんな状況の連続ににあこが付いて行ける訳もなく困惑の言葉を漏らしていたが、友希那はあこに覆いかぶさってたままリサが一切動いていないことにようやく気が付いてしまった。

 

「リサ…!!リ…サ……?」

 

「友希那……彼女はもう……」

 

友希那はすぐにあこからリサを引き剥がしたが、その目からは既に生気が完全に失われていた。

その事にショックを受けた友希那だったが、デネブの言葉を聞いて我に返ると彼女を地面に寝かせてからあこの腕を持って立ち上がらせた。

 

「っ……!!あこ、何も聞かずに1人で真っすぐ逃げなさい……」

 

 

 

「でも…リサ姉が…置いていくのは……」

 

友希那はあこに逃げるように伝えたが、あこは自身を庇って事切れたリサを置いて行けないと声を震わせていた。

あこの気遣いとリサがどうしてそうなっているのかは付き合いの長い友希那は理解出来ていたからこそ、この時間軸でのリサの想いを無駄にする訳にはいかなかった。

 

 

「逃げなさい…!!」

 

「っ…!!」

 

友希那はリサがあこを守ろうとした。

だからこそ、その意思を守るためにあこには逃げてもらわなければならないと、友希那は静かに―――だが、力の籠った言葉を口にすると、それを聞いたあこはフラフラとしながらも何とか走ってこの場から離れていくと壁代わりになっていたゼロライナーは走り出す。

 

 

そして、壁が無くなったことは――――

 

 

 

 

「…ねえ…さん………」

 

ゼロノスもまたリサの亡骸を見ることになってしまい、目の前のイマジンは1度だけではなく2度もリサの命を奪ったのだというのを理解させられた。

 

 

「……」

 

「はっ…!!どうしたってんだよ!!」

 

ゼロノスはそのリサの姿を見て剣を地面に下ろしてしまうと、そんなゼロノスを見たイマジンが発砲すると肩に命中して衝撃で後ろの軽く仰け反ったが、剣の切っ先を地面に引き擦りながらゆっくりとイマジンへと歩き出していく。

 

 

 

「お前も死ね…!!」

 

「……」

 

隙だらけのゼロノスを撃つイマジンだったが、ゼロノスはその攻撃を受けながらもゆっくりとイマジンとの距離を詰めて―――

 

 

「なっ…!?なんで平気なんだよ…!!」

 

「……」

 

「「ぐっ!!」」

 

気が付けばイマジン達はゼロノスに大剣の射程圏内に入っており、2体はゼロノスの一撃をもろに受けて地面を転がっていたのだが、イマジンもタダでやられたわけではなかった。

 

「……」

 

「自慢の武器がねぇなぁ…!!」

 

「あら?大丈夫かしら?」

 

イマジンは一撃を入れたゼロノスに対して攻撃しており、その攻撃によって唯一の得物であった剣が地面に堕ち、これでゼロノスには肉弾戦しかないと高をくくっていたのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウ!!俺を使え!!」

 

「……」

 

その間にデネブが駆けだして跳びあがると、その身体に不思議なことが起こった。

 

 

 

 

 

 

「デネブが…」

 

「銃になっちゃった……!?」

 

 

 

「銃に変わりやがって…!!」

 

「何がどうなってるのよ…!?」

 

跳び上がったデネブの身体が突如として銃型の武器―――デネビックバスターにへと形を変えた。

その事に戸惑っていた友希那達だったが、ゼロノスと戦っていたイマジン達も同様に戸惑いを隠せていなかった。

だが、その中で状況を分かっているゼロノスはそんな相手を無視して、ベルトのスイッチに手を伸ばしていた。

 

 

 

 

―――Full Charge ―――

 

ベルトのスイッチを押してカードを抜き取る。

そして、抜き取ったカードをデネブの身体が変化した銃へと装填して、そのままゼロノスが構え―――

 

「………」

 

何の声も発することなくその引き金を引くと、銃口からビームが2体のイマジンを貫き、ビームを受けたイマジン達がその一撃によって爆散していく。

 

「……」

 

 

 

「うわっ…!?ユウ!!いきなり投げないでくれ!!」

 

「ユウ……」

 

「デネブさん…それで話せるんだ……」

 

イマジン達の爆散を見送ったゼロノスだったが、彼はすぐにデネブを投げ捨てると地面に倒れたリサの元へと駆け出していくと、既に事切れたリサの身体を抱き上げていた。

 

 

 

 

「ごめん……」

 

ゼロノスはそう呟いてから彼女の顔に触れて、開かれたままの瞼を下ろしてから丁寧に地面に寝かせた。

ただ、それだけにも拘らずこの場の空気が完全に死んでいた。

 

 

流石に目の前で姉を殺されただけでも精神が壊れてもおかしくはないのだが、彼の場合は現代と過去で2回も死ぬ姿を見せられていたのだからこれで普通にしている方がおかしいのだが――――――

 

 

 

「ユウ、帰るわよ」

 

「友希那…さん……?」

 

「どういうつもり…?」

 

おかしいのは彼ではなく友希那だった。

彼女は幼馴染が目の前で死んでいるのにも拘らず、落ち着いた態度でゼロノスに声をかけていたが、流石のゼロノスもこれには怒りを滲ませていた。

 

 

 

 

「今の時間のリサが待ってると思うから……」

 

「……分かった」

 

