マスキングの件がさっぱり解決したと思ったら、実姉に正面から致命の一撃を入れられて前回は終わってました。
前章では実姉が目の前で2回死んでるのにこの仕打ちって酷過ぎひん…?
そう思ってしまいましたが、この方がおいたわしいのでOKです
という事で投稿です
「えっ……?」
リサに腹を刺されたことにユウの口から戸惑いの言葉が盛れたが、その状況を理解すると同時に彼の身体に激痛が襲った。
「ぐっ……!!」
「リサ先輩!?」
「あんた何やってるのよ!!」
「あははっ…!!」
苦悶の声を漏らすユウと目の前の惨状に皆が恐怖から声を挙げる中で、リサが笑いながら自身が突き立てた刃物を引き抜くと、彼女は再びその刃をユウの身体に突き立てようと振りかぶった。
「はっ…?」
「させるかっての……!!」
しかし、リサが突き出した刃はユウに突き刺さることはなく、彼が突き刺されそうになった刃を彼は右手で握りこみ、手からは血を滴らせながらもその刃を止めていた。
「放せ……!!」
「こうなったら……!!」
それを見たリサは持っていた包丁を引き抜こうとしたが、加減を完全に辞めたユウの手から刃を抜くことが出来ずに藻掻くが、彼はまずは制圧するのが最優先だと判断し―――
「ごめん……!!」
「ごふっ!?」
「っ…!!」
自身の姉であるリサに対してユウは刃を掴んでいない左で彼女の脇腹に掌底を叩き込んだ。
その衝撃でリサは刃物を手放して、そのまま後ろに飛んでいくと、背中から身体を打ち付けて倒れていく。
「ユウ…!!」
「湊友希那!!…何がどうなってるのよ!?なんでリサが急に人を刺してるのよ!!」
「マジでどうなってんだよ!?」
「パレちゃんに六花ちゃんも気絶してるよ!?」
「燈ちゃん、デネブさん呼んできて……」
「えっ…!?はい……!!
「悪いけど、ちょっと離れてて……」
リサが倒れたのをみた友希那は急いでユウの元へと駆け寄っていたが、目の前で繰り広げられたリサの凶行を目撃したショックでロックとパレオが気絶。
他の面々もユウの腹部に包丁が突き刺さったままになっている状況にパニックになっていた状況でユウが痛みを押し殺しながら声を挙げた次の瞬間。
「ぐっ……!!」
「おい!!何やってんだ!!死ぬぞ!?」
「佐藤さん…だいじょう…ぶ…です……この程度じゃ死なないんで……」
彼は苦悶の声を漏らしながら、自身に刺さった包丁を乱雑に引き抜いた。
その行動にマスキングは焦り始めるが、自身の身体の異常性を知っているユウはその程度では死ねないという事を知っており、慌てる彼女を落ち着かせると彼はリサの方に視線を向けていた。
「おい……さっさと出てこい」
「ちょっと、ハウスキーパー!?いきなりどうしたって言うのよ…」
「ゆーくん、血を出しすぎて頭おかしくなっちゃった!?」
突然意味不明なことを言い始めると、その言葉に周囲の面々は当然だが理解できずに彼がおかしくなったと思い始めていたのだが、彼の事情を知っている友希那だけはその言葉の意味を理解できていた。
「ユウ…?まさか……!?」
「姉さんにイマジンが憑いてる。襲ったのもそいつが動いてたからだよ……。床見て見なよ」
「っ!?砂…これって……」
「なんだよ。もうバレてるのかよ…」
「「「「「「なっ!?」」」」」
「でも、それでどうなるって言うんだ…!!」
ユウがリサの状況を説明しながら床を指差すと、そこに零れた砂を見た友希那が状況を理解したのと同じタイミングで、リサが起き上がりながらいつもではあり得ない口調で話始める。
その変わりように周囲が困惑していたが、そんな中で再びリサ―――改めて、彼女に憑いたイマジンが床に転がった包丁を手に取ってユウに襲い掛かり始めていた。
「やりにくい…!!」
「さっさと死ね!!」
「ちっ…!!」
