忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはようございます

アンケ出してみたけど圧倒的ですねぇ…
なら、デネブさん達はいつかは出しましょうか
でもタイミングは考えないと曇らせが弱くなっちゃうので考え物ですね…

さてと、曇らせ前に持ち上げなければ…と言うことで投稿です


11話-ドキドキ・エンカウント

 

買物からの一悶着、そして、友希那に食事を振舞った。

その翌日、ユウは朝食を作ろうと調理場に立ったのは良かったのだが―――――

 

 

 

 

 

「米以外の材料が無い……」

 

あろうことか食材が底をついてしまっていた。

普段ならこんなことになる前に食材の調達はしているユウなのだが、こうなった原因には心当たりしかなかった。

 

 

 

 

 

「昨日買おうとしたけど、色々あったから買いそびれた…。恨むぞ…。多分だけど、小麦粉で顔面グチャグチャのまま迫ってきた姉さん…」

 

原因は当然買物に乱入してきた血縁上の姉であるリサ。

彼女が友希那との買物中に乱入しなければ少なくともこんなことにはなっていない。

買物を邪魔された程度ならば軽く流せたが、食べ物が絡む恨みは軽く流すことが出来なかった。

 

 

「ゆきちゃんが()と一緒にいただけでアレはどう考えても異常だろ…。って言っても本人は()の事覚えてないけど…」

 

どう考えても幼馴染が男と一緒にいるだけで、自身の状態を顧みずに突撃してくること自体が異常なのだが、それ以上の異常に触れているユウは何とか怒りを抑えようとしたが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝は外で済ませればいいか」

 

その発想が思い浮かぶと列車の扉はそのままどこからの路地裏の扉に繋がり、そのまま現代に降り立った。

 

「ここは…あっちの方に商店街があったような…?それにしても学生が多いな…」

 

現代に降りたユウは過去の記憶を頼りにしながら歩きだし、すれ違う学生の数に思わず言葉を漏らしながら歩くと目的地である商店街にたどり着いていた。

 

「まだあったんだ…!!」

 

自分の記憶と一致している光景にわずかに感動を覚えながら、商店街の店を探し始めるが―――

 

 

 

 

「ってまだ朝なのに商店街のお店やってる訳ないじゃん…。って学生…!!」

 

朝も早いこの時間に飲食店が開いている可能性は殆どない。

それを思い出して彼は頭を抱えたその瞬間、商店街のある店から制服を着た女子が店の袋を持って出てきたのを見つけ―――

 

「あっ…あの…!!」

 

「はい?」

 

「えっと…この店から出てきたみたいだけど、この店ってもう開いてるの?」

 

ユウは早足でその店から出てきた茶髪の学生に声をかけていた。

学生がこの時間に出てきたと言うことは店が開いているのだと思ったが、一応確認のために彼は店から出てきた少女に確認するために声をかけたのだが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、まだですよ?」

 

「えっ…」

 

返ってきた言葉によって彼の期待を裏切られてしまった。

だが、制服を着た少女は間違いなくその店の名前が書かれた袋を持って出てきたのに、店がやってないということがユウには呑み込めていなかった。

 

「えっと…君、袋持ってここから出てきたよね?それって…」

 

「あ~…このパン屋、私の実家なんですよ…。これもただのお昼の弁当代わりみたいなので…」

 

「実家…あ~…そういうことね…」

 

店から出てきた少女―――沙綾から出てきた言葉を聞いてユウは全てを理解した。

店から出てきたのは沙綾がパン屋の娘で、袋を持っていたのは弁当代わりに店のパンを持っていただけ。

それが分かった途端に朝食を食べてないユウは無性に腹が空いてきていたのだが、沙綾は目の前の男が落ち込む理由が分からずに困惑し始めていた。

 

「えっと…どうかしたんですか?」

 

「恥ずしながら朝食を作ろうとしたら食材が無かったから、買って済ませようとしたんだけど…その…土地勘がなくて…ね?」

 

「あ~…それで私が出てきたから店がやってると思ったと…」

 

「その通りです…」

 

ユウは沙綾に恥ずかしそうに事情を話すと、2人の間に妙に気まずい空気が流れ出す。

だが、その空気も突然鳴り響いた音によってすぐに掻き消されることになった。

 

 

 

 

 

「あの…電話鳴ってますよ?」

 

「えっ…あっ…うん…」

 

突如としてユウの持っていたスマホが鳴り始める。

その音を聞いてユウはたどたどしい手付きでスマホを操作し始めると、沙綾はその脇を通って学校に向かおうとしたが――――

 

「もしも―――『ユウ!!あなた、なんで昨日の夜の電話に出ないのよ!!』ちょっと!!いきなり叫ばないでよ…ゆきちゃん」

 

「えっ…」

 

沙綾はユウの電話から聞こえてきた余りにも予想外の人の声を聞いてしまい、思わずその足を止めてしまった。

 

それもそのはず、ユウが電話から聞こえてきた声は沙綾もよく知る友希那の物。

友希那に男の知り合いがいたことにも驚きだが、明らかに電話先の友希那の声は焦ったような口調だったこともあったが、目の前の男はあの湊友希那のことを愛称で呼んだ事が気になって仕方なくなって思わずその会話を盗み聞きを始めてしまっていた。