ゼロノスは友希那のその言葉を聞くと、ゆっくりと立ち上がりながらベルトを外して変身を解きながらゼロライナーを呼び出していた。

その中にユウが消えて燈がその背中を追いかけていくと、友希那は高校の制服を来て事切れたリサに視線を向けていた。

 

「リサ……」

 

「友希那…拾ってくれ…」

 

「あなた、戻れないの?」

 

「久々にやったから戻り方忘れた……」

 

「仕方ないわね…。重い……」

 

「友希那…大丈夫か…?」

 

「あなたが重いからよ…」

 

友希那はリサに悲し気な表情を向けていたのだが、銃になったデネブから助けを求められるとその重量によろけながらも何とか持ち上げた。

デネブはそんな彼女を心配すると友希那はデネブの状態に悪態を返すが、本当に心配していたのはそれではなかった。

 

 

 

「そうじゃない。幼馴染の友達が死ぬのを見て平気でいるはずがないだろう…」

 

「……」

 

友希那はリサが目の前で死んだのを見てもいつも通りと言った態度を崩していなかった。

その姿にユウから反感を買ってしまったが、彼女からしてもリサは大事な友人でそんな人物が死んでいるのにこの態度はおかしいとデネブが指摘すると、彼を抱えていた腕が突如として震えだしていた。

 

 

 

「……そうね。平気じゃないわ。時間が戻ればこれは無かったことになるけど……泣きたいくらい辛いのを必至に誤魔化してる……

 

 

 

 

でも、もっと辛いユウの気を紛らわせるために平然としていないとダメだと思ったのよ…」

 

「友希那…」

 

友希那は平然としていたのはただの強がり。

本心では今にも泣きたくなっていたのだが、自身以上に悲しんでいるユウの手前それを表に出すことが出来ずに彼の前で平静を装っていたのだが、彼の姿が無くなったことで限界を迎えてその場で泣き出してしまった。

 

「行きましょう…」

 

「友希那…ありがとう……」

 

 

 

「リサ…さようなら…」

 

泣き始める友希那を見たデネブだったが、人型に戻れていない状況では何も出来ずに泣き止むのを待つしかない。

そして、彼女が少し経ってから泣き止むと、デネブを抱えて地面に横たわっているリサに背を向けてゼロライナーに乗り込むとそのまま現代へと戻っていくのだった。

 

 


 

現代に戻った一行。

ユウは急いで顔に着いたリサの血を拭き取っ負傷した部分を処置を行ってから、デートしていた時と同じような服に着替えてから、ゼロライナーから飛び降りるとリサが待つ場所まで一目散に駆け出していくと、イマジンによって撃たれた場所と全く同じ場所にリサはひとりで立っていた。

 

「…っ!!姉さん…」

 

リサが生きていることに安堵したユウ。

だが、状況的には彼女が誘ってきたデートの途中だと気持ちを切り替えると、駆け出したくなる気持ちを抑えながらリサの元へと歩みだして彼女に声をかけようとしたのだが――――

 

「お待たせ――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…?アタシ、なんで1人で遊園地になんているんだろ…?」

 

「……」

 

リサの放ったこの言葉で彼の動きが完全に止まってしまった。

 

 

―――ゼロノスに変身の代償で彼に関する記憶が消えていく。

 

今回の変身の代償として時間が戻る前にデートをしていたリサからユウに関する記憶が完全に消え、彼女はユウとデートしていたことなど完全に記憶から完全に消滅してしまったのだ。

 

流石のユウも目の前でこんな状況になってしまったことで、頭の中が真っ白になっていく。

 

 

 

「このぬいぐるみ…どうしよ…彩とか可愛いの好きだからあげようかな…?って…そろそろ帰らないと…」

 

そして、固まるユウの目の前でリサはユウに取ってもらったぬいぐるみを手放す算段を呟くと、そのまま何事も無かったかのように彼の横をすり抜けて歩き出して行ってしまった。

 

その光景に呆然としてしまったユウだったが、そんな彼の元に事情を知る友希那と燈の2人が姿を現した。

 

 

「ユウ…」

 

「おにーさん……」

 

「ゆきちゃん…燈ちゃん……」

 

ユウは呆然とした表情のまま2人の方へと視線を向けるが、地獄のような空気になって何とも言えない状態になっていた。

 

この地獄でどう言っていいのか分からない。

少しの間3人の間に沈黙が流れたが、少ししてからある人物が声を挙げていた。

 

 

 

 

 

「おにーさん、みんなで観覧車乗りませんか?」

 

「燈ちゃん……?」

 

「えっと……折角なら楽しい思いをしてほしいって思って…」

 

「……」

 

「それと…おにーさん達のことずっと見てたからアトラクションとか何も乗ってなくて……」

 

 

「そうだね…乗ろうか…」

 

「じゃあ、私は…ここで…」

 

燈がこの空気の中であろうことか観覧車に乗ることを提案していた。

その言葉に驚いたユウだったが、それは遊園地で楽しい思いで帰ってほしいという彼女なりの気遣い。

その想いを組んだのかユウは彼女の提案を受け入れたが、友希那は先ほどの事もあって断ってこの場を離れようとしていたのだが―――

 

「友希那さんも…ですよ…?」

 

「えっ…?」

 

「みんなで……ですから……」

 

燈に腕を掴まれてしまい、逃げることすら出来ずに彼ら3人は仲良く観覧車に乗り込むのだった。




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