忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

120 / 214
おはよーごぜぇます!!
やっと本編100話になりましたが…記念すべき100話がこんなカオスで良いのか…?
と作者自身が訝しんでいますが……シリアス連投よりはいいやろ!!
ってことで諦めて投稿です


100-ラス・パニック

「―――中島さん。着替えさせてください」

 

「「「「「はっ…?」」」」」

 

レイヤが放ったその一言で控室の空気が混沌としたものに変わっていく。

この発言だけでも衝撃的なものだったが、ここから混沌の坩堝へと嵌まりこんでいく。

 

 

 

 

 

「自分の部屋じゃないんですし、みんながいるんですから自分で着替えてください」

 

「「「「「はぁ……?」」」」」

 

ユウの返した言葉によって更に部屋の空気はカオスを深めていく。

今の発言ではユウがレイヤの部屋では着替えを手伝っているとも取れてしまうものの、余りにもぶっ飛んだ発言のせいで誰もこの事について深く追求することが出来なかったのだが――――

 

「今日の中島さんは厳しい…。5日も家の掃除してくれなかったですし…」

 

「厳しくないですし、こっちも色々あったんです。いいから自分で着替えてください」

 

「RASのみんなしかいないし、見られても私は気にしないので…」

 

「周りが気にするのですよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家だとシャワーも手伝ってくれるのに…」

 

「「「「「「はぁあああああああああああ!?」」」」」」

 

「えっ!?なっ…!?何!?」

 

 

家ではシャワーの手伝いをしている。

レイヤの余りにもぶっ飛んだカミングアウトに周囲は今までで一番の声を挙げ、その声量は日菜との会話によってパニックになっていたリサを現実に引き戻すには十分すぎるほどの破壊力を見せつけていた。

 

「れっ…レイヤ……!?アンタ…!?」

 

「「どっ……!!どういうことですかー!!」」

 

 

 

「ちょっとゆーくん!?」

 

「おめぇ!!レイに何やってんだよ!!」

 

 

「えっ!?何!?何がどうなってるの!?」

 

「みんな、静かにしないと……」

 

「レイ!!お前のせいだからんな!?」

 

「私達にも納得出来るように説明してください!!」

 

「朝日さん?何を言っても納得しないと思うんだけど……」

 

「いいからせっ…説明してください!!」

 

状況がまるで分かっていないリサを他所に、RASの面々と日菜に詰め寄られるユウ。

そんなユウに声を挙げている皆に静かにするように注意するレイヤだったが、そんな彼女にはマスキングからのカウンターが飛んできた。

一方ででロックはユウに顔を真っ赤にしながら詰め寄っていくと、ユウは言葉を選ぼうかとも考えたが、下手な誤解を与えると不味いと判断してありのままを口にした。

 

 

 

「放っておくと平気で何時までの風呂に入らなかったので、最初の内は無理やり脱衣所にに放り込んでたんですけど。

最近は放り込んでもシャワーもしないから…こっちで洗わないと……」

 

「えっ?レイヤちゃんってそんななの…!?」

 

「氷川。今の和奏さんを見たら何となくわかるだろ?

……何が”バンドやってるから清潔”だよ。練習で汗をかいてるのに俺が風呂に入れないと何日も入らないからな?」

 

「えっ…?レイヤが風呂に入らない…?流石にないでしょ…?」

 

ユウの説明に日菜が驚いていると、話を聞いてレイヤの意外過ぎる一面に驚いたリサ。

普通に考えれば汗の匂いやべたつきが気になってシャワー位は浴びるのが普通だが、レイヤは完全にぶっ壊れていてベースを弾くのと最低限の食事を除けば風呂や着替えすらも面倒くさがる完全に無気力な状態になってしまっていた。

 

日菜とリサからしたら完全にレイヤの話とは思えない内容だったのだが――――

 

 

 

 

 

 

「「「「あぁ~……」」」」

 

「パレちゃん達が納得してる!?」

 

あろうことかRASの面々はユウの言葉を聞いてどこか納得したかのような声を挙げていた。

そんな光景に普段は騒動を起こすボケ要員の日菜ですらツッコまずにはいられず、思わず声を挙げてからレイヤに顔を向けると、余りにも失礼過ぎる質問を投げ込んでいた。

 

 

 

「えっっと……レイヤちゃん、最後にお風呂入ったのは?」

 

 

 

 

「…多分1週間前ですかね?」

 

「「「「「「1週間!?」」」」」」

 

「リサさん知らないんですか?ベーシストはベース弾いてると心も体も綺麗になるからいいんですよ?」

 

「待って!?それアタシも同類みたいに思われるじゃん!?」

 

「リサちーも…?」

 

「ヒナ!?違うから!!」

 

「それって俺が最後に行った時じゃん……普通に他の人が匂いを気にするだろうが…って、なんで和奏さんのバンドの人達はこっち見てるの…?」

 

レイヤが自己申告した期間はあまりにも長すぎた。

思わず皆がツッコミを入れるとレイヤは謎の理論を展開して自身を正当化しようとしていたのだが、同じベーシストであるリサは自分にも流れ弾が飛んできた。

そして、ユウは完全にレイヤに対して呆れてしまったのだが、そんな彼にはRASメンバーの視線が集まり出していき―――――――

 

「アンタ……!!