 

『あなたね…電話にはちゃんと連絡を返しなさい』

 

「あのね?あそこにいると連絡取れないって説明したでしょ?」

 

『だったら、出てきたときに連絡返せばいいじゃない!!』

 

「あ~…ごめん…」

 

 

 

「えぇ~…」

 

友希那に男の知り合いがいる時点で驚きなのに、2人の明らかに距離感がおかしいと感じられるその電話を聞いて沙綾は混乱し始めていた。

 

「あの友希那さんでしょ…?それが男の人と…」

 

 

 

「あー…うん。とりあえず、ゆきちゃんは学校行きなよ?」

 

『ユウも来なさい』

 

「女子大に男が行ったら捕まっちゃうし、その後も練習なんでしょ?終わったら時間作るから」

 

『…だったら、許すわ』

 

 

 

 

「えぇ!?」

 

『その声…山吹さん?ユウ…あなた、何しているの?』

 

「えっ…?その、朝食の材料が無かったから買物に出た時に店がやってないか?ってゆきちゃんが言う山吹さんに聞いただけだよ?」

 

『そうだったのね…。って昨日、ユウの所でご飯作ってくれたじゃない?』

 

「あれで食材なくなったんだよ…それで夜に家に送ったから買いに行く時間がなかったんだよ」

 

 

 

「えっ?」

 

そして、その会話を聞いた沙綾は普段のイメージから完全にかけ離れた友希那の言葉に思わず声を挙げてしまった。

が、この沙綾の声が電話越しに友希那に聞こえてしまったようで友希那は一気に口調だけでハッキリと不機嫌だと分かるような空気でユウに質問するも、ユウは真実だけを答えて何事もなく乗り切ったが、その真実は横で聞いていた沙綾にとっては劇薬以外の何物でもなかった。

 

「―――そう言う事だから…ゆきちゃん、大丈夫だから学校行きなよ?」

 

『えぇ…。練習が終わる予定の時間は後で連絡するわ』

 

「りょーかい。それじゃ…」

 

『えぇ…』

 

 

 

「……」

 

「あれ?」

 

友希那との通話を終えたユウだったが、彼の目の前では沙綾が驚きの余りに口をパクパクさせていた。

ユウとしてはただ電話していただけなのにも関わらず、目の前の沙綾がこんな状態になっている理由が全く理解できずにいたが、このままにしておくわけにもいかずユウは沙綾に声をかけていた。

 

「えっと…山吹さん…だっけ?その…大丈夫?」

 

「ひゃい!?」

 

「ん…?あれ?なんか顔も赤いけど…体調悪い?」

 

何気なく声をかけたユウだったが、一方で声をかけられた沙綾は上ずった声を上げて答えたが異変は声だけではなかったようで、心配になったユウは少し屈んでから沙綾の顔を覗き込んでいた。

 

 

 

 

「(えっ…!?顔が近っ!?顔も綺麗だし…。身長もそれなりにあったし…あれ?よく見たら顔も誰かに似てるような―――)」

 

 

 

 

 

「お~い…」

 

「えっと…!!その…!!大丈夫です!!」

 

「そう…?無理しないでね?俺はもう行くから」

 

ユウに顔を覗き込まれた沙綾は色んな事を考え始めてしまったが、その考えもユウの言葉によって中断されると、彼女は恥ずかしさの余りすぐに後退って距離を取る。

そんな彼女を見たユウは沙綾の事を心配するが、学校がある彼女をこれ以上引き留める訳にもいかない彼は彼女の言葉を信じてこの場を離れようと背を向けていた。

 

 

 

 

 

「待ってください!!」

 

「ん?どうしたの?」

 

が、離れようとしたユウは沙綾によってその場に引き留められて、そのまま彼女の方へと向き変えると、何故か顔を赤くしながらモジモジしていた沙綾の姿があった。

 

 

「あの…!!さっきの電話ってRoseliaの友希那先輩ですよね?どういう関係なんですか?」

 

「えっ…?ゆきちゃんとは幼馴染…かな?って言っても、再会したのが一昨日だから、Roseliaはよく分かんないんだけどね?」

 

「幼馴染……そっか…幼馴染か…」

 

「えっと…それがどうかしたの?」

 

沙綾の質問の意図が分からないユウだったが、彼は特に嘘をつくことなく素直にそれに答えると、少しだけ身体をモジモジと動かしたと思ったら彼女は自身が持っていた袋をユウに押し付けていた。

 

「えっっと…?これは?」

 

「その!!これ!!うちのパンなんで!!良かったらどうぞ!!」

 

「えっ?これ君のお昼じゃないの?」

 

「大丈夫ですから!!それじゃ!!ユウさん!!私は学校があるので失礼します!!」

 

「あの!!ちょっと!!

 

 

 

 

 

 

妙に顔が赤かったのは気になるけど…折角もらったこれは朝食にするか…」

 

ユウは袋を押し付けられたことに驚いたが、沙綾は学校があると言ってそのまま勢いよく走り去って行く後ろ姿を眺めながら、細かいことを考えることを止めて押し付けられたパンの1つを頬張りながら商店街を離れていくのだった。

 




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