忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます。

この章もこれで終わりですが……
主人公さんがおいたわしすぎる……

スペックの暴力が酷い……
そう思いながらも投稿です。


106-血濡れのモンスターズ

 

「ぐっ…!?」

 

「よぉ……」

 

「なっ!?」

 

ユウが周囲の目を気にすることも無くゼロノスへと変身するのと同時に、燈が自身の憑いたイマジンを叩き出した先にゼロノスが待ち構えて――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「らぁあああああ!!」

 

「がっ!?」

 

「ぐっ……!!」

 

負傷している右拳をイマジンの顔面に叩きつけ、イマジンは殴られた衝撃でガラスを粉砕して屋上のプールへと落ちて盛大な水しぶきを上げる。

 

体勢が整っていないイマジンに負傷した拳にしてはそれなりの力が入った攻撃。

だが、その力は攻撃をしたゼロノス本人にも跳ね返り、変身前に負傷した手を抑えながらその場に膝をついてしまった。

 

「ユウ…!!やっぱり手が…!!」

 

「ゆきちゃん、大丈夫…俺がやらなきゃ……いけないんだ…」

 

思わず駆け寄ってしまった友希那だったが、ゼロノスは無事な左手で軽く彼女の肩を叩きながら立ち上がり、プールに落ちたイマジンの方へ向かって歩き出していく。

 

「えっ…?中島さん…?」

 

「ちょっと燈ちゃん!!何がどうなってるの!?ゆーれい出たと思ったらゆーくんがへんなのになってるし!?」

 

「そうよ!!湊友希那!!ちゃんと説明しなさい!!」

 

「そうっすよ!!」

 

 

 

「えっと…その…それは……」

 

「………終わったら本人から聞きなさい。憶えていられたらだけれど……」

 

「友希那ちゃん!!どういうこと!?」

 

ゼロノスの背中を見送る友希那だったが、事情を知っているであろう友希那と燈の2人に他の面々が詰め寄られて困っていた燈だったが、友希那は記憶が消える彼女達をはぐらかして誤魔化した。

 

詰め寄ってくる日菜達に事情を説明したところでユウが変身を解いてしまえば皆から記憶が消える。

そんな彼女達に説明する意味は無いのだが、それを伝えても理解されないと友希那はそっけなく話を終えて負傷したままのゼロノスの方に視線を向けていた。

 

 

 

 

 

「手も痛むけど、腹の方がヤバいな……視界も霞んできた……」

 

「ユウ!!俺を使え…!!」

 

「ダメだ!!」

 

「なんで!!」

 

プールに落ちたイマジンに向かっていくゼロノスだったが、変身前に負った怪我による出血で視界が霞み始めていた。

それを感じながらもゼロノスはゼロガッシャーをボウガンに変えていくが、その姿を見たデネブは一緒に戦うと言い出した。

 

流石に負傷している状態で1人で戦うのは余りにも危険すぎるのは誰の目から見ても明らかでそれが分からないゼロノスではなかったが、それでも彼はそれを拒否するが、デネブにはその理由が分からずに声を挙げるがそれにはちゃんとした理由があった。

 

 

 

 

「今の状態でフルチャージの反動を抑えるのは無理だし、そもそも腹の怪我でバスターをマトモに持てるかすら怪しい」

 

ゼロノスは変身前に怪我を負っている今の状態では必殺技であるバスターノヴァの反動に耐えるどころか、構えることすら出来るかすら分からない状況で使う訳にはいかないのもあったのだが――――

 

「それにイマジンがさっきみたいに憑いたらデネブ以外に剥がせる人がいないから…」

 

「むっ…分かった…!!」

 

デネブと戦う事を拒否した一番の理由は相手の能力。

人に憑依するイマジンに対抗できるのは特異点でイマジンを抑え込める友希那と燈のみで、それ以外の第三者に憑いてしまった場合はデネブが対応しない限りはゼロノスが憑かれた人間諸共倒すしか選択肢が無くなってしまう事を考えると猶更バスターを使うことが出来ない。

 

それを聞いたデネブはその考えに理解を示して同意すると彼女達を守るようにイマジンとの間に壁の様に立つ。

 

それと同時にプールから再び盛大な水しぶきが跳ね上がる。

 

 

 

 

 

「余裕かましてるんじゃねぇ…!!」

 

「ちっ…!!」

 

 

そのしぶきの中からプールに落ちたイマジンが飛び出して、どこからか取り出した曲刀が振り抜かれ左の脇腹を斬られてしまう。

 

「がぁあああああああああああ!!」

 

「そのまま死ね……!!」

 

