忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
ガルパでクリスマスの新イベント始まったけど…
リサ姉のバナー…エプロンだと…!!

ママァ……

と脳がぶち壊されたのでこちらも色々とぶち壊しながら投稿です


109-人でなし、ぶち壊し

「………………」

 

友希那はあの事件が解決して以降、ユウに会う事もせずに最低限の外出以外は部屋に籠って先日の事を思い返していた。

 

「あの時……」

 

先日、チュチュのマンションでの事件の際、ユウは間違いなくリサに包丁で腹や肩を突き刺されて、刺したリサが返り血で真っ赤に染まるほどの血を噴き出していた。

 

普通ならば確実に死んでいてもおかしくない状況だったのだが―――――――

 

 

――――この程度じゃ死なないんで……

 

――――肩の傷が塞がってるぞ……

 

 

「間違いなく、あの時に傷が塞がってた……」

 

しかし、リサ―――いや、正確に言えばリサの身体を乗っ取ったイマジンによって刺された傷は確かにあの短時間の間で塞がっていた。

 

それは普通の人間ならばあり得ないもので、悪い夢でも見ているのかとすら思えてしまうが、

見た光景だけではなく、あの時の光景と共に感じていた血の匂いがアレが現実だったという事を叩きつけて来る。

 

 

 

――――そんなの化け物よ!!

 

――――言ってたでしょ?化け物だって

 

「ユウが……化け物………」

 

自分が幼かった頃に突如として消え、そして今に戻ってきた男の子が人から言われ、そして自分でも自虐的に口にしていた”化け物”と言う言葉が彼女の頭から離れない。

 

「でも……」

 

ユウもなりたくてなった訳ではないのは分かるが、化け物と自虐するような身体になっていなければこの時間に戻って来ることすら出来なかったのだろう。

 

そう考えると胸が苦しくなっていく友希那だったが、ここで先日の事を思い出した際にあることに気が付いていた。

 

 

 

 

 

 

「ユウの怪我を心配したけれど…リサが刺したことに対しても、ユウが流した血の匂いに何も感じなかった……」

 

彼女はユウが刺されたことに対して心配はしたが、それだけ。

 

事実はともかくとしても、外側だけ見れば”親友(リサ)(ユウ)を刺した”と言う光景についても、刺されたユウが流した時に感じた血の匂いについては友希那は何も感じていなかった。

 

その事に気が付いた友希那はユウが戻って来てから、思い出すのを辞めていた事件の被害の事を思い返していく。

 

 

 

 

 

 

 

最初は燈のバンドメンバーの死体を弄ばれていた光景を見た。

 

関係のない学生が瓦礫に圧し潰された姿を見た。

 

後輩が生きたまま焼かれ、頭を潰されて飛び散ったその肉片をかき集める姿や首を切り落とされるのを見た。

 

目の前で親友(リサ)が殺されて遺体になった光景を2回も見た。

 

 

 

 

 

「………」

 

自身が診てきたことを思い返してみた友希那だったが、普通ならばどれか1つでも見ればトラウマで人間性が崩壊してもおかしくはないのだが――――――

 

「そういえば、高松さんの目の前で腕を撃たれたってのもあったらしいし、瀬田さん達を一斉に毒殺されたのよね……」

 

そこから自身が直接見ていない被害についてすら口にしたが、直接見ていないことに関しては全く心が動かず、自身が直接見た被害の事を思い返した事についても思い出した出来事と一緒に思い出していた匂いに対して嫌悪感を感じて眉を顰めるも、すぐに我に返っていた。

 

「でも…もしかしたら……」

 

だが、友希那は今までのことを思い出すだけで止まらず、これから起こり得るかもしれない出来事を考え始めていた。

 

 

もしも紗夜が、あこが、燐子が目の前で殺されたとしたら――――

 

「……はぁ」

 

そんなあり得るかもしれない”もしも”の事を考えた友希那だったが、一通り考えた後に溜息を零しながら頭を抑え始めていた。

 

 

 

 

 

「おかしいわね……素直に受け入れられてる……」

 

以前の自身ならば、こんな想像をしてすぐに平静を取り戻すなどあり得ない。

あんなに凄惨な光景を見て、それで人を変えて自分の事を想像してみたもののすぐに平静を取り戻せる程度しか心が動かなった。

 

そんな自分に嫌気が指してしまったが――――

 

 

 

 

 

 

「そう言えば…リサの時に怒っただけで、悲しそうにはしていなかったわね…。それに最初の高松さん達の時もあれだけ血が飛び散った現場でも平然としていたわ……」

 