リサの身体で攻撃を繰り出す。
ケガをして余裕が無いこの状態では力の加減をミスして大怪我させてしまう可能性が頭をよぎったユウは傷口を抑えながら迫る刃を避けることに専念していくが、数回の攻撃を避けたところでイマジンが手を変えてきた。
「ちっ…避け続けるってなら……これならどうだ?」
「なっ!?」
「リサの首に…!!」
「お前が死なないなら…コイツが死ぬぞ?」
「クソが……!!」
攻撃を躱されたイマジンは攻撃する対象をユウから自身が憑いているリサに変え、持っていた包丁を喉元に突きつけ始めたと思ったら、ゆっくりとその刃を喉に押し当てるとその首筋に僅かに刺さった刃先から一筋の血が彼女の首から滴り落ちた。
覚えられていないとはいえども自身の姉が死ぬ姿など何度も見たくない。
その光景にユウは動きを止めると、すぐにリサの首筋から刃が離れてユウの首筋目掛けてその刃が振り下ろされて彼の左肩に深々と刃が突き立てられると、今度はその刃を抜かせまいと全力でリサの腕を抑え始めていた。
「てめぇ…!!放せ!!」
「これ以上、その身体で好き勝手される訳にもいかないからな……!!」
「ゆーくん!?」
「氷川…黙ってみんなと離れてろ……!!」
イマジンが憑いていることもあってリサの身体からは普通では考えられないほどの力で抵抗されている。
だが、ユウ本人も普通とはかけ離れていることもあり、多少身体能力が上ろうとも彼女を押さえつけるには十分で、イマジンがリサから離れるまで気力で持ちこたえるだけだと出血で力が抜けそうになる身体に鞭を打って抑え続けていた。
「おにーさん…!!デネブさんを…っ!?」
「なっ!?ユウ!!」
そんなタイミングで燈がゼロライナーからデネブを連れて戻ってきたのだが、目の前には衝撃的過ぎる光景が広がって言葉を失ってしまったが、状況はそれを許せるような状況ではなかった。
「デネブ!!姉さんに憑いてる…!!」
「なっ!?」
「抑えてる間にイマジンを…!!」
「ユウ…だが……」
「このままだと、姉さんも一緒に殺すしかない……!!」
「…分かった…!!」
ユウは自身が抑えつけているリサにイマジンが居ることを伝えるが、デネブは人に憑依する能力は低い。
それを考えると余りにも分の悪い賭けだが、成功しなければユウは自らの手でイマジンが憑いているリサの命を奪うことを選ばざるを得ない。
それを聞いたデネブはリサの中にいたイマジンを追い出そうと彼女に憑くと、そのままリサの身体が動きを止めるが、ユウはリサに身体を刺されたままの状態で彼女を押さえつけ続ける。
「はっ…?」
「どうなってるの……?」
「いきなり変なのが来たと思ったらリサの中に消えたわよ…!?夢かしら…」
事情を知らない人間からすれば完全に理解出来る範囲を超えており、意識のあるRASの面々は目の前の状況に目を丸くして現実を疑い始めていた一方で、日菜だけは別の事が気になって仕方なかった。
「えっ!?リサちーがゆーくんのおねーちゃん!?友希那ちゃん!?どういう事!?」
「日菜…」
「そういえば、リサちーとゆーくんってよく見たらそっくりかも…!!」
「本人から聞きなさい……」
日菜はユウが言った”姉さん”と言う言葉に反応していて、デネブの事などそっちのけで友希那に迫って2人の関係について聞き出そうとしていたのだが、友希那は本人に聞くように話を逸らして逃げる。
―――そうして少し経った頃、リサの身体に異変が起こった。
「ぐぉおおお!?」
「リサちーからなんか出ていた!?」
「ユウ!!やったぞ!!」
「デネブ、すぐその身体から出ろ……!!頭がバグる…」
「わっ…分かった………」
リサの身体からデネブとは違う姿をしたイマジンが飛び出して床を転がり始める。