振り抜かれた刃は変身前にリサの身体を使ったイマジンに刺された場所であり、攻撃が直撃するとゼロノスからは絶叫が挙がると、その叫びを聞いたイマジンは負傷している腹部を再び刀で斬り付けたのだが――――

 

「なっ…!?」

 

「ぐっ……!!」

 

「放せ…!!」

 

ゼロノスは2度目の脇腹への攻撃を身体で受けると、その刀を左手で掴んで動きを止める。

その行動にイマジンは驚いて動きが止まったが、それで充分だった。

 

 

 

 

「……逃がさない。この距離なら……」

 

「ぐふっ……!!貴様……!!」

 

ゼロノスはボウガンを相手の腹部に押し当てると、そのままゼロ距離で撃ち抜いた。

流石にゼロ距離でのボウガンは堪えたのかイマジンから苦悶の声が漏らしながらも、ここからが反撃とばかりにゼロ距離でボウガンで撃ち抜き続けていく。

 

「ぐっ!!がっ!!放せ…!!」

 

しかし、イマジンもただ攻撃を受けるだけでは終わらず、ゼロノスが負傷している脇腹に刀押し付けたが――――

 

 

 

 

「がぁああああああああ!!」

 

「力を入れてないのにこれか…!!我慢比べと行こうか……」

 

だが、ゼロノス側の負傷が酷く対して力を入れていないイマジンの刃が脇腹に押し込まれるだけで絶叫してしまい、それを見たイマジンは悪辣な声から壮絶な我慢比べが始まっていく。

 

 

 

 

「ぐっ…!!」

 

ゼロ距離からボウガンで撃たれたイマジンは小さく言葉を漏らしていたその一方。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がぁああ!?」

 

 

 

「「ユウ!?」」

 

「おにーさん……」

 

「とっととくたばれ…!!」

 

「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!」

 

負傷した腹に少しだけ力を入れられただけでゼロノスは絶叫していた。

その叫びだけで友希那達にすらその痛みの一端が伝わってくるような錯覚すら覚えさせるが、それを聞いたイマジンがさらに力を込めていくと、ゼロノスがより一層の絶叫を響かせ――――

 

 

 

 

 

 

「がふっ…!!」

 

「ははっ!!武器を落としたな…!!」

 

変身前のダメージも重なったゼロノスがイマジンの剣を放してしまい、彼はその場に膝をついて崩れ落ちてしまい、彼は持っていたボウガンすら手から零れ落ちる。

それを見たイマジンはすぐさまボウガンを蹴り飛ばしながら勝利を確信して高笑いを始めていた。

 

「はーはっは!!手間取らせやがって…!!」

 

「ユウ…!!」

 

「叫ぶな…!!」

 

「っ…!!」

 

ユウが崩れ落ちる姿に思わず友希那が叫ぶが、イマジンがそんな彼女に睨みを聞かせて黙らせると持っていた曲刀をゼロノスの首に当てていた。

 

 

「まずはコイツを始末して…」

 

「「……っ!!」」

 

「させんぞ……!!」

 

「そのイマジンは手を下ろせ。コイツが苦しんで死ぬことになるぞ?」

 

 

 

 

「くっ……」

 

「コイツを始末したら、次は特異点…お前達だ…!!」

 

ユウが倒れたのを見たデネブが友希那達2人を守るように立ち塞がって両手の銃口で狙い始めていた。

しかし、それを見たイマジンはゼロノスの首に刃を押し付けたのを見て、言われた通りに手を下ろしてしまった。

これで勝ちを確信したイマジンは余裕の態度を見せ始めて完全に勝利を確信し、ゼロノスを倒した次の標的は友希那と燈の2人だと告げていた。

 

 

 

「………」

 

「死ね…!!」

 

 

 

 

「ユウ!!」

 

「おにーさん!!」

 

そして、無言で動かなくなったゼロノスを見たイマジンは自身の武器である曲刀を振りかぶるとそのまま勢いよくゼロノスへと振り下ろす。

その光景に友希那と燈の2人が声を挙げてしまったが――――

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……!?」

 

「………」

 

「止めただと…!!だが、次で終わりだ!!」

 

ゼロノスは振り下ろされた刃を左腕で受け止める。

完全に死に体だったゼロノスのまさかの防御にイマジンは驚愕したものの、次の攻撃は防げないと高をくくって再び武器を振り上げたが――――

 

 

 

 

 

Gaaaaaaaaaaaa!!」

 

「ぐぉ!?」

 

