忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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メリークリスマス!!(大遅刻
クリスマスプレゼントを貰ったりあげたりしてた世間ですが、
私は白衣を着たおじ様から白い粉と錠剤をいただきました。(風邪薬)
皆さん気を付けて…という事で投稿ですが…
沙綾さん、出番多くて嬉しいね……ね…?


114-歪

有咲の蔵での出来事から翌日。

 

「あれ?ゆきちゃん?」

 

「ユウ?晩御飯の買い物かしら?」

 

「そうだけど、ゆきちゃんも来る?燈ちゃんも来る予定だけど」

 

「今日はそっちで晩御飯を食べるわ。メニューは?」

 

「鮭のムニエル」

 

ユウは商店街を歩いていたところで友希那と出会うと2人は何を言う訳でもなく並んで商店街を歩き始めると流れる様なやり取りで夕食を一緒に食べることを約束する。

そんな2人の目の前の店から見覚えのある人物が飛び出した。

 

「あっ…ユウさん、それに友希那先輩も」

 

「山吹さん。こんにちは」

 

「こんにちは。昨日と同じような状況だね」

 

「そうですね」

 

 

 

「沙綾ちゃん」

 

店から出てきたのは沙綾。

ユウは何気ない言葉をかけたのだがそれを聞いた沙綾は笑みを浮かべながら、左手を彼に振っていた。

傍から見たら何ともない光景なのだが、ユウは微かな違和感を感じると即座に彼女の元まで歩き出していた。

 

 

「ユウさん…!?」

 

「ユウ?どうしたのよ?」

 

突然歩み寄られたことで沙綾は困惑していた一方で友希那はユウの行動の意味が分からず首を傾げていると、彼は沙綾が手を振ったのとは逆の手である右手を掴み上げて―――

 

「これは…なにかな?」

 

「っ!?それは…!?」

 

「外すよ」

 

沙綾の右手―――その人差し指には絆創膏が貼られていたのだが、問題なのは絆創膏の下から溢れるほどに出血していたこと。

彼女としては上手く隠していたつもりだったのだが、それを一瞬で見抜かれたことに沙綾は驚いていたのだが、本当に驚くべきはそれではなく、彼女の絆創膏の下に刻み込まれた跡だった。

 

 

 

 

 

 

「歯形みたいね…」

 

「ゆきちゃん。みたいじゃなくてその物だよ。それにこの咬傷はかなり深い……どうしてこうなったの?」

 

「それは…ちょっとおふざけが過ぎたっていうか……」

 

その後は歯形の様に見えると友希那が口にすると、ユウはそれで間違いはないと肯定していた。

ユウは至って真剣な表情を浮かべていたのだが、その言葉に沙綾は更に困惑し始めると言いにくそうな表情を浮かべながらそれを誤魔化そうとした。

 

「おふざけにしては度が過ぎてるわよ」

 

「そうだね。多少噛まれたくらいならこんな跡は残らないよ。ここまで来るには食い千切るくらいには力を入れないとね」

 

「っ…!!」

 

しかし、その誤魔化しは友希那にすら一瞬で見抜かれてしまい、そこにユウからの追撃のような言葉を聞いた沙綾からは冷や汗が流れ始める。

そんな彼女を見るとユウは沙綾の肩にそっと手を置いて諭すように話しかけていた。

 

「沙綾ちゃん?怒ってる訳じゃないんだよ?純粋に心配してるだけだからさ…」

 

「でも……」

 

「それにそのままにしておくと不味いからちゃんとしないとね?それに食品を扱ってるお店の人がそんな状態だと心配されちゃうよ?だから、とりあえずは病院に行くよ?」

 

「えっ!?そんな大げさな…!!」

 

「そうよ。ただの噛み傷よ?」

 

ユウの言葉がどれも沙綾のメンタルに直撃していくも、彼の言うことは何も間違ってはいなかった。

それが分かっていた沙綾の表情が曇っていくが、ユウはそんな彼女にやさしい言葉をかけていたのだが、急に病院に行くと言い始めたことで沙綾は驚いた表情を浮かべ、友希那もただの噛み傷程度で大げさだと感じていたが、ユウはニコニコとした笑みを崩さない。

 

 

 

「噛み傷って意外と怖いんだよね。そこから細菌感染して最悪はそのまま壊死―――

なんてこともあるからね」

 

「っ!?」

 

あろうことかユウは心配そうにする沙綾に笑みを浮かべたまま忠告するが、それはもはや脅迫の様にすら聞こえてしまい、聞かされた方は溜まったのもではない。

沙綾は最悪の出来事を想像してしまったのか顔はみるみる青くなっていく。

 

「大丈夫だよ。咬傷の処置は洗浄と消毒して、傷口が深いなら更に縫合してから抗菌剤の処方が一般的だよ」

 

「えっ……縫う……?」

 

「そんな大層なもんじゃないよ?…医者が縫えないって言うなら俺がやるから」

 

「えっ!?」

 