その光景に一同が驚いているとリサの身体からデネブがユウに声をかけると、彼はリサの身体からデネブの声が聞こえる光景に違和感しか感じられないと伝えると、デネブがリサの身体から出ると力を失って倒れそうになるリサの身体を支えていた。
それを見たユウは自身の肩に刺さった包丁を抜くと、使えなくするためにそのまま根元からそれを叩き折って床に投げ捨てた。
「こいつは…前に良太郎の身体を乗っ取ったのと一緒だ…!!」
「ゴーストか……後は…っ…!!」
リサに憑いていたのはイマジンはゴーストで以前にデネブも戦ったことがあったイマジンと同じ能力を持っていた。
その能力で人間に憑依していたのだが、能力が低くても気合いの入り方が違うデネブによってリサの身体から引き摺り出された。
後はそのまま倒せばいいのだが、ユウはベルトを出そうとしたが出せずにその場でふらついてしまった。
「ちっ……!!生身のダメージがデカい……」
「ユウ…!!」
「大丈夫……!!」
ユウの身体は2ヵ所も刺されており普通ならば意識が飛んでいてもおかしくない程の重傷ですぐに戦うに移ることが出来ずにいたが、イマジンはその隙を見逃さずにすぐに動き出していた。
「再起不能になった…!!ならばこれで契約成立だ…!!」
「なっ…!?」
イマジンはユウを傷つけたことで契約が成立したと口にしたイマジンは突如として走り出した。
その走り出した先にいたのは――――
「えっ!?あたし!?」
「氷川…!?」
あろうことか日菜。
まさか過ぎる状況にユウは目を丸くしたのだが―――――
「なっ!?過去への扉が開かない……!?契約通りに始末しただろ!?」
「何……言ってるの……?」
「昨日、髪切る前に契約しただろ!!」
「あたし、髪なんて切ってないよ……」
イマジンは契約が完了したと思ったのだが、過去に飛ぶことが出来ずに声を挙げていた。
だが、日菜の方も話が全く分からず困惑していたがイマジンと全く話が噛み合っていない様子から友希那は今回のイマジンが誰と契約したのかを理解してしまった。
「まさか、契約者は……紗夜…!?」
「ゆきちゃんが様子が変だったとか言って調べてたから、その原因の排除が契約ってところか……それで双子の氷川と間違えたのか……!!」
「双子…!?紛らわしい……!!」
イマジンの反応を見て友希那とユウの中で確信した。
今回の契約者は紗夜で、契約内容は様子がおかしいと友希那を戻すこと。
そして、その契約として原因であったユウを排除しようとリサの身体を使ってユウを殺そうとしていたが、再起不能になったと判断して契約を完了したと思ったのだが、そこにいたのは契約者ではなくその双子の妹。
イマジンはその事で憤慨していたが、ユウは未だに立っている状況では契約が完了出来ていない。
そう思ったイマジンは斜め上の行動に打って出た。
「ちっ!!だったら……お前に憑いて殺せば契約完了だ…!!」
「なっ!?」
「ゆきちゃん!!」
リサから追い出されたイマジンは憑く対象を友希那に変えると、そのまま彼女に憑いてしまった。
イマジンは友希那がおかしくなった原因の排除が契約だったが、その原因と思われるユウが排除出来なかった。
それならばおかしくなった張本人である友希那を消すことで契約を完了できると言う発想に至っていた。
そして、友希那に憑いたイマジンは彼女の身体を動かそうとしたのだが――――
「止めなさい……!!」
「なっ…!?動けない……!?コイツ、特異点か…!!」
友希那は特異点だった。
イマジンに憑かれても彼女は完全に肉体を支配されておらず、メンタルだけでイマジンの動きを抑え込んでいた。
必至に身体を支配しようとするイマジンと全力で抵抗する友希那との決着はすぐについていた。
「さっさと……!!出ていきなさい……!!」
「がぁ!?」
「ゆきちゃん……!!」
