忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
本編再開です。

今回は大分踏み込んだお話から始まりますが…
勘のいいひとは大体流れが分かるよね?
と思いながらも投稿です


Kapitel-10
96ージャンクション


ゼロライナーの客室。

 

「……」

 

「ユウ。昼食が出来たぞ」

 

「ありがとうデネブさん。今日は焼鮭か…いただきます」

 

何気なくユウは年季の入った懐中時計を眺めていたが、そうしていた最中に昼食を持ってデネブが客室へとやってきてユウの目の前に置くとメニューを確認してから食事をとり始める。

 

彼が食事をしている姿をじっと見ていたデネブだったが、彼はおもむろに口を開いていた。

 

「……ユウ」

 

「デネブさん?どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カードの残りが―――」

 

「デネブさん、いつから…いや、あの商店街の時か……」

 

「そうだ……」

 

デネブが口にしたのは残りのゼロノスカードの枚数について。

それを言われたユウはデネブに視線を向けて知っている理由を問い詰めようとしたが、少し前の事を思い出してすぐに結論を導き出すと、デネブもその事を素直に肯定して首を縦に振っていた。

 

「それでも変身しないってのは無いよ」

 

「ユウ…!!」

 

「あれ使ってて覚悟してない訳ないでしょ?大丈夫。無くなる前にカタを付ければいい……。アイツと一緒にいたイマジンの数を考えれば、カードは1枚だけ余る計算だから」

 

「だが、もしかしたら………」

 

「あるかもしれないけど。それを考えたらきりがないからこれでこの話は終わり。

それにそれ以外の目的も果たさないといけないからね…」

 

「目的…?この時間に来たのはアイツを追いかけてただけではないのか?」

 

ユウはデネブの追及を振り切ってそのまま食事を続けようとしたが、ユウが呟いた言葉が気になったデネブが聞き返すと、彼は自身が先ほどまで見つめていた懐中時計をデネブに見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この時間を離れる時から持っていた錆びてるこの時計の持ち主を探すこと。

この持ち主は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がこの時代から消えることになった理由を知っている人間のはずだから…」

 

ユウが見せたその懐中時計。

錆びだらけで全ては分からないが、そこには確かにアルファベットが刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

”―i――u――Sc―――t ――i――n―"

 

 

 

と――――

 


 

 

 

 

一方、その頃――――

 

 

「疲れた~」

 

「愛音ちゃん、だらしないよ」

 

「もう…。ともりん、そよりん厳しいよね?」

 

「えっ……?」

 

「愛音、みっともないからやめろ」

 

「もうりっきーまで…って、あれ?楽奈ちゃんは?」

 

燈はバンド練習を終えてRiNGのカフェテリアで休憩しており、練習に疲れた愛音は机に突っ伏したのをそよに窘められると燈に同意を求めたが立希がそれを注意したが、彼女はそれを聞き流す。

 

そして、既に楽奈がいないことに気が付いてそれを口にすると、呆れた表情を浮かべたそよが愛音の疑問に答えていた。

 

 

 

 

「…もう帰ったよ」

 

「そういえば最近の楽奈ちゃんって、いっつも先に帰るよね~」

 

「特に気にしてなかったけど…確かにそうだな…。抹茶パフェ奢るって言っても帰るし…」

 

「バンドの練習には来てるから文句はないけどね」

 

「そよりん冷たすぎ~」

 

ここ最近の楽奈は練習が終わるとすぐに帰る。

しかも、おかしいのは立希が彼女の好物である抹茶パフェを奢ると言っても帰っているという事が不信感を募らせていくが、バンド練習に来ている以上は問題ないとそよが冷たく言っていたことに燈は不安にも似た嫌なものを感じていたのだが――――

 

 

 

「燈ちゃ~ん!!」

 

「香澄さん…?」

 

「燈ちゃんに電話だよ~!!」

 

 

 

 

「「「どういうこと…?」」」

 

「はい!!燈ちゃん!!」

 

「えっ…あっ…ありがとうございます……」

 

このタイミングでバイト中だった香澄が燈の名前を呼びながら、燈に対しての電話だと言いながら自身のスマホを手に持ってカフェテリアに入ってきた。

 

 

しかし、燈を含めた全員が彼女に直接ではなく、香澄を経由して燈へと電話を繫げたのかが分からずに首を傾げていたのだが、香澄はそんな彼女達を気にすることもなく燈に自身のスマホを渡すと燈はおずおずと言った様子でそれを受け取って電話に出た。

 

「も……もしもし………?」

 

『もしもし、高松さんでしょうか?』

 

「えっ……っと………誰ですか……?」

 