彼女はその時に一緒にいたユウの表情を思い出したのだが、彼がイマジンの事件で表情を変えたのはリサが殺された時だけで、今まで見た中で最も猟奇的だった最初の事件現場ですらユウはその光景を前にしても眉1つ動かしてはいなかった。

 

きっとそれは自身と比べるには余りにも烏滸がましいほどにはこんな地獄を経験してしまった結果であるが、それに比べて数回しか経験していない自分はどうなのだろうか?と考えた友希那だったが、すぐに自身の中で答えにたどり着いてしまった。

 

「……ユウのことが化け物?だったら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は心が壊れた”人でなし”ね……」

 

ユウはリサが死んだ光景に心を痛めて怒りを剥き出しにしていたが、自身の身体が人間ではない”化け物”だと言っていた。

だったら、身体だけは人間である自身は、ユウの心を痛める原因を作った上に、人の死を考えても僅かにしか悲しく感じなくなってしまった”人でなし”だ。

 

 

 

そう呟いた言葉は自身しかいない部屋の中で霧散していき、沈黙だけが残されたのだった。

 

 

 


 

友希那が部屋で塞ぎこんでいたのと同じ頃――――――

 

「お腹が……すいた………」

 

「こいつ……」

 

「おにーさん……落ち着いて………」

 

「ごめんね燈ちゃん。後はコレをパン屋の前に投げ捨てれば終わりだから、捨てたらカフェでも寄ろっか?」

 

「あっ……パン屋から人が……沙綾さんだ……」

 

”腹が減った”と壊れたラジオの様に同じ言葉を繰り返し続けるたえの姿に若干の苛立ちを覚えるも、横にいた燈がユウを宥められ続けて、ユウと燈はたえを引き摺って商店街までやってきた。

 

後はたえをパン屋の前に捨てるだけで終わると考えるとユウの気持ちが軽くなっていくが、そんな彼らの目の前でパン屋の扉が開かれるとそこからは沙綾がタイミング悪く出てきてしまった。

 

 

 

「……どうせ憶えてないだろうからさっさと捨てて逃げよう」

 

普通ならば彼女に事情を伝えて引き渡せばすんなりと事は終わるのだが、ユウはゼロノスの変身の代償で周囲の人間の記憶から消えていく。

 

その例外は特異点である友希那と燈のみでおそらく沙綾の記憶からも既に綺麗さっぱり消えているはずで、そんな状態で引き摺っているたえを引き渡しても碌な事にはならないだろう。

それならばさっさと捨てて逃げるだけだと考えていたのだが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!ユウさん!!こんにちは!!」

 

「うぇっ!?」

 

「えっ…!?」

 

「ユウさん!!なんで最近、お店にもRiNGのカフェにも来てくれなかったんですか?」

 

「あはは…色々と忙しくてね……」

 

「そうだったんですね!!」

 

あろうことか沙綾がユウの名前を呼んで挨拶をしていた。

完全に予想外の状況にユウと燈は驚きの声を漏らしてしまったが、沙綾は特に気にしている様子もなく、彼の元へと小走りで駆け寄って来て早々に最近顔を見せなかったことを詰めてきていた。

 

そんな光景にユウが珍しく気圧されながらも答えると、それを聞いた沙綾は納得して眩しいほどの笑顔を浮かべていた。

 

「それでユウさんは今日はどうしてここに?」

 

「あぁ…このゴミ拾ったから……」

 

「ゴミ……?っておたえ!?」

 

今日、商店街に来た理由を聞かれユウは沙綾の前にたえを突き出すと、沙綾の顔から笑みから驚きに変わる。

同じバンドメンバーが男に引き摺られて姿を現したことを考えればその反応も当然だったが、

沙綾はユウの予想を上回っていく。

 

 

「それで、おたえはユウさんに何したんですか?」

 

「おにーさんに迷惑をかけた事が前提……!?」

 

「あはは……それは――――」

 

彼女は引き摺られて来たたえがユウに何かをやらかした事を前提に話を始めると、思わず燈がツッコミを入れてしまったが、そんな空気に笑いながらもユウはたえを拾った理由を伝えようとしたのだが―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この人とお外でお医者さんごっこした……」

 

「えっ……?」

 

「はっ……?」

 

今まで腹が減ったとしか言わなかったたえがとんでもない事を口走った。

その言葉に思わずユウと燈は困惑の言葉を漏らしたのだが―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛ぁ゛?」

 

たえの言葉を聞いた沙綾は普段の彼女からは考えられないようなドスの効いた声を上げて、たえを睨みつけるのだった。




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