■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 

ゼロノスは言葉になってない絶叫を挙げると、負傷しているはずの右拳をイマジンの腹へと叩き込む。

まさかの反撃にイマジンが呻き声を上げて仰け反ると、声にならない絶叫を挙げながらゼロノスがイマジンに襲い掛かっていた。

 

「ぐっ!!がぁ!?」

 

■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 

 

「コイツ!!怪我してるは―――がっ!?」

 

 

 

そんな筈の相手がいきなり動き出したと思えば、一瞬で追い詰められるなどイマジンにとっては悪夢以外の何物でもない。

 

ゼロノスは変身前にイマジンが憑いたリサによって左脇腹と左肩を刺され、右手も刃を掴んで負傷して、精神的にも身体的にもボロボロの状態のはずにもかかわらず、今の動きは今までで一番動きが良い。

その圧倒的な動きはもはや人間のものではなく―――

 

 

 

 

「悪魔が…!!」

 

「……!!」

 

「ぎゃああああああ!?」

 

悪魔。

 

ゼロノスの姿を見てそう呟くと同時にイマジンが武器を持っていた腕を振り上げようとしたが、その腕はゼロノスの手によって関節が存在しない部分からあらぬ方向へと曲げられてしまったことで絶叫すると、その武器がゼロノスの手によって奪いとられ――――

 

 

 

 

 

「……」

 

「がっ!?」

 

無言でゼロノスがイマジンの武器で相手の腹を貫くと同時に横薙ぎに武器を振るう。

 

それによってイマジンの身体は胴体の殆どが斬り裂かれてかろうじてつながっている様な状態になってしまい、斬られた部分からは夥しい量の砂が噴き上がる。

 

このまま放置してもこのイマジンはいずれ倒れるが、それを待つほどのゼロノスは甘くなかった。

 

 

 

「があぁああああ!!足がああああああああああああ!!」

 

「……」

 

ゼロノスは絶叫しているイマジンの足を曲刀で貫いてから刃を叩き折ることでイマジンをその場に縫い付ける。

 

―――Full Charge ―――

 

「くそっ!!ふざけるな…!!」

 

余りの痛みに再び絶叫するイマジンだったが、ゼロノスは気が付けば近くに転がっていたボウガンをそのまま拾い上げる静かにベルトのスイッチを叩く。

その言葉はイマジンにしたら死刑宣告の様にも聞こえて錯乱するが、ゼロノスはそんな事をに構うことはなくベルトからカードを引き抜いてボウガンに装填してから、イマジンの斬り裂かれた胴体の中にねじ込み――――

 

 

 

 

 

 

 

「死ね……」

 

「―――――!!」

 

淡々とした呟きと共にゼロノスは必殺技―――グランドストライクをイマジンの身体の内側から放つ。

 

 

その攻撃を受けたイマジンは声を挙げる間もなく爆散し、爆炎の中ではゼロノスだけがその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

「「「「「「………」」」」」

 

その爆炎が晴れていくも、この光景に唖然として誰も言葉を発することも動くことも出来なくなっていた。

そんな中でゼロノスはベルトを外して変身を解除してしまったのだが、そこに立っていたユウの姿はあまりにも凄惨なものだった。

 

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「ユウ!!」

 

「ゼロライナーを呼ぶ!!」

 

「分かったわ……。高松さんも…」

 

変身を解除したにも関わらずユウの身体は赤いまま。

いや、正確に言えばユウの身体は自身が流した血で赤黒く染まっており、変身を解いた彼の足元には普通の人間では確実に死んでいるであろう量の血をぶちまけていた。

 

彼の事情を知る3人がそれを見て急いで駆け寄ると自身の服が血で汚れることをいとわずその身体を支えると、虚空から現れたゼロライナーに3人で飛び乗ってこの時間から消えた。

 

 

「何が…どうなってるのよ……」

 

「あたしが聞きてぇ……」

 

その光景に呆気に取られていたチュチュ達は困惑の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――だが、その困惑は時間の修復によって一瞬で消え去った。

 

 

「マスキング、なんでアタシ達は外にいるのかしら?」

 

「ん?知らねぇ…なにしてんだ……?」

 

 

「チュチュ様~!!」

 

「ますきさんもチュチュさんもどうして外に?」

 

「ダルい……」

 

マスキングとチュチュは外に出ていた記憶が無くなり、互いに顔を見合わせながらどうして外にいるのかを確認し始めると、部屋の中から他のRASのメンバーがチュチュ達の方へと歩み寄っていく。

 

状況がまるで分からない彼女達は首を傾げ合っていたのだが、ここにいるのは彼女達だけではなかった。

 

「みんな~何してるの~?」

 

「日菜ちゃん!!」

 