「ゆきちゃん。病院近くにある?皮膚科か整形外科だと良いんだけど」

 

「確か皮膚科なら近くにあった気がするわね…。行きましょう」

 

顔が青くなった沙綾にユウは処置についてととんでもない爆弾を投下してから、ケガをしていない沙綾の腕を引いてそのまま病院へと向かっていくが、その状態でユウは沙綾から話を聞くのを辞めなかった。

 

「で、肝心のとこ聞いてないんだけど…どうしてこうなったの?」

 

「えっと…実は寝ぼけたおたえに噛まれちゃって…」

 

沙綾の指に跡が付いた理由を聞いていなかったのだが、それを聞いたユウの表情には呆れの表情が浮かび上がっていた。

 

「あのバカが……」

 

「いえ!!私が悪いんです!!寝てるおたえの顔を悪戯半分に突いたせいで……!!」

 

「いくら寝顔を突いたからってそんな跡が残るほどに噛まれるなんて変よ?」

 

 

「……」

 

呆れるユウに対して沙綾が咄嗟にたえを擁護しようとしたのだが、いくら寝ぼけていたとしても跡が残るほどに強く噛まれるなどあり得ない。とあろうことか友希那によってそれを潰されてしまったことで沙綾が完全に沈黙してしまった。

 

「それに人肉なんて食っても不味いだけだしね」

 

「ユウ、そのジョークにしては全く笑えないわよ……」

 

「あ~…あはは……」

 

「変なことを言うのは止めてちょうだい」

 

 

「……」

 

ユウは場を和ませようとジョークを口にしたが、全く笑えるものではないと友希那に一蹴されると苦笑いを溢して誤魔化そうとするも、沙綾はユウの言葉を聞くと何かを考える様な表情を浮かべてると、彼女はあることを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

「そう言えばおたえが私の指を噛んだ後、起きてから変なこと言ってて……」

 

「あのバカが変なのは元からじゃないかな…?」

 

「確かに花園さんは変…と言うよりは天然よね」

 

「ゆきちゃん、鏡見てからモノを言おうか?」

 

「あはは…確かにおたえは天然ですけど……」

 

沙綾が今のやり取りを見てたえの言動がおかしかったと口にすると、それを聞いた2人はたえが変なのは元からだと思わず言葉に漏らしてしまう。

それを聞いた沙綾は天然と言って2人の言葉に同意しながら苦笑いを零すと、意図せず空気が軽くなった。

そして、このタイミングでユウが沙綾に思い切って踏み込んでいく。

 

「それで沙綾ちゃん、あのバカは何て言ってたの?」

 

「えっと…すっごい変なことで…いや、起きてからって言うよりはユウさんに怒られた後からって言ったほうが正しいかも…」

 

「大丈夫だよ。ゆきちゃんの成績くらい残念じゃなきゃ笑わないから」

 

「ユウ?どういう事かしら?」

 

沙綾はたえが言っていたことが物凄く変なことだと注意するが、変な物には慣れているユウには多少のモノが出てきても動じる様な事はない。

例えで友希那の成績と言うと当の本人はユウを睨みつけるが、彼はそれを完全に流して沙綾に視線を向けて答えを待つ。

 

「実はユウさん達が帰った後におたえが起きた時、ウサギの肉を食べたことに対して”食べてあげないと可哀そう”って言ってて…」

 

「ユウの言葉でそう考えるようになっただけじゃないかしら…?」

 

「いや、私もこれはユウさんの言葉を聞いたからだと思うんですけど……ってそうじゃなくて、それ以上に変だったのは香澄がクッキーを差し出した時なんですけど…

 

おたえの視線がクッキーじゃなくて、香澄の指を見て”美味しそう”って言ってたみたいってりみりんが言ってて…」

 

「りみりん……?確かショートヘアーの…子だよね」

 

「えぇ、他の子からそう見えたのなら信憑性はありそうね…」

 

たえが人の指を見て”美味しそう”と呟いていた。

確かにこれは変だと感じたユウと友希那だったが、変なのはこれだけではなかった。

 

「それに私の指を噛んで起きた後にも、お礼言われて……私の指はパンの匂いと味がするって……」

 

「「………」」

 

「それに、おたえが自分の飼ってるウサギに写真を見て、美味しいのかな?って呟いてたり…自分の好きな物なら美味しいって思うのかなとか言ってて……」

 

人様の指を噛んでおいて出てきた言葉は謝罪ではなく感謝の言葉で、その上で味の品評をするなど常軌を逸していた。

しかし、それで終わらずに自分の買っているウサギの味まで想像し始めていたという沙綾の言葉にユウと友希那の2人揃ってドン引きである。

 

そして、極めつけの言葉が――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば…変繋がりだと…おたえが起きた時、顔と机の上に砂がついてたんですよ。今日は体育もなかったのにどこで付いたんだろうって言ってましたけど」

 

「「…っ!?」」

 

出自不明の砂がついていた。

それだけでユウと友希那が状況を察するには充分だった。

 




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