「ユウ。やったわ……」
「ならこいつだ…!!」
友希那に憑いたイマジンは彼女の精神力に負けてそのまま身体の外へと叩きだされていた。
その結果にユウは驚いていたが、友希那は当然と言った表情を浮かべていたところでイマジンは別の人物を標的にしたのだが――――
「「あっ……」」
「ぁ…ぇ…?私……」
イマジンが次に標的にしたのは燈で、彼らが止める前にイマジンは燈に憑いてしまった。
しかし、その選択はイマジンにとっては最悪の選択だった。
「なっ!?コイツも特異点…!!」
「ぇ…あっ……動いちゃダメ……」
「くっそ!!さっきの奴以上に動けない……!!」
「出たらダメ……!!」
「っ!?どうなってんだよ!!こいつから出れねぇ!!」
燈も友希那と同じ特異点だったのだが、彼女は友希那よりもイマジンに憑依されることへの耐性が格段に上で、燈は少しだけ意識を向けただけでイマジンの干渉を完全に防ぎ切っていた。
イマジンとしては干渉が出来ない以上は別の相手に憑こうとしたのだが、燈は自分の中のイマジンに意識を強くしただけで憑いたイマジンは燈から離れることが出来ず、彼女の中で完全に身動きを封じられてしまった。
これにはユウも完全に予想外だったが、状況はユウに完全に傾いた。
「おにーさん………。少ししたら出られちゃうかも……」
「分かった」
「リサさんから幽霊が出てきたと思ったら、友希那さんに憑いて、飛び出したら今度は入ったまま出てこなくなっちまった!?」
「ちょっと!!湊友希那!!何がどうなってるのよ!!」
「燈ちゃんも友希那ちゃんもどういう事!?」
「それは……」
「ゆきちゃん、どうせ記憶から消えるから教えても無駄だよ」
「ちょっとゆーくん!?何やってるの!?なんでいきなりシチュー飲んでるの!?」
ユウはイマジンを抑え込んでいるうちに何とかしようと考えていたが、完全に埒外の光景を見た日菜達からは当然の疑問を聞かれ、その答えに詰まった友希那に対してユウはバッサリと切り捨てる。
そして、彼は自身の皿に残っていたビーフシチューを一気に口の中に流し込んだのだが、その行動に日菜がツッコミを入れるもこれにはちゃんとユウなりの理由があった。
「……治ったのは肩だけか」
「そんな訳ないでしょ!?何言ってるのよ!!」
「バカ野郎!!刃物握ってた手をなんで服で拭って―――!!」
「中島さん!!病院に行かないと……!!」
「そうだよ!!ゆーくん!!病院!!」
ユウは突然”肩が治った”と言い出したが、そんな事はあり得ないとチュチュが当然の言葉が飛び出していたが、そんな言葉を他所にユウは先ほどまで刺されていた肩を自身の服で拭うと言う完全な異常行動に皆から心配されていたのだが、彼女達の目には信じられないものが跳び込んできた。
「えぇぇええええええ!?」
「おい…肩の傷が塞がってるぞ……」
「本当に血がもう出てない……」
ユウが血を拭き取った肩。
そこには刃物で刺されて開いた穴を中心に血が服に滲んでいたのだが、血を拭った時点で既にその傷は綺麗になくなっていた。
普通ならこんな短時間で傷が綺麗に塞がるなんて人間ならばあり得ない。
そんな事が出来るのは――――
「あり得ないわよ!!そんなの化け物よ!!」
「……うん。俺、かなり人間じゃないからね。俺が変身したら出していいから…」
「はい…」
化け物―――
その言葉にユウは笑って答えると、そのまま懐からベルトを取り出して腰に巻いてからカードを取り出すとそのカードからは自身の血が伝って床に滴り落ちる。
そんな状態でユウはカードを構え―――
「変身……!!」
血で染まったカードをベルトに入れて彼は変身するのだった。
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