ここには日菜がおり、彼女も事情が分からないが外に集まっているRASの面々の方に歩いていったのだが、その途中であるものに気が付いてしまった。

 

 

 

「あれ?パレちゃん、あそこにあるのなんだろ…?」

 

「なんでしょうか…?赤いですが……」

 

「ペンキとかでしょうか……」

 

「ロック、赤いペンキなんてここじゃ使わないだろ?」

 

日菜はユウが流していた血を見つけたが、今の彼女にはそれが何なのか記憶がなくて不思議そうにしていると、他の面々がなんなのか分からずに考え始める中で日菜が気になったのかそれに近づいていた。

 

 

「これ…血じゃない……?鉄のにおいするし……」

 

「待ってください!?これが全部ですか!?」

 

「普通に考えたら死ぬレベルですよ!?」

 

日菜の言葉にRASの面々が慄いていた。

言われてみれば鉄のような匂いもするが、それにしてもこの量では人が確実に死ぬレベルの量がぶちまけられている。

ますます混乱する彼女達だったが――――

 

 

 

 

「ちょっと~!!」

 

「あれ?リサ……ちー…………?」

 

そこにマンションにいた最後の1人であるリサまでやってきたのだが――――――

 

 

 

 

 

「「「「「ひぃ!?」」」」」

 

「リサちー……?」

 

「あれ?なんで包丁なんて持ってるんだろ?」

 

 

「「「きゃああああああああああああ!!」」」

 

「「うわぁああああああああああああああ!!」」

 

「ちょっと!?」

 

「リサちー?…その…すっごいよ?」

 

彼女はユウの返り血を浴びたままの状態でその手には血に濡れた包丁が握られていた。

 

しかし、リサは包丁を持っていることには気が付いたが、返り血まみれの状態には一切気が付いておらず、不思議そうに包丁を持ったまま皆の方向へと歩いていくと、見た目の恐怖心からRAS全員が絶叫と共に意識を放り投げてしまい、理由が分からず慌てふためく彼女に日菜が指摘するとそれを聞いて自身の状態を確認したリサまでもが恐怖で意識を放り投げてこの場には日菜だけが取り残されてしまうのだった。

 


 

 

 

現在ではそんな事が起こってるとも知らず、時の狭間のゼロライナーの車内ではユウが今にも死にかけていた。

 

「ユウ!!しっかりして…!!」

 

「おにーさん……!!」

 

友希那と燈が心配そうな表情でユウに声をかけていたが、ユウはデネブの方に顔を向けていあることを頼みだした。

 

 

 

 

「デネブさん……肉…持ってきて……」

 

「ユウ!!ちゃんと手当てして休まないと…!!」

 

「いいから……」

 

「ダメだ!!」

 

 

「私持ってきます……!!」

 

ユウは瀕死の状態にもかかわらず肉を持ってくるようにデネブに頼んでいた。

その意味が分からずデネブはそれを拒否したが、その言葉に何か意味があると感じた燈は言われた通りにキッチンの冷蔵庫の中から食べられそうなものを掴むと急いでユウの元へと戻っていく。

 

「おにーさん…!!」

 

 

 

 

 

「高松さん…?生卵のパックなんて持ってきてなにするつもりよ……?」

 

「ぇっ…?ぁっ……」

 

「待って、それちょうだい……」

 

燈が持ってきたのはあろうことか生卵。

確かにすぐに食べられはするが、普通に考えれば単体で食べるものではない。

それを友希那にツッコまれて燈が引き返そうとしたが、ユウはそんな燈に待ったをかけると燈が持ってきた生卵を受け取っていた。

 

「おにーさん……?どうするんですか……?」

 

 

 

 

 

 

 

「食べる」

 

「「「えっ……」」」

 

ユウは燈から卵を受け取るを殻を割ってそのまま口の中に流し込んで飲み込んだ。

その光景に3人が驚いていたが、ユウは構うことなく卵のパックが空になるまでそれを続けていると、その時不思議なことが起こった。

 

 

「おにーさん、肩の傷はどうしたんですか……?刺されてたのに…」

 

「それだけじゃないわ。手の方も傷が塞がってるわよ………。デネブ、あなた知ってたわね?」

 

「あぁ……」

 

 

 

 

 

「色んな世界を旅してた時にこうなったんだよ、チュチュさんも言ってたでしょ?化け物だって」

 

ユウの身体に出来ていたはずの傷が塞がっている普通ならばあり得ない光景に2人は困惑していたが、デネブはその違和感に気が付いていた。

そんな彼女達に端的にそのタネ明かしをしながらも、ユウは3人に力なく笑いかけるのだった。

 




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