電話に出た燈。

その相手の声には聞き覚えがあったが、一応彼女は相手が誰なのかを尋ねたが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『氷川です』

 

「氷川さん…?あれ…?」

 

『そういえば、あなたは日菜のことも氷川って呼んでましたね。日菜の姉です』

 

「氷川さんの…お姉さん……?」

 

「「えっ……?」」

 

「ちょっとともりん、スピーカーにして!!」

 

電話の相手は紗夜。

 

以前に花見をした際に紗夜とはほんの少しだけ会話をした程度で連絡先を交換していなかったのだが、そんな相手がわざわざ香澄を経由してでも燈に連絡をしてくるという異常事態に他の面々も慌て始めていくが、愛音に言われたと通りに皆に聞こえるようにスピーカーにした燈は紗夜からの言葉を待った。

 

「えっと…それでどうしたんですか?」

 

『この後空いてますか?』

 

「えっ…?えっと…バンド練習は終わったので……時間は…あります……」

 

『RiNGでしたね?私達もこれから向かいますので、少し待っていてください。それでは…』

 

 

「えっ…?あの…どういう……切れちゃった……」

 

電話に出たのは良かったのだが、燈は全く状況が呑み込めない。

燈からしたら紗夜から話があると言われたことも意味が分からないし、彼女は”私達”と言っていたことも更に理解を難解にしていた。

 

「まさか、Roseliaが私達と対バン!?」

 

「はぁ……愛音ちゃん、それはないよ」

 

「私達と対バンする理由もないし、それにあっちはプロなんだから事務所の人が連絡すると思うんだけど」

 

「でも、ともりんは友希那さんとも仲良いし…」

 

「友希那さんとは連絡したりするけど………」

 

「燈ちゃんの連絡先知ってる人に頼んだ方が良いのになんで香澄さんを経由するのよ…?」

 

彼女はRoselia―――いや、ユウの関係で友希那とは頻繁に顔を合せて連絡も取っており、紗夜が自身に話があるなら連絡を知っている友希那を経由すれば最短の経路で連絡が取ればいい。

 

それにも関わらず、紗夜はそうはせずに燈達がバンド練で使うRiNGのバイトである香澄を経由するという無駄なことをしているのかが理解できないともなれば、完全に素っ頓狂な方向に話が吹っ飛んでいってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!!まさか私達がスカウト…!?」

 

「愛音ちゃん?それだったら燈ちゃんだけを名指ししないでしょ?」

 

「それじゃ…ともりんを引き抜くってこと!?ともりんが……アイドルみたいになるってこと!?」

 

「燈がアイドル…それは………ありそうだな…!!」

 

愛音は自分達のバンドがプロにスカウトされるという絵空事を口走るが、それならば彼女だけを名指しするのはおかしいとそよが話を切って捨て、そこから更に飛躍して燈だけが引き抜かれるというあり得ない方向に飛んでいく。

 

その言葉を聞いて立希があらぬ妄想を展開してから興奮気味に声を挙げるのとは対照的にそよの目からは完全に光が消えて虚ろな表情を燈に向けていた。

 

 

 

「燈ちゃん…私達の事捨てるの…?」

 

「えっ…そんなことしないよ…」

 

「ほんと……?」

 

「う……うん………」

 

「そっか!!」

 

そよは燈に自分達が捨てられると思ってしまったのだが、そんな事をしないと直接言われたことで彼女の目には光が戻り、笑みを浮かべてテーブルに置いてあった紅茶を口に含んでいた。

 

 

 

そして、そんな状況で待つこと数十分。

電話をかけてきた紗夜達がRiNGのカフェテリアに姿を現した。

 

「待たせてしまって申し訳ありません」

 

「いえいえ!!私達は全然待ってないです!!」

 

「おまえじゃない。用があったのは燈にだろ?」

 

紗夜が遅くなったことを謝罪すると、愛音がそれに答えたことを立希にツッコまれる。

そんな軽いノリをすればリサやあこ辺りが乗ってきそうなのだが、今回はそれに乗ることも無くなんかを考えている様な表情を浮かべたままであり、燈はようやく違和感に気が付いた。

 

 

 

 

 

「あれ…?友希那さんがいない……?」

 

「今日は湊さんのことで話を聞きに来ました」

 

「友希那さんの…こと……?」

 

燈は紗夜が”私達で向かう”と言われてRoseliaで来るものだと思っていたのだが、今この場にはリーダーである友希那の姿が無い事に気が付く。

そして、その事を口から零した燈へとRoseliaの視線が吸い寄せられるように集まっていくのだった。

 




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