 

「でら凄いわ……!!」

 

「アンタがレイヤの飯屋…いえ、RASの救世主(メシア)だったのね…!!」

 

「…パレオ感激です!!」

 

 

 

 

「「「……何これ?」」」

 

「あなたが居なければ今頃レイヤさんは……女としての尊厳が無くなってました!!」

 

「これ…でら嬉しいわ…!!」

 

突如としてRASの面々がユウのことを褒め称え始めると言う余りの急展開にユウはおろか日菜とリサすら着いて行けていない。

とりあえずレイヤのせいで色々あったのだろうという事だけを理解すると、ユウは咄嗟に話題を切り替えた。

 

「あの、皆さんのライブって時間大丈夫ですか?」

 

「あっ……!?もうこんな時間ですよ!?」

 

「わぁ!?レイヤさん着替えてくださーい!!」

 

 

「リサさんのせいで疲れたし…着替えめんどくさい…。衣装着ないのはダメ?」

 

「レイ、ダメに決まってんだろ!?」

 

ライブの開始時間についてユウが尋ねたが、どうやらかなり時間が迫っているらしい。

それに気づいて慌て始めたRASの面々はレイヤに着替えるように言うも、面倒くさがって衣装を着ないでいいかとすら口走り始めているカオスな状況になる中でチュチュはユウに話しかけていた。

 

 

 

「ハウスキーパー…」

 

What happened?(どうしました)

 

Help her change clothes(レイヤを着替えさせて)

 

Everyone is watching, is that okay?(皆が見てるけどいいの?)

 

Yes…(えぇ…)

 

After I change, I'll do makeup too, okay?(着替えたら、メイクもするからね?)

She hasn't taken a bath(お風呂に入ってないから),…… don't want to touch her, right?(和奏さんには触れたくないでしょ?)

 

Thank you(助かるわ)……」

 

 

「えっと…今はなんて言ってたのでしょうか?」

 

「レイを着替えさせてからメイクもするって言ってたな?風呂に入ってないから触りたくないだろ的なことも言ってた」

 

 

「和奏さん。着替えさせますからね~」

 

「うん。お願い」

 

「じゃあ、腕を上げて~…」

 

チュチュの言葉に英語で返す2人は英語で話を進めたが、英語が分からずに困惑したパレオにマスキングが英語の話を簡単に纏めて説明すると全員が目を見開いていた。

 

男性が女性の着替えを手伝うというのは確かに衝撃的なのだが、その相手は自称1週間風呂に入っていない人であり、彼と変わりたいとは誰も思わない。

 

そんな中でユウは彼女達を特に気にすることも無く、レイヤの元に寄ると無表情で彼女の着替えを手伝い始めると、すぐに着替えを終わらせて他の4人に合わせてメイクも一瞬で終わらせてみせていた。

 

「終わり…!!」

 

「「「メイクの時、手が見えなかった……!?」」」

 

「和奏さん~終わりましたよ~…。ほら、ベース持って?」

 

ユウの早業に皆が驚く中でレイヤ自身はボーっとした表情でソファーに座っていた。

そんなレイヤに全てが終わったと伝えながらユウは彼女のベースをそのまま持たせた。

 

その時、レイヤに不思議なことが起こった。

 

「ライブ…今日も暴れていくよ…!!」

 

 

 

 

 

 

「「「「「直った!?」」」」」

 

「私、ステージの方行ってるね」

 

「和奏さんはベース持たせれば直るんで憶えておいた方がいいですよ?皆さんもライブの方があるんですよね?」

 

ベースを手にしたレイヤは先ほどまでの無気力振りが嘘かの様に力に溢れている様な雰囲気を纏ってソファーから立ち上がり、持っていたベースのストラップをかけて何時でも行けると意思を示し始めると、控室から飛び出してステージの方へと向かって行ってしまった。

 

周囲は余りの豹変ぶりに困惑していた中でユウはかなりどうでもいいことを彼女達に教えながらライブの時間だと言って他の面々もレイヤに続いていくように話しかけていた。

 

それを聞いて他の面々も控室から出ていこうとしたが、最後に出ようとしたチュチュが扉の前で立ち止まると不意にユウの方へと振り返っていた。

 

「助かったわ。後で話を聞きたいから3人共、ライブ見ていきなさい」

 

「分かりました」

 

「それとさっきのリサがおかしかったのも何かあったのよね?2人だとどうせまたパニックになりそうだから、うちで話なさい。第三者の視線でアタシ達も聞いてあげるし、レイヤの夕食もうちで作りなさい」

 

「それじゃ、皆さんの分も」

 

「期待してるわ。あなた達も出なさい。関係者席に入れてあげるわよ」

 

そう言ってチュチュはユウ達を控室から出させると、ユウ達3人はチュチュによって関係者席へと案内されてそこ場所で彼女達のライブを観ることにするのだった。




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。